2009/07/17 00:00

昨年から頻繁にジャック達の名前をきくようになった。シネマ、タイツの一色進、元面影ラッキーホールの宙GGPキハラ、元チューインガム・ウィークエンドの夏秋文尚の3人が、フルーツが散りばめられたジャケットと共に、配信限定で2ヶ月に2曲のペースで新曲をリリースしだしたのだ。一色進は、50代。けれど、その柔軟なアイデアで、果敢に音楽業界に切り込んでくる。「音楽が売れなくなっている! 」「CDの売り上げは、前年の50%! 」「携帯で音楽を聴きたいか? 」「〜音楽雑誌廃刊らしいよ」みたいな会話が毎日行われてて、まさに音楽業界は激動の時代に突入したわけ。こんな時こそ、アーティストであるミュージシャンは、既存のスタイルに捕われることなく、ポジティブなアイデアを発揮するべきなんだ。って、当然の意識をジャック達から教わることが出来る。

インタビュー&文 : 飯田仁一郎

INTERVIEW


—まずは、昨年から配信限定で、楽曲を提供し始めた理由を教えてください。

一色進(以下、I) : 一つは、パッケージにするとお金がかかる。2つ目には、なんらかのニュースをファンに提供したかったんです。アルバムを作ると1年かかっちゃう。でも2ヶ月に2曲のシングル配信なら、常に話題を保ち続けることが出来るから。でも、やってみるとかなり大変で、結局遅れちゃいましたけど(笑) このシングル・シリーズは、6部作なんです。7月に出たのが5回目です。最初はね、i-Tunesでの配信の仕方さえわからなくて、苦労したんですよ。全然やり方わからないし、apple storeにいったら「i-Tunes見たらわかります」とか言われるし...(笑)


—配信シリーズを5回続けてきて、手応えはありますか?

I : 正直なところ、配信は手応えを感じにくいことに気づきました。ジャケットがカタログとして6枚並んでインパクトがでた時には、何かが起りそうな気はしているんですけどね。

宙GGPキハラ(以下、K) : レコ発では、会場でCDを売ることができるけれど、配信ではそれができないからねぇ(笑)

I : けれど、CDだと今はタワー・レコード等のCDショップに置いてもらうことも難しいから、ライブに来る限られた世界の人にしか届けることができない。だからこそ、配信では僕等を聴いたことのない人に届く可能性があると思っています。


—このシリーズのジャケットがフルーツで統一されているのは何故ですか?

I : ベトナムへ旅行した時に、ドリアンみたいな食べ物が道ばたにゴロゴロ落ちてて、子供が食べたりしてた。「これ何?」って聴いたらジャックフルーツ(パラミツ)だって言うんですよ。それで、閃いたんですよね。曲名とジャケットは連動していないですけど(笑)、僕等の新しい果実だっていう意味が込められています。


—今作の配信シングル「RAINDROP SERENADE」はいつ頃出来たんですか?

K : 今年の5月に出来ました。一色さんがうちに遊びに来た時に「曲作らなくちゃ」って思い立って、ガレージ・バンドに取りあえず曲のラフを入れて、それを夏秋さんに送ったらデジタル・パフォーマーで枠を作ってくれた。それにギターや歌を一生懸命入れて、最後に夏秋さんが魔法をかけてくれたんです。これは僕等がよくやる方法。アイデアは僕と一色さんの比重が高くて、音に関しては、完全に夏秋さんがプロデュースするんですよ。


—5月に出来た曲が、もう聴けるなんて素敵なことですよね。CDにこだわり続けるアーティストが多い中、一色さんのような年配の方が新しいメディアを取り入れる姿勢は素晴らしいと思います。

I : 昔から、新しいものが好きだったんですよね。音楽って、ソフトはさほど変わらないけれど、ハードは時代によって変わっていくじゃないですか。アナログからCD、CDから配信のようにね。それにうまく順応することによって、聴き手の幅を広げれるんじゃないかな。

K : 僕たちの音楽は毒みたいな音楽だから、嫌いな人がいっぱいいてもいい。でも、こいつらいいよねって言ってくれる人もいると思うんです。ジャック達をまだ聴いたことがないっていう今の状況が一番堪えるんで すよ。


—一色さんのように、長い間音楽を続けていく原動力を教えてください。

I : やっぱり音楽が好きなんですね。今のロックは、原型が全てストリート・ミュージシャンにあるようでつまらない。街中で歌うそのままが出ちゃっていて、もっとアレンジやアンサンブルを凝って欲しいし、昔のロックにはそれがあった。僕はそんなロックを聴きたいけれど、誰もやらないから、結局自分でやってるんですよ。歌に関して言うと、日本のボーカリスト至上主義がすごい嫌。歌ばっかり大きいんだもの。そんなに歌が大事なら、僕が歌ってやるよって思って(笑)。でも僕が歌う以上は、フランス料理にはなり得ないので、街の定食屋のつもりでうたっていたのがタイツ。ジャック達はさらに駄菓子屋(笑) 。「お前等、毎日ホテルで飯食ってて楽しいか?」って気持ちだよね。


—では、一色さんの音楽は完成していると思いますか?

I : 完成しています。けれど、3ヶ月たったら3ヶ月分進化しているし、進化していなければやっている意味さえないと思っています。だから現時点も一つの完成系。プログレッシブ・ロックって言葉が好きなんです。音楽的な意味では無く、言語的な意味で、プログレッシブ(進化)し続けたいと思っています。


—最後に、現在どのような目標を持って音楽を制作していますか?

I : 取りあえず死なない(笑) 。次のアルバムが出るまでは。そして何よりもジャック達のやっている音楽をもっとたくさんの人に伝えたいですね。

K : そう! やっぱり知って欲しい。ユース・カルチャーっぽい音楽と、ジャック達のそれでは、広がりのスピードが違って、それはなんでなんだろうって理由を探しながらやっています。それが僕の今のモチベーションの一つ。なので一番若い僕の役割として、ジャック達にギターの「ジャキーン!」、ドラムの「ズバンッ!」みたいなユース・カルチャーっぽいものを入れて、スピード感を足したいと思っています。

I : ジャック達が面白いと思うのは、30代、40代、50代のメンバーがいる。年代がはなれていると、聴いている音楽も違うので、決してわかりあえない部分もあるけれど、それを無理にわかりあうことによって、良い誤解が生まれるんですよ。

K : 一色さんの「すごい」って言っていることが、俺にとってはBOOWYにしか聴こえないみたいなことが今まで何度あったか(笑)。

夏秋文尚(以下、N): そうやって誤解の積み重ねが新しいものを生み出すんです。

I : それはバンドにとっての大きな発明なんだよね。

N : 世代が近くて趣味が近い人が集まれば、その世界の中での素晴らしい音楽が生まれるかもしれないけど、新しいものは生まれにくい。

K : ほんものにはなれるのかもしれないけど、僕等別にそうなりたいわけじゃないからね。

I : いいんだよ。僕等駄菓子屋だからね(笑)


LINK

PROFILE

ジャック達

一色進 : ヴォーカル、ベース、ギター / 宙GGPキハラ : ギター、ヴォーカル / 夏秋文尚 : ドラム、ヴォーカル

2003年、シネマ、タイツのメンバーだった一色進が、しばしの活動休止を経て、重たくなってた腰を上げようかなと思い始め、元面影ラッキーホールの宙GGPキハラ、元チューインガム・ウィークエンドの夏秋文尚らと結成。


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