2016/05/26 14:02

配信限定シングル『Sultry Night Slow』リリース記念。改めてVIDEOTAPEMUSICの世界を振り返る

VIDEOTAPEMUSIC

 6月からスタートするツアー・タイトルと同名の配信限定シングル『Sultry Night Slow』をリリースしたVIDEOTAPEMUSIC(OTOTOYはハイレゾ版を他のサイトに先駆けて販売)。このシングルのリリースに合わせて、昨年リリースされたセカンド・アルバム『世界各国の夜』を振り返るとともに、『Sultry Night Slow』がどんな作品なのかを読み解いてみる。

ツアーと同名の配信限定シングル。OTOTOYはハイレゾ版を先行配信!

VIDEOTAPEMUSIC / Sultry Night Slow(24bit/48kHz)
【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC / AAC
【価格】
単曲 324円(税込)、まとめ購入 540円(税込)

【トラック・リスト】
1. Sultry Night Slow
2. Sultry Night DUB

VIDETAPEMUSICが行ってきたこと

 VIDEOTAPEMUSICがどんな活動をしているのか、いまいち掴みづらいところがある。〈VIDEOTAPE〉と〈MUSIC〉という2つの一般名詞が組み合わさった名前にも関係がある(が、もちろん名前だけが原因ではない)。cero、坂本慎太郎、サニーデイサービス、Gotch(ASIAN KUNG-FU GENARATION)、片想いなど、そうそうたるメンツのMVを作ってきた映像ディレクターとしての実績、またVJとしての活動も、VIDEOTAPEMUSICが何者なのかをわかりづらくさせている理由のひとつだ。

VIDEOTAPEMUSICが制作したAlfred Beach Sandal「Cool Runnings」のMV
VIDEOTAPEMUSICが制作したAlfred Beach Sandal「Cool Runnings」のMV

 「2004年ころ世の中のレンタルビデオ屋さんがVHSからDVDに移行していった時期、レンタル落ちのVHSが中古で大量処分されてたんです。好きな映画はもちろん、気になってたものを片っ端から買って」
2015年9月 セカンド・アルバム『世界各国の夜』リリース時のOTOTOYインタヴューより

 世間的には価値が失われてしまったとされるVHSテープから音楽を抜き出して編集し、曲の土台となる部分を作成。そこに新しい音を追加して曲を作っていく。VIDEOTAPEMUSICが作っている音楽を簡単にまとめるとこうなる。

 彼の音楽を指して、〈ノスタルジックな音〉という表現がよく使われる。サンプリング元であるVHSがもう誰にも見られることがない録音物の亡霊のような存在であり、そこから抜き出された音と映像が元々持っていた〈ある種の雰囲気〉が、聴く者の郷愁を誘うからであろう。

『世界各国の夜』から見る〈別のダンス・ミュージック〉

VIDEOTAPEMUSIC『世界各国の夜』トレーラー
VIDEOTAPEMUSIC『世界各国の夜』トレーラー

 だが、そのノスタルジックな音に対する彼の視点は、2015年にリリースされた傑作『世界各国の夜』にて変化を遂げていることがわかる。

 『ディスコとかが流行る前に青春時代を過ごした世代はみんな、ラテンで踊っていたみたいで。それで自分なりにラテンを研究しみたら、当時のムードがちょっとずつ掴めてきた。(略)もっと遡ると、ジャズやカントリーもダンス・ミュージックとして親しまれているんです。そこには今のクラブ・ミュージックとは別のダンス・ミュージックが存在しているんです』
同インタヴューより

 『世界各国の夜』は、リズムを強調した〈踊れる〉作品となっている。だがその踊れる要素は、今様のクラブ・ミュージック的なアプローチとは異なる。ラテンのリズムを大胆に利用しながら、自分が体験することがなかった時代の、ある種架空のダンス・ミュージックを、ジオラマでも組み立てるように細部を1つ1つ想像しながら作り上げているのだ。緻密でイマジナティヴで、情緒がある。〈コラージュで構成された箱庭的ラウンジ・ポップ〉をさらにリズムで補強したような作品となった。

AVIDEOTAPEMUSIC2015年のライヴで「Kung-Fu Mambo」を披露している様子
AVIDEOTAPEMUSIC2015年のライヴで「Kung-Fu Mambo」を披露している様子

夏の夜を感じさせる配信限定シングル『Sultry Night Slow』

 さて、今回配信限定でリリースされた2曲入りシングル『Sultry Night Slow』は、2016年6月からスタートするツアー〈Sultry Night Slow〉と同タイトルが付けられている。

 スローテンポのダウンビート+ピアニカという構成は、過去にリリースしてきた「海底温泉」「Wild body for summer」「Mountain Train」「ミスハトヤ」といった数々の名曲でも披露されてきた彼の十八番。『世界各国の夜』以降アップデートされたビート感はもちろん、サポートで参加しているcero荒内佑(key)、武嶋聡(Sax)、川崎太一朗(Tp)、beipana(Steel Guitar)らの各パートも聴きどころだ。特に、後半聴こえてくるむせび泣くサックスは、この曲が持つ〈夏の夜感〉を演出する楽器としてこれ以上ないほどフィットしまくっている。

 2曲目は自身によるダブ・ヴァージョン「Sultry Night DUB」を収録。カシオトーン(おそらくVL-Tone)のプリセット・リズムを使ったチープなリズムの上で踊る流麗なピアノの音、ゆらゆらと揺れる音像が儚さを演出している。

 これらの楽曲は、ツアーへの意気込みを言葉の代わりに語るような内容となっている。これを聴いたらツアーがどんなものかわかる… というわけではないだろうが、彼がツアーに掛ける意気込みは十分に伝わってくるはず。

 〈Sultry Night Slow〉ツアーは6月10日から、大阪、名古屋、渋谷の3ヶ所で行われる(渋谷はソールドアウト)。2016年の夏、ロマンチックな夜を味わいにVIDEOTAPEMUSICのツアーに足を運んで見てはいかがだろう。

 ちなみに以降は完全なる余談だが、VIDEOTAPEMUSICはミュージシャンなど親しい存在から〈ビデオくん〉や〈ビデオさん〉と呼ばれている。彼がビデオテープで音楽を作るから〈ビデオさん〉と呼ばれているんだとしたら、背が高いから〈のっぽさん〉と呼ばれた教育番組の出演者と同じ関係性だなと、相当どうでもいいことをいつも考えてしまう。

〈VIDEOTAPEMUSIC /“Sultry Night Slow“Tour〉
2016年6月10日(金)梅田Shangri-la
OPEN / START : 18:30 / 19:00
料金 : 前売 3,000円(ドリンク代別)
出演 : VIDEOTAPEMUSIC / Yossy Little Noise Weaver / TUCKER
(DJ) 安田謙一×キングジョー

2016年6月12日(日)名古屋Live & Lounge Vio
OPEN / START : 18:00 / 18:30
料金 : 前売 3,000円(ドリンク代別)
出演 : VIDEOTAPEMUSIC / TUCKER
(DJ) HALFBY / サモハンキンポー(思い出野郎Aチーム)

2016年6月25日(土)@渋谷WWW ※ソールドアウト
OPEN / START : 17:30 / 18:30
料金 : 前売 3,000円(ドリンク代別)
出演 : VIDEOTAPEMUSIC / cero / EVIS PRESLEY BAND
(DJ) 松永良平
※上記3会場入場者特典あり

VIDEOTAPEMUSICの過去作品と参加作品

VIDEOTAPEMUSIC / 世界各国の夜

【配信形態】ALAC, FLAC, WAV, AAC, MP3
【配信価格】単曲 205円(税込) / アルバム 2,263円(税込)

【Track List】
1. 世界各国の夜
2. Speak Low
3. Hong Kong Night View feat.山田参助(泊)
4. ミスハトヤ
5. Lost Honeymoon
6. August Mood
7. 東京狼少女 -Tokyo Luv Story- feat.LUVRAW
8. Waikiki Sweet Heart
9. 棕櫚の庭
10. Enter The Kung-Fu Mambo
11. Kung-Fu Mambo
12. Royal Host (Boxseat)
13. チャイナブルー新館
VIDEOTAPEMUSIC / 7泊8日

【配信形態】ALAC, FLAC, WAV, AAC, MP3
【配信価格】まとめ購入 1,851円(税込) / 単曲 205円(税込) AAC, MP3のまとめ購入 1,389円(税込) / AAC, MP3の単曲 154円(税込)

【Track List】
1. 7泊8日
2. Mountain Train
3. ポリネシアン観光センター
4. Death Farm
5. Slumber Party Girl's Diary
6. Theme Of Hotel Majestic
7. Hot Pants In The Summercamp
8. Swing Shift
9. Blow in the Wind (feat. やけのはら, 高城晶平)
VIDEOTAPEMUSIC「7泊8日」トレイラー
VIDEOTAPEMUSIC「7泊8日」トレイラー
V.A. / とんちこんぴ
【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV、AAC、MP3

【配信価格】 まとめ価格 1,200円(税込)

【Track List】
1. 鈴木隆弘 -- シンクロ
2. ニーオンザベリー -- 片想い
3. DO IT ~ル・トラブルン・アンブルン・レインブルン~ミドロの反乱 -- ホライズン山下宅配便
4. クリスマスと算数 -- Alfred Beach Sandal
5. Positive PaParazzi Party -- B-positive?
6. Brazilian Pavilion -- VIDEOTAPEMUSIC
7. なんだかんだ言っても -- ニceオモro
8. OintheO -- 伴瀬朝彦
9. 時計の針 -- 山下三四郎
10. 雨ふる夜に -- カタオモロ
11. 01344 -- 河合一尊
12. Naked Days -- アベユミコ
13. 弦によせて -- mantaschool
14. Candy -- あだち麗三郎
15. 車橋 -- 倉林哲也
16. _ -- _

思い出野郎Aチーム / WEEKEND SOUL BAND
【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV、AAC、MP3

【配信価格】 単曲 257円(税込) / まとめ価格 2,057円(税込)

【Track List】
1. intro feat.LUVRAW
2. 週末はソウルバンド
3. サウンドシステム feat.やけのはら
4. 雨の街 feat.小林うてな
5. 東京迷子
6. ONE MUSIC feat.VIDEOTAPEMUSIC
7. グダグダパーティー
8. TIME IS OVER
9. side-B
NOPPAL / SUMMER EP 2015
【配信形態】 MP3

【配信価格】 単曲 199円(税込) / まとめ価格 1,305円(税込)

【Track List】
1. I Luv MaryJane (Music: Mr.MELODY)
2. Stay Up (Music: Dorian)
3. Summer Night Party (Music: Dorian)
4. Lazy Sun Day (Music: VIDEOTAPEMUSIC)
5. 何もない日 (Music: Osamu Ansai)
6. I Luv MaryJane (DJ MAYAKU Remix)
7. I Luv MaryJane - Inst
8. Stay Up - Inst
9. Summer Night Party - Inst
10. Lazy Sun Day - Inst
11. 何もない日 - Inst
12. I Luv MaryJane (DJ MAYAKU Remix) - Inst

カタコト / HISTORY OF K.T.
【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV、AAC、MP3

【配信価格】 単曲 205円(税込) / まとめ価格 1,543円(税込)

【Track List】
1. 「扉を開けてしまった男」
2. Man In Da Mirror
3. HELLO KATY
4. ハーフ&ハーフ
5. 「リスからの手紙」
6. からあげのうた
7. Starship Troopers
8. 夏じゃない(チルドルームサマー)
9. 「殺人鬼のヒットソング」
10. Gooonys
11. デス!プルーフ
12. リュックサックパワーズ feat.VIDEOTAPEMUSIC
13. Super Natural Communication
14. G.C.P
15. 「悪魔はどっちだ?」
16. ピアノ教室の悪魔
17. 魔力

PROFILE

地方都市のリサイクル・ショップや閉店したレンタル・ビデオ・ショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。VHSの映像とピアニカを使ってライヴをするほか、MV制作、VJ、DJ、イベントのオーガナイズなど活動は様々。MVでは盟友ceroを始め小島麻由美、NRQ、Hi,howare youなどジャンルレスに手がける。ほかにもモデル、女優の菊池亜希子のムック本「マッシュ」のCM映像、楽曲も製作。ライヴにおいては、クラブ・シーンからインディペンデント・シーンまで幅広く活動。ダンスミュージックとしての下地にポップでメロウなメロディが絶妙であり、映像のセンスふくめ卓越しており、シーンの中でもずば抜けており、今作のリリースが待ち望まれていた素敵な男が「VIDEOTAPEMUSIC」である。

>>VIDEOTAPEMUSIC オフィシャルサイト

この記事の筆者
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