2013年春、エンジニア、オーディオ評論家の高橋健太郎を講師に迎えて、春期講座で開講されたDSD徹底攻略塾。MP2、WAVとも違う”超”高音質、DSDについてその基礎から学び、実際に体験する授業をおこないました。全3回を終えた本講座が、ミューズ音楽院を飛び出し、下高井戸のG-ROKSで課外授業を開催! ゲストにROTH BART BARON(ロット・バルト・バロン)をむかえて、KORGのDSDワークステーション「Clarity(クラリティ)」を使って、DSD公開録音、公開ミックスという前代未聞の講座に挑戦、OTOTOY独占で配信を開始します。Clarityで同時録音ができる、8チャンネルという制限を生かした録音技術にも注目です。
ROTH BART BARON / DSD Recording EP よだかの星/Campfire
【配信価格】
DSD 5.6MHz+HQD(24bit/48kHzのwav) まとめ購入のみ 500円
【Track List】
01. よだかの星 / 02. Campfire
Recorded, Mixed & Mastered by 高橋健太郎
Recorded & Mixed at G-ROKS
Clarity Operated by 大澤康祐(G-ROKS)
Special Thanks to Timelord, ミューズ音楽院
Supported by KORG INC.
マイクプリ : HELIOS ブラック・コンソール(5チャンネル分)、API 312(3チャンネル分)
マイク : キック〜AKG D12 / ベースアンプ&キックオフ〜AKG D112 / オーバーヘッド〜AKG C414 / ドラムのサイド〜SENHHEISER MD421N / ギター・アンプ&キーボード・アンプ〜AKG C414*2 / アコースティック・ギター〜AKG C414 / ヴォーカル〜SENHHEISER MD421N
レコーダー : KORG Clarity
※こちらのパッケージには、楽曲のDSFファイルとDPPファイル、HQDトラックが同梱されております。
※ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。
※講座を受講された方には、別途音源を送付させていただきます。上記パッケージよりダウンロードされますと、払い戻しはお受けできませんのでご了承ください。
【DSDとは?】
DSDとはDirect Stream Digital(ダイレクト・ストリーム・デジタル)の略称。音声をデジタル化する方式の1つで、音の細かいニュアンスの忠実な再現を目指して開発されました。DSDは通常のCDのPCM方式とはまったく違う1bitのレコーディング形式で、サンプリング周波数は2.8224MHz(CDの44.1kHzの64倍)にも及びます。奏でられた音と会場の空気が蘇るその音質は、アナログ・レコードのような滑らかさと、デジタルならではの透明度を合わせ持っています。
【Clarityとは?】
KORG社が開発をおこなった、世界に3台しか存在しないDSD対応DAW(オーディオ・ワークステーション)。8チャンネルのマルチ・トラックによるDSDネイティヴ録音、DSDドメインでの編集・ミックスをおこなうことができる。
【DSDネイティヴ再生を体験するには?】
KORG社が開発したUSB DAC「DS-DAC-10」とフリー・ソフト「AudioGate」を組み合わせて使用することで、DSDの持つ高いクオリティを損なわず、かつ「手軽に」DSDネイティヴによる再生をおこなうことができます。2.8224MHzのDSDデータだけでなく、より解像度が高く原音に忠実な5.6448MHzのデータ再生にも対応。Windows、Macともにセッティングも簡単で、互換性の心配もありません。
システム構成例
PC(AudioGate)ーーー(USB)ーーー〈DS-DAC-10〉ーーー ヘッドホン または オーディオ・セット
対応オーディオ・ドライバー : ASIO、CoreAudio (Win/MacともKORG USB Audio Device Driver使用時に対応)
録音現場レポート : ROTH BART BARON × 高橋健太郎
“超”高音質音楽データ、DSDの先駆者である高橋健太郎によるDSD徹底攻略塾。最終回は課外授業としてスタジオG-ROCKSにてDSD公開録音を行った。8chのマルチ・トラックで録音、エディット、ミックスまでをDSDネイティヴで行うことができるワークステーションClarity(クラリティ)を使って、高橋健太郎が生演奏を公開録音&ミックスを行う。世界に3台しか無いというClarityを使ったDSD録音は高橋健太郎にとってもはじめての試みだそうだ。今回この録音に挑戦するのは、ヴォーカル・ギター、三船、ドラム、中原に加えてサポート・メンバー(ピアノ、シンセサイザー、グロッケン)の3人によるROTH BART BARON(ロット・バルト・バロン)。確かな技術を持つ彼らの音楽は日本のみならず海外でも評価が高い。多様な楽器とじわじわと心に染みわたっていくような優しい声で幽玄な世界を紡ぎだす彼らの演奏こそ、DSDでたくさんのひとの耳に聴かれるべきではないだろうか。そんな願いに対して、8chという制限があるなかでこのような編成のバンド録音は至難の業。高橋健太郎のマイキングに試行錯誤が繰り返され、彼らの演奏をDSDはどこまで鮮明に録音できるのか、期待と緊張が織り交ざるなか公開録音はスタートした。
まず演奏されたのは、自主音源『化け物山と合唱団』に収録された「よだかの星」。録音中はヴォーカルとギターはあまり聴こえずドラムばかりが聴こえて、どんな仕上がりになのかできあがるまでまったく想像できなかった。いざ録音された音源を聴いてみると、ヴォーカルもしっかりと聴こえてきて目の前で彼らが演奏を聴いているのではないかと錯覚するぐらい音が立体的だ。半円状に並んだそれぞれの楽器の距離感までもがそのままそっくり再現されて聴こえてくる。宮沢賢二の同タイトル作品の主人公”よだか”が抱えていたやるせない悲しさが、繊細で美しい世界のなかでより際立って伝わってくるようでもあった。
次に演奏された「Campfire」では、先ほどと同様に録音した1テイク目にオーヴァーダビングでコーラスのみを録音したテイクを合わせて1曲として完成させた。彼らの3人だけで描いているとは信じられない壮大なサウンドと切実な歌声に感情が揺さぶられていく。この曲は、瞬く星のようなグロッケンがとても美しい。その1音1音の余響までもが鮮明なのは、DSDだからこそであろう。
ミックス作業終えたあとは、KORGのDSDレコーダー、MR-2000SとClarityの内部でミックスダウンした2つを聴き比べてみる体験も。前者は芯のあるバンド・サウンドで後者は遠くが澄み切って見えるクリアなサウンドが印象的。同じ音源でもこれほど印象が変わるのかと、講師メンバーともども驚いてしまった。最後の質問コーナーでは機材についての質問が多くみられ、DSD録音について一足はやく学ぶことができた貴重な場でもあった。
今回のDSD録音で彼らの繊細な世界をより鮮明に閉じこめることができたのではないだろうか。また、スタジオに漂っていた空気すべてが音楽と共鳴しているような感覚、彼らの世界に迷いこんでしまったような錯覚は彼らの演奏をDSD録音したからこそ味わうことのできたのだと思う。ぜひ、そんな体験ができる超高音質DSDで彼らの幽玄な世界に浸ってみてほしい。
レポート : 山本夏美
写真 : ふじもりさら
これまでにKORG Clarityで録音したOTOTOY独自の配信音源
キセル / KICELL EP in みなと湯(5.6MHz DSD+HQD ver.)
6月1日(土)、東京・日比谷野外大音楽堂にてワンマン・ライヴ「野音でキセル」を開催する兄弟ユニット キセルの楽曲を、世界に数台しかないDSD レコーダー「Clarity」を使用し、エンジニアに奥田泰次を迎えて銭湯でDSDネイティヴ録音、ネイティヴ・ミックスを行った。録音した音源は野音ワンマン・ライヴでもCDが会場限定販売されるが、CDと同内容の「春」「庭の木」のほか、OTOTOYのみの独占音源となるフォーク・シンガー高田渡の楽曲を使用した「夕焼け」が収録されている。さらに、銭湯での録音風景の写真をまとめた歌詞入りブックレット付き。もちろん5.6MHzのDSDとHQD(24bit/48kHzのwav)音源で聴けるのも配信のみ。
世武裕子 / 世武裕子 DSD recording sessions vol.1 やもり、vol.2 JOY
シンガー・ソングライター、映像音楽作家として活躍する世武裕子が、DSDのネイティヴ録音、ネイティヴ・ミックスを初体験。2012年の『アデュー世界戦争』から積極的に高音質配信を行い、高音質対応ポータブル・プレイヤーの試聴も体験してきた彼女が、ついにDSDでのレコーディングに挑んだ。配信はもちろん、OTOTOYが2月に解禁した5.6MHzのDSDで行い、24bit/48kHzのHQD版の全トラックと歌詞ブックレットを同梱。世武裕子の力強く、優しく、そしてあまりにも生々しい歌声と共に、それぞれのピアノの音色を聴き比べてみませんか?
>>vol.1 特集ページはこちら
>>vol.2 特集ページはこちら
PROFILE
ROTH BART BARON
中原鉄也(drums/piano) Tetsuya Nakahara
三船雅也(vocal/guitar) Masaya Mifune
2008年結成、東京出身。
2010年に自主制作による1st EP『ROTH BART BARON』をセルフ・リリース、diskunionやJET SETから多大な支持を受ける。そして無名の新人ながら異例のiTunesでの国内、海外同時配信。ギター、バンジョー、マンドリン、ピアノ、和太鼓、フィドルなど多種多様な楽器を使い、壮大なサウンド・スケープと美しいメロディ、剥き出しの感情と生命力に満ちあふれた歌詞が作り出す圧倒的な世界観は日本の音楽シーンだけに留まらず、SoundCloudをはじめとする音楽系SNSサイトから多くの賞賛コメントを受けるなど、海外での評価も高い。