OTOTOY各スタッフがそれぞれ選んだ2022年の10作品
今年もやってきましたOTOTOYスタッフによる個人チャート。2022年は、それぞれなにを聴いてOTOTOYを作っていたのか? 今年もスタッフに加えて、ニュース・ライターや連載などを手がけていてるライターさんにも答えていただきました。
■OTOTOYスタッフ■
梶野有希
編集部
- DENIMS「ふたり(feat. アユニ・D)」
- YAJICO GIRL “美しき町”
- kobore “きらきら”
- 森七菜 “君の彼女”
- ユアネス “私の最後の日”
- 04 Limited Sazabys “Keep going”
- w.o.d. “オレンジ”
- ジェニーハイ「エクレール」
- FOMARE “優しさでありますように”
- さユり「花の塔」
(順不同)
■️チャートに関するコメント■
Spotifyのプレイリスト〈My Top Songs 2022〉を参考にセレクトしました。年間ベストを考えるときは、記憶が新しいので下半期にリリースされたものをどうしても選んでしまいがちです。昨年はメロディーやフレーズにビビッとくる曲を探していた気がするのでどれも耳馴染みのいい曲ばかりになったと思います(もちろん、歌詞も素晴らしいですよ!)。チャートは順不同にしましたが、SSWのコレサワが楽曲提供した、森七菜の “君の彼女” はリリースされてから特にずっと聴いていました。どこまでも可愛い曲で、コレサワらしい、柔らかくて繊細な表現が存分に詰まっています。
■ベストライヴ(配信含む)■
〈進撃の巨人 The Final Season SPECIAL EVENT 2022〉2022年11月13日
変わらずバンドのライヴもたくさん観つつ、久しぶりに行ったオーケストラコンサートの記憶がかなり濃いので、昨年のベストはこちらで。音の厚みや奥行きに品があって、ライヴハウスで聴く音楽とはまた違った良さがありました。大好きな漫画・アニメ作品〈進撃の巨人〉の世界観にどっぷり浸れたのも最高。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『ブレット・トレイン』
「主演・ブラッド・ピット × 原作・伊坂幸太郎」で、上映前から話題になっていたアクション映画。この手のジャンル、そもそも洋画自体をあまり観ない自分でも観やすく、最後までずっと夢中になっていました。伊坂さんらしい奇妙な世界観を映像で楽しむことができるし、ジェットコースターみたいな疾走感もすごくいいです。デヴィッド・リーチ監督が思う、“日本” をユーモアと皮肉を交えながら描いているのもグッときました。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
昨年はず~っとやりたかった、念願のスカイダイビングをしました。本当に気持ちよくて、2022年のベストメモリーかもしれないです。それからフェスにもたくさん行くことができました。丸一日好きな音楽を聴ける空間の素晴らしさを改めて実感したので、今年は〈COUNTDOWN JAPAN〉で年越しを。自分にとって最高のパワースポットで幕を開けた2023年、すでにいい1年になる予感!今年の目標はまだ色々と考え中ですが、ひとつ決まっていることは「映画や漫画、小説に昨年よりももっとたくさん触れること」です。
西田健
編集部 ―九州男児
- 私立恵比寿中学『私立恵比寿中学』
- Lizzo『Special』
- 蠟梅学園中等部1年3組”はじまりのセツナ”
- Minions『Minions: The Rise Of Gru (Original Motion Picture Soundtrack)』
- The Weeknd『Dawn FM』
- BiSH “ぴょ”
- ばってん少女隊『九祭』
- にしな『1999』
- Deep Sea Diving Club『Let's Go! DSDC!』
- 水曜日のカンパネラ『ネオン』
■️チャートに関するコメント■
もうチャートに関してはたくさん聴いた順です。次点でYonawo『Yonawo House』、gato『Re:con 乖-kai-』、MONDO GROSSO『BIG WORLD』、ExWHYZ『xYZ』、平家物語のサントラ、乃木坂46 “絶望の一秒前”、OCHA NORMA “恋のクラウチングスタート”と上げていたらキリがなくなってしまうので、この辺で。
■ベストライヴ(配信含む)■
超ときめき♡宣伝部〈超ときめき♡宣伝部 in 幕張メッセ! 〉2022年10月22日
とてつもなく巨大なときめきの塊を大量に体にぶつけられたような、そんなライヴだった。本当に数日間余韻が抜けなかった。いわゆる「王道」と呼ばれるフリフリの衣装のアイドル界の最高峰だと思った。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
ラジオ『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』
お笑いコンビ、真空ジェシカによるPodcast番組「真空ジェシカのラジオ父ちゃん」。彼らの笑いは時に賛否両論を巻き起こすし、芸風も万人にウケるものではない。しかし、その真骨頂はかなりの内輪ネタにある。しかし、「その内輪ネタに入りたい!その話を理解したい!」と思わせる魔力があって、僕は今年その100回をゆうに超えるアーカイヴをアフタートークまで含めて全て聴いてしまうほど取り憑かれてしまった。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
2022年に自分の身に起きた大きなことといえば、第一子が生まれたことである。世界一かわいいのに、世界一僕に似ている、というなんだか妙な存在。子が生まれてからというもの、生活スタイルが本当に激変した。まず、Spotifyが教えてくれる僕が今年一番再生した曲は、赤ちゃん泣き止ませ曲として有名な、反町隆史の “POISON” になった(次点は “とんとんトマトちゃん” )。まだまだ言いたいことも言えない我が子ではあるが、本当に健康に気をつけてすくすく育ってほしい。
東原春菜
編集部
- YUMI ZOUMA『PRESENT TENSE』
- THE BETHS『EXPERT IN A DYING FIELD』
- Stella Donnelly『Flood』
- Frankie Cosmos『Inner World Peace』
- The Courettes “Daydream”
- EDITORS “Educate”
- おとぼけビ~バ~『SUPER CHAMPON』
- 中村佳穂 “祝辞”
- みなみ “夏子”
- アロワナレコード “シーモア”
■️チャートに関するコメント■
2022年は洋楽を耳にする機会が多かった1年で、そのなかでも私の耳に馴染みやすく、かつ印象的だった作品を選びました。特にYUMI ZOUMとTHE BETHSは、ベスト10作品で紹介しているアルバムを聴いて好きになったので、今後の作品も注目して追いたいと思います! さらに、「グミ」というバンドが「みなみ」というバンドに生まれ変わり、夏の終わりに “夏子” が再リリースされたことは、2022年いちばんテンションが上がった瞬間でした。
■ベストライヴ(配信含む)■
音楽イベント〈SHIRUBE2022〉のTHE BOYS&GIRLS
2022年の6月にTHE BOYS&GIRLSのワタナベシンゴが地元、北海道・中標津町で音楽イベント〈SHIRUBE2022〉を開催し、2021年にできなかったことをやり遂げている姿に感激しました!
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
舞台『千と千尋の神隠し』
映像のなかの千尋の走り方や千尋から千になる瞬間(文字が浮かび上がるところ)などの細かい部分まで忠実に再現されていて、映画の世界に飛び込んだ感覚になりました。個人的には何度でも観られる。また観たい……。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
2022年は音楽イベントのボランティア・スタッフで北海道・京都に行ったり、舞台を観に大阪・福岡に行ったり、サルバドール・ダリの展覧会を観に福島に行ったり自分のなかでは動いた1年でした。この勢いで2023年は海外の音楽に目を向けて、現地で好きなアーティストのライヴを観に行きたいなと思っています。
高木理太
配信部 / 編集部
- Adrian Carmine『Alma』
- Bobby Oroza『Get On The Other Side』
- LITTLE TEMPO『LOVE MAX』
- Los Bitchos『Let The Festivities Begin!』
- Night Owls『Versions』
- Masatomo Yoshizawa, XTAL『Playing Nowhere』
- Monty Alexander『Love Notes』
- THE NOUP『Nexpansion』
- Thee Sacred Souls『Thee Sacred Souls』
- 坂本慎太郎『物語のように』
(順不同)
■️チャートに関するコメント■
2022年も2021年同様現行のソウルを追いかけてました。来日も記憶に新しいBobby Orozaをはじめ、Thee Sacred SoulsやAdrian Carmineはリリースの告知から新譜を楽しみにしていて、その期待を超えてくる素晴らしさ。並行してLAのシーンも追いかけるのが楽しくて、まだシングルしかリリースしていない若いバンドが今年アルバム出したりするのを楽しみにしてます。国内は坂本慎太郎やリトテンの久しぶりの新譜を愛聴してました。ガツガツと新譜を追うのではなく、1枚1枚しっかり聴き込んだり、クラシックな名盤をちゃんと聴いてみようモードな1年だった気はします。
■ベストライヴ(配信含む)■
Durand Jones & The Indications @BLUE NOTE TOKYO 2022年7月15日
Bobby Oroza @晴れたら空に豆まいて 2022年11月7日
なんといっても2022年は来日公演が再開されたこと。コロナ禍以降に愛聴し続けてずっと来日を待ち望んでいた2組のライヴが見れたことに感謝感謝の大感謝。Durand Jones & The Indicationsはドラムのアーロン真横でばっちり楽しませてもらいました。アメリカでの活躍っぷりを見る限りもうあの規模では見れないのではという気も。坂本慎太郎飛び入りのサプライズも最高でした。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『バビロン』
日本では未公開だった80年公開の映画『バビロン』。当時のロンドンのレゲエシーンと人種差別が生々しく描かれていて、鑑賞後はかなり重たいパンチを食らいました。ストーリーから考えさせられることはもちろん、劇中音楽は最高にカッコいいし、当時のシーン、カルチャーが映像で補完できたのでUKレゲエの聴こえ方もこれまでとはまた違って聴こえるようになった1本になりました。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
現場感覚がかなり薄れてきたという意識はありつつ、音楽聴くのってやっぱり最高だよねというのをこれまで以上に実感していた1年ではあった感じです。急激な円安で、どうせ高いならデジタルじゃなくてもう少し高くてもいいからフィジカル買っとくかで割とそっちに回帰していたような気も。それが1枚1枚しっかり聴き込もうねモードにも繋がったような気がします。OTOTOY的には年末にスタートさせた連載〈アーカイ奉行〉の継続とその発展系でなにかいろいろやれたらなぁと思ってます。2023年はいよいよ30代突入、体に気を付けながら目一杯いきたいっすね。
藤田琴音
配信部
- kurayamisaka『kimi wo omotte iru』
- RYUTist『(エン)』
- Birds Fear Death『livestream death compilation』
- 野崎りこん『We Are Alive』
- BYEE the ROUND『Better than young, all right?』
- CYNHN “アンサンぶる”
- Somunia, hirihiri “Stream”
- STOMACH BOOK “anarchy!!”
- ツミキ “カルチャ(feat. 初音ミク)”
- THE 2 “恋のジャーナル”
(順不同)
■️チャートに関するコメント■
OTOTOYに入社し、音楽と向き合う時間が去年の3倍くらいになった結果、今まで以上に幅広いジャンルを聴くことができた。kurayamisakaやBYEE the ROUND、ツミキなどからは今までの自分らしさも感じられるし、OTOTOYに入ったからこそアイドルやVtuberの作品にも敏感になれた。そんな中でも、今年はいわゆるハイパーポップやノイズポップといったような音楽(要するにデカい音)に特に夢中で、その流れからBirds Fear DeathやSTOMACH BOOKのようなアーティストも選出。Asian GlowとWeatherdayのコラボアルバムや100gecsのEPなども良かった。
■ベストライヴ(配信含む)■
〈AVYSS circle〉2022年9月16日
OECでも話題に挙げたこのイベントを。もちろん、拝見させていただいた全てのアーティストが素晴らしいライヴをしていたが、私個人としてはひがしやしきの初アクトの話をしたい。いつも自室で聴いていた音楽が爆音で鳴り響き、様々な人間がそれに合わせて踊り狂う様は爽快かつ感動的であった。が、やはりこれは一人で聴きたいな、とも。自分の卑屈さや、“ひがしやしきの作品” への姿勢を再認識できた。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
TV『M-1グランプリ2022』
『M-1グランプリ』は毎年最高の番組だ。だが、今年は各所で言われていた通り “新時代の幕開け” を感じさせる、ちょっと異常なまでに面白い年だったのである。ファイナリストはもちろん、敗者復活組でさえも今までとは一味違う顔ぶれ(ついでに審査員も交代があったり)が勢揃いで、お笑いという文化がまた一歩違うフェーズに突入したように感じた。来年もたくさん劇場に通って、この時代を目に焼き付けるぞ!
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
2022年は「やろうと思っていたけど今までやってこなかったこと」をたくさんこなすことができた。毎日大体同じ時間に寝て起きるとか、ちゃんと音楽をディグるとか、お笑いライヴに足を運ぶとか、『ジョジョの奇妙な冒険』をイッキ見するとか。ただ、生活における第一目標は仕事に慣れることだったので、平日はあまり動けず日常がルーティン化してしまっていた。その分掲げていた目標はきちんと達成できたと思うので、2023年は体力をつけてもっと外を向くというか、休日だけでなく毎日何かしらに挑戦したりどこかへ出かけたりしたい。あと文章力の向上。
河村祐介
編集長
- Kazufumi Kodama & Undefined『2 Years / 2 Years in Silence』
- 坂本慎太郎『物語のように』
- エマーソン北村「船窓 / おろかな指」
- LITTLE TEMPO『LOVE MAX』
- Loraine James『Building Something Beautiful for Me』
- 柴田聡子『ぼちぼち銀河』
- Shabaka『Afrikan Culture』
- Waajeed『Memoirs of Hi-Tech Jazz』
- Coastlines『Coastlines 2』
- Lost Weekend『Down The Road』
■️チャートに関するコメント■
今年もOTOTOYにあるものしばりということで。その他、テクノ〜電子音ものは紙ele-kingにまとまっております。年々日本語の表現の好き嫌いが激しくなって……というところでも、坂本慎太郎、柴田聡子はすんなりと入ってくると言うか。
■ベストライヴ(配信含む)■
COMPUMA『A View』Release Party @WWW 2022年9月30日
淡いながらもしっかりと記憶に残るライヴといいますか。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
漫画『日本三國』松本いっか
「これから」という感じですが期待を込めて。漫画、次点で遅まきながらではまった『アンダーニンジャ』。その他、書籍は小説に小川哲『地図と拳』(ぐらいしか読んでない)、人文系では『統治不能社会』がダントツ。その他では現代宇宙論(中公新書『ブラックホール』とか)とそこに連なる量子力学系の本(の一般向けのやつ)がぶっ飛んでて楽しくて読んでいました(『時間の終わりまで』『時間は逆戻りするのか』『世界は関係でできている』など)。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
なし崩しすぎてもう動けませんがなという世相もありながらも、とにかく身近に関してはおもしろいことが生まれてるなという印象の1年でした。音楽にしろ生活にしろ、とにかく「コミュニティ」と「コミュニケーション」に関して考えた1年のような。他愛ない日常に文化が生まれるといいましょうか。あとは自分のなかで、より文字に対して考える人に対する信頼度がさらに増したというか、そうじゃない人は……という。あと戦争反対!
高田敏弘
取締役
- FUJI『PURE』
- ドレスコーズ『戀愛大全』
- 4s4ki『Killer in Neverland』
- The 1975『Being Funny In A Foreign Language』
- beabadoobee『Beatopia』
- Sobs『Air Guitar』
- For Tracy Hyde『Hotel Insomnia』
- Laura day romance『roman candles|憧憬蝋燭』
- ayutthaya『Lighthouse』
- ウ山あまね『ムームート』
■️チャートに関するコメント■
昨年同様、アルバムを邦・洋から。シングル・単曲リリースについては昨年末に書いたコラムをご覧いただければ。今年はEPは外してすべてアルバムにしようと思っていたのですが、どうしても外せなかったのが、FUJIの『PURE』。楽曲の強度、歌の良さ、立ち位置の判断、(直接作品とは関係ないですが) 昨年観たFUJIのライヴの良さ。すべてを汲んで、ベストです。The 1975やbeabadoobeeに代表されるDirty Hitの、シックでクレバーでエモくてキュート (これいちばん大事) な色合いは今年も魅力的であり続けるでしょう。時代感に対してフラットでありながら、でも確実に歩みを進め一歩先を行く。そんな作品たちが大好きです。ちなみに “EPだから” という理由で選考対象から外したのは、downt『SAKANA e.p.』、シバノソウ『これから』、グデイ『グデイズム』、colormal『anode』など。
■ベストライヴ(配信含む)■
FUJI / colormal〈Climax Angel〉2022年3月5日
幡ヶ谷Forestlimitで行われたFUJIの初ライヴ。共演はcolormal。フロアライヴだったのに音のバランスが良く、ヴォーカルもくっきりと聴こえる。どんなPAの魔法だったんだあれ。音源の良さはそのままに、ライヴっていいよね! をかたちにした楽しさ・エモーションが上乗せされる。FUJIの発声の良さが印象的で、4ピース編成での音作りが見事。colormalも貫禄の地力をみせてくれました。いるべき場所にいる自分を褒めたい(笑)、と感じる貴重なライヴでした。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
『Generative AI』
この項目、私は、2020年は「Zoom」、2021年は「mRNAワクチン」ときて、さてこの路線を続けるのか(書籍・映像作品などって書いてあるのに)……、まぁ続けますか。というわけで2022年は「Generative AI」です。もう “一作” じゃなくジャンルになってますね (だめじゃん笑)。作品で言うならば『ChatGPT』とか『Stable Diffusion』とか?。皆さんもネットで見かけたことがあると思います。指示や対話によって画像やテキストを生成してくれるアレです。昨年は「なんかスゴそう(なデモ)」でしたが、今年は「マジ便利」になると思います。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
昨年は、地球的には「戦争」がはじまり前提としていた秩序の基盤が崩れてしまった年、ローカルにはこの数年来の異常事態からの「回復」の年、だったのでしょうか。崩壊と回復が同時に起きるって、なにそれっていう。意味わかんないですよね。こうなると、日常の生活を一日一日変わらず大切に暮らすこと、それと同時に、毎日毎日なにかしらの変化をして上手くいったり反省したりを繰り返す、どちらもが必要なんだろうな、としみじみ思います。今年はますますそういう年になるのでしょう。
ナガタミキ
OTOTOYのデザインなどを担当 (関連会社digitiminimi所属)
- 牛尾憲輔『TVアニメ 平家物語 サウンドトラック』
- 宇多田ヒカル『BADモード』
- Awich『Queendom』
- Orbital『30 something』
- Ginger Root『Nisemono』
- METAFIVE『METAATEM』
- ブライアン・イーノ『FOREVERANDEVERNOMORE』
- Marcel Dettmann『Fear Of Programming』
- 椎名林檎『百薬の長』
- V.A.『A Tribute to Ryuichi Sakamoto - To the Moon and Back』
(発売日順)
■️チャートに関するコメント■
2022年は、コロナ禍を経たからこそ誕生した作品や、アーティスト同士がそれぞれリスペクト&コラボレーションした作品が多く耳に残りました。宇多田ヒカルやAwichのアルバムからは生き様と愛情が受け止められ、Ginger rootの世界観に懐かしさと新鮮さを同時に感じ、坂本龍一のトリビュート・アルバムは錚々たるメンバーによるリモデルがどれも最高。METAFIVE『METAATEM』は2021年発売予定が2022年に延期になったアルバムですが、この3年間を象徴的に表現しているようでした。
■ベストライヴ(配信含む)■
日比谷音楽祭 2023(2023年6月3〜5日)
街全体が音楽に溢れ、ハッピーでピースフルな雰囲気に包まれた初夏の日比谷公園で、夕方の光と風を感じながら観るPolarisのステージが気持ちよかったです。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
東京国立近代美術館「ゲルハルト・リヒター展」
一作というより一展示ですが、ドイツ生まれの画家、ゲルハルト・リヒターの大規模個展をあげます。彼の90歳の節目である2022年に、現在進行形でうごめく世界情勢を感じながら観る「ビルケナウ」(アウシュヴィッツ強制収容所で隠し撮りされた写真を基にした作品)や、フォト・ペインティング、アブストラクト・ペインティングの作品群に色々考えさせられました。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
2022年は久しぶりに色々なライヴ、イベント、展示に足を運べました。しかし、よく遊びに行っていた箱がクローズとなったり、複雑な気持ちになることも……。2023年は機会を逃さないようアンテナを張り巡らせて、音楽やイベントを楽しんでいけるといいなと思っています。 引き続きデザイン面で盛り上げて行くので、本年もOTOTOYともども宜しくお願いいたします
■OTOTOYコントリビューターズ■
斎井直史
ライター
『パンチライン・オブ・ザ・マンス』連載中
- NxWorries “Where I Go feat. H.E.R.”
- V.A.『Black Panther: Wakanda Forever – Music from and Inspired By』
- Gwen Bunn “2MANYTHINGS”
- CBS “丘”
- KM “098 (Theme of +81 Connect) feat. Awich”
- GOODMOODGOKU『UNITY』
- Wizkid『More Love, Less Ego』
- Benny The Butcher『Tana Talk 4』
- Awich『Queendom』
- ZORN 『RAP』
■️チャートに関するコメント■
昨年結婚しまして、奥様がR&B大好きで日本語に疎いもので、国内のラップを聞く時間が正直減りました。恥ずかしいことにSpotify曰く、僕は在宅勤務の奥様や歯科衛生士の妹より音楽を聴いてない一年だったので、もっと音楽を聞く時間を確保します。それでも振り返ればこのランキング。WatsonやC.O.S.A.も入れたかった。今年の振り返りをしていて、音楽を探す楽しさを思い出し痛感と大反省。すぐYouTubeでニュースとか映画・音楽のレビューを聴いちゃうんですよね~。
■ベストライヴ(配信含む)■
Awich 〈Welcome to the Queendom at 日本武道館〉2022年3月14日
どうしても昨年のZORN武道館単独と比較しちゃうけど、振り返るほど優劣つけ難い。ただ、ZORNの時には感じなかった、子供を持ちたいという気持ちになった。子供を引っ張る父親としてのZORNの視点よりも、子供と並んで人生を冒険するAwichを羨ましく思えた。それは自分にとって新しい母の姿だった。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『Spider-Man: No Way Home』
過去にもスパイダーマン映画がありましたが、正直この映画まで黒歴史のように扱われていました。それが、見事なストーリー回収とカムバック。キャンセル・カルチャーのように残酷なまで早いショウビジネスの移り変わりへのアンサーも下地にある今作ですが、映画内のストーリーだけでなく、俳優の人生までこの映画は蘇生させました。ヒップホップやファッション、あと様々な格闘技が溶け合うMMAでも起きる現象ですが、忘れ去られた存在が一気に脚光を浴びる現象を年始から映画館で味わいました。マーベル映画が終わるまで俺は死にません!
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
振り返って思ったけど、記事を動画で宣伝したらとおもいYouTubeとTikTokで一本だけ試しましたが、もっとやらなきゃですね。話し方も硬かった。これを今年は3本はやろうかと思います。
yukinoise
ライター
『In search of lost night』をNordOst(松島広人)、山本輝洋、TUDAらとともに連載中
- FKA Twigs『CAPRINSONGS』
- Shygirl『Nymph』
- 霊臨『Neo Normal』
- 坂本慎太郎『物語のように』
- Black Country, New Road『Ants From Up There』
- 徳利『Evolution』
- butasaku『Forms』
- ゆるふわギャング『GAMA』
- tofubeats『REFLECTION』
- 中村佳穂『NIA』
■️チャートに関するコメント■
Apple MusicやSpotifyが年末に視聴履歴から勝手にまとめてくれる年間ベストを振り返ると「そういえばこの作品は今年リリースされたんだっけか」と毎度のことながら気付かされる。たとえサブスクがAIのリコメンドによって大半が支配されていようとも、フロアに広がるムードとか勢いのあるシーンがどうたらだとか、誰かの何かに左右されるわけでもなく自分のちょっとした心のバランスに刺さる歌詞や音楽への素直なときめきを感じさせられたパーソナルな瞬間を自分自身よりわかっているようで、この機能はちょっとありがたい。そんな便利な年間ベスト機能からさらに人間の手でセレクトした超本音の個人的ランキングです。
■ベストライヴ(配信含む)■
0ffice -Kazuki Koga “The Summit Of The Gods” album launch- 2022年6月12日
初福岡、初0ffice、初ゴルジェを体感したパーティー。岩、山、クライマーの精神性を体現した電子音楽・ゴルジェを愛する音楽家Kazuki Kogaのリリースパーティーを福岡のオーディオビジュアルコレクティブ〈0ffice〉が主催すると聞いてはるばる博多まで足を運び、荘厳なサウンドスケープと新しいローカルシーンの熱狂に震え上がりました。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『わたしは最悪』
恋愛、出産、キャリア形成などといったアラサー女性の主人公を取り巻く問題とモラトリアムを描いた北欧映画。年齢的な節目を迎えたところで人生の方向性はなかなか定まってくれないし、自分の選択が果たして正しかったのかもわからない。それでも自分の人生は自分のものでしかないという現実を美しい景色と共に痛感させられる作品です。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
20代後半になってから予想もつかないほど激動の年を過ごしている。2022年は新卒入社した会社をついに退職し、物書きと音楽を嗜むだけの東京の女の子(無職)になってしまった。2023年は逆にまた就職しちゃったり、東京の女の子じゃなくなっちゃったりするかもしれないが、それでも音楽や言葉にときめくことは忘れないでいきたい。そして27歳というちょっとした年齢の節目を迎えても、27クラブに入る資格もなさそうなわたしはきっと必死に生き延びていくしかないだろう。
岡本貴之
OTOTOYニュースチーム現場監督 / ライター
- Creepy Nuts『アンサンブル・プレイ』
- BLUEVALLEY『BLUEVALLEY』
- TOMOO “オセロ”
- 小林私 “冬、頬の綻び、浮遊する祈り”
- PINK FLOYD『Live at Nakajima Sports Centre, Sapporo, Japan, 13 Mar 1972』
- DURAN “Zankon (Devil Talkin' Blues)”
- 真心ブラザーズ『TODAY』
- BLACKPINK『BORN PINK』
- 原由子『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』
- Paramore “This Is Why”
■️チャートに関するコメント■
Creepy Nutsのニュー・アルバム『アンサンブル・プレイ』は突き抜けたキャッチーさと人間臭さでヒップホップの枠組を軽く飛び越えた傑作でした。フェスでの神がかり的なステージングにも時代の寵児たる所以を見せつけられました。これとは真逆な印象を受けたのがBLACKPINK待望の新作『BORN PINK』。ダークで複雑な音像を突き詰めていて驚かされました。ここには入れてないテイラー・スウィフトやアークティック・モンキーズの新作もとても暗く感じたのですが、もはや “暗い・明るい” という概念すら自分の感覚とは違っているのかも、とすら思いました。あと、小林私は最高なアルバムを作ったのだからそれを再現すべくバンド編成で歌うべきだと思う。
■ベストライヴ(配信含む)■
ブルーノ・マーズ〈Bruno Mars Japan Tour 2022〉2022年10月27日 (東京ドーム)
ブルース、ファンク、R&B、ロックンロール、レゲエ、自分が好きな音楽が全部入ったライヴで、とにかく明るくて楽しい。それに尽きました。座席ちかくの大きな筒から放たれた金テープまみれになったのが良い思い出です。
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
小説『タラント』角田光代
オリンピック、戦争(ウクライナの件とは別)、異国でのボランティア等との関わりを通して交わって行くそれぞれの心情がじっくり描かれた大作。加速して感情が一気に込み上げてくる終盤は、角田文学の王道展開。新たな代表作だと思います。
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
昨年を振り返ると、アントニオ猪木逝去に尽きます。語れる言葉もありません。本当に、ありがとうございました。2023年は地道に好きなことだけをやっていこうと思います。
田代芽生
OTOTOYニュース・ライター
- ドレスコーズ『戀愛大全』
- betcover!!『卵』
- すばらしか『すばらしき』
- 天国旅行『くたばれ』
- 10-FEET『コリンズ』
- black midi『Hellfire』
- Age Factory「First day song」
- GEZAN「萃点」
- カネコアヤノ「わたしたちへ」
- the twenties「ロックスター」
■️チャートに関するコメント■
10作品の中でもドレスコーズの新作AL『戀愛大全』はとてつもない名盤だと感じました。前作の『バイエル』はコロナ禍における静かな生活についての記録のような作品だったことに対して、今作ではその鬱屈とした日常を吹き飛ばすようなラブソングのみでの構成。行動自粛を強いられていたここ数年間では、アルバムに描かれているような刹那的な夏の思い出を作ることが難しい人が多かったと思うのですが、ドレスコーズが音楽という形で私たちへ届けてくれたことで、キラキラとした青春を疑似体験できるような感覚になることができ、私にとって大切な作品になっています。また、若手バンドの精力的な活動にも目が離せない一年でした。
■ベストライヴ(配信含む)■
THE YELLOW MONKEY〈Debut 30th Anniversary THE YELLOW MONKEY SUPER FAN PARTY 1228〉2022年12月28日
我らがロックスターTHE YELLOW MONKEYの30周年をお祝いするイベント。彼らは現在ライヴ活動を停止しているため生パフォーマンスはおあずけ。ですが聖地・日本武道館にて上映された110分にも及ぶ特別映像はライヴを生で見ること以上の満足感と感動をファンに与えてくれました。メンバーそれぞれの30年間の思いや記憶に残っているライヴを語る彼らのインタビュー映像は涙なしには見られない最高の時間でした。THE YELLOW MONKEY永遠に!!
■音楽作品以外のベスト一作(書籍・映像作品など)■
映画『THE 3名様 〜リモートだけじゃ無理じゃね?〜』
久しぶりに復活した “THE 3名様シリーズ” 最新作。深夜のファミレス(ビッグボーイ)で男3人がダラダラと緩い会話を繰り広げるだけの会話劇。12年ぶりということでしたがミッキー(塚本高史)、ジャンボ(佐藤隆太)、まっつん(岡田義徳)の変わらない空気感としょうもない掛け合いは最高でした。このシリーズを見るとビッグボーイのフライドポテトが食べたくなる!
■2022年を振り返って、もしくは2023年に向けて■
2022年は「チャレンジ」の年でした。私は大学で農業を専攻しているため社会科学系の講義ばかりをずっと受けていたのですが、“大学生活最後の一年だし、知らない分野にもチャレンジしてみよう!”と、他学部の講義(哲学、心理学、統計学)にも顔を出して幅広い知識を得ることができました。2023年も知らないことを自分から学びに行く姿勢を崩さず、たくさんのことを吸収する一年にしたいと思います。