いまのロックってどうなのよ?ーー壊れかけのテープレコーダーズ、MO’SOME TONEBENDERのフロントマンに訊く現在のロック
ロックとはいつの時代も衝撃的で、ある時は大きな希望となり、魅了された者の世界を変えてしまう大きな力がある。壊れかけのテープレコーダーズの小森清貴は、そんなロックの魅力に取り憑かれたひとりであり、常日頃から自身のロックを追求し続ける根っからのロックンローラーだ。壊れかけの新譜は『broken world & pray the rock'n roll』というストレートなタイトルどおり、これまで以上にロックへの愛がたっぷりと詰まった力作。また8月には、小森が敬愛する百々和宏とテープエコーズを招いてレコ発2マン・ライヴが開催される。百々が所属するバンド、MO’SOME TONEBENDERもまた、ロック・シーンの中で独自の地位を築き、長らく進化を続けてきた。そこで今回は、小森と百々によるロック対談を敢行。ふたりが考えるいまのロック・シーンとは。それぞれのバンドへの思いやロックが与えた衝動など、世代を超えてたっぷりと語ってもらった。
インタヴュー&文 : 前田将博
ロックへの愛が詰まった4thアルバム
壊れかけのテープレコーダーズ / Broken World & Pray The Rock'n Roll
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV、mp3
【価格】
単曲 257円 / まとめ購入 2,313円
【Track List】
1. 15歳のポケット / 2. 海岸線 / 3. エンドレスワルツ
4. 聖者の行進 / 5. broken world / 6. どこにいても
7. 夜の果てへの旅 / 8. ひとつ / 9. ロックスターのお墓参り
壊れかけのテープレコーダーズ4th Album「broken world & pray the rock 'n roll」レコ発自主企画
「ロックンロールの殉教者」
2014年8月18日(月)@下北沢SHELTER
時間 : OPEN 19:00 / START 19:30
価格 : 前売り 2,500円 / 当日 3,000円
出演 : 壊れかけのテープレコーダーズ、百々和宏とテープエコーズ
>>「ロックンロールの殉教者」のライヴ・レポートはこちら
INTERVIEW : 小森清貴 × 百々和宏
ーーふたりはいつ頃から面識があるんですか?
百々 : しゃべったのは風林会館がはじめてだよね。
小森清貴(以下、小森) : 〈みんなの戦艦〉(2012年に新宿・風林会館で行われたライヴ・イベント)ですね。
ーー小森さんが運営にも関わってたんですよね。
小森 : そうです。そのときに挨拶したら「知ってるよ」って、すでに認知してくださっていたみたいで。
百々 : 僕はまだ壊れかけのライヴは観たことがないんですけど、音源は聴いていたんですよ。行きつけの飲み屋でかかっていて(笑)。店主が好きだったみたいで。
小森 : 吉祥寺のスモールライトですか?
百々 : そうそう。店主とすごい趣味が合うので、かかってる音楽に「これなに?」って訊くのが楽しくて。
ーー小森さんは、はじめてモーサムのライヴを観たのはいつ頃なんですか?
小森 : 高校2年生のときですね。僕は茨城県の日立市出身なんですけど、モーサムは当時まだ水戸には来ていなかったので、東京まで観にいったんです。『LIGHT, SLIDE, DUMMY』っていう2ndアルバムのリリース・ツアーのときに、まだ新宿にあったリキッドルームに。東京に行くのははじめてだったし、当時はまだ歌舞伎町もおっかなかったですね。
百々 : 12年くらい前かな。当時はライヴばっかりやってて、新宿のリキッドでもよくやっていましたね。
小森 : 当時のモーサムのライヴは客が暴動みたいな感じで、すごい盛り上がりでした。感触がザラザラしてて牙がむき出しで、野蛮で襲いかかるような聴いたことのない音でしたね。
ーー今回対バンする百々さんのソロ・バンドと壊れかけは、名前に共通点がありますよね。
百々 : ちょうど僕のソロをはじめたときに、バンド名義のときの名前を決めよう思って、壊れかけのテープレコーダーズに似てるなって思いながら、百々和宏とテープエコーズって名前をつけたんです。小森くんには少し申し訳ないなって思いながら(笑)。そのちょっと前くらいに壊れかけの音源を聴きだしたんですよ。ちょうど僕の製作期間中だったので、すごいソロと匂いが近いなって思って。壊れかけに『箱舟』っていうアルバムがあって、僕も「箱舟」っていう歌詞を書いていたし。
小森 : うれしいですね。
ーー百々さんが近いなって思ったのは、どんな部分なんでしょう。
百々 : やっぱり、音楽への愛情ですかね。ジャンルとか音的なこともあるんですけど、聴いていると本当に音楽が好きなんだろうなっていうのはわかるし、すごく好感が持てる。
ーー特に今回の『broken world & pray the rock'n roll』は、小森さんが好きな音楽に対する愛情がストレートに出てる気がしますね。
小森 : 直球ですよね。前作の『ハレルヤ』を作り終えたあとから自分のなかで曲作りもはじまってて、2年がかりで楽曲をアレンジしていまに至るって感じです。そのときに、すでに『broken world & pray the rock'n roll』っていう言葉はありましたね。初期はサイケデリックとか自分でも言っていたかもしれないけど、だんだん形容詞的なものは除外されていったっていうか。抽象的ではあるんですけど、ロックとしか言いようがないなと思って。中高時代にモーサムやナンバーガール、ブッチャーズとか、ニルヴァーナみたいな洋楽のグランジだったりを聴いて、そこからのめり込んで感じた衝動。それをダイレクトに込めたいっていうのは今回のコンセプトにありました。
やっぱり、不良に憧れますよね
ーーこのアルバムの中核に位置する大作「broken world」は結構前からライヴでやられていますよね。この曲もそうですけど、アルバム全体に終末感が漂ってるなって思って。それこそ、前のシングル『踊り場から、ずっと / 羽があれば』には震災の影響を感じたし、世相を反映している気がします。
小森 : 意図してるわけではないんですけどね。やはり日本、環境や社会とか、そこに対して一義的な意見とか、直接的なメッセージとかは描こうとは思っていなくて。もっと暗示的な状況とか、いま置かれている形を描きたいなって。ただ、ロックやポップ・ミュージックは時代を写す鏡だと思うので、2012~14年くらいのなにかしらの形が写されている気はします。自然と滲み出ているというか。
百々 : 僕も歌詞を書く時は、説教臭いものとかは排除したいと思って作っていますね。音楽は音で50%は語ってるから。結局は聴いた人がどう受け止めるのかでいいと思ってるし。ただ、最初のソロ・アルバム『窓』は2011年に1年くらいかけてゆっくり作ったので、やっぱりいま聴くと暗いんですよ。だから、自然とそのときの空気感が自分のテンションや音や言葉に反映されてるなって思いましたね。
ーーなるほど。あと、『broken world & pray the rock'n roll』には、終末感を覆す希望も感じたんですよね。最初と最後が「15歳のポケット」と「ロックスターのお墓参り」っていう構成で、どちらもロックへの思いを歌っている。こんな世の中だからこそ、ロックが必要なんじゃないかって言ってる気がしたんです。
小森 : まさにそれかもしれない。やっぱり、未来への希望は込めないと。だからplayじゃなくてpray(祈る)なんですよ。実は「15歳のポケット」の歌詞と百々さんの「ロックンロールハート」の歌詞に、「アンプのメモリを10にして」ってかぶってる部分があるんですよね。リリースがあとになったからパクったと思われるかもしれないですけど(笑)。
百々 : 大丈夫ですよ(笑)。
小森 : だから、僕も同じような思いを百々さんの音楽にも感じるし、沸きあがるような衝動があるんです。もしかしたら、それが希望なのかもしれないし。それでなにかはじめてみようって思ってエレキ・ギターをやってみて、いまがあるから。
ーー「ロックンロールハート」もまさにそういう衝動がストレートにつまっていますが、百々さんも音楽をはじめたときは憧れの気持ちが強かったですか?
百々 : 憧れしかなかったですね。15~6歳くらいにギターを買ってバンドを組みはじめた頃なんかは、音楽で飯が食えるといいなとか、ロック・ミュージシャンになってやるって。半分くらいは俺じゃ無理だろうって思っていましたけど。
ーーロックに救われる感覚というか、自分の中の世界が変わったような感覚はありましたか?
百々 : 僕は小学校の頃とかは、通信簿に必ず先生から「授業を妨害します」と書かれるギャーギャーうるさい子供だったんですよ。それが原因で、親父から無理やり剣道をやらされるんです。それでも全然、治らなかったですけど。でも中学入ったくらいにロックを聴きはじめてから、不良への憧れみたいなものが入ってきて、途端に学校でもクールになってきましたね。うるさいのは子供っぽいし、それよりも無言でかっこよくギターを弾く方にいきました(笑)。
小森 : やっぱり、不良に憧れますよね(笑)。
ーー小森さんの世代でも、やはりロックは不良みたいなイメージはあります?
小森 : 田舎でしたからね。洋楽なんて聴いてる人はいなかったし、エレキ・ギターを持ってる人はまわりにいなかった。不良っぽいというか、ならず者っぽいイメージ。そういうものでないといけないと、いまでも思っています。
ーー百々さんの出身地である福岡は、ロックが根づいているイメージがあります。
百々 : それは80年代初頭のイメージがそのまま残っている気がしますね(笑)。地元にいたら、誰も明太ロックとか言わないですし。福岡から来たっていうと東京ではみんなに言われるので、ちょっと馬鹿にされてると思ってたんですよ。でも、いまになるとわかりますね。2000年前後とか、東京でライヴをやりはじめた頃ってパンクと言ってもちょっと健康的で、ハイスタみたいなメロコアだったりすごくポジティヴなバンドが多かったので、そことも全然違う。かたや下北沢あたりのバンドとかガレージ・ロックとも違うし、結局入るシーンがないんですよ。入りたくもないけど。東京はバンドが多いから、みんな属してる感がすごくあって、おれらは入れないからちょっと斜に構えると、明太ロックだねって言われる(笑)。
ーーそれこそ、椎名林檎やナンバーガールも福岡ですもんね。
小森 : だから僕は、いまでこそ福岡でライヴをやるようになりましたけど、高校生くらいからすごく憧れてて。椎名林檎も好きでファンクラブにも入っていたし、ほかにもパニックスマイルとかスパルタローカルズもいて、なんてすごい国なんだったって(笑)。もう、ニューヨークみたいなイメージがありましたからね。
百々 : 行ったら、たいしたことなかったでしょ(笑)?
小森 : いや、行ったら最高でした! 百蚊とか蝉とかと対バンして、福岡のバンドは毎回衝撃的だし、すごいなって。
ーーお客さんの反応も東京と違いますか?
小森 : とにかく飲みますね(笑)。
百々 : あはははは! 確かにそうかも(笑)。
小森 : ぶち上がり具合はすごいです。打ち上げもすごくて、やっぱり酒カルチャーが強いですよね。
いまのロック・バンドの人って叫んでないですよね
ーー最近はロック・シーン自体もだいぶ変わってきて、不良みたいなイメージが薄れてきていると思うんですよ。ロックという音楽ジャンルも、いまは踊れるものが売れていたりとか。ただ、モーサムなんかは、そういう新しいものをとてもうまく取り入れてるイメージがあります。自分たちのアイデンティティを残しつつも、柔軟にいろんなことをやっているというか。
百々 : たしかにそうかも。いろいろやってないと飽きるんですよ。飽きたらバンドが続かないし、結構メンバーそれぞれの我が強くて、やりたいことがあるので。それを取り込みながら作品ごとにカラーが変わっていったり、ライヴの観せ方が変わったりとか、そうせざるを得なくてやってる感じが強いです。あと、最近のライヴはシーケンスを入れたような曲も多いし、ステージ上でネタみたいなことをやってるメンバーもいる。なので、フェスとかで名前は知ってるけど観たことがないってお客さんにも、おもしろがらせるような感じが出せてるとは思います。
小森 : モーサムの変貌はサウンドにしても核の部分は変わっていない気がするけど、勇さんがドラムからギターになるとか、チャレンジ精神をすごく感じます。その貪欲さがロックの魅力だと思うんです。だからといって壊れかけがいきなりシーケンスを使ったりはしないですけど、その可能性は排除しないし、いつかやるかもしれない。そこは僕も柔軟だし、ダンサブルな曲とか4つ打ちのテクノとかラップなんかも、やってみたい思いはあります。
ーー壊れかけも芯は残しつつも、少しずつ変化していますよね。百々さんは、その時々で流行っている音楽を気にしたりはしますか?
百々 : 僕自身はそうでもないですね。メンバーのなかでは藤田勇がそういう位置なんですけど、大馬鹿野郎なので空気感だけを感じとってるんでしょうね。ただ、明確なビジョンとして次はこれをやろうみたいな感じでもなくて、なんとなくチョイスしていったら自然と方向性が見えてくる。
ーー新しく出てくるバンドを見ていて、どんな思いがありますか?
百々 : とにかくみんな演奏力が高いですよね。音楽のクオリティも高いし。あと、メンバーの性格もいい(笑)。昔はなんであんなに性格が悪い人ばっかりだったんだろうってくらい、めちゃくちゃだったんですけど、いまは普通に勉強もできるんだろうなって子たちがやってる気はしますね。知性を感じます。
ーー実際に、最近のライヴハウス・シーンで長く続いているバンドを見ると、いい大学を出てる人が多い気がしますね。
百々 : そうなんですよね。だから、いま音楽をやるモチベーションはハングリー精神じゃないんだろうなって思いましたね。
ーー百々さんが音楽を続ける理由は、やはりハングリー精神が大きいですか。
百々 : 自分はもっとできるだろうとか、もっとすごい人間になりたいとか、自分をいかに高みに上げられるかみたいなところですかね。ビッグになって外車に乗ってみたいな、わかりやすいロック・ドリームじゃないけど。いまはそういうのも、ほとんど聞かないですよね。
ーーもっと現実的なものになってきてる気はしますね。
百々 : 余裕があるんだと思いますね。だから音楽をやる時間もあるわけだし、そこにハングリー精神は必要ないのかなって感じます。もしかしたら経済的な余裕なのかもしれないし。だから、いまのロック・バンドの人って叫んでないですよね(笑)。
小森 : それは重大かも(笑)。
ーー小森さんはいま出てきているバンドに近い世代ですけど、めっちゃ叫んでますもんね。
小森 : バリバリ叫んでますね(笑)。やっぱり、叫ばないと!
百々 : 抗ってる感じがするよね。
小森 : 世代はあんまり関係ない気がしますね。結局、自分が影響を受けてきたものが出るだけなので。
百々 : いまは解放が目的じゃなくて、もっとポップなものになってるというか。フェスでもみんなでシンガロングして、いい汗かいてタオルを買って汗を拭いて終わり、みたいな。
ーーそういう意味では、聴く側も余裕がある気がしますね。昔はライヴハウスに来るお客さんももっと追いつめられていたと思うんです。あと、いまはみんな誰かと一緒に行きたがる人が多いですよね。ネットやSNSが普及したことも大きいと思いますが。
小森 : 壊れかけはひとりで観てる人が多いですよ。誰ともしゃべらずに帰る人が多い(笑)。
百々 : モーサムも多いんだよね(笑)。
ーーイベンターの方にも言われたそうですね。
百々 : そうなんですよ。名古屋のイベンターから「モーサムのライヴってひとりで来るやつが多いよね」って言われて、なにくそって思って。で、ペアで来たら割引っていうのをやったけど思ったより売れなくて、結局ひとりで来ている人が多かったっていう(笑)。
ーーでも、ひとりを受け入れてくれるバンドの存在は、いまだからこそすごく意義があると思うんですよ。確実にそういう人たちはいるわけだし。
小森 : どっちがいいってことはないんですよね。複数の人を相手にライヴする以上は、なにかしらの共有意識や繋がりを生みだすことも大切だと思うし、もちろんもっとパーソナルな解き方をすることもとても大切なことだと思う。でもどちらにせよ、こっちがそうさせようと思ってやっているわけではないし。もちろん、エンターテイメントとして昇華できるようにやってはいますけど、動きを強いるようなことはしない。昔のローリング・ストーンズとかのビデオを観ると、モッシュとかじゃなくてお客さんがその場で立って踊り狂ってることが多いんですよね。そこから全体のグルーヴが生まれて裸になっちゃう人もいたりとか、そのフリーダムな感じが好きですね。
ーー小森さんは、ロック・シーンのなかでどうありたいと思いますか?
小森 : うーん… 孤高でありたいかな。mooolsとか割礼みたいに。モーサムも孤高ですけどね。
百々 : 外れ続けただけだよ(笑)。いまも昔も、シーンとかは気にせずやってる気はしますよね。
ーーでは最後に、8月の2マンはどんなイベントになりそうですか。
小森 : ロックンロール・ショーですね。〈ロックンロールの殉教者〉ってタイトルですから、夢のあるロック・イベントにします。
ーーどうなったら成功だと思います?
小森 : それは、みんなが「ウオー!!」ってなったら成功でしょ! もちろん実際に叫ばなくてもいいんですけど、拳を掲げるような気持ちになってもらえたらうれしいですね。そうなってほしいと思ってやってるから。
百々 : むき出しになっちゃうような感じですね。ソロのライヴに限っては、いつもライヴハウスのアルコール売上で盛り上がったかどうか判断してるんですけど、シェルターの時は変えようかな。僕も小森くんと一緒で、お客さんがシャウトしたら成功にします。
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LIVE INFORMATION
壊れかけのテープレコーダーズ
2014年7月20日(日)@南池袋 MUSIC ORG
2014年8月8日(金)@名古屋 KDハポン
2014年8月10日(日)@四日市 ガッツU
壊れかけのテープレコーダーズ4th Album「broken world & pray the rock 'n roll」レコ発自主企画
「ロックンロールの殉教者」
2014年8月18日(月)@下北沢SHELTER
時間 : OPEN 19:00 / START 19:30
価格 : 前売り 2,500円 / 当日 3,000円
出演 : 壊れかけのテープレコーダーズ、百々和宏とテープエコーズ
2014年9月19日(金)@広島4.14
2014年9月20日(土)@梅田ハードレイン
2014年9月21日(日)@神戸ヘラバラウンジ
2014年9月27日(土)@長野ネオンホール
百々和宏
2014年6月20日(金)@名古屋K.D ハポン
2014年6月21日(土)@大阪cafe Room
2014年6月29日(日)@下北沢 風知空知
2014年7月6日(日)@黒崎マーカス
2014年7月22日(火)@下北沢GARDEN
PROFILE
壊れかけのテープレコーダーズ
ロック・バンド。
原初的な大文字の「ロック」の精神を現代に継承し提示させながら最新型を打ち鳴らす4人組。男女ツイン・ヴォーカルの紡ぎだすハーモニーと、激しく歪められたギター、ヴィンテージ・コンボ・オルガンの調べ、それらを支えるベースとドラムを武器に、2007年の結成以来不動の4人にて活動中。
2009年に強烈なサイケデリアで塗り固められた1st『聴こえる』にてレコード・デビュー。以後2010年には早くも2nd作『箱舟』を発表、意図的に一切のオーバー・ダビングを排し、ライヴで培った躍動を見事にパッケージング化する。2012年にはディスコやファンク、AORまでをも独自の解釈で咀嚼した衝撃の3rd『ハレルヤ』を発表し、「新たな日本語ロックの金字塔」と評され、大絶賛される。2013年には史上最もポップな作品となったシングル作『踊り場から、ずっと / 羽はあれば』を自主リリース。以外にも『TOKYO NEW WAVE 2010』をはじめとするコンピレーション・アルバムへの参加や、ライヴ音源の自主リリースなど、いくつもの作品を残す。時を経るにつれ激しく楽曲の作風を変化させながらも、その根本姿勢は常に「ロック」の精神に貫かれている。
当代屈指のライヴ・バンドとしてもかねてから定評があり、全国各地を股にかけながら常に精力的なライヴ活動を繰り広げている。そのライヴ・パフォーマンスは「すべてを浄化するかのよう」とも「すべてを更地にするかのよう」とも評される神々しさと破壊力を持つ。また定期的に開催される自主企画の内容の濃さも常に注目されており、これまでに割礼、灰野敬二、原マスミ、Maher Shalal Hash Bazなどといった重鎮達を招き、世代を超えた共演を果たしている。
百々和宏
’97年福岡で結成した真正ロックバンドMO’SOME TONEBENDERのG/Vo。普段は安酒場をローリングする泥酔イスト。酒場紀行文を集めた「泥酔ジャーナル」の著者としてもカルトな人気を誇る。2012年からソロ活動を開始。2枚のソロ・アルバムをリリースし、ライヴではエレキ弾き語りの他バンド「百々和宏とテープエコーズ」としても精力的に活動中。