編集部が注目する今週のリリース作品
約9年ぶりのフルアルバム
2016年の1stアルバム『フジンカラー』以来、約9年ぶりとなるフルアルバム。新潟県・佐渡ヶ島という土地に生きる人々の暮らしを音楽として表現。リズムもメロディも派手ではないものの、洗練されたサウンドが全編に光り、聴き終わるころには確かな幸福感が残る。それは「暮らしをそのまま歌にすること」が、どんな時代にも普遍的な美しさを持つからだなのだろう。(西田)
mmm、約9年ぶりのアルバム
この人はほんとうに唯一無二の歌声を持っているとつくづく思う。時に柔らかい毛布のようにつつみこむ子守唄のようであり、時に自らの傷跡をゆっくりと指でなぞるような、癒しのための歌のようでもある。またある時は色褪せた過去をポツポツと語る語り手のように、フォーキーでミニマルな弾き語りの中でいくつもの表情を見せる。自らの形が崩れ落ちてしまいそうなほどの切望が燃え尽きたあとに残るのは、焼け跡から立ちのぼるひと筋の狼煙や、隙間をすり抜けるひんやりとした風のような気配。その先でしか見ることのできない、美しく儚い情景が確かにこの音楽の中に描かれている。(石川)
オルタナ、シューゲイザーの若手バンド
三月にリリースしたアルバムでは本人と合成音声、それぞれが歌うバージョンを同時にリリースした御花屋。楽曲もジャンルレスに収録されていたりと遊び心が光る作品でしたが、、今回は本人歌唱のみかつ全編ゴリゴリのオルタナティブ・ロックで構成されており、全編通して聴いた時の世界観を楽しめる一枚になっています。どこか仄暗い歌詞、優しくも寂しさを感じさせる歌声、浮遊感のある音作りなどが合わさって、まるで別世界に引き込まれるような感覚に。00~10年代の日本のオルタナが好きな方に絶対聴いてほしい!(藤田)
レア音源を掘り起こす配信企画より第一弾
〈キングレコード〉によるロック、ポップスの稀少作品、レア音源を掘り起こす配信企画の新シリーズ"KING RARE TRACKS CHRONICLE"の第1弾より、東京ロッカーズの中心的バンドでもあったLIZARDのセカンド・アルバム『邪都戦士(バビロン・ロッカー)』。ファーストも〈キング〉っぽいんですが、今回の配信にないのはまた次回以降なのか、権利関係なのかどっちなんでしょう?今作は初めて聴いたんですが、勝手にすごいソリッドな作品なのかなと思ったら結構ポップ。1980年リリースということで時代的な音色の古さこそ感じれど、当時の日本の作品としてはかなり先をいくアプローチが光る作品だなと。特にタイトル曲にもなっている"バビロン・ロッカー"の後半のダブの要素だったり。この配信企画の他注目タイトルとしては、ゴールデンカップスのデイヴ平尾のソロ・アルバムや竹田和夫&クリエイション名義でのアルバム2作品なんかもあります。ここにまとめておきました。(高木)
Slowdiveのサイモン・スコットがマスタリング
それがシューゲイザーなのかシューゲイザーではないのかなんて最早どうでもいいと思うのだが、この数年、数多のバンドが互いに刺激を与えあい高めてきた、オルタナティブ・ロック/インディー・ロックのいまのど真ん中、そして未来への道標を提示する、cephaloの2nd EP。ボーカルfukiのときに力強くときに儚く漂う歌声、きらびやかだが寂寥感あるギター、タイトなリズム隊。バンドとしてだけでなく、シーンとしてここから紡がれる20年代後半にわくわくさせられる今年の1枚。マスタリング・エンジニアはSlowdiveのサイモン・スコット。ナチュラルなそういう接続も良い。(高田)
有田咲花の三枚目
それぞれのレイヤーの間に隙間を感じる"弛み"サウンドと、立体的でミニマルな、それでいて正確な足し算がなされたリズム・セクションで構成された、有田咲花による三枚目のアルバム。今年5月以降二枚目となる異常なリリース・ペースが裏付けるそれは、彼女自身から出た、新鮮で、純度の高い楽曲であるということ。のめり込んで聴いてしまう取っ付きやすさ、後半の怒涛の展開含め、アルバムの緩急で体感時間が操作されている感覚があり、これこそが最近求めている音楽体験かもしれないと思った。(菅家)
ひとひらのアルバム『円』
エモ、マス、ポストロック、オルタナ等々さまざまな要素を内包しながら曲間なく文字通りシームレスに鳴らし続けられる楽曲たち。それは、正にも負にもなり得るが避けることはできない、起伏ある日々の暮らしや人生の投影なのかもしれない。美しく、心が苦しく、叫びだしたくなる。繰り返すという意味では「円」を成すのかもしれないが、たぶん誰も答は知らない。前作に続いて見事な、アルバムである意味があるアルバムに心から敬意を。(高田)






































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