2017/12/20 21:00

誰もが心待ちにしていた再始動が遂に!──Ovallが4年ぶりとなるアルバムをリリース

左から、関口シンゴ(Gt)、mabanua(Dr)、Shingo Suzuki(Ba)

2013年に2ndアルバム『DAWN』のリリース後、4年間活動を休止していたOvallが遂に再始動。それに伴い新作アルバム『In TRANSIT [Deluxe Edition] 』をリリースする。今作では〈origami PRODUCTIONS〉のファンサイト限定でリリースされたCD『In TRANSIT』の収録曲をメインとしつつ、新曲「Winter Lights」や既発曲のリミックス・ヴァージョンなど全22曲とボリューミーな内容となっている。そんなOvallの新作をOTOTOYでは配信とともにレヴューを掲載する。

4年ぶりの新作!

Ovall / In TRANSIT [Deluxe Edition]

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit44.1kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 205円(税込) / アルバム 2160円(税込)

【収録曲】
1. In TRANSIT
2. Someday Somewhere
3. Mr. Smith
4. Liquid Mental
5. Open Your Eyes
6. Giraffe
7. PLANET feat. Akhenaton from IAM
8. Un Digicode
9. STAR
10. Winter Lights
1. Un Digicode (RLP Remix)
2. STAR (vusik × sj Remix)
3. Liquid Mental (a.z remix)
4. STAR (Kan Sano Remix)
5. Open Your Eyes (grooveman Spot Remix)
6. PLANET feat. Akhenaton from IAM (sauce dirty-one remix)
7. PLANET feat. Akhenaton from IAM (sauce81 at rework)
8. Giraffe (Ryoh Mitomi Remix)
9. Mr. Smith (Nut’s Remix)
10. Liquid Mental (Budamunk Remix)
11. Giraffe (Wozmy Remix)
12. Giraffe (45 a.k.a. SWING-O remix)

REVIEW : Ovall

時代がようやくOvallに追いついた。再始動をアナウンスし4年ぶりのリリースとなる今作を聴き、そして今の音楽シーンを思い浮かべたときまず最初にそう感じた。遡ること2010年の秋、まだ15歳だった私がたまたまYouTubeでOvallに出会いその音楽性に惹かれた。なによりも衝撃だったのは日本人のバンドだったことだ。日本にもこういうブラック・フィーリングを取り入れたハイ・センスなバンドがいるのだと。翌日すぐさまタワレコ渋谷に向かった記憶がある。そして2017年。ご存じのとおり海の向こうで、ソウル、ファンク、ヒップホップはメイン・ストリームとなり、日本でもブラック・フィーリングを様々な角度から取り入れたアーティストが溢れている状況だ。そしてこのタイミングでのOvall再始動。絶妙というしかない。

今作『In TRANSIT [Deluxe Edition] 』は新曲「Winter Lights」、既発曲のリミックス・ヴァージョンなどが収録されているが、メインは2012年に〈origami PRODUCTIONS〉のファンサイト限定でリリースされたCD『In TRANSIT』の収録曲達だ。普通5年もたてば昔に作った過去の曲として聞こえそうだが、全くそんなことはない。むしろ完全に今の音になっている。生演奏と打ち込みの絶妙なバランス。ロバート・グラスパー・エクスペリメントやテラス・マーティンに通ずる現代ジャズ感のあるM9「STAR」ムーンチャイルドやジ・インターネットなどに通ずるフューチャー・ソウル感のあるM8「Un Digicode」 。まさに現代のブラック・ミュージックを体現しているといえる。他にも、ライヴでは定番となっていて、音源化が待たれていたM3「Mr. Smith」やM6「Giraffe」も収録されている。そして新曲の「Winter Lights」。ドープなビートとポップなメロがうまく同居した超絶気持ちいいソウル・ミュージックとなっている。

Ovall / In TRANSIT
Ovall / In TRANSIT

アルバム後半は前半の新曲以外をリミックスした内容となっているが、これもまたいい。リミキサー陣も、grooveman Spot、Ovallのメンバーmabanuaとのプロジェクト"Green Butter"でもお馴染みBudamunk、レーベル・メイトでもあるKan Sano、sauce81、SWING-Oなどブラック・ミュージックに造詣の深い個性豊かな面々がOvallの音を独自に再解釈している。

いま現在、suchmosを筆頭に、J Dilla以降のビートをバンド・フォーマットで体現することを掲げるWONKなど、日本でもソウルやファンク、ジャズを鳴らす若手のバンドが増えている。そんな中2010年のJ Dilla追悼イベントで既にバンドでJ Dillaの曲を演っていたOvall。常に先端をいく彼らは、ブラック・フィーリングな曲がもてはやされている今こそ、シーンの最前線に立ち、これから先の流れを作る存在として引っ張っていって欲しい。(Texted by 高柳圭佑)

過去作もチェック!


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堀込泰行/ GOOD VIBRATIONS

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J Dilla/ The Diary

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PROFILE

Ovall
トラックメーカー、プロデューサーとしても活動するベーシスト・Shingo Suzukiによるバンド・プロジェクト。Awesome City Clubや大橋トリオをプロデュースするドラマー、mabanuaと藤原さくらや中田裕二をプロデュースするジャズ・ギタリスト、関口シンゴからなる3人のプレイヤーを中心に活動している。 2009年、CDデビュー前に〈朝霧JAM2009〉に出演。1stアルバム『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』が各所で好評。その後2013年に活動休止するが、2017年に再始動。

アーティスト公式HPはこちら

この記事の筆者

[レヴュー] Ovall

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