スケートボード・育児・仕事・音楽、様々な日課が詰め込まれた毎日。生活の中で刻まれるリズムが、このアルバムを形成している。

一児のパパになり、育児・仕事・バンド・・・ 様々な日課が詰め込まれた日々。これは、地方の若者の話ではない。ロック・スターであるトミー・ゲレロの話だ。彼は、365日音楽だけに没頭しているタイプのミュージシャンではない。しかし、彼の奏でる楽器の一音一音に、なぜ惹かれてしまうのだろう? 様々な過程の途中、突如として現れる音楽。生活のなかで刻まれるリズムが、このアルバムを形成している。

ストリート発の作品。彼の音楽はそういった言葉で表わされる。ジャック・ジョンソン、ドノヴァン・フランケンレイターやベン・ハーパーなど、並べて語られるミュージシャンも多い。彼らに共通するのは、ライフ・スタイルの在り様。商業主義や時代に迎合したやり方を避け続けたまま、日本でもブレイク。それが音楽のみならず、行動、発言や生活様式までもが彼らに対する憧れとなり、多くの人を惹きつけ続けているのだ。但しトミー・ゲレロの今作は、前述の2組が得意とするようないわゆるレイド・バックというところにはない。先日のフジ・ロック'09でベン・ハーパーが披露していたロックンロール全開のあの感じでもない。ジャジーでアシッド、ダークだけど突き抜けた爽快感がある。日常での終わらない倦怠感、それに裏打ちされたような冷たさと鋭さは、一児のパパとして仕事とバンドを並行させる彼の生活から滲み出るものなのかもしれない。日々の生活から生まれる葛藤や憂鬱、そして音楽というものに触れる時の喜び。なんの偽りもなく、ここに表現されている。

彼のホーム・ページに公開されている写真は、近しい仲間との触れ合いやスケート・ボードの写真などで構成される。バリー・マッギーやトーマス・キャンベル(※映画The Presentも8月22日から公開! )ら盟友との協働も、スケート・ボードというひとつの軸から派生したもので、1st album「Loose Groove and Bastard Blues」の頃から全くブレのない、生活から生まれた歌を歌い続けている。
フィード・バック・ノイズがこだまする。サックスやトランペットなどのホーン隊にはじまり、ジャンベやフルート、ピアニカにキーボード、まるでアボリジニのような和音まで。パンクとしてキャリアをスタートさせた彼ならではの攻撃的かつユーモア満載のソウル・ミュージックである。

今回の作品は日本限定リリースという興味深い方法での発売となった。彼の公式ホーム・ページのディスコグラフィーでも、今作のクレジットは今のところない。彼はアメリカに魅せられながらも資本主義に対する怒りを露にしており、その一方で日本がとても興味深い国だという。面白いのは、彼自身自らを「コンピュータに操られるサル」と発言している。(ブルース・インターアクションズ刊 竹村卓著『ア・ウェイ・オブ・ライフ28人のクリエイタージャーナル』p.181参照)スタジオにこもりきりになっているミュージック・ジャンキーなアーティストとは違い(それはそれで大好きだが)、日々の倦怠感や葛藤をひっくるめた、生活の中で刻まれるミュージック。ある時は一児のパパ、ある時はスケーター、ある時はビジネス・マン、そしてある時はロック・スターである。

音楽は生活の「一部」でしかないが、「一部」がなければ、生活も成立しない。音楽とは彼にとってのLifeboatであり、ちょっとしたユーモアで日々を楽しく生きられるFolliesなのだろう。(text by 南日久志)

トミー・ゲレロも参加!


ア・ウェイ・オブ・ライフ~28人のクリエイタージャーナル
竹村卓 著 / 写真:平野太呂ほか

Do It Yourself!
スタイルもアートも僕たちがやりたいように生きる人生。 クリエイターたちの活動や制作の裏側をインタビューとビジュアルで紹介。スケータたちのアイデアはアート、音楽、映像、ファッションに広がっていきました。なぜ彼らにそんなことができたのだろう? 生き方とアートの常識を覆した28人のスケーター、フォトグラファー、アーティストたちの素顔に出会う旅。 転載作品130点以上のアート・ブックとしても楽しめる1冊です。

【登場人物】 トミー・ゲレロ / バリー・マッギー / アーロン・ローズ / レイモンド・ペティボン / 新倉孝雄 / ネックフェイス / ゲイブ・モーフォード / カミ / レイ・バービー / ショーン・モーテンセン / トーマス・キャンベル / ジオ・エステベス / アリ・マルコポロスほか

西海岸サーフ / スケート・ミュージック



backintheday + fotraque 7inch / Tommy Guerrero

幻の初期音源『Back In The Day』と『Fotraque』2枚のEPを1枚に合わせた作品。『Back In The Day』は、シンプルな打ち込みのビートに、ギターやベースなどを乗せたTGオリジナルの乾いた空気感が漂わせているロー・ファイなサウンドが特徴。『Fotraque』は、TGがデラックスで働きながら、音楽やアートを作っていた時代の作品で今の4トラックのカセット・テープ・レコーダーで録音され、こちらもアナログ感漂うローファイなTGらしいサウンドが詰まっています。



he soundtrack from the surf movie sprout by thomas campbell +3 / V.A.

サーフ / ウェストコースト・アート・シーンから生まれた金字塔。ジャック・ジョンソン、トミー・ゲレロ、マニー・マークによる夢のバンドSprout House Band(スプラウト・ハウス・バンド)の音源も3曲収録されています。



in full view plus brand new 4 tracks / Ray Barbee

伝説のプロ・スケートボード・チーム"ボーンズ・ブリゲード"の一員で、現在もプロ・スケーターとして活躍中、トミー・ゲレロの盟友でもあるレイ・バービー。05年発表のファースト・アルバムは、独自のリズミカルなギター、そしてチル&メロウな世界観を増幅させ、幅広い層から支持を受けています。

LIVE SCHEDULE

トミー・ゲレロ JAPAN TOUR

  • 9月3日(木) @京都 METRO
  • 9月4日(金) @金沢 EIGHT HALL
  • 9月5日(土) @岡山 EXTRAVAGANZA
  • 9月6日(日) @福岡 Sunset Live 2009
  • 9月8日(火) @福岡 Rooms
  • 9月10日(木) @大阪 Shangri-La
  • 9月11日(金) @静岡 munchen
  • 9月12日(土) @渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
  • 9月13日(日) @横浜 Bay Hall

info : DUO MUSIC EXCHANGE 03-5459-8716

PROFILE

Tommy Guerrero
言わずと知れた西海岸ストリート・カルチャーのカリスマ、トミー・ゲレロ。80年代に伝説の「ボーンズ・ブリゲート」の最年少メンバーとして彗星の如くストリート・シーンに登場。ファッション / サブ・カルチャーまでをリンクさせ、感度の高い若者たちから圧倒的な支持を得ている。

この記事の筆者