金沢生まれ下北育ち。ロックンロールの無敵さとビートルズの冒険精神と、ハート・ブロークンなメロディを愛する4人組バンド、あすなろう。(自身いわく)へなちょこガレージ・ロックが、都会の真ん中でサイケデリックを飲み込み、より大きくなって1年ぶりのフル・アルバム『TOWER』をリリース! エンジニアにデキシード・ザ・エモンズ、毛皮のマリーズなどを手がけるDEWマキノを迎え、へなちょこザ・フーのような「おはようヴァンパイア」、憧れをひたすら作文のように綴ったガレージ・ナンバー「ピートタウンゼント・ファンクラブ」、ディスコで踊るビーチボーイズをサウンド・コンセプトにした「メリーゴーランド」など、渾身の11曲を収録。

今回、OTOTOYでは彼らにインタヴューを行い、バンド結成の経緯からアルバムのこと、そして今後のバンドの展望について話を訊いた。彼らの音楽にも通ずる、楽しげな雰囲気が記事からも存分に溢れている。音源とインタヴューをあわせて、あすなろうの世界に足を踏み入れてみてください!!

あすなろう / TOWER
【配信価格】
mp3 単曲 180円 / アルバム購入 1,980円
WAV 単曲 200円 / アルバム購入 2,200円

【Track List】
01. めまい / 02. おはようヴァンパイア / 03. メリーゴーランド / 04. ポップミュージックに花束を / 05. 僕はロボット / 06. チューインガムミステリーツアー / 07. U.F.O! / 08. ピートタウンゼント・ファンクラブ / 09. 僕の車にのりなよ / 10. 最終回 / 11. How to make love song

INTERVIEW : あすなろう

アルバム名の『TOWER』!!

左から、浦田恭平(Gt)、斎藤大樹(Dr)、新村哲也(Vo, Gt)、山崎友博(Ba)

ガレージ・ロックのやんちゃさと、ポップ・ソングのやわらかさを兼ね備えた4人組バンド、あすなろうがセカンド・アルバムをリリース。テーム・インパラを参考としたという本作は、前作よりも丸みを帯びたサウンドで空間を揺らすことに意識を感じさせる。ストレートな歌詞の裏には何が隠されているのだろうか? 今回はそんな彼らのバンド史上初インタヴューお送りする。あすなろうというバンド名の由来から結成について、前作同様エンジニア、DEWマキノと共に行った工夫と実験にあふれるレコーディングの様子まで、たっぷり楽しく語っていただいた。みずみずしさに溢れ、まだまだ前に進みはじめたばかりの彼ら。インディ・シーンをぐいぐいと進んで置いて行かれる前にぜひ注目してほしい。

インタビュー & 文 : 梶原綾乃

アテという木があって、明日こそヒノキになろうで「あすなろう」

――早速ですが、"あすなろう"って響きがすごいすてきですよね。

新村哲也(Vo, Gt)(以下、新村) : 井上靖の「あすなろ物語」の引用なんです。アテという木があって、その木が明日はヒノキになろうっていう木で、明日こそヒノキになろう、明日こそなろうで「あすなろう」。けど結局なれない、みたいな話です。あとで知ったらアテの木は僕の地元、石川県の県木らしくて、ちょうどいいかなと思いました。

――それは嬉しい偶然ですね。メンバーのみなさんは石川県出身の方なんですか?

新村 : 出身は僕だけで、ギターの恭ちゃん(浦田恭平)は金沢の大学に通っていたことで出会いました。あすなろう結成当初のメンバーは僕ひとりで、恭ちゃんは金沢に住んでいたんですけど、先に単身でバンドをやるために上京してきました。それで、僕が上京するときにアパートの部屋を借りるなどの世話を手伝ってもらって、そこから3年くらい?

浦田恭平(Gt)(以下、浦田) : 3年くらいは別々にバンドをやっていました。俺はずっとメンバー探しをしていて、それでそのときに新村君とバンドをやっていたギターの人が抜けたので、誘われて一緒にやってみようという流れになりました。

新村 : 前からかっこいいギター弾くなとは思ってたんです。でも、やりたいことがお互い違う感じがしていて。

新村哲也(Vo, Gt)

――やりたいことが違う、とは?

新村 : 音楽の趣味が全然合わなかったんですね。

浦田 : 僕はガレージ・ロックが好きで、そっち(新村)はポップなのが好きで。一緒の趣味にはならなかったですけど、僕がポップな方面の音楽に手を出した時に、新村君が声を掛けてくれた。

新村 : 最初はポップな曲をやるにしても、マイナーなペンタトニック・スケールとか弾いて、渋かったですね(笑)。

――あすなろうはポップな側面もガレージ・ロックな側面もある音楽性なので、まさにふたりが出会ったことを象徴しているようでおもしろいですね。まずふたりであすなろうを結成し、あとおふたりとはどういった形で出会ったんですか?

新村 : 対バンです。ベースのザキヤマ(山崎)はエミリーレタスというバンドをやっていて、よく対バンしていたことがきっかけです。ザキヤマはエミリーレタスでギター・ヴォーカル担当だったんですけど、ベースを弾いたら絶対いいだろうなと思って。

山崎友博(Ba)(以下。山崎): 多分あすなろうにベースの人がいなかったから、まぁ「アテはあいつしかいねえな」って感じだったんだろうと思う(笑)。

山崎友博(Ba)

一同 : あはははは!

山崎 : ベースを弾くのは初体験だったんですが、実際にやってみておもしろかったんですよね。

――あすなろうではじめてベースをはじめたんですか? すごいですね。

山崎 : そうですね。なので元々ベースは持っていなかったんですよ。人から借りてやりはじめたんですけど、未だにむずかしいです。

浦田 : あと、ザキヤマが加入するとき俺は新村と花見をしていて。そのときに「ザキヤマに電話しようぜ」って言って電話したことで加入が決まりましたよね。

山崎 : あ、それその場だったの? ノリだね。

浦田 : そうそうノリ。酒飲んで、ノリで。

斎藤大樹(Dr)(以下、斎藤) : 酒飲んでたの!?

山崎 : 俺寝起きだったよ、確か(笑)。

――(笑)。斎藤さんは?

斎藤 : 前、別のバンドでドラムを叩いていたんですけど、そのとき、たまたまふたりでやっているあすなろうと対バンして興味を持ちました。僕は当時やっていたバンドを辞めることになっていたので、そのタイミングでふたりに「僕がやります」って言いました。

新村 : あのときはドラムの代わりにリズム・マシンとか使っていたんですよ。

斎藤 : そうそう。サンプラーとかリズム・マシンを使ったりしてバンドやっているのを見て、それはおもしろいなと思いましたね。でも、その状態から自分がドラムとして入って、どのようになるのか想像がついてなかったです。とりあえずはやってみようかなと思って。

最近は日常の些細なテーマにどれだけ意味を持たせられるかに挑戦しています

――ガレージ・ロックとポップな感じ、そして空間を生かした音作りですよね。1stだとカントリーな要素も入っていたりと、今回参考にしたものがあるんですか。

新村 : テーム・インパラっていうオーストラリアのバンドです。そのバンドはザキヤマとふたりで盛り上がって「こういう音にしたい」と思いましたね。

――ああ、なるほど! 「メリーゴーランド」とか、特にそういう気がします。

新村 : アルバムとしてのコンセプトっていうわけではなくて、1曲1曲作っていった結果、自然とこういう風に出来上がっていましたね。

――確かに1曲1曲の個性が違いますもんね。今回はこれらの曲を短期間で作り上げたと伺いました。

新村 : 時期でいったら短いですね。去年の11月くらいから曲を作り出して、レコーディングに入ったのが7月くらいかな。それで曲を詰めていきました。今までは特に期限とかも作らずに作っていたので、今回が1番短期間ですね。

山崎 : 前作からあんまり間をおかず、このままフル・アルバムにいってしまおうという空気がありましたね。曲作りを結構、急いでやったもんね。毎回スタジオ入るたびに新村くんが新しい曲を持ってきてくれたので、いいペースで制作が進みました。

――新村さんの生産スピードに驚かされますね。

新村 : デモの段階ですけど、できるまで結構大変でした。基本的に曲は全員で詰めていく感じです。

斎藤 : 録りながら結構変わりましたよね。ドラムのフレーズが結構変わった。

斎藤大樹(Dr)

新村 : 「僕はロボット」のドラムとか結構大変だったね。ほぼまるまる変わりました。あれは、元々ぬいぐるみについて歌った曲で。ごみ収集車にくまのぬいぐるみが顔を出していて、そのぬいぐるみが自分は人間だと思い込んでいる気がしたので、それを歌にしました。

――なるほど。おもしろいです。日常の中の、些細だけれど珍しい視点をうまく歌詞にされていますよね。前作の「うわさを信じるかい」とかもそうですね。

新村 : 前は歌詞を結構広いテーマで書こうと思っていたんですけど、最近は日常の些細なテーマにどれだけ意味を持たせられるかに挑戦しています。

山崎 : だいたい歌詞に裏の意味があるよね。「実はあれについて歌ってる」みたいな曲もあるんですよ、野球のやつとかさ。

新村 : 「メリーゴーランド」のことね。最初は人間の感情について全部羅列している歌詞にしようと思ったんですけど、おもしろくないなって思って。そのときちょうど野球をみていたこともあって、全部野球の用語の歌詞にしたらどうなるかなって思ったんです。デッドボールに当たって怒ったりとか、粘って歩いたファーボールとか。これはこれで人生について言っているなって思いますよね。

あれ鼻つまんで歌ってるんです(笑)

――なるほど、奥深いです。話は変わりますが、前作同様、DEWマキノさんがプロデュースしていますよね。今作と前作で方針を変えた部分はあるんですか。

新村 : 前作ではマキノさんがヴィンテージの楽器をいっぱい持ってきて、おもちゃを与えられた子供みたいな感じで制作しましたね。「これ、こんな音がするんだ」とか試行錯誤しながら、なにも分からないなかでDEWさんがアドバイスをくれたりしました。今回は、例えば「僕の車にのりなよ」のイントロだけ違うドラムの音で録りたいとか、その一瞬だけレゲエやダブみたいな音にしたいとか、自分たちである程度アイディアを固めた上で、DEWさんと一緒に作ろうと思いました。

――自分達のやりたいことを実現させた作品なんですね。

山崎 : 前作のレコーディングで、マキノさんはこういう音にしてきそうだなっていう予想がついていて。それを踏まえたら、今回は逆に予想を裏切ってきたりしてびっくりしました。マキノさん自体、すごい好奇心が強い人なんです。レコーディングに行ったら、前日とった音源を編集して遊んでいるんですよ。びっくりして。でも、「この編集いいじゃん」って思って、すごく盛り上がりましたね。

――自分達のつくったものをもっとおもしろくしてくれるのが、いいですね。

新村 : いい意味でおふざけが入れられるんですよね。

斎藤 : その場で思いついたことや、音だけイメージがあってどうやっていいかわからないことも、「こういうことをやってみたいんですけど」って言うと、具体的な方法を教えてくれるんです。引き出しが多いんだよね。

――「ピートタウンゼント・ファンクラブ」の鼻にかけた歌い方もおふさげ感がいいですよね。

新村 : あれ鼻つまんで歌ってるんです(笑)。マキノさんのアイディアで、いかにふざけられるかという(笑)。

――ふざけているのにかっこいいです(笑)。今度はどんなことに挑戦してみたいですか?

新村 : 管楽器を取り入れてみたいですね。ストリングスとかを使ってみたいです。フレーミング・リップスの『ザ・ソフト・ブレティン』の世界観にも惹かれますね。今後、サウンドはカラフルにしていきたいですけど、メロディはもっとシンプルにしたいと思います。

――今でもシンプルだと思いますけど、よりシンプルにされるんですか。

新村 : もっとメロディに思いを込められるんじゃないかなと思います。1番はメロディです。僕、「ソングライティングノート」というものを作っていて、曲作りについて思ったことをばーっと書いているんです。例えばキンクスはサビではこういうメロディを入れるとか。あえてパッパッパと歌えばいいのにファファファと歌うとか。そういうヒントがたくさん書いてあって。それがたまってきたので、次はそれ活かそうと思ってます。

――すごい勉強されてますね。自分の好きなバンドの特徴を自分のものとして盗んでいって曲を作り上げていくのですね。

新村 : 最近はキンクスのコーラスの組み立て方が、主旋律のメロディだけで4人くらいに歌っているような聴かせ方をしていて、それを盗みました。次の曲で活かそうと思っています。

音楽を通すことで、新しい意味で日常を捉えられるような作品です

『TOWER』アルバム・ジャケット

――それは楽しみです。そして今回のアルバムタイトルですが、どうして『TOWER』なのでしょうか。

新村 : 高いところから日常を見下ろすと、日常がちっぽけに見えたりすることがあるじゃないですが。それが音楽にもあるのかなって思ったからです。

――日常を俯瞰してみた作品なのでしょうか。

新村 : 音楽を通すことで、新しい意味で日常を捉えられるような作品です。こないだ「ムーンライズ・キングダム」という映画を観に行ったんですけど、ハンク・ウィリアムズっていうカントリー歌手が挿入歌で使われていて。その曲だけ聴くとアメリカの田舎町を思わせる音楽なんですけど、映画の中でその音楽を聴くと、別世界の音楽に聴こえたんです。そういうヒントを得たこともあります。

――日常の景色を変えて見れるような、俯瞰してみてもおもしろいアルバムってことですね。『TOWER』をきく際こんなふうにきいてほしいという点はありますか?

浦田恭平(Gt)

浦田 : なるべくでかい音できいてくれれば楽しいかなって思います。

山崎 : 1番好きなのは「最終回」なんですけど、曲ごとに全然違うキャラクターを感じているんで、アルバム通して聴いてもらうのも嬉しいですけど、1曲1曲に思い入れを持ってもらうのも良いかなと思います。曲によって全然違う景色がみえると思うので。

――それぞれのマイ・ベスト・ソングが見つかりそうですね。

山崎 : きいてくれた人が「ああ、それわかる」みたいな感覚になってほしいです。

新村 : 最近よく考えるんですけど、音楽で世界は変えられると思うんです。例えば道端で思いっきりドラムを叩いたら苦情が来るし、その時点で世界は変わっているなと思います。

山崎 : 曲の中の些細な音がフッと鳴った瞬間に、全然違う感覚がパッと生まれるような、そんな自分の中での変化を感じてほしいですね。

――なるほど。ひとりひとりのちょっとした部分を変えることができると思います。やがて多くの人を変えることで世界も変わるという。

斎藤 : アルバム作って、今日こうしてOTOTOYに来ている時点で変わっていますね。僕は「めまい」が1番すきな曲ですけど、1曲1曲が映画みたいに、別の世界を別の視点からみているような曲なんです。さっき新村さんがいったように、今見ている世界が少し変わったら、それはすごい素敵なことだなと思います。人それぞれのTOWERから眺めてもらいたいな。

新村 : お、いいこと言った! みんなそれが言いたかったんだよね。

一同 : (沈黙)

斎藤 : あ、違うみたいですね(笑)。

――(笑)。最後に、きいてくださる方にメッセージをお願いします。

浦田 : 12月14日に発売記念ワンマン・ライヴがあります。あすなろうは、ライヴと音源だとちょっと違うんで、音源を聴いてくれた人は是非ライヴも来てください。

斎藤 : ライヴと音源のギャップがあるとよく言われます。

山崎 : ライヴの方が、ガレージ・ロックという言葉が合うと思うんですよ。音源は空気感がつくれるので、空間がある音になっている。僕もあすなろうに参加する前は、あすなろうにガレージ感を覚えたので。絶対に違いを感じると思いますよ。

――ライヴも楽しみにしています。ありがとうございました。

あすなろうの過去作はこちら!!

あすなろう / Take it easy

昨年リリースされた、あすなろうのミニ・アルバム。今作『TOWER』と同じく、エンジニアは、THE BAWDIES、毛皮のマリーズ、デキシード・ザ・エモンズ等を手掛けたDEWマキノ氏。今では珍しくなったメロトロンを使用し、後期ビートルズ・サウンドを意識した楽曲やピンクフロイドのサウンドを思わせる楽曲など、多彩な魅力が詰め込まれた1枚。

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倉内太 / 刺繍

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LIVE INFORMATION

あすなろう2ndアルバム『TOWER』レコ発2マン・ライヴ!
〈あすなろう×SHOTGUN RUNNERS〉
2013年12月1日(日)@金沢vanvanV4
w/ SHOTGUN RUNNERS
OPEN / START : 18:00 / 18:30
料金 : 前売り 2,000円 当日 2,300円

〈あすなろう 2nd Album "TOWER" リリースツアー〉
2013年12月10日(火)@名古屋K.Dハポン
w/ ソファーズ、ヒューマンズ
OPEN / START : 19:00 / 19:30
料金 : 前売り / 当日 1,800円

2013年12月11日(水)@京都nano
w/ 花泥棒、ほいほい、THE MYHALLEY
OPEN / START : 18:00 / 18:30
料金 : 前売り 1,500円 当日 1,800円

2013年12月12日(木)@十三ファンダンゴ
w/ てふてふ、神頼みレコード
OPEN / START : 18:30 / 19:00
料金 : 前売り 2,000円 当日 2,300円

あすなろう2ndアルバム“TOWER" 発売記念ワンマン・ライヴ〈タワー・オブ・ポップス!!!!〉
2013年12月14日(土)@新宿red cloth
OPEN / START : 18:30 / 19:30
料金 : 前売り 2,000円 当日 2,500円

PROFILE

あすなろう

ロックンロールの無敵さと、ビートルズの冒険精神と、ハート・ブロークンなメロディを愛する4人組のバンド。シンプルかつ丁寧に紡いだ、映像のような日本語詞と60年代サイケデリック・ミュージックを基調にしたサウンド。「みんなのうた」のようないつの時代にも色あせない、シンプルで心にのこるポップ・ソングを4人のバンド・サウンドで鳴らしながら爆走活動中。

>>あすなろうOfficial HP

この記事の筆者
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