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横浜から登場した、驚異の新鋭broken little sisterのデビュー・アルバム『memories,violet & demons』を初めて聴いた時、その完成度の高さに正直驚かされた。シューゲイザーとエレクトロニカを絶妙に配合した、気だるさを纏ったヴォーカルと、きらめきに満ちたサウンド・スケープが誘う恍惚と高揚感。ソフィア・コッポラからの影響を公言する彼らが鳴らす眩いばかりのサイケデリアは、いつも歩いている高層ビルの谷間の景色すら、鮮やかに塗り替えてくれるかもしれない。この『memories,violet & demons』は、School Of Seven BellsやカナダのStars、スウェーデンのRadio Deptの新作などとも並列で語られるべき、ハイ・クオリティなポップ・アルバムだ。気がつくと「ここではないどこか」へ連れて行ってくれるようなポップ・ソングの魔法が宿った都会のサウンド・トラックはどのように生まれたのか。ソングライター堀内に話を伺った。
インタビュー & 文 : 佐々木健治
アルバム特典としてオリジナル・フォト・ブックレットが付いてくる!
broken little sister / memories,violet & demons
School of Seven Bellsらを輩出したブルックリン・シーンともシンクロする、世界最突端のサウンドが国際都市・横浜から現れた! My Bloody Valentineなどシューゲイズなギター・レイヤーと美麗なるエレクトロニクス、さらには平熱の男女ヴォーカルを、Ulrich Schnaussも絶賛するセンスで折衷した、日本から世界を切り裂く、ワールド・クラスの大型新人による、圧巻のデビュー・アルバム!
【トラック・リスト】
1. blue / 2. silence / 3. colour / 4. don't let go / 5. birthday / 6. free / 7. little riot / 8. still / 9. view / 10. don't be afraid
INTERVIEW
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ーーバンド結成の経緯から教えて下さい。
堀内(以下、H) : 以前に、男4人で別のバンドをやっていたんですが、女性のギターを入れようと募集して、加入したのが、ギター、ヴォーカルの櫻田だったんですが、そのバンドが解散してしまって。ただ、まだ音楽を続けたかったので、僕と櫻田の2人で始めたんですね。ベースの嘉藤さんは、僕が以前に働いていた会社の上司だった人なんですが、昔からバンドやDJをやっていて。DJとしては、Getting Better(下北沢Club Queで毎月開催されているロック・パーティ)の立ち上げにも関わっていたり、キャリアのある人なんですけど。
ーーそうなんですか!? それは知りませんでした。
H : そうなんですよ。それで、嘉藤さんにライヴを観に来てもらって、「よかったらどうですか?」という感じで参加してもらったんです。
ーーバンド・コンセプトや音のイメージは当時から明確にあったんですか?
H : 当時、ソフィア・コッポラの『Lost In Translation』という映画を観たり、サウンド・トラックを聴いたりしていて。その世界観が凄く良いなと思って、あの感覚で音楽をやりたいという話を櫻田ともしていたんです。嘉藤さんもそこは共感してくれたので、その感覚でここまで続いてきていますね。
ーーなるほど。ソフィア・コッポラのどういうところに惹かれましたか?
H : サウンド・トラックの選曲もそうですし、作品自体の世界観も、あんまりガツガツしない感じというか。結末とかもふわっとしていて、どうにでも捉えられるものというか。ストーリーが明確にあって、着地点に向かっていくというよりは、雰囲気で伝えるというか。そういう作風は影響を受けていると思いますし、共感できるポイントですね。
ーーちなみに、ロックをしっかり聴き出したのはいつ頃からですか?
H : 僕は高校の時にブリット・ポップ全盛で... OASIS対BLURとか(笑)。世代だと思いますけど、OASISからガッツリUKロックにはまっていきましたね。
ーーまさに、僕もそうですね。僕はOASIS派だったんですよね。
H : 僕も当時はOASIS派でしたね。ただ、「BLUR嫌い」とか言いながら、ファッションはBLURのマネしたりしていましたけど(笑)。
ーー(笑)。
H : でも、今はBLURの方が音楽的にはカッコイイと思いますけどね。
ーーその2つのバンドから音楽的に影響は受けていると思います?
H : どちらかと言うと、OASISの方が影響はあると思いますね。BLURは音楽的な影響はそんなにないです。まあ、OASISのどこと言われても、ギターがギャンギャン鳴っているとか、それくらいですけど(笑)。あとはマンチェスターという街の雰囲気もありますし、ブリット・ポップの前のTHE SMITHS、NEW ORDER、STONE ROSES辺りからの影響は自分の中では大きいですよね。broken little sisterの前にやっていたバンドでは、最初はベースだったんですよ。マンチェスター、STONE ROSESのようなことをやりたいと思って始めたんですけど、やっていくうちに、できることとできないことが分かってきて。STONE ROSESはちょっと無理だなと(笑)。
ーー無理だと感じたのはどういうところでしょう?
H : STONE ROSESのあのグルーヴ感はどうしても出せないなと思って。やっぱり、向き不向きもあると思うんです。そこから、そのバンドでギターが抜けて、僕がギターになった時に、ギターのサウンドがガラッと変わったんですよね。シューゲイザーっぽくなったと言うのか。
ーーなるほど。堀内さんのギターはどこから影響を受けたんでしょうか?
H : シューゲイザーの中でも、当時はMY BLOODY VALENTINEをそこまで聴いていたわけではなくて、むしろRIDEの方が好きだったんです。RIDEのようなバンドというのは、当時目指していましたね。
ーーじゃあ、broken little sisterもその延長線上という感じですか?
H : そうですね。やっぱり、根幹はそれほど変わらないものですし、『Lost In Translation』のサントラにもMY BLOODY VALENTINE、JESUS & MARY CHAINが入っていたし。broken little sisterを始めた時に、あの感覚が凄くしっくり来たんですよね。だから、この方向性でいけるんじゃないかという感じはありましたね。
横浜は第2の故郷的な街
ーーちなみに、皆さん、横浜に暮らされているんですよね?
H : そうですね。ただ、横浜出身は、嘉藤さんだけなんですよ。僕は長野だし、櫻田は千葉で。でも、僕も櫻田も10年以上横浜に住んでいるので、第2の故郷的な街ですよね。
ーー横浜は今、面白いアーティストやパーティがあって、盛り上がっていると思います。DJのWSZ80さんのパーティreclashやLEF!!もそうだし、PAN PACIFIC PLAYA周辺もそうですが。今の横浜をどう感じますか?
H : 僕は、正直多くを語れるほどいろいろな場所に顔を出していないんですよね(笑)。ただ、WSZ80君のところが中心にはなりますけど、いろいろと混ざってきているみたいですね。HIP HOPもレゲエもとか。さすがに、ウェッサイ系はまたちょっと違うとは思いますけど(笑)。東京だと、そういうものが細分化されて、突き詰めていく感じになっている。横浜だと細かくない、ラフな感じで楽しめる空気はあるとは思いますけど、それくらいしか言えないですね。ただ、そういうノリは横浜の良さですよね。ラフに楽しめると言うか、雑なところもあるので(笑)。
ーーハハハハ。
H : (笑)ラフと言うか、貪欲とも言えますよね。
ーー楽しむことに対して貪欲?
H : そう。まさに、そういうことです。これじゃなきゃダメという感じではないんですよ。そこにあるものでしっかり楽しめる。僕が遊びに行ったことがある場所やパーティ、クラブに限った話ですけど、そういう印象がありますね。
ーー横浜に暮らすことで、何か影響を受けていると思いますか?
H : 横浜から受けた直接的な影響は... そんなにないですね(笑)。遊び場に行って、楽しさ、面白さを再確認できるということはありますけど。いろいろな文化がある感じというか、そういうところはずっと好きですし。あとは、街並みですかね。実は廃墟があるとか。
ーー廃墟ですか?
H : そう。今回、根岸競馬場をジャケットに使っているんですよ。
ーーあ、これ競馬場なんですか?
H : そうです。根岸競馬場の一角ですね。ジャケットの裏に全景がありますけど。第二次世界大戦くらいまで競馬場として使われていたらしいです。今はもう廃墟ですけど。この競馬場の裏に軍用施設があって、柵の向こうは米軍基地なんですよ。そういう境界線上にある建物です。ここで昔、YMOが映画を撮ったそうなんですよ。
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ーーへえ! 初めて知りました。
H : 今、横浜だと例えばレゲエだとかそういうイメージがあるのかもしれないですけど、一昔前の横浜はこういう感じなんですよね。
ーーというと?
H : 米軍もいて、中華街もあって、港町で、そういう文化がクロスしている街の象徴なのかなと。嘉藤さんが根岸競馬場にしようと。前から温めていた案らしいんですけどね。下見に行って、ここでと即決でしたね。ジャケットのツタの感じとか、どこか『マリーアントワネット』っぽいかなと。またソフィア・コッポラですけど(笑)。
インディだから、雑でもいいよねという作品にはしたくなかった
ーー曲はどのように作っていきますか?
H : 今回のアルバムでは、僕と櫻田が曲を書いているんですが、僕はギターをベースに、コード進行から考えて、ギターの何小節かのループを組んで、短い曲を作りますね。それを繰り返し聴いて、いけるかいけないかという判断をします。そこでいけると思えるものをさらに発展させていく。櫻田は、イメージが先にあって、そのゴールに向かっていく感じらしいんですけどね。彼女はピアノでもギターでも曲を作れるんですが、今回のリード・トラック「silence」は、ギターで作ったそうです。お互いが別個で書いた曲を一緒に聴いて、これをやろうと決めてから、バンドで詰めていくという流れですね。その段階で、最終的に嘉藤さんがサウンド面のバランスをとっていくという感じですね。
ーーなるほど。堀内さんは、最初の短いループはかなりの数を作るんですか?
H : 僕は作り続けていないと不安というか、どうしようもないものでも作っていたいタイプなんですよね。だから、短いループはたくさん作りますけど、曲にならないものがほとんどです。曲として形になったものはそんなに多くない。
ーーとっかかりは膨大な量があるんですね。
H : どうしようもないものが(笑)
ーー(笑)じゃあ、その膨大な数のループの中からこれを曲にしていこうと選ぶポイントは?
H : それは、いいと思えるものとしか言えないんですけど... 聴いて、響くか響かないか... 抽象的ですけど、感情が動くかどうかですかね。「あがる」、「さがる」どっちでもいいんですけど。飽きがこないというか、何もないなと言う感じにならないものというか。
ーー何かしらひっかかるものがあるかどうか。
H : そうですね。
ーーその選んだループにメロディをつけていくわけですよね。
H : そうですね。僕が作ったループに櫻田がメロディをつけたり、シンセ・パートをつけることはありますが。僕の場合は、後でメロディをつけますね。
ーーメロディに関して、意識することというのはありますか?
H : あー、難しいですね。あまり考えたことがないんですが、ハーモニーでいきたいと思うところはあるので、そこはRIDEの影響があるのかもしれないですね。もっと遡ってTHE BYRDSとか。
ーーなるほど。THE BYRDSからまたSTONE ROSESへとか?
H : そうですね(笑)。
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ーー歌詞は英詞ですが、ダイレクトなメッセージ性をそこまで求めないタイプですか?
H : 歌詞から直接的なメッセージというものは特にないですね。サウンドが第一だとは正直思っていて。洋楽を聴いて、サウンドとメロディ、全体を聴いた時に感じるものが大事だと思っているので。その上で、歌詞を後から読んで、歌詞もいいなと思った時の相乗効果はあるんですけど。例えば、OASISを聴いて、最初に歌詞を読んで何を歌っているかとか考えないじゃないですか?
ーーはい。
H : そういうことですよね。サウンドとメロディ、それに楽曲の雰囲気、空気感も含めて、そういったところを重視したくて、そこで何か伝わればいいし、響いてくれるといいなと。
ーー歌詞で意味が前に出すぎるものは苦手ですか?
H : 説教臭いのは苦手ですね。変なことを歌っているものは好きなんですけどね。例えば、VELVET UNDERGROUNDとかSUEDEとかの歌詞は好きですし。STONE ROSESも、やっていることと歌詞がバチッとはまるから、いいんですよね。そうじゃなくて、特になにも感じないというか「ああ、そうなんだ」としか言えないような歌詞は、僕には関係ないなと思いますね。
ーーじゃあ、broken little sisterの楽曲が内包するもの、もしくは楽曲を通して喚起したいことや感覚はどういうものだと思いますか?
H : 例えば「踊れるんだけど泣けちゃう」みたいな相反する感覚がある曲は、聴いていて凄いと思うんです。楽しいんだけど、切ないとか。そういう高揚感というか、あの感覚があればいいと思いますね。言葉にすると安っぽいんですけど(笑)。
ーー(笑)いやいや。まさに、ダンス・フロアの空気ですよね。そういうフロアのことは意識しますか?
H : 具体的に曲作りをする時にダンス・フロアを意識するかというと、そこまでではないですけど。嘉藤さんが出るパーティや、その他にもクラブに行くことはあるし、クラブでかかるロックというものも身近に感じている。その良さ、楽しさも分かっているし、思い入れもあるから、そういうところで自然と出ている部分はあると思いますね。あの楽しいけれど、切ないみたいな高揚感は、本当に理屈じゃないところですよね。そういうことを感じてもらえると嬉しいですね。
ーーこの『memories,violet & demons』は、最初はライヴ会場で配布していたデモなんですよね? いつ頃から配っていたんですか?
H : 2008年くらいから配っていたものですね。楽曲自体は前からあって。バンド結成が2005年の末だったんですけど、その年末にライヴが幾つかあったので、集中して楽曲を作ったんです。半分くらいは、その時に作った楽曲ですね。
ーー再録することになった経緯はどういうものだったんでしょう?
H : 2009年にHappy Princeレーベルのイベントでライヴをやらせてもらったことがあったんです。ただ、そのライヴ後に、担当の方と連絡がとれなくなってしまって。うちのメール・アドレスがなくなったとか、そういうどうしようもない理由なんですけど(笑)。それが、今年に入ってtwitter上で突然連絡をとれるようになって。今年の4月にオンラインで『memories,violet & demons』をリリースしていたので、「実はデジタルで音源を出したんですよ」と音源を聴いてもらったら、リリースしましょうと言ってもらえて。
ーーなるほど。デモの時とはだいぶ音は変わっていますか?
H : 基本的にはデジタル・リリースの時点で変わっているんですが、主に歌の部分を録り直して。あとはミックス、マスタリングの部分でサウンドは変わりましたね。
ーー今回、サウンド面で意識したことはどういうところでしょう?
H : よりキチッとしたものと言うか... メジャーっぽいもの。まあ、どこがメジャーっぽいんだと言われそうですけど(笑)。何というか「インディだから雑でもいいよね」という作品にはしたくなかったんです。
ーーなるほど。
H : 手作り感というか、そういう音ならではの手触りの良さもあるとは思うんです。ただ、僕達はそれとは違う方向で仕上げたかった。もっと洗練されたものを目指してやりましたね。やっぱり、日本だけではなく、海外の人にも聴いてもらいたかったので。
サイケデリックな音楽をやっていると思っている
ーーライヴでの再現性は考えています?
H : それは考えていないですね。まず作品でどうやるかだけを考えます。とは言っても、基本的に僕達はドラム・レスで、ライヴではオケを流してやっているから、再現できないということはないんですよね。
ーーサウンド的に、音を重ねていく部分も多いですよね?
H : ただ、僕の場合、重ねるのはマックスでもギター5本とかなんですよ。そこまで多くないんです。逆に、重ねるのはできる限り少なくしたい。
ーーそれは何故ですか?
H : いや、何となくですね。美学の問題というか(笑)。「いっぱい重ねれば、そりゃそう聴こえるよね。」って言う。
ーー少ない中で、どう鳴らすか?
H : そう。できるだけ効果的な音で出したかったし、何かしら制約がないと、無限にやってしまう。だから、そういう制約を設けたという部分はありましたね。
ーー例えばシューゲイザー・サウンドなんか、重ねまくって音の壁を作った先に快楽ポイントがあるのかなと思うんですけど。
H : 多分、それはそうですよ。そうだと思います。でも、僕はシューゲイザーをやっている意識はないんですね。
ーーじゃあ、broken little sisterを定義づけるとすると、何でしょう?
H : サイケデリックな音楽をやっていると思っていますね。現実感がない音を出している。シューゲイザーだとサイケデリックよりも、もう少し限定されてしまう気がして。ただ、今回はシューゲイザー的な要素が多い気はしますし、人から言わせればシューゲイザーなのかもしれないですけどね。僕自身はシューゲイザーをやっている感覚はないんです。別にそう言われても、全然いいんですけどね(笑)。
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ーー(笑)堀内さんのサイケデリックというイメージは?
H : サイケデリックは「ここではないどこか」ですね。「ここではないどこか」であれば、全部です。非現実ということですかね。
ーーその「ここではないどこか」も明確にバンドからは提示はしたくない?
H : そうですね。そのイメージは、聴いてくれた人それぞれにお任せしたいですね。その上で、高揚感をうまく出したいし、高揚感を感じてもらいたい。
ーー先ほど、日本だけでなく、海外でも聴いてもらいたいということでしたが、海外を視野に入れた時、ニュー・ゲイザーと言われるような動きもここ数年盛り上がっています。そういうシーンとシンクロしている部分もあると思います?
H : 僕達の場合、リリースは今年決まりましたけど、作品自体は以前からあるものなので、そういうシーンと一緒に進んでいるという感覚はあまりなくて。何周目かの流れが来た時に、たまたま一致しているという感じですね。でも、School Of Seven Bellsとかは共感して聴いていますね。
ーーちなみに、他に今よく聴いているバンドはいますか?
H : Blonde Redhead、Mark Ronsonとかは最近買いましたね。あとは、YMOをよく聴いていますね。教授(坂本龍一)がアメリカ・ツアーのユーストリームをやっていたりして。そういう影響もあるんですけど。僕は、YMOは再結成以降に聴きだしたので、たいそうなことは言えないですが。それに、高橋幸宏さんのアルバムにLALI PUNAが参加したりとかもあって。LALI PUNAと、LALI PUNAが所属しているMORR MUSICが好きなんです。それで、SLOWDIVEのトリビュートと、MORR MUSIC所属アーティストのオリジナル楽曲のコンピが2枚組セットになったコンピレーション(「BLUE SKIED AN’CLEAR - A morr music compilation -」)があるんです。Ulrich Schnauss、LALI PUNAとか。あの感じが凄く好きですね。高橋幸宏さんのアルバムに参加していたり、LALI PUNAの新しいアルバムには、高橋幸宏さんが参加していたり、そういう絡みもあって。高橋幸宏さんのソロと、YMO再結成以降という感じですね。でも、聴けば聴くほど楽しいし、深いですね。
ーーYMOはどういうところに惹かれます?
H : 根がしっかりしているというか、やっぱり芯がありますよね。テクノ・ポップと言われていた時期は、ああいう音を聴いてやったというよりも、はっぴいえんどからの流れがある、またはソウル、ファンクを聴いてきた流れがある。それに、現代音楽の流れがある。そういう流れがちゃんとある人たちがやっているからこそ、面白い。NHKでスコラという音楽番組があったんですけど、教授が音楽家についてどういう人か説明するという番組だったんですけど、最後の方にYMOが出てきて、Sly & The Family Stoneのカヴァーをやるんですよ。それが凄くファンキーで。ファンクもできるんだぞっていうあの感じ。いろいろ知っている人達が、知っていることだけではなく、新しいこと、違うことをやっている。そこは、僕が面白いと思うポイントだと思います。
ーーそういうところは、目指すミュージシャン像みたいなところに通じてきますか?
H : そうですね。ただ、とんでもない高みにいますけどね(笑)。
ーーでは、今後broken little sisterとして、どういうスタンスで活動していこうというイメージはありますか?
H : 嘉藤さんは別のバンドで曲を作ったりするので、3人とも曲が書けるんですよね。だから、今回は僕と櫻田の楽曲だけですけど、嘉藤さんの曲も入れたいし。3人のバランスをうまくとっていければいいですし。それぞれがそれぞれの活動をしながらも、3人が集まった時には凄いことになる。そんなバンドになっていければいいなと思いますね。
PROFILE
broken little sister
「平熱感」、「浮遊感」、「映画のサウンド・トラックのような音楽」などをキーワードに、某大規模レコード店に長く勤務した堀内(ヴォーカル、ギター)と櫻田(ヴォーカル、ギター)で2005年末にユニットを結成。シューゲイザー/エレクトロニカ/アンビエント/ダブ/フォーク/60'sなどの様々なジャンルの音楽を独自の解釈で変換、または折衷した音源の制作をスタートさせる。翌年にはUKインディー・ギター・ロックの影響を強く感じさせるPLANETS GROOVEや、クラブDJとして1990年代から長く活躍し、インディー・ロック系パーティー『haciendawith love』の主宰者のひとりである嘉藤(ベース)が加入し3人体制となる。2006年10月にはアートや音楽などのカルチャー系フリーCDマガジン『cinramagazine vol.11』に matryoshka らと共に掲載され、2007年4月にはcinraとYAMAHAプレイヤーズ王国が合同で開催したnet label compilationオーディションで750曲の中から選出された13曲の1つとして音源を配信。同年6月にはDJとして活躍するWSZ80氏の主催する横浜発のクラブ・イベント『reclash』(過去出演者: Au Revoir Simone、Rubies、Yeti、Ringo Deathstarr、Andy Yorke、TheSuzan、Twee Grrrls Clubなど)にライブ出演。2008年5月にAnderson(オランダ)、9月にはPia Fraus(エストニア)の来日公演のサポートを務め、都内屈指のシューゲイズ・イベント『total feedback』にも出演する。2009年4月にUlrich Schnauss(ドイツ)来日公演のサポートを務めるなど、都内/横浜でライブ活動を続けている。2010年3月に発売された『shoegazer disc guide』にライブ会場などで配布していたデモ版『memories, violet & demons』が日本人部門トップ・ページに掲載され、同年4月には同アルバムはiTunes Music Storeを始めオンライン限定リリースされた。そして、『memories, violet & demons』は再録、ミックス、マスタリングをアップ・グレードし、happy princeより2010年11月にリリース。
ここではないどこかへ
She Sir / Ev'ry Thing In Paris
『シューゲイザー・ディスク・ガイド』にも掲載された、アメリカはオースティン出身のシューゲイザー/ドリームポップ/ギター・ロック・バンド、She Sir!! 同郷のRINGO DEATHSTARRらとともに、The Pains of Being Pure at Heart以降のシューゲイザー〜ギター・ポップ新世代を担う新鋭バンドの日本独自編纂盤!! My Bloody Valentine〜Jesus And Mary Chain〜初期クリエイション・レコードを彷彿とさせる楽曲を、ブラン・ニューな感性でかき鳴らし、1960年代のソフト・ロック〜サイケデリック・ポップの感性と調和させる様は、新鮮な普遍性をたたえています!
L.E.D. / GAIA DANCE (HQD ver.)
藤元彦(JacksonVibe)、加藤雄一郎(MEGALEV/NATSUMEN/Calm)、オータコージ(曽我部恵一BAND/The sun calls stars)ら、様々なバンドやフィールドで経験を重ねてきた7人で構成されたバンド。自主制作で2003年に発売された前作『LightEmittingDiode』以来、実に6年ぶりの本作は、ジャズ、アンビエント、ミニマルやエレクトロニカなどの要素を含んだサウンドと、メンバーがそれぞれ持ち寄ったフィールド・レコーディングによる音の断片がサウンド・スケープを作り出している。こちらはオトトイ限定の高音質HQD(24/48 WAV)版。
MAS / えんけい / En Kei (HQD ver.)
Rock、Dub、Jazz、Electronicaを内包したMASが、5年ぶりの新作を完成させた。打ち込みを中心とした過去2作から、バンドとして格段に進化したサウンド。そして様々な情景や感情をゆさぶる美しいメロディやリズムが踊る最高傑作をHQD(24/48 WAV)バージョンでも配信開始。ゲスト・プレイヤーとしてpasadena/あらかじめ決められた恋人たちへの石本聡がdub mixで、BALLOONSの塩川剛志がギターで参加。ジャケットを手がけるのは創作漫画集団mashcomixのメンバーでありMASの1stと2ndを手がけてきた仙こと軍司匡寛。シンプルで複雑、ポップでアンチ・ポップな全9曲を収録。さらにアルバム購入特典として、大坪加奈(Spangle Call Lili Line、NINI TOUNUMA)をフィーチャリング曲をはじめとしたリミックス4曲をプレゼント!