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初めてKAGAMIのDJを目の当たりにしたのは、3年前のClub Asiaのイベントだったと思う。田舎から上京してきたばかりの自分がDJをやり始めた時期で、様々なパーティーに行っては、多くの先輩DJ達のグルーヴをClubのスモークやタバコの煙と共に浴びていた。KAGAMIも、その頃出会った先輩達の一人だった。その頃は、海外で賞賛されていたことや、数多くの作品が多くのDJにサポートされていたことまでは知らなかった。逆にそういった情報を持って彼のDJを見ていたら、また違った感情を想起したのかもしれないな。
最初にKAGAMIのDJを目の前で聴いたときの、陽気な楽曲がダイレクトに伝わってくる感じを、今でも忘れてはいない。レコードを選ぶために、一瞬姿が消えたり、ちょっと強引なスタイルのMIXとかが妙に印象に残っている。「かっこつけてないのに、なんであんなにかっこいいの? 」って、BPMとフロアの温度が上昇するのを肌で感じながら踊った。その後、渋谷のバイト先のBARで、キッチンのスタッフが「これヤバいよって」出してきたEPが、KAGAMIの作品だったりして、そのEPをバイト先のパーティーでスピンさせては皆で遊んでいた。その後、そのスタッフが、ゲストでKAGAMIをよんだのは、彼が亡くなる一ヶ月前のことだった。
自身の好きなDJは、オーバーグラウンド、アンダーグラウンドに限らず大人で渋い。朝を迎えるとゆっくり帰路につく。まだまだ遊び足りない人達は、延々と踊り続ける。その姿を見ていると、KAGAMI含め、この世代は永々に刺激を与え続けてくれるものだと思っていた。
Clubという場所はいつも気分を高揚させてくれるわけではないし、気分によって浮き沈みがある。それでも「この人のDJは間違いないよ」とか「誰々が出てるから行こうよ」って、各々の情報網を友達と重ね合わせて、平日、週末の中から選んでパーティーにくり出す。その様々なパーティーで、KAGAMIはポップもテクノもディスコもひっくるめて、何より皆が楽しい音を取り入れながら楽しませてくれた。KAGAMI、ありがとう。REST IN PEACE (text by Wakf)
KAGAMIを象徴とする作品
KAGAMI / TOKYO DISCO CD
春に完成するや石野卓球、TASAKAなどによってプロモ盤がかかり、WIRE00では、ウェストバムも含め一晩に3回もプレイされるという人気となった「Tokyo Disco Music All Night Long」。10月に正式にアナログがリリースされると、ドイツと日本を中心に5000枚近いセールスを記録し、日本では品切れ店が続出しパニックが起きるほどだった。まさにアンセムと呼ぶに相応しい現象を巻き起こしたKAGAMIの代表曲(アナログはドイツ盤のみ)。当時のKAGAMI氏の勢いを感じる作品!!
KAGAMI / Star Arts
今聴いても色褪せる事無く、フロアで映える作品。まさに聴いている人、DJをする人が楽しくなれる作品。所々に見られる浮遊感と、忘れていないビートの攻め方は必聴。四つ打ちやエレクトロがブーム化する以前から作り込まれている作品とは思えない程のアルバム。KAGAMI氏の作品にはやはりスタイルがある。
DISCOGRAPHY
KAGAMI PROFILE
1995年のデビュー以来、国内外を問わず多くの音楽ファンを捉えて放さないフィジカルなダンス・トラックを作り続けるクリエイター/DJ。近年では香港、ドイツ・ツアーを行い、ワールド・ワイドに活動した。またDJ TASAKAとのユニットDISCO TWINSとしても活躍の場を広げている。2008年には自身のレーベルKGM Offlineを立ち上げ、初のベスト・アルバム『BETTER ARTS』をリリース。DJ、プロデューサー、リミキサーとしてテクノを中心にボーダーレスな活動を続けた。2010年5月25日、過労による急性心不全のため永眠。享年33歳。