CROSS REVIEW 1「潜在的なアイ」
まっさらな視点から見える、果てしなくカラフルなバンドの全体像
文:高岡洋詞
名前も音も初めて聴いたバンドだが、ちょっと新人離れ……と書いて、きょうびナンセンスな表現だよな、と思い直した。
2023年にリリースしたファースト・アルバム『Ashtray』を聴けば、メンバー各々のバックグラウンドを反映したジャンル横断的な音楽性、それを十全に表現できる高い演奏力、低音から高音まで吐息も含めて変幻自在にニュアンスを使い分けるヴォーカルと、「カメレオンロックバンド」の存在感はすでに出来上がっていた感がある。そう自ら標榜するのも、ついでに言うと自分たちの音楽を「たばこが産み出した灰」にたとえる(バンド名はテーブルの上にあったマネージャーのたばこが由来)のも、聡明さとユーモア・センスの表れだろう。
“潜在的なアイ” はソニーミュージックからのメジャー・デビュー曲で、TVアニメのエンディング・テーマ。情報の量と処理速度が過去の曲を5とすれば7〜8はありそうな目まぐるしい展開と言葉数の多さ、それを涼しい顔で乗りこなす技術の高さが印象に残る。 “アニソン” という持ち曲もある彼らのこと、クライアントの要請を見極めて自覚的に取り組んだと推測するし、成果は上々である。
「無双幻想で大敗 曖昧 倦怠で渋滞/ひっちゃかめっちゃか等身大 もうしんどい並べてどうすんだい?」「事勿れな現状 不眠で症」のように、椎名林檎からラップまで1990年代以降のJ-POPの方法論をナチュラルに消化(昇華)した歌詞は、リスナーとして音響的快楽に身を委ねさせ、リリック・シートまで見る者には意味を伝える「ひと粒で二度おいしい」流儀。一方でサビはあくまで明快であり、メロディにはいい塩梅のアクもある。アニメのカット割が浮かんできそうだ。
バッチリ決め込んだ感のある “潜在的なアイ” から一転、カップリングの “眠民ゼミ” は時計の秒針のような音やパーカッションのチャカポコ音を配して、諧謔味を前面に出している。シティ・ポップの流行を踏まえたと聞こえなくもないアーバンなファンクで、「ここまでご静聴 ありがとう」で締める歌詞も含め、リラックスした風情に好感が持てる。
ボーナス・トラックっぽく収録されたインディーズ時代の “嘘つき” “恋愛進化論” “Inside Out” のスタジオ・ライヴは、13.3gの本質を知るには最適と言えるかもしれない。スタジオ・ヴァージョンも十分しっかりしているが、聴き比べればやはり進境は著しい。彼らの自信の発露であり、「俺らの本領はライヴやで。聴きに来てな」というメッセージでもあるだろう。
アニメ・タイアップの表題曲、より等身大に近いカップリング、そしてスタジオ・セッションと、13.3gの「現在地」を過不足なくパッケージしたシングルだと思う。メジャー・デビューの段階ですでに完成度の高いバンドだが、インプットを増やし経験を積んでいけば、まだまだ変化、成長していくはず。ここでじっくり聴く機会をもらえたのも何かの縁、今後も注目していこうと思う。長く続けてほしい。






























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