【REVIEW / ハイレゾ配信】今再びUKロックの着火剤となる、フランツ・フェルディナンドの野心と核心

photo : David Edwards

UKロック・シーンの綺羅星、フランツ・フェルディナンドが4年半ぶりの新作『Always Ascending』をリリースした。本リリースまでの間には、2016年にはオリジナル・メンバーでもあるニック・マッカーシーが育児のために脱退、そして2人の新メンバー、ジュリアン・コリーとディーノ・バルドーが加入し5人組へとその体制を大きく変えた。この、バンドの新たなキャリアのスタートとも言える作品では、ダフトパンクの先輩格とも言えるモーターベースやカシウスといった名義でフレンチ・ハウス・シーンを牽引、またはフェニックスやカイドネスといったアーティストを手がけていることでも知られるフィリップ・ズダールをプロデューサーに起用している。それもあってか、彼らの大きな魅力のひとつでもあるダンサブルなサウンドへとフォーカスした作品と言えるだろう。OTOTOYでは本作をレヴュー、そしてハイレゾ配信でお届けしよう!

24bit/96kHzハイレゾ配信

Franz Ferdinand / Always Ascending(24bit/96kHz)
【Track List】
01. Always Ascending
02. Lazy Boy
03. Paper Cages
04. Finally
05. The Academy Award
06. Lois Lane
07. Huck And Jim
08. Glimpse Of Love
09. Feel The Love Go
10. Slow Don't Kill Me Slow

【配信形態 / 価格】
24bit/96kHz WAV / ALAC / FLAC
AAC
単曲 399円(税込) / アルバムまとめ購入 2,600円(税込)

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※締切 : 2018年2月23日(金)23時59分まで

REVIEW : Franz Ferdinand 『Always Ascending』

photo : Cara Robbins

文 : 井草七海


 憶えているだろうか、フランツ・フェルディナンドとの鮮烈な出逢いを。少なくとも筆者にとっては、彼らとの出逢いは指折りの忘れがたい出来事のひとつだ。ザ・リバティーンズをはじめとした2000年代初頭のガレージ・ロック・リバイバルを通過したUKロック・シーンに颯爽と現れた彼らには、当時まだティーンだった筆者でさえそれまで出会ってきたロック的なものとは違うスマートさを感じ取って、とてつもなくオシャレなものにめぐり会ったような衝撃が走ったことをよく憶えている。今改めて振り返ってみると、それは、ポスト・パンクを参照点とした彼らのタイトでスマートな演奏が、ガレージ・ロックの荒削りなイメージを、見事に洗練させたからだったのだろう。つまり、彼らは初めから、既存の“ロック”のイメージを塗り替える野心を抱いていたということだ。それから十数年、5枚目のアルバムとなる『オールウェイズ・アセンディング』は、そんな彼らとの出逢いを思い出させてくれる。紛れもなく彼らは今でもなおロックの枠組を拡張し続けている存在なのだ。


1stアルバム収録のヒット・シングル「Take Me Out」

 とは言え正直なところ、今作の彼らの変化はなかなかの不意打ちでもあった。音数を絞ったスカスカなサウンドでラフな軽やかさを強く出した前作を踏襲するものと想像していたからだ。そんな予想を裏切り、今作では一転、ぐっと厚みのあるスペーシーなサウンドに180°方向転換されているので、すっかり驚かされてしまった(もちろん良い意味で!)。さらに、モジュレーションの強くかかったサウンドが効果音的に随所にオーバーラップしていたりなど、音響的な広がりを追求した遊び心もスリリングで面白く、言うなれば、デヴィッド・ボウイがベルリン三部作で遂げた変貌にさえ重ねたいところだ。実際、サウンドのみならず、M8「Glimpse Of Love」のメロディーなどはそのままボウイの「Beauty and the Beast」(1977年)から着想したのでは、ともつい想像してしまうほどで、その影響は色濃い。また、本作では規則的なフレーズを繰り返してクライマックスへ向かうような構成の楽曲も目立ちクラブ・ミュージック的な性格も強くなっているが、極め付けは、やはりアルバム冒頭を飾る「Always Ascending」。ヴィヴィッドなシンセ・サウンドが規則的なリズムを刻んでいるのが強烈で、ここまで来るともうほとんどテクノである。

 こうした変貌、あるいはメンバー・チェンジをもって“新生フランツ・フェルディナンド”と表面的に呼ぶのは容易い。が、あえて言うならば、こうした側面はその実、初めから彼らが潜在的に秘めていたものでもある。例えばこれまでもメンバーがクラフトワークの『放射能』(1975年)や『コンピューター・ワールド』(1981年)をお気入りとして挙げていたことがあるし、彼らがテクノ的なアプローチに振り切ること自体には、実はさほど違和感がない。

 重要なのは、トレードマークのギター・カッティングが、より機械的なビートと一体となることで、逆にいっそう肉厚なグルーヴが生み出される、という実験に愚直に向き合いそして成功しているという事実だ。だからこそ、彼らには同郷のインディ・ロック出身のディーノ・バルドー、かたやエレクトロニック畑出身のジュリアン・コリー、というタイプの異なる2人のメンバーを迎える必然性があったのだとも深く頷けるだろう。そしてこの実験は、無機質さを誇張したクラフトワークをあえて“ファンキー”なものとしてサンプリングし、結果としてヒップホップの可能性を広げたアフリカ・バンバータの「Planet Rock」(1986年)をすら連想させもする、鮮やかな逆転の発想だと言っても過言ではないはずだ。

アイディアで“ロック”の可能性を塗り替えるという強い意志

 もちろん、これまでも彼らは決して懐古趣味的なバンドではなかった。1stアルバムからずっとこうしたアイディアを取り入れロック・バンドの可能性を広げてきた。それがフランツ・フェルディナンドの核なのだ。だが、今作にはその気概がこれまで以上に熱く強くたぎっている。ノリに乗っているブラック・ミュージックや、イギリスでも旋風を巻き起こしているラップ・ミュージックの勢いを前にしてなお、本作は基本的にはやはり潔いタテ乗りのビート──紛れもないロック・ミュージックである。が、こんなに眩く、驚きと発見に溢れているのだ。そう考えると、厳しい逆風に曝されているUKロックに今改めて希求されているのは、まさにその彼らの貫いてきた核心たる、アイディアで“ロック”の可能性を塗り替えるという強い意志だということに、ハッと気づかされる。

 去年で言えば、ベック『カラーズ』(2016年)や、スプーン『ホット・ソーツ』(2016年)あたりは近しい気概に満ちた作品だったが、彼らはアメリカのベテラン。今年、イギリスの中堅の彼らからこんなに強い意志を持った作品が送り出されるならば、きっと彼らより下の世代のUKロック・シーンを大いに勇気づけるに違いない。「大丈夫、ロックにもまだまだ可能性がある!」と。そうフランツ・フェルディナンドのアティテュードこそが、今再び、UKロックのクリエイティヴィティの着火剤となるはずだ。

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PROFILE

Franz Ferdinand

イギリスはグラスゴーにてアレックスとボブを中心に2001年に結成された5人組バンド。2004年にデビュー・アルバム『フランツ・フェルディナンド』を発表すると、全英3位を記録するスマッシュヒットとなり、マーキュリー・プライズやブリット・アウォード等の主要音楽賞を総なめし、一躍世界的な注目を集めた。続いて2005年にセカンド『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』をリリース。この作品は全英チャート第1位を獲得すると同時に、世界各地で大ヒットを記録、日本でもオリコン洋楽チャート第1位となる。翌年にはフジロックフェスティバル史上最速のヘッドライナーを務め、大きな話題を呼んだ。その後、4年のインターバルを経て2009年にサード『トゥナイト』をリリースし、この作品も全英第2位、全米第9位、そして日本ではオリコン洋楽チャート第1位を獲得。同年、2作連続でのヘッドライナーをフジロックにて務める。2013年8月、4年ぶり通作4作目となる待望の新作スタジオ・アルバム『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』をリリース、11月に行われた来日公演は全てソールドアウトとなった。2016年バンドのオリジナル・メンバーであるニック・マッカーシーが脱退、ジュリアン・コリーとディーノ・バルドーが加入し5人組となった。2018年2月に新作『オールウェイズ・アセンディング』をリリース予定。

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