2014/01/12 00:00
2週間先行配信!! イラストレーター・中村佑介を中心としたポップス・バンド、セイルズの2ndミニ・アルバムは、とにもかくにも"あなた"のことばかり。

「あ、中村佑介。今回も誰かのジャケットを担当したのかな?」と思われたかもしれないが、今回はまさに彼のバンド、S▲ils(セイルズ)が2ndアルバム『YOU」をリリース!! ASIAN KUNG-FU GENERATIONやモーモールルギャバンのジャケット、書籍の装丁などで有名な彼がバンドも行っていたことは意外かもしれないが、OTOTOYでは1stアルバムから注目してきた。このたびはなんと、CD発売日である2014年1月29日(水)に先駆けて、2週間以上も早く先行配信を行うことに!!

『YOU』と名付けられた今作。ストレートなギター・ポップは健在。爽やかさと変態性が同居した中村独特の歌詞は、"あなた"の行動を追ってみたり、"あなた”がどんな人が描いてみたり。とにもかくにも"あなた"のことばかり。まずは1曲、フリー・ダウンロード曲の「薫」を聴いてみてください!

>>「薫」のフリー・ダウンロードはこちら<<

2ndアルバム『YOU』をOTOTOY先行配信!

S▲ils / YOU

【配信価格】
wav、mp3ともに 単曲 200円 / アルバム購入 1,000円
※アルバム購入の方には歌詞ブックレットが付いてきます

【Track List】
01. 薫 / 02. あなたにクッキング / 03. リリ / 04. かなしい顔 / 05.あなたは / 06. すべてのあなたに

中村佑介がイラストだけでは表現しきれなかった”理想の女の子”

彼の描く曲線や女の子の美しさを思い出し、いったいどんな音を奏でるのだろうかと想像してみてほしい。しっかりと計算されたイラストのあの繊細さから、もしかしたら音も少しデジタルっぽいタッチなのではないだろうか、などと思ったりもするかもしれない。しかしその答えは意外にも、歌謡曲のような奥ゆかしさと渋谷系の清涼感をドッキングさせたサウンドだった。特にアコーディオンのレトロな響きは重要なポイントで、前作ではデキシーランド・ジャズな「おしりのふとん」、今作はカーペンターズっぽい「すべてのあなたに」などジャズやカントリーといった要素もうまく内包させている。

さて話を戻そう。前作『Pink』は先述のサウンドにちょっぴりピンクな歌詞がのっていて、スピッツの「おっぱい」くらい平然と歌われているのがかえって変態チックで潔かった。今作ではその要素はほぼ見当たらないが、女の子にまつわる日常描写が細かい点がどこか変態チックだと思う。薫という女の子の行動や思考を描くリード曲「薫」はもちろん、スーパーに出かけるところからハンバーグづくりまでが描かれる「あなたにクッキング」が顕著である。前作の影響か彼がAV好きと公言しているからかはわからないが、フリッパーズ・ギターを彷彿とさせるやんちゃな中村の歌声は、青春ポップ・ソングというより、純粋な片思いの果てのストーカー・ソングに聴こえてしまうから面白い。たとえ後者だとしても、アコースティックなタッチで泥臭くなくさっぱりと聴こえる。

中村佑介は60年代ポップスやフォーク、シティポップの影響を強く受けており、特にはっぴいえんどは、彼がイラストにおいて影響を受けた林静一がジャケットを担当していたということもあり、より注目していったのではないだろうか。彼にとって音楽もイラストもそのルーツは1つの輪で繋がっているのだ。音楽という芸術は、あらかじめ解説文がついたイラストのようなものだと思う。音だけではなく言葉ものせることができるため、イラストに比べて情報量が多いのだ。CINRAに掲載されているインタヴューで彼が「イラストは女の子から見た青春、音楽は男の子の青春」と語っているように、セイルズの曲には中村佑介がイラストだけでは表現しきれなかった”理想の女の子”がいっぱい詰まっている。イラストレーターとしての彼ももちろん良いけれど、ミュージシャンとしての彼の素晴らしさもぜひ一度味わってみてほしい。(text by 梶原綾乃)

過去作はこちら

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PROFILE

S▲ils(セイルズ)

数々のCDジャケットや書籍カバーを手掛けるイラストレーター・中村佑介を中心に結成されたポップスバンド。編成は中村佑介(Vo, Gt)、中村梓沙(Vo, Acordion)、飼原正之(Ba, Cho)、小泉ひとし(Gt, Cho)、仲井信太郎(Dr, Cho)の5人組。歌謡曲、フォーク、アコースティック・スウィング、ボサノバを基調とした淡いメロディに乗る強烈な歌詞を特徴とする。2011年6月にワイキキレコードよりファースト・アルバム『Pink』でデビュー。

>>S▲ils Official HP

この記事の筆者

[レヴュー] セイルズ

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