2020/01/22 00:00

OTOTOY各スタッフがそれぞれ選んだ2019年の10作品

ということで年をまたいで2020年もすでに数週間、コチラではOTOTOY各スタッフがイチオシの音源&2020年どんなものがくるかな的なこともあわせて、普段はあまり外に顔を出さない縁の下力持ち的な関連スタッフも含めて、推し音源10作品を選んでもらいました。

鈴木雄希

OTOTOY編集

■2019年の10作品◾️

(順不同)

◾️2019年を振り返って◾️
「ロック」というジャンルが力を失い、バンドで演奏することに対しての憧れみたいなものがなんとなく希薄になっていると個人的に感じていた近年。ただ、柴田聡子やカネコアヤノといったシンガー・ソングライターの面々が、それぞれ自らのバンドでツアーを周り、より結束力を強固にした上でつくりあげられた作品たちがリリースされた年でもありました。これまでにないバンドとしてのアレンジが光り、もともとあった「歌」の魅力がより煌めき立つ作品に仕上がっていました。CHAIや(リストにはあげていないが)No Busesなどが国内外で注目を集めつつある状況もとてもワクワクした1年でした。2019年はバンド・サウンドがまた力を見せつけ、「ロック」というジャンルの復権(?)の足がかりになる、そんな年だったのではないかと。
あとは、甘いソングライティングと色鮮やかなサウンド、ドラマティックな展開、思わず口ずさみたくなるようなグッド・メロディを鳴らすポップ・メイカーの登場も印象的でした。今作『Pony』でポップ・マエストロとしての力を確固たるものにしたレックス・オレンジ・カウンティをはじめ、国内でも家主やジオラマラジオといった、普遍的なポップ・ソングを作り出すアーティストに魅了されました。2019年を振り返ると、ここ数年の中でも最も音楽に救われたな、と感じた年でした。

◾️2020年に向けて◾️
2019年もたくさんのライヴハウスに足を運び、できるだけ多く、自分の目で、耳で音楽を体感するようにした。
そのなかでも特に印象に残ったライヴを。STUDIO COASTで行ったシャムキャッツの10周年記念ライヴには、インディペンデントでバンドを続ける力強さを感じた。よりダイナミックに、よりスケールの大きなパフォーマンスを身につけたCHAIのマイナビBLITZ赤坂でのライヴにはとても勇気を与えられた。あと、代官山UNITでのGateballersのライヴ。ときにおぞましく歪なサウンドなのになぜか美しく心地よい、変態的なそのライヴは2019年でいちばん衝撃を受けたかもしれない。
来年もたくさんのライヴに足を運び、いち音楽ファンとして素晴らしい才能と出会いたいですね。OTOTOYというメディアを通じて、みなさまにもグッド・ミュージックをお届けできるように、精進します!!!


高木理太

OTOTOY編集 / 音源投入番長

■2019年の10作品◾️

(順不同)

◾️2019年を振り返って◾️
2019年はみなさまどんな1年でしたか? 個人的にはなんとか耐えた1年という感じで世の中全体も呆れるような嘘や誠実さに欠けるニュースばかりで虚無感に襲われることも多々ありましたが、そんな中で2019年よく聴いた10作品はこんな感じになりました。ここ数年のキーワードとして“メロウ”や“サイケ”が確実にあると思うのですが、ご多聞に漏れず自分もそういうものを好んで聴いていたような気がします。海外モのは個人的にアルバムのリリースを楽しみにしていたBrainstoryの『Buck』はその期待値を余裕で超えてくる良さで昨年の後半戦のヘビロテでございました(同作リリースのレーベル〈BIg Crown〉は昨年その他のリリースもハズれなし!)。 Brainstory『Buck』が“メロウ”と“サイケ”のいいとこ取りだとするならば、“メロウ”なあなたはDurand Jones & The IndicationsとLos Retrosを、“サイケ”なあなたはDrugdealerとKit Sebastianをぜひといった感じでしょうか。国内はヒップホップでは舐達麻、ハードコアではshe luv itの2枚を。上で挙げた作品とジャンルは違えど、奥底に通ずる“なにか”を勝手に感じつつ、思い出野郎Aチーム、T.V. NOT JANUARYの2枚には日々の生活への勇気を何度も貰いました。

◾️2020年に向けて◾️
2018年は“ヘヴィ”と“ドゥーム”、2019年は“メロウ”と”サイケ”が個人的なキーワードで、今まで音楽を聴いてきて時流に乗れてる感じというものを味わったことが無かったのですが、こうして振り返ってみると意外とその波に乗れてるのではという気がなんだかして参りました。ということでここ数年一部の編集部内で波が来るのをひたすらに待ち続けている“ロックステディ”の波(“ラヴァーズ”は少し来てる気も)、そろそろ来ないでしょうか? という個人的な願いを込めつつ、今年もいい音楽を沢山聴いていきたいですね。

伊達恭平

OTOTOY編集

■2019年の10作品◾️

(順不同)

◾️2019年を振り返って◾️
紅白歌合戦で、2010年にシーンに降り立ったLiSAが、2019年の堂々たるパフォーマンスを見せたことや、映画『天気の子』の舞台を再現したセットの上で主題歌を盛大にシンガロングしたRADWIMPSを見ていると、本当に2019年のアニメ音楽シーンは力強いものだったなと感じて胸が熱くなりました。もちろんそれ以外でも2019年のアニメ・ゲーム音楽のトピックは枚挙に暇がないです。そんな年にリリースされた作品の中で、今回は“自分の生活の一部”として体感できた作品をベストとしてセレクトしました。目を覆いたくなるような事件が起きても、その中でも声高らかに拳をあげ、堂々と歌い上げるシンガーや力強いサウンドにも背中を押され勇気を貰いました。と同時に、1年を通して電車の中や、家でコーヒーを飲むとき、日が暮れる街を歩くとき、ふと聴きたくなる作品がこのジャンルの中にも沢山あったなと挙げたアニメ、ゲーム関連の10作品になります。楽曲のクオリティは当然ですが、作品本編との親和性、展開、コンセプトなども心を打たれる素晴らしいものばかりでした。2019年もアニメ、ゲームの世界で創造を続け、多くの作品を我々の生活へ送り届けてくれた方々に大きな敬意と感謝を。そしてそれが繋がる2020年を楽しみにしています。

◾️2020年に向けて◾️
できるだけ多くの作品に触れる、というのは毎年意識していることですが、それを踏まえつつ個人的にはリアル・イベントにももっと足を運びたいなと思っております。あとは製作(制作)者の方や、普段見えないところで活躍している人たちにもっとフォーカスを当てたいなと……。アニメも見て、ゲームもやって、漫画も読んで、となると時間がいくらあっても足りませんが、OTOTOYでも作品の魅力が少しでも伝わるように頑張ります! OTOTOYに掲載された情報や音源がきっかけでアニメやゲームに興味を持ってもらえるよう、自分も多くの作品に触れ、その魅力が伝わるように努力しますので、ぜひ2020年も宜しくお願いします!

 

西田健

OTOTOY編集部

■2019年の10作品◾️

(順不同)

◾️2019年を振り返って◾️
2019年に自分の聴いていた曲を振り返ってみると、女性ヴォーカルのものが多かった気がする。BLACKPINKやBiSHの勢いは凄まじく、さらにもう一個上のステージに上がったように感じる。また、カネコアヤノさんの存在感は大きかった。間違いなく2019年のミュージックシーンの顔だったと思う。2020年も彼女たちが作り出す素晴らしい曲たちを聴きたい。
2019年は映画をたくさん観た。映画館で50本、NetflixやAmazonプライムでの作品も含めると100本くらい。ハリウッド超大作、大ヒットアニメ映画、いろいろ見たけど今年のベストは「愛がなんだ」だった。感情をぶんぶんに振り回された後、エンドロールで流れるHomecomingsの“Cakes”が最後のデザートのように沁みた。 Homecomingsといえば、京都のフェス〈ボロフェスタ〉での上京前最後のライヴが最高だった。ストリングス隊を迎え8人編成バンドセット"Homecomings Chamber Set"として登場した彼らは、気合も気迫も今までと全然違っていたし、彼女たちの晴れの舞台に居合わせることができて本当によかったと思う。彼女たちのアルバムが出るのが楽しみだ。

◾️2020年に向けて◾️
個人的なことで言えば、2019年は10年住んだ福岡を離れ「上京」、4年の遠距離を経て「結婚」、そしてOTOTOYに「転職」という人生のターニングポイントになりそうなことを3ついっぺんにやってしまった年でした。まさに激動でした。2020年は音楽ファンという目線を忘れることなく、ジャンルにとらわれずにライヴハウスやクラブ、フェスやインストアイベントなど様々なところに足を運んで音楽シーンを体感したいです。自分のことばっかりになってしまいましたが、OTOTOYではメディアとして面白い記事を届けるだけでなく、SNSを使った発信もバチバチにやって情報をお届けできればと思っております。何卒よろしくお願いします。

 

津田結衣

OTOTOY編集部

■2019年の10作品◾️

(順不同)

◾️2019年を振り返って◾️
様々な問題が可視化された2010年代の総決算だったのか、2019年、アイデンティティの消失を伴う殺伐とした年に感じました。当たり前に音楽は時代を写すし、土地に関係なく皆が同じ問題に直面している。そんなことを感じた、インディ・オルタナ要素をもつ国内外アルバム10作です。ダブリン、サウスロンドンでは政治情勢へのカウンターを思わせるポストパンクが盛んになる一方、内省的なドリーム・インディ・ポップが若者たちのアイデンティティの拠り所になるという、対照的なムーブメントが同時に起こっていたのが特に印象的。多くのアーティストが赤裸々にメッセージを伝えることに重点を置き、それらは時に問題に向き合う後押しとなり、時に目をそらす盾にもなりました。互いに近い感性とフラストレーションを抱えるblack midiとNOT WONKのアルバムリリースが同じ月だったのも、カネコアヤノが日常に立ち返り私たちに寄り添う作品を生み出したのも、世界中が似た種類の問題を抱えていることに繋がっている気がしてなりません。Big Thiefの2作品とNOT WONK『Down the Valley』は2019年音楽に求められた内省の美しさや、静かな悲憤が詰まった、マスターピースだと思います。
 
◾️2020年に向けて◾️
愛のない時代のあまりの愛のなさにやられた年だったので、結果2019年は本当に音楽に救われました。ありがとうございました音楽!2020年引き続き、ムーディーで内省的な楽曲が主流な気もしますが、思想やパーソナリティからは無縁な実験的音楽がメインストリームに現れる余裕が生まれることを願っています。その流れが来なくても、純粋に音楽を楽しむ年にしたい。また昨年のNOT WONK〈Your Name〉、GEZAN〈全感覚祭〉は最終的に既存のシステムに疑いを促す衝撃的なDIYイベントとなりました、日本のオルタナ・パンクシーンの動きは今年も刺激的なものになるでしょう、注目して行きたいです。

 

東原春菜

OTOTOY編集部

■2019年の10作品◾️

  1. 湯木慧「誕生〜バースデイ〜」
  2. tambi「手紙e.p.」
  3. アロワナレコード “夏めく夜に”
  4. エコア「夏も僕を見捨てた頃」
  5. リュックと添い寝ごはん “サニー”
  6. BiSH『CARROTS and STiCKS』
  7. カネコアヤノ『燦々』
  8. THE BOYS&GIRLS『陽炎』
  9. 羊文学「きらめき」
  10. Tones And I『The Kids Are Coming』


◾️2019年を振り返って◾️
2019年、私が好きなバンド・メンバーが脱退したり活動休止したり、解散したりと悲しい情報がたくさんありましたが、より好きなものに対して必死に追いかけていきたいという気持ちを再認識できた年だった。
好きなアーティストはもちろん、2019年を振り返るとライヴハウスのブッキングとしても働いている影響でインディ・アーティストに目を向けて聴いていた。
そんな私が選んだ10曲は今後の活躍に期待できるアーティストたちを中心に集め、その中でもtambi、アロワナレコード、エコアは結成してから1、2年のバンドながら演奏はもちろん歌メロが非常に良くみんなに聴いてもらいたいインディ・バンド。
また10曲の中でも、私が選ぶ2019年のベスト作品は湯木慧の「誕生〜バースデイ〜」。湯木慧は14歳でアコギのニコニコ動画で弾き語り配信を始め16歳でツイキャスやYouTubeなど活動の幅を広げ、2019年6月5日に21歳の誕生日を機にメジャー・デビューをした。まるで心の中を覗かれているような人間の生き様を的確な言葉で表現しているメッセージ性の強い歌詞や、リアルな人生の浮き沈みを表されているような抑揚がつけられた歌声が魅力的で、2020年の活躍はどうなっていくのかとても楽しみである。

◾️2020年に向けて◾️
今まで自分の好きなジャンルをずっと聴き続けていて音楽の幅が狭かったのですが、2019年はたくさんの人や音楽に触れ合い好きな音楽の幅が広がりました。
しかし、世間で話題となっている作品についていけてなかったので、2020年は時代の流れについていけるようになりたいです。
また、OTOTOY編集部としてのスキルはまだまだなので、2020年はたくさん本を読み言葉の表現力を身につけていきます。そして、ライヴハウスやイベント事にたくさん足を運んで新たなアーティストを見つけ出し、OTOTOYで広めていけたらと思っていますので、今年も何卒よろしくお願いします。

 

鎮目悠太

OTOTOY編集部 / インターン

■2019年の10作品◾️


◾️2019年を振り返って◾️
「Vibesが上向きになる兆し」を感じた2019年だった。分断され、過剰な揶揄が蔓延する社会でもアーティストたちは当たり前のように隣国に飛び出し、クールな曲を作る。韓国のOwenが参加したKenayeboiのEPもバンギンで最高だったし、東アジアのトレンドの旨い汁を吸わずにハードに問題提起をしてきたMoment JoonのEPも傑作だった。スキル、ウィットを削らずに世のアホみたいな事象に対するクリティカルな風刺をかます。多様化するシーンの中で彼のようなラッパーももっと私たちはレコメンドする必要がある。また、MinchanbabyやKEIJUのEPは日々の個々人のストラグルに優しく刺さるラップだったのではと感じた。特に後者は、うまく統一した暗い質感が漂う名作。エモ・ラップがやたらと取りざたされるシーンにおいて、この作品がロングヒットしなかったのは個人的には意外な出来事だった。
USに目を向けると、ケヴィン・アブストラクトのソロ作やH.E.R.の「Slide」では、どこ由来ともつかない、ラップとR&Bのフローが曲の中を往来するという不思議な陶酔感を味わった。来年、USのメインストリームは如何様に進化するのか。反対にYoung M.AやTee Grizzleyのような数年前のデビュー時のハードさを研ぎ澄ましたアルバムも存在感があった。

◾️2020年に向けて◾️
とりとめもないような振り返りだが、確実に言えるのは様々な境界が曖昧になっているということ。ラッパーが無作法に破壊と再生を繰り返すシーンに大感謝! まずは年が無事に明けたことに感謝。TohjiやLEX、Fuji Taitoなどのニュー・カマーが爆ハネした昨年は現場のユースの熱もすごいことになっていたが、今年はそれに次ぐスターたちが続々とハネる予感。既にある程度の知名度を獲得した彼らが年末年始からガンガンとリリースをしており、ひとまず国内シーンは「昨年の仕上げ→ニューカマーの大規模ヴァイラル・ヒット」といった流れになってほしいと願うばかり。USに関しては、今年アルバムをリリースしなかったR&B勢の動きに期待大。また、中国のラップもスタイルの変化が確実に感じられるので引き続きチェックしたい。生活面での目標は「姿勢を良くする」こと。

 

河村祐介

OTOTOY編集部 / 編集長

■2019年の10作品◾️

  1. 電気グルーヴ『30』
  2. KODAMA AND THE DUB STATION BAND『かすかな希望』
  3. mmm with エマーソン北村『Chasing Giants』
  4. Nehoki『Petersminde』
  5. 柴田聡子『がんばれ!メロディ』
  6. 坂本慎太郎「小舟」
  7. Undefined「Three」
  8. 思い出野郎Aチーム『Share the Light』
  9. Low Jack『Jingles du Lieu-dit』
  10. Rrose『Hymn to Moisture』


◾️2019年を振り返って◾️
不寛容と不正、詐称ばかりが幅を効かすこの浮世、一筋の希望はやはり日常生活の楽しみ、やはりそれを守るためにも声を上げていかなくてはという。こだま和文&ザ・ダブ・ステーション・バンドの作品と思い出野郎Aチームは、まさに日常を愛おしみ、朗らかに自由に生きることに、なにか強い共通の思いを感じた作品でした。あと、一連の騒動で購入者しか聴くことのできなくなった電気グルーヴの『30』は、その解像度の高い作品性に焦点が当てられる前に、なんだか騒動の向こう側においやられてしまった作品でなんともやるせない。音楽を買うという行為にまたひとつ意味ができたような1年だったような。さて全体としては『ele-king』に提出したリストからまたいろいろ聴き直したり、やっぱりアレ聴いてたなということでいくつか入れ替わってます。あとはレゲエの再発12インチ&モダンなエレクトロニック・ダブばかり聴いてた印象。そういえば数年来で最も悲しいお別れがあったな……。
蛇足で、ベスト・ブックスは『オカルティズム 非理性のヨーロッパ』と小説『三体』は言わずもがなですが、『七つの殺人に関する簡潔な記録』(ちびちび読んで、まだ読了してないのですがいまのところずっと最高)。

◾️2020年に向けて◾️
今年はもっと魅力的な“隙間”とか“現場”をプレゼンしていきたくなる気持ちになっています。さまざまな局面で3年ぐらい前からダンスホールがひとつトピックになっておりますが、なんとなく日本のバンド方面とかもそのあたりとか、ダブとか、もしくはレゲエ全般参照元にしたような人たちがいたら楽しいなと思っています(毎年)。そのへんも含めて、ぜひみなさんサウンドシステムでダブを聴きましょう。

 

飯田仁一郎

OTOTOY取締役 / Limited Express (has gone?) / ボロフェスタ

■2019年の10作品◾️


◾️2019年を振り返って◾️
2019年は、ずっと自身のバンドLimited Express (has gone?)の音源や友人バンドfolk enoughの音源の制作をしてました。なので必然的にとても制作によった音源を聴き漁った年だったように思います。そんな中でもアジア・インディーミュージックには年を通してワクワクさせてもらったし(love Gym and Swim)、Sleaford Mods、Danny Brownはずっと憧れの存在だし、BattlesやBlack midiの変革には勇気をもらいました。そして2019年末にロンドンのラフ・トレードのレコードショップで購入したMix Master MikeのLPには、またもう一度新しい音楽を創ってやろう思える活力をもらいました! 国内勢は、他の人のラインナップに上がらなかったものでマストだったものを少し。クリトリック・リスの野音や GEZANの全感覚祭、12/31のWWW、渋谷PARCOのリニューアルオープンなどは音楽でまたギラギラさせてくれた象徴的な事件でした。

◾️2020年に向けて◾️
リミエキのアルバムの中に「When I believe women’s power」と連呼する「フォーメーション」という曲があります
ボロフェスタ2019のテーマは、「We believe in the power of us」でした。
SNSの時代、多くの情報に影響され、揺らされ、疲弊するけど、大事なことは性差や個人差などを気にせず自分自身の感覚を信じること。平和の祭典オリンピックイヤーなのに、年初めから戦争が始まっちゃう2020年に我々はさらにその感覚を信じることが重要だと思います。
NO WAR
NO RACISM
OVER THE BORDER
未来の子どもたちのために

高田敏弘

OTOTOY取締役

■2019年の10作品◾️

(リリース日順)

◾️2019年を振り返って◾️
個人的体験としての2019年は、単に年間ベスト云々に留まらない通常なら年にひとつあるかないかの“事件級”のライブが3つもあった年だった。NOT WONKのWWWでの『Down the Valley』リリースツアー公演、君島大空の合奏(バンド)形態による一連の“夜会”公演(下北沢THREE、WWW等)、そして、SUMMER SONIC 2019でのThe 1975の3つがそれだ。前2つはリリースにともなうライブであり、その作品自体も同じく“事件級”だった。突きつめて言えば私にとっての2019年とはこの2作品だったのだろう。
他の作品もシンプルに“良い”と“好き”で選んだものばかり。が、強いて言えばどれも「壁」を超える様をみせてくれるもの、そしてそこに“驚き”があるもの。壁とは、自身の前作であったり、各自のキャリアにおける困難や過大な前評判といった何かだったり、あるいは「邦楽」(≒日本国内のみでの受容)であったり。たとえばFor Tracy Hydeはあの前作『he(r)art』を斯くも超えてくるとは想像し難いものだったし、同じくFor Tracy HydeやCHAI、(リストにはないが)リーガルリリーらの日本国外での活動とその受容にはとてもワクワクさせられるものがあった。
きっと今年も選ぶのに困るくらい、“良い”と“好き”と“驚き”に満ちた一年となるだろう。楽しみでしかない。

◾️2020年に向けて◾️
さて、ここまでは音楽の話をしたので次はOTOTOYの話を。OTOTOYの「今年の目標」はたくさんあります。配信ストアとしては、取り扱いレーベルを増やす、ロスレス配信のタイトルを増やす、OTOTOYならではのタイトルや特典を増やす。メディアとしては、よりエッジが立ち深みのある記事を増やす、シーンのカバレッジを広げる、音楽と音楽以外とのボーダーに着目する。そしてOTOTOYそのものは、よりユーザーひとりひとりの音楽生活に適応するサービスへと。“良く”なるよう、皆さんに“驚き”を与えられるサービスになれるよう、前進していきます。
そして個人的には、ファン目線を忘れぬ中の人であり続けたいと思う。
今年もよろしくお願いします。

(以下は惜しくも10タイトルに漏れたものたち)

(リリース日順)

ナガタ ミキ

OTOTOYのデザインなどを担当(関連会社digitiminimi所属)

■2019年の10作品◾️

(リリース日順)

◾️2019年を振り返って◾️
改元、そしてテン年代の締めくくりという節目であった2019年。ひとつの区切りをつけるように、色んなものが破壊そして再構築されていったように感じます。2000年代以前に活躍し、もはや伝説となっていたアーティストが数年ぶりに新作を発表したり、その時代を知らない新しい世代が常識を覆すような作品を完成させたり。それらが同時期に新着コーナーに並ぶさまは、色で例えると補色同士が隣に並んでいるようで、補色調和(補色同士の組み合わせで互いの色を引き立て合う相乗効果)と言わんばかりに、それぞれが際立って見えました。音だけでなくジャケット・デザインなどのヴィジュアル面も、カセット・テープ、CD、アナログ・レコード、スマートフォン画面のサムネイルなど、様々な媒体が意識されたものが多く並んでいた印象がありました。時代の変換点にいることを意識せざるを得ない状況と言えるでしょう。 この度選ばせて頂いた10枚は、個人的趣味に偏ってしまっていますが、上記の時代性を象徴するものを洋邦問わずピックアップしました。

◾️2020年に向けて◾️
昨今は定額制サービスの浸透で音楽との触れ合い方さえも再構築されています。偉大なるインターネットの力で物理的な制約から解かれたと思えば、カセット・テープやアナログ・レコードのブーム再来、音楽フェスの多様化が物語るように、モノや体験の価値と需要が高まっている。アーティストがどんなパッケージで作品を発表するのかというところから音楽体験が始まります。これまでの文化を咀嚼して再構築された新しい土台でどんな音楽が創造されるのか。新しい音楽パッケージの形が登場したりして!?いち音楽好きデザイナーとして、2020年というキャンバスががどんな音の色で埋め尽くされるのか、とてもワクワクしています!

Aubin (オバン)

OTOTOY開発エンジニア(関連会社digitiminimi所属)

■2019年の10作品◾️

  1. Kuro “PORTLAND (Prod. EVISBEATS)”
  2. Ortance “East of Eden”
  3. CRCK/LCKS “ながいよる”
  4. MARK GUILIANA “BUD”
  5. MELRAW “Kessel Run (feat. Jesús Molina)”
  6. Shun Ishiwaka “awarere feat. 角銅真実”
  7. Answer to Remember “Still So What feat. ATRBand”
  8. paranoid void “Blind Blue”
  9. CLNUP4 “Playgroundz”
  10. んoon “Suisei”


◾️2019年を振り返って◾️
気づいたらリストの半分は石若駿さんが参加した作品になっていました。毎年の『Songbook』シリーズのアルバム・リリースと、新プロジェクトAnswer to Rememberと、CLNUPクァルテットと、話題の君島大空やQuruliなどののサポートも含め、ドラマーとしての才能だけではなく、作曲力も見せた年だと思います。

◾️2020年に向けて◾️
2019に期待してたアルバム、SolangeやJames BlakeやWONKなどの作品に満足感がなく、新たな音、新たな色を求めてんoon、paranoid void、Kuroの作品を楽しめました。いわゆるストリーミング時代の2019年に配信リリースを増やして、日本のアーティストはどんどん解放してる感じで、2020は有望な年と思ってます。

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