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ピンゾロ / P.P.P
【TRACK】
1. イントロ / 2. 青二才の疾走 / 3. 手の鳴る方へ / 4. ブランコ ~ピンゾロ風味ix~ / 5. 埋め合わせ / 6. ホステス feat. 鎮座DOPENESS / 7. 唇をかみしても / 8. P.P.P. / 9. ばくち feat. K.E.I / 9. ホステス ~閉店業務ix~ tracked by D-EARTH
新宿ゴールデン街発!
日本語ヒップ・ホップ界きってのリアル・シット・ラッパー鬼が生バンド・ユニットを結成したことは事件だ。メンバーは元犬式のドラマーであるKakinuma、新宿を中心に活動する突然変異のオール・インスト・プロジェクトThe FUNKY PERMANENTSのベーシスト佐々木"TOM"孝浩で構成されている。知り得た情報はこのぐらいだが、聞いた瞬間に、あの深々しくも語りかけてくるラップが滑り込んで来た。メンバ—でもある鬼一家(鬼、D-EARTH、 BLOM、 K.E.I)のアルバム『赤落』の「小名浜」は今でも愛すべき作品だ。鬼のラップには東北・福島の情景がフロウに込められる。単純なトラックにこそ合う鬼のライミングに心打たれ、その危なさや生活感のイリーガルさに惹かれたヘッズ達は少なくはないだろう。このピンゾロのライヴを見てみたいと思った。バンド・サウンドが予想以上にマッチし、鬼のリリックは映えつつも、ファンキーな仕上がりになっている。そういえば、以前に鬼はインタビューで「踊れるのが音楽だと思っている」と言っていたな。
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ユニット名は特別なゾロ目を指すピンゾロ。新宿ゴールデン街発祥らしいネーミングだ。リリックは、酒、女、ギャンブルを臭わし、新宿ゴールデン街をいかに好んでいるかが伝わってくる。と同時に、昭和を感じる哀愁が全体に流れ、今の肌寒い空気に浸る瞬間を与えてくれる。昔、松田優作が劇団員でお金が無い時代には、よくゴールデン街で飲んでいたらしい。「遊びにおいで / 人並み泳いで」といった2曲目の「青二才の疾走」では、Jazz groove満載のトランペットとサックスが鳴り響く。8曲目にはBenny Goodmanの代表曲でもあるスウィング・ナンバーにのせる「PPP」、客演で出演している鎮座Doopenessは飲食店の兄ちゃんを演じる。駆け抜けるような疾走のナンバーから、酔いどれ感溢れるドロドロなラップ。それを際立たせるバック・サウンドがまた気持ちよく聞こえる。ゴールデン街には、大人を誘惑する魅力と、それに惑わされる儚さがあるのだろう。鬼は叙情的な言葉で、思い出を回想させる天才だ。だがそれは全て現実なのだ。けれどピンゾロを聞くと落ち込むのではなく、笑いがこみ上げて来る。「あ〜。真面目だな。少し位バカしろよ」って言われたみたいだ。(Text by 和田 隆嗣)
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ピンゾロ profile
J-HIPHOP界きってのリリシスト鬼が生バンド・ユニットを結成 ! 元犬式のメンバー等、新宿ゴールデン街を根城にするチンピラ達が集結、その名もピンゾロ... 極上! 新宿発チンピラ・ジャズ・ラッパーの鬼、犬式のDr,Kakinuma、The FUNKY PERMANENTSのBassTOMの3ピース・バンド、ピンゾロが遂にベールを脱ぐミニ・アルバムをリリース!! 昭和、キャバレー、娼婦、JAZZ、そして新宿。全てを内包し鬼の攻撃的で繊細なラップ、FUNKYでレアなベース、日本人離れした黒くてスウィンギーなドラムという、危うくも完璧なバランスで、ピンゾロ・サウンドが完成した。次は... どうかな?