2009/05/28 00:00


 初の配信限定曲「アクアリウム」がrecommuniでも好評の、。札幌を拠点に活動を続けている4人組だ。ひんやりした浮遊感が漂う独特のサウンドに北国を連想するのはたやすいが、それ以上にバンドとしての姿勢が明快だからこそ生まれるものだろう。ライヴの為に上京した4人(V:成山 剛、G:山内 憲介、B:田中 秀幸、D:津波 秀樹)に話を聞いた。

インタビュー & 文 : 今井智子

INTERVIEW

—バンドのキャリアは10年ほどもあるんですね。

田中: ドラムが一度変わって、津波になって7年ですね。

成山: 他の3人は、音楽の専門学校の同級生で。

田中: 「ミュージシャン・コース」というのがあって、そのクラスで一緒だったんです。ギター・コースとかヴォーカル・コースでそれぞれ午前中の授業があって、午後はバンド・アンサンブルというので課題曲をやって。

成山: でも、僕はヴォーカル・コースだったんですけど、今と変わらない歌い方だったんで、発声の先生から「君の歌い方は、あり得ない」と言われて、グレて行かなくなっちゃったんです(笑)

田中: 僕は、当時はギターを弾いてたんですけど、授業に出ると毎回すごく得るものがあった。このバンドを組んでベースになったんですけど、足りないものは自分で勉強しようと。

ーリズム隊はジャズの素養があるとか?

津波: 聴きかじっている程度なんですけど、チック・コリアとレコーディングしてたイスラエル人ベーシストのアヴィシャイ・コーエンがいいですね。

田中: 僕は全然(笑) ベース弾き始めてからはレッチリとか、ミクスチャー系が好きです。


ー山内さんはギターのまま今に至る、と。

成山: だけど、ギターが嫌いなんです(笑) リードギターって言ったら嫌がる(笑)

山内: ヨハン・ヨハンセンみたいなのが好きなんです。ギターで変な音を出したりするのが好きで。テルミンとかも使ってみたり。ライヴでは畳1枚分ぐらいのエフェクター・ボードを使っているんですけど、操作だけで何弾いてるかわからなくなる(笑) 1回それから解放されてみたいなと最近は思ってます。

ー札幌在住でずっと活動していますが、例えば東京に活動の拠点を移すことを考えたことはないんですか?

成山: ないですね。行かないことにしようと、結成当初から思っていたので。最初は、ここにいればいいよねっていうぐらいだったんですけど、東京とかのライヴが多くなってくると、北海道では言われたことのないこと、たとえば「冷たいサウンドだ」とか「北海道の景色が見えました」とか言ってくれる人がいて、レコーディングも北海道でやっているので、それに意味があるのかなと感じて。それなら北海道にずっといるのも、アリなのかなと。ライヴで全国あちこちに行くし。

ー東京とかに移ると、余計なことに振り回されるとか?

成山: それはあるかもしれません。サカナクションとかmonobrightとか、同じ時期に札幌でバンドをやってて。暗黙の了解で何となくジャンル的に被らないようにやるんですよ。そういう刺激は北海道にもあるし、物足りなく思ったことはないですね。

ー今はmonobrightもサカナクションも上京して活動してますね。彼等と自分たちを比較してみたりします?

成山: サカナクションのヴォーカル山口(一郎)くんは前のバンドの時から知っていて、1回そういう話をしたことがあります。彼は1回挑戦したいんだよって言うから、俺は残ってやりたいって。

ー札幌発信のメリットは?

成山: 東京とかにライヴに来て、北海道のバンドという見方をされるのは強いかな。他にある?

田中: 曲作りへの影響とか。自分たちでは感じてないけど、少なからず影響は出てると思う。時間の流れが違う。東京に出てくると、結構せわしなく動かされる。それも嫌じゃないけど、音楽制作する上では、地元の、よくも悪くも(笑) ゆったりしてるのが自分たちにはちょうどいい。


ー音作りで北海道の自分たちらしさ、みたいなことは意識しますか?

成山: そういう時期もあったけど、最近はいろんなことをやろうとしてますね。

ー新曲「アクアリウム」は、新しいチャレンジかと思いますが?

成山: そうです。昨年出した『archive』はベスト盤みたいな内容なんですけど、その前の『fantasia』はスロウな曲が多かったんで、その反動みたいなのが今は出ている気がします。

山内: 「アクアリウム」は完成まで4ヶ月かかってるんですよ。バンド・サウンドとアコースティックと、同時進行で違うバージョンで作ったりして。バンドの方は自分たちも新鮮に思えるような、今までと違うものを作りたくて、前は歌に寄り添って作っていたんで、心地いいんですけど印象が薄かったりした。だから歌が聞こえない位振り切ったところから戻す、という方法でやったり。

田中: 1回出来たところで、ライヴをやろうってことになって、ツアーで回って何度も演奏しているうちに、すごくいい変化をしてきて、そこでレコーディングしたんです。ライヴで成長した曲が録れたのは、すごい新しかった。

ーライヴでお客さんの反応を見て曲を変えたりしたのですか?

成山: 僕らのお客さんは、目を閉じて聴いてたりする人が多いので、あまり反応がわからないんです(笑) それより自分たちの問題ですね。

ー最後になりましたが、バンド名についている「ab.」は「abstract」の略だそうですが、抽象的なイメージを大切にしたい?

成山: 「ab.」で始まる言葉は、「abstruct」もそうですけど、絶対的という意味の「absolute」とか、「abnormal」とか、いろいろある。いろんな意味を持たせたいと思ってつけたんですよ。最初は「abstruct」だったけど、今は「absolute」かもしれないですね(笑)


Profile

札幌在住の4ピース・バンド。

接尾語の"ab"が示す通りabstract=抽象的で曖昧な世界がトラック、リリックに浮遊している。Vo. 成山らが紡ぐ美しく繊細なメロディGt. 山内の変幻自在の空間プレイ、Ba. 田中とDr. 津波の確かな素養に裏付けされた強靭なボトム。シンプルに美しいメロディ、声、内に向かったリリック、空間を飛び交うサウンド・スケープが4人の"absolute" な音世界をすでに確立している。

3rdアルバム「palette」収録の”メロディ”がFM NORTH WAVEのメガ・プレイ、同局にて「archive」収録の”雪中花”がHOT 100チャート1位を記録。

国内外アーティストからも注目され、ARABAKI ROCK FES、RISING SUN ROCK FES.(2年連続)、SUMMER SONIC、RUSH BALL、FUJI ROCK FES.などの大型フェスにも出演。

(member)

成山 剛 : Tsuyoshi Nariyama / Vocal, Guitar
山内憲介 : Kensuke Yamauchi / Guitar
田中秀幸 : Hideyuki Tanaka / Bass
津波秀樹 : Hideki Tsuha / Drums



LIVE SCHEDULE


  • 7/3 (金) 新譜録音経過報告行脚ーFINAL@札幌cube garden
open 18:30 / start 19:00
adv : ¥2,500 door : 当日¥3,000(D別)
先行予約)5/18(月)24:40〜 HTB「夢チカ18」番組内にて先行予約
PG)5/30(土)〜
ローソン 0570-084-001(Lコード: 17665)
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード : 322-980)
e+ http://eplus.jp
問)マウントアライブ 011-211-5600



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この記事の筆者

[インタヴュー] sleepy.ab

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