「ポーザー」と言われたこともあった
──ファーストEP『My Electric Fantasy』(2015)はダイナソーJrみたいなポップでラウドな感じでしたね。
ファーストEPの再録盤!!
Ryotaro:元はそこですね。で、そこから結構多分メタルにも影響されて、メルヴィンズ、スレイヤーとかブラック・サバスとかに走って。
──当時そういう路線でやっているバンドってほかにもいましたよね。
Ryotaro:でもオルタナ上がりでそういうのが意外に少ないんですよ。まして僕は例えばマイブラ(マイ・ブラディ・ヴァレンタイン)も聞いてたりとか、スマッシング・パンプキンズも好きで、それでいて先ほども言ったようなヘヴィな音楽がやりたくて、みたいなバンドはなかなかいない。イベントに出ても自分たちは結構どっちつかずというか。
──ポップな普通のロックの方向に行っちゃう人が多いってことなんですかね。
Ryotaro:ああ、そうだと思います。ヘヴィな方向にいくバンドが周りにはいなかったです。だから、なんか割と孤独だったって感じですかね。どっちつかずというか、常に間をふわふわ浮いている状態で音楽やっているっていう気持ちですね。
──ヘヴィなものを基本にしたサウンド的にも、いろんなことをやっているという意味でもBorisに近いと思いました。
Ryotaro:そうです。バンド名もBorisの曲名からとってるし。初めて見たのが下北シェルターで、『PINK』(2005)が出た後とかだったんですけど、それも原体験の一つとしてあって。ジャンルにこだわらず、結構音楽を流動的にやっているのがすごい素敵だなと思ったんで。そういうバンドをやりたいっていう思いもあって楽曲名からバンド名を取っているんです。Borisはメルヴィンズの曲名からバンド名をとってますけど、そういう、ちゃんと自分をルーツに紐づけて見せるってすごく意味のあることだと思っています
──なるほど。
Ryotaro;“ヘヴィ”ってもちろんサウンドとか音の質感もあると思うんですけど、バンドのあり方でもあって。全部DIYでやるとかインディペンデントとか、そういう姿勢もヘヴィだと思う。そういうのを感じさせるようなバンドになりたいです。
──もちろんBorisもそういうDIYや自主独立の精神を強烈に感じさせるし、MONOとかEnvyとかdownyとか、あのあたりのポスト・ロックとの接点にいるようなバンドにも通じる姿勢ですね。
Ryotaro;まさに。2017年に、フェス〈SYNCHRONICITY〉の派生イベントで、〈After Hours〉っていうフェスがあって、その時にMONOとかEnvyとかdownyとかBorisとか全部出ていて、それが結構衝撃的だったんです。憧れの場というか、いつかこういうフェスに出たいなっていう気持ちもあって、バンドを続けているところもある。
──なるほど。逆にそういう人たちと自分たちを区別するポイント、これが自分たちの個性だというものは何だと思われます?
Ryotaro:なんでしょう、やっぱり生きてきた時代が違うので、音楽の消費の仕方が全然違うと思うんですよね。僕とかはYouTube等で音楽を聴いてたんで、文脈とかよくわかってないと思うことがある。たとえばBorisもEnvyもMONOも、それぞれの界隈で活動していて、もともとあんまり接点なかったと思うんですよね。長い間世界で活動する過程で接点が生まれてフェスを一緒にやるようになったと思うんですけど、多分元々シーンとか全然被ってない。でも僕らは最初からネットで全部いっぺんに聴いていた。ルーツとかシーンとかあんまり見えない状態で聞けたというか、文脈がない状態で、いろんな消費ができたっていうのが多分違う気がします。
──なるほど。文脈は必要ですか?
Ryotaro;文脈は……リスペクトは必要だと思います。文脈見てるよりもパッションの方が大事なんですよね。

──80年代はパンクとハード・ロックって対立事項だったけど、その後の世代にとってみれば同じようにハードでラウドなロックってことで、そういう対立概念はなくなっていった。同じように、ヘヴィ・メタルもグランジもシューゲーザーも、当初は違うものだったけど、同じようにヘヴィでノイジーでラウドな音楽ってことで新しい世代の中では差異がなくなって、それらを融合したデフへヴンのようなブラックゲイズと言われる音楽が出てきた。いい意味で文脈が消失したからこそそういう新しい音楽が出てきたわけで、Loopriderにもそうした新しい感性が感じられるんじゃないでしょうか。
Ryotaro:ありがとうございます。ただまあ、そこは微妙な感じで、それをポーザーという人もいるんですよね。
──ポーザー?どういう意味で?
Ryotaro:リアルじゃないというか、それこそその“界隈”にいないとか、コミュニティにいないとか。そこを知らないまま突っ込んでくるものに対して警戒する人もいると思うので。この時代、そもそもポーザーの定義って何なのっていう話もあると思うんですよね。
──「ポーザー」って結構強いディスりの言葉じゃないですか。実際に言われたんですか?
Ryotaro:まあ言われたことはありますかね。そこは結構難しいというか、世代の違いとかもあると思うんですけど。ただどうでもいいやっていうか、基本的に(”界隈”の)間をこう、浮いて生きてきているつもりなので、そこは仕方ないというか。(ポーザーと言ってくる相手を)リスペクトはしているので、そこは否定はしたくないというか。
──だって10年以上バンド続けて今の場所に辿り着いたわけでしょ。それだけやってれば、たとえポーザーだとしてもそれは自立した立派な個性ですよ(笑)。
Ryotaro:まあ、そこはあまり気にせずやっていくようにはしてます。
──いろんなものをフラットに受け入れられる世代の良さは、Loopriderの音楽を聴いていると感じます。「これはやっちゃダメ」とか「これをやらなきゃダメ」みたいな禁忌がない。
Ryotaro:音楽に対してヒエラルキーをあんまり感じたくないというか、いろんな音楽があっていいと思うんですよね。で、なんか縦軸よりも横軸で音楽を見ているというか、例えば音楽の両極端にノイズとドローンがあったとしても、全てのものがそのグラデーションの中のどこかにあるって思っていて。それがポップスになったりロックになったりすし、そこで新しい発見も生まれる。新しい発明ってどうしても最初は批判されると思うんですよね。でもそういう音楽の自由さを感じられるような耳を持って音楽を聴いたりやったりしていきたいですね。作った曲はどんな曲であれLoopriderになると。日々やっていく中で新しい発見、それこそバリトン・ギターを発見するとか、そういう発見の中で変わっていくと思うんですよね。
──時々思いだしたように25分1曲とか30分1曲のアルバムを作りますよね。ドローンぽかったりノイズっぽかったり。
Ryotaro:例えばヘヴィな音楽をやっていると、どうしてもそれと真反対のことをやりたくなる気持ちがあって。でも結構思いつきでやっています。メンバーが大変です。
──バンドとしての一貫性とか、作品としての一貫性みたいなことっていうのは考えるんですか。
Ryotaro:ああ、そういうのって多分、最後までやらないと分からないと思うんですよね。最後まで行かないとバンド(の全体像)は分からない。例えば当時は全然このアルバム良くないと思っても、その後に何枚かアルバムが出ると、その良くなかったものが良く聞こえたりすることがあるじゃないですか。唐突な変化に見えても、あとになってその意味が明らかになって評価される、みたいな。そういうのってすごい面白いし素敵だなと思っていて。そういうバンドになりたいなっていう気持ちはすごい強いですね。
──じゃあ、変化が受け入れられず昔の繰り返しのような音をファンから期待されたしても、それはもう仕方がない。
Ryotaro:バンドって生き物だと思うので、常に変化していくものでいたいなと思っています。人生ってそういうものじゃないですか。生活も変わっていくし、人も変わっていくし、自分の知識とか能力も変わっていく。それによってできることもやりたいことも変わっていきますし。結局、音源とかアルバムって僕はドキュメントだと思っていて、その瞬間にそのバンドのあり方とかできることを濃縮したものだと思っているんですよ。それを常に捉えて出していくっていうのがバンドのあり方なのかなと思っています。













































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