編集部が注目する今週のリリース作品
新体制初のアルバム
過激で変幻自在な音楽性で、楽曲派シーンの草分け的存在のアイドル、SITUASION。その新体制の幕開けを告げるアルバム。これからますます、進化していく彼女たちの未来。 まずはここから感じてほしい。(西田)
リマスタープロジェクト後期作品に突入
ミッシェル30周年プロジェクトもいよいよ後期作品に。今回は2001年リリース、6枚目となるアルバム『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』。バンドの転換期をもろに感じる楽曲が並ぶが、名曲多し。新たにハイレゾでリマスタリングされたなかだと、このアルバムが1番気持ちよく聴けるような気がする。個人的にはチバユウスケが自分の名前を呼んでくれる曲が入っているので、毎回そこでドキッとする。(高木)
“うた”をモチーフにした共作
様々なアーティストとの即興演奏を現在まで精力的に行う灰野敬二と、電子音楽家の蓮沼執太による、「うた」をコンセプトにした共作が到着した。猿島の洞窟やWWWなどでパフォーマンスを重ねてきた二人だからこその信頼感もあってか、蓮沼執太が紡いだ詩に灰野敬二がメロディを乗せるという制作方法がとられている。お互いがリズムと音程を追いかけるように展開していく様と、立体的に配置された音の粒や波は、すぐそこで演奏されているインスタレーションのような緊張感を持っている。そして灰野敬二の独特の歌い回しがシンセサイザーの響きに有機的なものを付与しているのはもちろん、録音した打楽器や鈴の音が使われていることがよりこの作品が描く景色を広げている。ジャケットに施されたのは「ガッシュ=不透明の水性絵具」と発音しているふたりの口。相互的に音を塗り重ねあうこの『う た』の特性がここにもよく表れている。(津田)
挫・人間らしさの詰まったシングル
挫・人間が3枚目のシングルをリリース。表題曲"わりきれないよ"は、夏のおわりにぴったりな、すこし寂しげで切ない一曲。カップリングの"マリ""はじけるべき人生"はアップ・テンポなパーティーチューン、だけどよくよく聴くとやっぱりこちらも切なかったりやるせない歌詞を歌っていて、まさに挫・人間らしい二曲。(藤田)
宅録弾き語り音源集
冬山登山による宅録弾き語り音源集がリリース。フォーク・ギター乗せた日記的、空想的な歌詞を軸に、ピッチの不安定な笛の音や、ラフに録られたであろう脱力感のあるリズム・トラックがとても心地いい。ギター・サウンドは優しいアルペジオから、パンチのあるバリッとしたストロークまで幅広く、高い表現力に脱帽。歌詞と音、両方に適度なユーモア・センスを感じる秀逸なアルバムです。(菅家)
オルタナティブ・ロックバンド、國のファーストAL
人はなぜ歴史を学び、古典を読むのだろう。よく言われるのは、現在の自分を相対化し、過去を共有する他者との共通言語を持ち、未来を歩むためだ。スマッシング・パンプキンズが12年ぶりに来日する2025年9月にリリースされた、若きオルタナティブ・ロック・バンド、國の1stフルアルバム。90年代の音像を濃厚に湛えながら、自らの知性と意志に基づき緻密に編まれた楽曲群。今日ここからこれを共通言語にすればよい、とさえ思う。M10 “Tiny Sun” はこんな歌詞ではじまる。「鏡の中に 新しいことなどない 同じような歪み 作っては壊した」。國が差し出す新しい光を、わたしたちは見逃さずにいたい。(高田)
オトトイパーティー通信