2010/12/01 00:00

PARADES / Foreign Tapes

ザ・アルバム・リーフからカニエ・ウェストまでもを虜に! 最先端レーベルの一つ、Modularの期待の新進気鋭アーティスト、Jonathan Bouletが参加する、オーストラリアの4人組。20代前半の若武者たちによる、2000年以降の世界を席巻したインディー・ロックを独自の色で吐き出したサウンドは、ロック界の次の10年間を暗示させるかのような、静かな輝きに満ちている。満を持して、日本上陸!

美と野望が入り混じるハーモニー

オーストラリアのModularが昨年送り出した驚異の新人Jonathan Boulet率いる4人組、PARADES。2000年代のインディ・ロックを丁寧に咀嚼し、カラフルに再構築してみせる、新進気鋭と呼ぶに相応しいバンドの登場だ。 本国オーストラリアでは、既に数多くのフェスにも出演、KLAXONSやPASSION PITのサポートにも抜擢され、注目を集めている。 緻密なバンド・アンサンブルと自由なビート・アプローチ、スリリングでありながら耳に馴染むメロディ、美しく高揚感に溢れた混声のハーモニー。深遠な歌声が、天上から降り注ぐ福音に変わっていく。それは、FOALSがセカンド・アルバム『TOTAL LIFE FOREVER』で到達した凛とした歌と変幻自在のバンド・アンサンブルの融合に、JonsiやBROKEN SOCIAL SCENEの祝祭を加えてしまったようだ。

メンバーは全員が20代前半。思春期を2000年代とともに過ごした若者は、2000年代のロックの変遷を鮮やかに吸収、昇華し、ニュー・スタンダードとも言えるスタイルをさらりと披露してみせる。目を見開いてしまうような瑞々しさが、その音に詰まっている。 Radioheadの緻密で壮大な実験精神も、Animal Collectiveが切り開いたポップ桃源郷も、Vampire Weekend、Jonsiの祝祭性も、PARADESの音の根底にごく自然に流れている。その音楽性の多彩さに加え、ライヴでは人数も増えるというし、楽曲によって女性ヴォーカル、コーラスも多く採り入れている。楽曲に合わせて4人以外のメンバーが参加することにも寛容なコミュニティ感覚を持ったバンドなのだろうと推測できるし、そういう意味では、BROKEN SOCIAL SCENEやARCADE FIREと同じ流れにいると言えるだろう。

さて、そんなPARADESの中心には、一つの核がある。冒頭に書いたJonathan Bouletその人だ。昨年、21歳にしてModularからアルバムをリリースした彼の音にも是非触れてみてもらいたい。PARADESではドラムを叩き、SNAKE FACEというハードコア・バンドではベースも弾いているというJonathan Bouletの驚異的な才能を感じてもらえるはずだ。

もちろん、PARADESの中心に彼がいると言っても、このバンドがワンマン・バンドでないことは一聴すればすぐに分かる。試しに、冒頭の「Dead Nationale」だけでも聴いてみてほしい。驚異的なプレイヤビリティから叩き出されるバンド・グルーヴは、圧巻の一言だ。このPARADES、Jonathan Bouletという核が、オーストラリアのインディ・シーンにUSインディやカナダで起こっているのと同等のうねりを巻き起こす起爆剤となるのではないだろうか。カラフルな祝祭の音色と躍動するビート。『Foreign Tapes』と言うアルバム・タイトルが暗示する通り、新たな音、新たな感性が詰まったPARADESの一音一音は、これから起こる新たなうねりの記念すべき第一波として記憶されることになるかもしれない。(text by 佐々木健治)

RECOMMEND

Woods / At Echo Lake

Woodsistのオーナーで、Meneguarのメンバーでもあり、Not Not Funから画集もリリースしている才人Jeremy Earlと、Christian Deroeckを中心としたNYのローファイ・インディ・フォーク・ロック/ポップ・バンド。4thアルバム『Songs Of Shame』はPITCHFORKで8.3点を獲得し、年間チャート50位に輝いた。リリースごとに知名度、人気を伸ばし、現在はローファイ・ムーヴメントの中心的バンドとしてシーンを牽引している。美しく極上の幽玄ファルセット・ヴォイスとサイケデリックでフォーキーなサウンドは、前作よりもポップになりながら、ノイジーでよれたギター、シンプルなリズムと美しいメロディーで心を鷲掴みにし、聴く者をWoodsワールドにいざなう。

WHY? / Eskimo Snow

Yoni Wolf/ヨニ・ウルフ率いるUSインディー界でも大人気のバンドWHY? の4枚目となるアルバム。大傑作アルバム、Pitchforkレコメンドにも選出された『Alopecia』と同時期にレコーディングされた作品。ナッシュビルでLambchopのMark Nevers (Silver Jews, Bonnie Prince Billy, Calexico)によりプレミックスされ、『Alopecia』のエンジニアEli Crewsによってミックスが施された、WHY? の作品の中でも極めてサウンドの生暖かさが残った仕上がりとなっている。

MY DISCO / PARADISE+

世界有数の音楽都市であるオーストラリアのメルボルンにて、友人同士であったLiam Andrews(B,VO)、Rohan Rebeiro(DR)、Ben Andrews(G)の三人により結成。ストイックに自らの音楽を追求、構築し続け、BATTLES、DEERHOOFやMOGWAIなどのツアー・サポートもつとめ上げた。本作は、NIRVANAやPIXIESの仕事などで有名な、硬質オルタナティブ・サウンドの雄、スティーヴ・アルビニ・プロデュース。あらゆる楽器において無駄な部分をそぎ落とした、鋭角な都市型サウンド。

PROFILE

Jonathan Boulet : Drums、vocals、percussion、effects
Daniel Cunningham : Guita、vocals、keys、effects
Tim Jenkins : Guitar、vocals
Mark Scarpin : Bass

インディー・ロック大国という名を確実に奪取しつつあるオーストラリアのシドニーにて4人組として結成(ライブでは仲間を入れて8人くらいの大所帯になることもしばしば)。地元を拠点に活動を始めた彼らは、デビュー前からその斬新なサウンドに注目され、ザ・テンパー・トラップやザ・ミドル・イーストを輩出したショーケース・フェス、ビッグ・サウンド09に抜擢されている。(ちなみに、本年は大トリ! ) オーストラリア版フジ・ロックとも言えるスプレンダー・イン・ザ・グラス・フェスや多くの野外フェスにも既に出演し、クラクソンズやパッション・ピットのサポートにも起用され、ライブの定評がぐんぐん上がる中、今年頭に「Past Lives」のシングルをドロップ。見事期待に応えた彼らは、一気に全国区の人気を得るようになり、世界からも注目を集め始めている。デビュー・アルバム『Foreign Tapes』はアートも含め、全てオリジナル。本国では春にリリースされ、満を持して、日本上陸である。

この記事の筆者
佐々木 健治

新宿ROLLINGSTONEレジデントDJ。 現在、毎週木曜日tutti fruttiをはじめ、平日週末問わず、プレイ中。 新宿を根城とするロックパーティ『Lamp session』主宰(現在、活動休止中)。 音楽に関する文章を書いてます。 ROCKが主食の雑食主義者。FUNKでPUNK。年代、ジャンルを縦横斜めに駆け巡り、GROOVEを生み出す。 日々、勉強。日々、ほろ酔い。

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