2012/06/02 00:00

不東フェス開催記念座談会! 「奈良でフェスってどうなん?」

『不東-NARA indie music festival-』... 奈良でフェス。関西に馴染みのある方は違和感を感じるかもしれない。大阪までは電車で数十分。ライヴ・ハウスもクラブも少なく、自分たちで新しいムーブメントを興そうという動きは目立たない。音楽不毛の地・奈良県。
渚音楽祭を始め、大阪を中心に様々なイベントをオーガナイズ。多くの若手アーティストを土俵に上げてきたjun1氏。彼のイベントは、アンダーグラウンドや特定のシーン、ジャンルに寄りすぎることはなく、誰が来ても楽しめて、発見のある場となっている。根本にあるのは、その音楽が、そのアーティストが好きだから広めたいという思い。彼の人柄や、現場にかける純粋な思いにミュージシャンたちの信頼も厚い。

不東Fesは、jun1氏と奈良県の薬師寺が出会ったことに端を発している。決して音楽を諦めたわけではなく、何かきっかけを待っていた奈良県。そして、きっかけを作るオーガナイザーのjun1氏。今回の座談会では、その熱に巻き込まれた出演者たちに集まってもらい、そのイベントにかける思いから奈良県の現状、風営法の生々しい話までを、ざっくばらんに語ってもらった。大抵のことは常に現場で起こっていて、現場の声にこそ耳を傾けるべきだろう。この対談が、また一つ何かのきっかけになることを願っている。

インタビュー&文 : 藤森大河

不東-NARA indie music festival-

薬師寺で行われるインディーズ・ミュージック・フェスティバル

目的を達するまでは何があろうとも決して振り返らず、帰らない。“不東”の決意。

日時 : 2012年6月24日(日)
開場 : 10:30 / 終演 : 20:00
チケット : 前売 : 3,500円 / 当日 : 4,000円(共に拝観料 800円を含む)
場所 : 薬師寺門前AMRIT+玄奘三蔵院伽藍

出演者 : 奇妙礼太郎リトルスイング / SOUR / AYNIW TEPO / 画家 / psybava / Lainy J Groove / 原田茶飯事 / The Acid House. / アチャコと天平ルネサンス / developtree × Hamar “和”Chillout-Live

チケット : セブンコード(017-327) / CNプレイガイド(0570-08-9999 / 電話受付) / Finch(大阪市中央区安堂寺町2-1-15) / Bistro&Bar cueipain(クイパン)(大阪府大阪市中央区西心斎橋1-10-35 アルシュ11ビル 2階)

official HP
6月限定! 「不東-NARA indie music festival-」コンピレーション・ミニ・アルバムをフリー・ダウンロード!!

V.A. / 不東V.A.
2012年6月24日(日)開催の「不東-NARA indie music festival-」のフリー・ダウンロード・コンピ。先日ニュー・アルバムをリリースしたpsybavaや、下津光史(踊ってばかりの国)の別バンド、The Acid House.による初の音源リリースなど、このイベントでしか集まらない、貴重な音源を無料配信!

【収録曲】
01. psybava / victoria(reprise)
02. The Acid House. / dance
03. develop tree / light
04. 原田茶飯事 / 夜更かししよう
05. Lainy J Groove / K.S.N.O.C.K.T.

奈良のお寺って、空がめっちゃ広いんですよ。(jun1)

――まずは自己紹介を。

福永知史(以下、福永) : Lainy J Grooveでギターをやっている福永と申します。宜しくお願いします。
アチャコ : アチャコです。マッカーサーアコンチというバンドをやっていますが、今回はアチャコと天平ルネサンスで出ます。何やるかはまだ決めてません(笑)。
下津光史(以下、下津) : 下津です。今回はThe Acid House.で出ます。踊ってばかりの国ってバンドもやってます。
堀一也(以下、堀) : AYNIW TEPOの堀と美里です。
美里 : 宜しくです。
ゴルゴス : psybavaのゴルゴスです。
jun1 : 今回のオーガナイザーのjun1です。宜しくお願いします。

――まず、不東という名前はどういう意味なんでしょうか?

jun1 : 西遊記の玄奘三蔵法師が当時の都から天竺にお経を取りに行ったんですけど、むっちゃ遠いんですよ。インドやから、ユーラシア大陸を横断せなアカンくて。で、その道を行く人って途中で死んじゃったり、しんどすぎて途中で帰ってきたりって人が多かったんです。だから玄奘は、学問を修めるまで絶対に東を向かない、つまり戻らないという決意を「不東」と表したんです。で、薬師寺さんの玄奘三蔵院伽藍というお堂のところに玄奘のお骨が祀られていて、そこに「不東」という文字がバーンとあって。その由来を聴いて「それええなぁ」と思って名前にしました。

玄奘三蔵院伽藍

――どんなイベントですか?

jun1 : メジャーのアーティストとインディーズのアーティストがフラットな立場でステージに立った時に、お客さんが支持するのがメジャーの方だと僕は思わないんですよ。だから、キャッチーであるかどうかとか、会社が付いてて資金力とかコネがあるかどうかってだけで、インディーズのアーティストが日の目を見ないっていうのが凄くイヤなんです。で、お寺って普通に地域にあるものだし、散歩ついでに寄ってみようみたいな気軽さがあるやないですか? だから、普段イベントに行かない、ライヴ・ハウスもクラブも行かないっていう人に対して、もっと色んな音楽があるんだよっていうことを知ってもらえたらなぁと思って。間口を広げたいというか。

――今回の出演者は、どういう基準で集めたんですか?

jun1 : まず、奈良のバンドには絶対出て欲しかったんですよ。それで、AYNIW TEPOさんに声をかけました。
アチャコ : 奇妙くんも奈良出身やで。実家が。
下津 : 言うてた言うてた。
ゴルゴス : 画家もサックスの人が奈良ですよね。
jun1 : まずは、奈良のバンドさん。それと自分が実際に見て出て欲しいと思ったバンドさんを、幅広く集めました。

――出演者、みんな良い人そうですよね(笑)。

一同 : (笑)
美里 : 今回、薬師寺だけじゃなくてAMRIT(薬師寺門前にある“癒し"の複合スペース)でもやるんですよね?
jun1 : やっぱりお寺って公共の場所なので、凄く制限が多いんですよ。だからAMRITさんと組み合わせてやってみようかなと。

AMRIT

――全バンド見れるんですか?

jun1 : 見れます。前半はAMRITっていうレストランで、夕方まで。後半が玄奘三蔵院伽藍なんですね。前半から後半にかけて、お客さんが寺のど真ん中を突っ切って、ぞろぞろ移動する感じって面白いんじゃないかと思ってて。あと、奈良のお寺って、空がめっちゃ広いんですよ。今回の売りの一つはそれですね。それが京都のお寺との違い。あと、いずれは本堂でやりたいと思っています。

――このフェスは続けていくんですよね?

jun1 : 当然です。ずっとやっていきます。死ぬほど赤字が出て、僕が社長に怒られない限りは。
アチャコ : いやぁ、本堂でやりましょうよ。
jun1 : やりましょう。AKB48がそこでやりましたからね。何千人入れて。勿論、うちと同じで奉納としてですが。
一同 : マジで!?

――AKB48と薬師寺って何か関係あるんでしょうか?

jun1 : いや、単に人の入るスペースってことやと思います。でもまぁ、単発で人が入るだけっていうよりも、継続して人が来るような、続くようなものをやって地元に還元出来るようにしたいねって話はしてます。
堀 : 結構、寛大なお寺ですね。
jun1 : そうなんです。音楽に縁のあるお寺で、音楽を司る天女が塔の上を舞ってたり。文化とか芸術の方に割と理解があるんです。
アチャコ : それでも世界遺産とかやろ?
jun1 : そうなんすよ。

奈良の若い音楽好きとかが来たらええなぁ(アチャコ)

――アチャコさんと下津さんは、それぞれマッカーサーアコンチでもなく踊ってばかりの国でもない、別ユニットでの出演ということですが。

アチャコ : マッカーサーにも奈良をテーマにした曲とかあるんやけど、今回は薬師寺でやるってことを聞いて、自分の中で感情が高ぶりすぎてもうて(笑)。バンド・メンバーにその気持ちを共有するのは難しいなぁと思ったし、個人的に奈良でやりたいっていう思いが先走った感じですね。

アチャコと天平ルネサンス

――奈良には何かあるんですか?

アチャコ : 何かねぇ、奈良とは、バイブスが合うんすよね。「何が好きなん?」って言われても難しいんですけど、何か大好きなんすよ。
福永 : 毛穴が開いていくような。
アチャコ : そう。多分、目隠しして車乗ってても、奈良を通過するのが分かると思う。今、入ったんちゃう? みたいな。あぁ、もう大阪にはいってもうた... みたいなね(笑)。まあ、そんぐらい奈良が好きなんでね。だから今回話があった時は、「きた!」って思いましたねぇ。それも薬師寺で! 関西以外の人は分からへんと思うけど、奈良でフェスとかでっかいイベントがあるってことは、有り得ないことなんすよ。それもインディーズ的なものとなると特に。面白そうなイベント自体、殆ど無いし。

――ライヴ・ハウスとかは?

堀 : 1つか2つですね。後は、おっちゃんがセッションするようなところとか、ジャズ・バーみたいなところぐらいですね。
アチャコ : ツアー・バンドは、やってもNEVER LANDぐらいですね。

――もっとあっても良さそうなのに。

堀 : かなり閉鎖的な町で、音の問題とかが大きいですね。以前はもう一つあったんですけど、音の問題で裁判になったりとかね。結構、出来てはつぶれ、出来てはつぶれ、みたいなのを繰り返してて。
アチャコ : あと奈良って、大阪にすぐ出れるんですよ。やから、奈良の若い子らは奈良の街中で遊ぶよりも、すぐ大阪に行っちゃいますねぇ。大阪の学校へ行ったり、大阪で仕事したりとか。
堀 : そうですね。だから結構、こういうインディー・フェスティバルみたいなアクションは新鮮で、前例が無いことばっかりやから、面白い反応が起きるような気がしますね。

Bistro&Bar cueipainで行われた座談会

――あんまり地元意識みたいなのは無いんですか? 奈良を盛り上げようぜ、みたいな。

堀 : んー、それはあるんですよ。あるんですけど、ちょっと閉じこもりがちな人が多いんかなぁ。でも最近、奈良に色んなところから入ってくる人が増えて、音楽に限らずアートの方面でも、変化が起こりつつある感じですけどね。
jun1 : ならまち(奈良町)の方とか、ここ何年かで色んな店が出来たりとかしてるやんな。
堀 : 増えてますね。僕、ならまちに住んでて、まあ古い町並みのとこなんですけどね。
美里 : 私は28年住んでますけど、この5年ぐらいで一気にお店が出来ましたね。
堀 : 急激に観光客が増えたんですけど、泊まるところがないから、ゲスト・ハウスが増えたりとか。
美里 : 今は、カフェとゲスト・ハウスがどんどん出来てます。あとは、玄関とか駐車場とかのちょっとしたスペースですぐ何かを売ってみたり、ギャラリーみたいにしてアピールしてみたりとか。商売っ気は全然無いんすけど。
jun1 : まさしくインディーな感じですね。
美里 : でも何か商売下手というか、勝手にふらっと入っても気付いてもらえへんみたいな。「見たかったら見てってやぁ」っていう感じ。
アチャコ : 今回のイベントは、大阪とかから人が来るとは思うんすけど、奈良の若い音楽好きとかが来たらええなぁて思いますね。それで、俺らも奈良で何か出来るやんって思って、また新しい動きが起こっていったらええなぁって。
jun1 : twitterとかWebで今回の告知をしてたら、全然知らん人から、奈良でお店やってます、スタジオやってます、フライヤー置きたいから送ってくれ、みたいな連絡がどんどん来てるんですよ。今までイベントやってきて、まったく知らん人からそんなん来るのが初めてで。

――何かしらのきっかけを探してたのかもしれないですね。

堀 : そうやと思います。京都とかだと、カフェとかショップ内でライヴをやるっていう文化みたいなものがあるけど、奈良は、ずっとライヴ・ハウスに閉じこもってるんですよ。街中でパフォーマンスやったりってこともないし。だから今回、薬師寺でやるってのは、かなり鮮烈だと思いますね。
jun1 : 今回やるって情報出したら、知ってる人からも、奈良でやるんか、頑張れよって言われたり、結構な期待感を感じるんですよ。だから、何とかちゃんと形にして続けなあかんと思います。一回やるだけならお金さえあれば誰でも出来ると思うんで、ちゃんと根ざすようなものにしたいですよね。それに、もっと地元の人とか店とかを巻き込んでいけるような、地元のイベントだと思ってもらえるような形にしていきたいですね。
美里 : 素晴らしいですね。
jun1 : 結構、奈良の人って、何かを作れる人は多いんですよ。でも、それをどう出すかが分からへん、どうやっていいか分からへん。つまり、オーガナイズする人間が少ないっていう。
堀 : そうですねぇ。県も絡めて、みたいなことはちょこちょこあったんですけど、自分たちでチームを組んでアクションを起こすっていうことは殆ど無かったんじゃないかなと思います。
jun1 : そうですよね。最近、全国的に地方から何か起こすみたいな動きは増えてますよね。それこそこの前、画家と踊ってばかりの国が出てたりんご音楽祭とかもそやろ? あと尼崎でも、アマフェスってあったやんか。
下津 : そうですねぇ。何かバーの兄ちゃんが、いきなりやり始めたんですよ。
jun1 : 何かねぇ、手作り感はあるんやけど、でもちゃんとフェスになってて、凄くいいフェスやったんですよ。
下津 : 工業地帯の中の森っぽいとこで。アマにこんなとこあるんや、みたいな。
ゴルゴス : ONEなんかも、兵庫県の三田でやってますしね。

――関西って括りの中でも、細分化されて色々起こってるんですね。

下津 : 今、jun1さんほどやる気のあるイベンターって関西におらんのですよ。jun1さんは、予定調和感を出さない数少ないイベンターやから、好きっすね。相思相愛やと思ってます(笑)。
jun1 : 下津君はまあ、言うたら、踊ってばかりの国で東京でがっとやって、そしたら子供出来た言うてメンバー残して地元に戻ってきてしもて。そんで地元の同級生とThe Acid House.ってバンド組んだっていう。めっちゃいいじゃないですか。何かそういう生活感丸出しの感じがめっちゃ好きなんですよ。
下津 : 丸出てます?(笑)
jun1 : 出てるよ(笑)。娘の話とかめっちゃするやん。
下津 : いやもう、娘とスケートぐらいしか楽しみないんですよ(笑)。

――(笑) jun1さんも娘さんでしたっけ?

jun1 : そう、11ヶ月です。
下津 : おぉ、そっかそっか。ウチの方が年上なんすね。1歳半ですわ。やから、パパ友なんですよ。それに、初フェスっすよ、The Acid House.としては。
jun1 : めちゃイイんですよ。踊ってばかりの国とはまた違った良さがあってね。

――AYNIW TEPOは、ライヴ自体も初めてですか?

堀 : この前、一本だけやりました。音源もまだ無い状態ですね。せやからこの話いただいた時は、まだ曲が無かったんですよね。スタジオに何回か入ったぐらい。

――ということは、kacica(二人のやっている別バンド。現在、活動休止中)にオファーを出したんですか?

jun1 : そのつもりだったんですけど、うちのスタッフから「kacicaは今休憩中だけど、二人が別でやってるAYNIW TEPOがヤバそう!!」って聞いて、ほんなら間違いないやろなって。

AYNIW TEPO

――Lainy J Gooveは?

福永 : 結構もう付き合い長いですよね。
jun1 : 僕が別のバンドのマネージャーやってた頃からやから、もうかなりやね。レイニー好きなんですよ、単に。
福永 : 僕もねぇ、相思相愛やと思ってる(笑)。
jun1 : だからさっき言ったみたいに、メジャーの人とレイニーを同じステージにポンと乗っけたら、絶対負けへんやんって思うんですよ。あと、京都からも一つは呼びたいなぁって思いがあって。
福永 : あ、そうやねぇ。ウチだけや。

Lainy J Groove

jun1 : あと、The Acid House.は尼崎なんで兵庫ですね。
下津 : 市外局番は06やから大阪と一緒なんすけど、兵庫です(笑)。
jun1 : 場所は奈良やけど、関西のイベントっていうのは打ち出したかったんですよ。で、東京からも何組か呼んで、関西のバンドと交流して欲しかったっていうか。今回、東京はSOURと画家と茶飯事くん(原田茶飯事)かな。どれも大好きなアーティスト。例えスポンサーとかが付いてデッカくなっていっても、インディーズのバンドしか呼ばへんっていうのは崩したくないですね。

The Acid House.

――psybavaは?

jun1 : いや、だってpsybavaは僕が一番好きなバンドですもん。(※jun1氏はpsybavaのマネージャー兼レーベル・オーナー)
福永 : お、レイニーより?
jun1 : それは、そうっすよ。
下津 : 恋多き男やなぁ(笑)。
jun1 : だって、自分のレーベルのバンド好きじゃなかったらやってられへんでしょ(笑)。
福永 : ホンマに? ホンマは、まあまあぐらいじゃない?

――何を言わせたいんですか(笑)?

ゴルゴス:いやぁ、有難い話っすねぇ。僕、おじいちゃん、おばあちゃんの墓が奈良にありますわぁ。(※ゴルゴス氏は泥酔中)
jun1 : 何やねん、酔っ払って。今、奈良の話しとらんわ(笑)。

psybava

法律的にはアウトなんですよね本来は(堀)

――最近の関西って、夜間営業とかの取締りが凄いじゃないですか? そこも意識して昼間に開催?

jun1 : 今回、野外でやろうっていうことを決めた理由として、そのことは凄く大きいです。こういう音楽イベントが健全じゃないみたいな方向に持っていかれてる感じは凄いあるんですよ。今はクラブがやり玉にあげられてますけど、このままならライヴ・ハウスもそのうちやられますしね。
福永 : 今の規定は、縦ノリはOKで、横ノリはアウトらしいですね。
堀 : それ、どうやって判断するんすか!
下津 : 何やねん、それ(笑)。
福永 : せやけどまあ、法だけ見るとライヴ・ハウスもクラブも関係ないらしいから、捕まえようと思えばいつでも捕まえられるっていう。
堀 : 要は、お酒を売ったら1時までしか営業出来ないんですよね。
下津 : 時間指定まであるんですか(笑)? そんなもん遊びでも何でもないやないですか。
jun1 : せやけど、法律がそうなってる限りは、その法律を変えないとアカンねん。来た警察に、お前なんやって言うても、何の意味も無いし。
アチャコ : この間、摘発された大阪のクラブNOONの店長さんとか弁護士さんとか呼んで、留置場の話とか全部してもらったんよ。ほんで、もう具体的にどこまでがセーフでどこまでがアウトか、みたいなことも聞いたんやけど、法律自体がグレーすぎて、弁護士さん的にもジャッジが難しくて。もう警察の主観やから、警察が摘発しろって言ったら野外フェスもアウト。「チケット代取ってなくて踊ってたらどうなんすか?」って聞いたら、人数とかも関係してくるんやけど、法律的には、男女が集まって享楽的な雰囲気を出すっていうことがあかんらしいねん。古い法律のまんまやから。
一同 : 何やねん、それ(笑)。
アチャコ : 例えば盆踊りなんかは、享楽的じゃないっていうことで、セーフらしいねん。せやからもう、何がセーフかってことは言われへんって。そこはもう、警察のジャッジになってしまうって。

手前:福永知史 / 奥:アチャコ

――アウトって言われたら従うしかない、と。

アチャコ : せやねん。やから、ライヴ・ハウスとかフェスとかも、みんなビビりながらやらなアカンっていう時代になってきてんねん。例えばお店が弁護士さんとかと相談して変えますわぁ言うても、警察が来たらアウトやねんて。せやから、この前捕まったNOONの人は拘留期間を限界まで延長されて捕まってたんやけど、検察からは、どういう経緯で踊らせてたかっていうような調査は一切なくて、ひたすらお金の流れを聴かれ続けたんやって。捕まった理由が踊らせてたってことやのに、そのことは、あくまで口実で、銀行口座を開示させて、この使途不明金は何やとかそういうことばっかり調査されてんて。

――それはどういうことですか?

アチャコ : つまり、警察とか検察的には、例えば薬物とかヤクザとか、そういうものがクラブと繋がってるんじゃないかっていうことを疑ってて、拘束してそこを調べたかったみたいやねん。踊らせる踊らせないとかは、ほんまはどうでもええねん。この前、東京でもどこかやられてたでしょ?

――池袋の「BED」とか、西麻布の「alife」とかですね。それも薬物を探るみたいな意味が強かったみたいですけど。お客さん全員が尿検査もされて。

アチャコ : 東京は今でもオール・ナイト、全然有り?

――毎晩どこでもやってますよ。数年前に比べたらボディ・チェックとかIDチェックが厳しくなってきてるところもありますけど、オール・ナイトのイベント自体は全然やってますね。

堀 : でも東京でも、法律的にはアウトなんですよね、本来は。
jun1 : 元々は関西でも、騒音とか乱闘みたいなのがきっかけで、そこから変に話がでかくなってしまってる感じですけどね。
アチャコ : カラオケとかはどうなん?
jun1 : カラオケもほんまはアウトみたいっすよ。何か個室ってのがあかんらしくて。でも今は、透明だったり仕切りみたいな壁になってたりっていうので、かわしてるみたいですけどね。

――漫画喫茶とかも関西、スケスケですもんね。

堀 : え、東京はちゃうんすか?

――中の見えない普通の扉閉めて、鍵かけられたりしますよ。

jun1 : 大阪で透明になったのも去年からとかですよ。
アチャコ : その辺ももう、各市とか区が、どれくらい厳密にやるかっていう差だけなんですよ。

――なるほど。じゃあ、大阪は、乱闘なんかで苦情がきたこともあって、特に厳しくなってしまったっていう。でも、そういう制約の中から新しいものが生まれていく可能性もありそうですよね。

堀 : そうですね。今、クラブも24時間やってるところはフライヤーも作らないで、告知もしなかったりとかで。
jun1 : まあ、アメリカとかイギリスなんかもそういう頃はありましたしね。

――それこそレイヴとかマッドチェスターなんてそういうところから生まれてきたようなもんですしね。

jun1 : まあ今回の不東も、言ってみればレイヴみたいなもんですわ。
アチャコ : ロケーションはバッチリやと思うし、早い時間にやって早い時間に終わるやろ?
jun1 : 8時に終わりですね。
アチャコ : お、それイイねぇ。終わった後も楽しみや。まあ何か、今、こんだけ締め付けられてるから、そこからまた何か新しいアイデアが生まれていったりするやろうし、頑張らなな。
下津 : いやほんまっすね。
jun1 : ほな、そろそろ締めましょうか。どう締めましょうか?

――そうですねぇ。jun1さんの子供って、つむぎって名前ですよね?

jun1 : 何やそれ、絶対不東、関係ないやろ(笑)。

――いやいや、やっぱり、つむぎってことで、不東fesではどんな縁をつむいでいきたいですか(笑)?

jun1 : (笑)。まあ、インディーズでやってると、全部、基本的に自分たちでやらな駄目じゃないですか? そうなると、1つのバンドでやれることって限られてくる。でも、イベントで色んな人とかがバンドと繋がっていくことで、どんどん色んな反応が起こって、2倍、3倍と可能性が広がっていくじゃないですか。そういう、色んなものが繋がるための、きっかけとなるような場を作れれば良いなぁと思います。それで、尚且つ、関西のインディーズ・シーンの底上げになれば良いなぁと思います。

出演者の音源

SOUR / WATER FLAVER EP

東京からの参加となる彼らのミニ・アルバム『WATER FLAVER EP』を、高音質(24bit/48KHz)のHQDファイルで配信。プロデューサーはミト(クラムボン)、エンジニアは高橋健太郎。発せられる声や音のひとつひとつが自然に、そして確実に耳に入ってくる、やわらかで繊細な逸品。HQD版には「日々の音色」のアコースティック・ヴァージョンも収録。よりシンプルになった「日々の音色」が聴けるのはOTOTOYだけ!

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奇妙礼太郎 / LIVE GOLDEN TIME

不東fesでは、奇妙礼太郎リトルスイング名義での出演となる彼らが、2011年9月に代官山UNITで行った、アルバム『GOLDEN TIME』のリリース・パーティーの模様をライヴ版としてリリース。自身の弾き語りで表現するソロ・サイドと、ホーン隊を含むトラベルスイング楽団との幸福感溢れるバンド・サイドの2ステージをたっぷりと収録。特別な一夜、聴き逃せないうたが詰まってます!

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踊ってばかりの国 / 世界が見たい

現在の体制になってから初めて制作されたアルバム。「よだれの唄」のリアレンジ・バージョンや、「悪魔の子供」のアコースティック・バージョンを含む全13曲。人懐っこいメロディーにシニカルな言葉。世界へ向けて放たれた、ポップでサイケデリックな一枚。ボーカル・下津光史は、The Acid House.として不東Fesに登場。

>>下津光史(踊ってばかりの国/The Acid House.)と有馬和樹(おとぎ話)の対談はこちら

画家 / 嬉しい音楽

不東Fesのオーガナイザー・jun1氏との交流も深く、奈良県では初ライヴとなる16人編成の嬉しいバンド、画家の1st album。ギター、ベース、ドラム、キーボードに加え、4種のホーンやパーカッション、ディジュリドゥ、三味線、木琴、鉄琴、奇声、合唱など。とにかく思いついたことを素直にブチまけたような、ルーツの見えないスパイシーな楽曲たち。体は踊って心は躍る。大体の感情を取り揃えた、ハイテンション且つ人懐っこいアルバム。

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マッカーサーアコンチ / 感受性ドン

対談にも参加したアチャコ率いるマッカーサーアコンチ、待望の1stフル・アルバム。ライヴで人気の楽曲をまとめた、まさにベスト・オブ・マッカーサーアコンチ的内容。プロデュースは8otto、モーモールルギャバンや海外アーティストを多く手がけるヨシオカトシカズ。尚、不東Fesには、アチャコと天平ルネサンスとして出演。編成を含め、どのようなパフォーマンスになるのか楽しみだ。

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Lainy J Groove / f.VACATION

今回の対談には福永知史(Gt)が参加。勿論、不東Fesにも出演。FUNK/HIPHOPからデトロイト・サウンド、エレクトリック、シューゲイズまでもが溶け合う人力アフロセントリック・じゃパニーズ・ニュー・ビート! 生の演奏と4人の歌声が詰め込まれた3曲入りシングル。ゲストにK-106よりK-taro (sax)を迎え、崩壊寸前なまでの強烈アシッドなサウンド・スケッチに4人の歌声が生命の息吹をあたえ、ウネるグルーブが増殖していくカタチを強引に体験させる!!

>>レビューはこちら

psybava / spectrum

不東Fesのオーガナイザーjun1氏がマネージャー兼レーベル・オーナーとして関わるバンド、psybava。座談会には、泥酔したゴルゴス(Gt)が参加。ダブの要素を取り入れたジャム・バンドとして活動し始め、トランペットやプログラミングを加えて音楽性の幅を広げた彼らが500枚限定で発売したCD音源をついに配信開始!! 独りよがりでも、寄り添いすぎるわけでもなく、純粋に音楽を楽しむ姿勢が垣間見えるインストゥルメンタル・ミュージック。

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[インタヴュー] DJ RASHAD feat Spinn

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