ここのところ全国的に雨続きで、めっきり涼しくなった。ついこの間までは「暑い暑い!」と不快指数高かった人も、「夏が終わってしまったの?」とちょっぴり寂しくなっていたりしないだろうか。でもご心配なく!長期予報によると、9月を過ぎても残暑は続くようだ。今回は、ずっと夏気分でいたい、まだ夏をあきらめていないあなたに送る特集企画。サーフ・ミュージックを中心に、その変遷や、話題となった海の家やイベントのおさらい、そしてrecommuni厳選音源の紹介など、まだまだ夏気分に浸りたい人を強力サポート!

■サーフ・ミュージックの変遷

サーフ・ミュージックと聞いて思い浮かべるのは、今でこそJack JohnsonやDonavon Frankenreiterだが、そのように呼ばれる音楽は、これまでにいくつも存在し、時代や文化背景によってまったくちがった意味合いを持っているのもおもしろい。実際にサーフィンをする人、しない人だとか、サーフィンのスピード感を表現した音楽、ビーチの開放感・リゾート気分をあらわした音楽など、捉え方はさまざま。さらに、最近のメディアでは、サーフィンや海に合いそうな音楽をひとくくりに「サーフ・ミュージック」と紹介しているものすらある。これは、もう「雰囲気」の範疇。これらのことを踏まえて、その変遷を辿ってみることにしよう。こういった分類にカッチリはまるもの、それぞれの要素をクロスオーバーしているものなどが見えてくる。

【60年代】60年代のサーフ・ミュージックは、二つに大別できる。まず一つ目は、波に乗るその高揚感を表現するために、高速ピッキングと当時開発されたばかりのリヴァーブ・ユニットを使って見事サーフ・ギター・サウンドを完成させ、のちのハードロックにも影響を与えたというDick Daleをはじめとする、エレキギターを主体にしたインスト曲。二つ目は、The Beach Boys等のソフト・ロックやウエスト・コースト・サウンドにもつながる、コーラスワークが特徴的な楽曲。Dick Daleは実際サーファーだったが、Beach BoysのメンバーでサーフィンをするのはDenis Wilsonだけだったらしいし、その後のBeach Boysのサウンドの変遷からもわかるように、サーフィンだとか、ホット・ロッドというのは、当時の彼らの音楽を売り出すためのキーワードにすぎなかったと言えよう。

【70年代】そもそもサーフィンは、ハワイ生まれのスポーツ。70年代は、そのハワイ出身のKalapanaや、西海岸のPablo Cruiseらが人気を博す。どちらかというと落ち着いた、AORサウンドが特徴。サーフィンをテーマにした青春映画『Big Wednesday』のヒットも後押しとなり、音楽・ファッション・スポーツを巻き込んだカルチャーとしての「サーファー・ブーム」が起こる。

【80年代】欧米から少し遅れて日本にもサーファー・ブーム到来。湘南の海岸はサーフ・ボードを担いだ若者であふれる。「丘サーファー」という言葉もこの頃から。どこをどう間違ったのか、アロハ・シャツとビーチ・サンダル姿の若者が、海もない、ビルに囲まれた大都会、東京の六本木に突如出現。それが局地的に生まれた文化「サーファー・ディスコ」である。

【90年代】ここにきてDick Daleの音楽に近い意味合いを持つものとして、NOFX、OFFSPRINGなどのパンク/メロコアがサーファーからの支持を受ける。これにはスケートボードやスノーボードの文化も関係している。プロ・スケートボーダーでありながら、同時に音楽・ファッション・グラフィックなど多彩な才能を発揮し、ストリート・カルチャーの大きな潮流を生んだTommy Guerreroの動きは、こんにちのサーフ・ミュージック・ブームの大きな布石となっている。パンクにレゲエ、スカ、ヒップホップなどを吸収したSublimeのようなミクスチャー・バンドも出現。パンクの疾走感、レゲエのユルさ、両方を併せ持った最強に海の似合うこのバンドは、メンバーの死をもって惜しまれながら解散となったが、今でも根強い人気があり、次々とフォロワーを生んでいる。

【現在】また、ヒップホップ以降のリズム感覚で新しいブルース表現を始めたG.Loveと、クリエイターでサーファーやスケーターとしても知られるThomas Campbellによるサーフ・ムービー『Sprout』のサントラに参加しているHimやTortoiseなどのポスト・ロック〜シカゴ音響派勢、PhishやThe String Cheese Incidentらジャム・バンド勢などが、シーンの重要人物として次々に登場。そんな中、ハワイ出身のサーファーJack Johnsonも本格的に音楽活動を始める。サーフィンという共通項以外にも、自然を愛し、ショウビズから距離を置いたマイ・ペースなライフ・スタイルが支持され、音楽にたいする姿勢の近かったG.LoveやBen Harper、Donavon Frankenreiter達とのつながりや、世の中全体のLOHASや自然回帰志向も手伝って、Jackの名とともに「新たなサーフ・ミュージック」が一気に知られることとなる。

レコミュニおすすめサーフ・ミュージック レゲエにメタルに哀愁の漂うボーカルでカリフォルニアのサーフ・カルチャーを象徴している存在のThe Expandables。サウンドも名前もレッチリと似てるけどちょっと違うのはハワイ出身という土壌のせい?20年近くもサーフ・シーンで活躍するPepper。NYからはオーガニックなジャム・バンドというくくりかたをされるが、男女ヴォーカルの「うた」が魅力のひとつでもあるSim Redmond Band。そしてJack Johnsonとも交流のあるサーファー&ミュージシャンTed Lennon。Jack同様、ぬくもりのあるアコースティック・サウンドを聴かせてくれる。最後は、NHK「みんなのうた」でもおなじみ、父はサーファー、母はフラ・ガールという家族ユニット、ハル&チッチ歌族の、まさにサーフ・ロックな一曲!The Ventures世代にはたまらないテケテケ・ギターとキュートなヴォーカルの絡みがお見事っ(笑)。

■ここから文化が生まれる! 新世代海の家

「海の家」といえば、焼きそば、かき氷、すだれ、シャワー室、おばちゃん...。そして大してうまくもないカレーや焼きそばが格別の味に感じてしまう雰囲気マジック。子どものころはそんなイメージだった。しかし近年では、何よりもまず、自分達が心地よいと思える空間を作ろうと、ミュージシャンが気の合う仲間たちを集め、個性的で、手作りで、クオリティの高い海の家が次々と生まれてきた。そんな海の家を紹介しよう。



音霊 OTODAMA SEA STUDIO (神奈川・逗子) [8月末まで]
「海の家」と呼ぶにはあまりにも大きくなってしまったが、そもそもの発想は「ライブが楽しめる海の家」。逗子海岸をホームグラウンドに活動するデュオ、キマグレンが「CLUBEACH HOUSE KANNON」として2005年に立ち上げた。わずか3年でジャンルを問わないラインナップが多くの来場者を集め、「逗子の新名所」とまで言われるように。
http://www.otodama-beach.com/



BLUE MOON (神奈川・葉山 一色海岸) [8月末まで]
今年で12年目を迎え、「音楽を楽しめる海の家」の先駆的存在である。竹のリサイクル資材を作った居心地のよい空間は、多くのアーティストに愛されている。
http://www.bluemoonhayama.net/



海の家 オアシス (神奈川・葉山 森戸海岸) [8月末まで]
「竹」と「トタン」使いが印象的で、まるで海外の屋台村のような雰囲気。チャージはなく、ドネイション(投げ銭)形式。
http://www.oasis-jahnodebeach.jp/



かねよ食堂(神奈川・横須賀 走水海岸) [年間営業]
40年以上も砂浜に立つ漁師小屋を改造し、新しく生まれ変ったのが「かねよ食堂」。暖かい季節はオープン・テラスに、寒い季節はオーシャン・ビューのフロアへと変わり、1年を通して浜辺の様子を楽しむ事ができる。この「食堂」というネーミングからは想像しづらいかもしれないが、カフェのような居心地の良さと海の家のような楽しさが、この浜辺の一角にはある。
http://www.art-onthebeach.com/



新島WAX (東京都・新島) [8月末まで]
東京にだってあるんです!といっても伊豆諸島の新島だが...。イベントを通して新島を知ってもらうという島おこしと同時に、島民にとっての楽しみも提供していこうという目的で立ちあがった。
http://wax2005.com/


■広がるサーフ系フェス

THE GREEN ROOM FESTIVAL [終了]

【日程】 2008.5.24 横浜 大桟橋ホール / 2008.5.31 名古屋 クラブダイアモンドホール / 2008.6.1 大阪 名村造船場跡地

【出演】 BLUE KING BROWN / CARAVAN / Panorama Steel Orchestra / 佐藤 タイジ / Ash Grunwald / Double Famous / LITTLE TEMPO / RICKIE-G / Curly Giraffe / KEISON / 東田トモヒロ / Pepe California / Saritah / Matthew Pitts / Justin James / NAOITO / BAGDAD CAFE THE trench town / cutman-booche / KAT / ワダマコト(WADA MAMBO) / 金佑龍 from cutman-booche / 一二三 / Afnica / Spoon child / BE THE VOICE / Tommy Returntables / AK / Slowman / Roki


サーフィン用語で波のうねりの中にできる空洞部を意味する「GREEN ROOM」は、サーフィンをする者にとって最高で特別な空間。新しい風が小さな流れを作り波となり、小さな波が集まり重なり大きな波となり最高のグリーン・ルームを創る・・・

サーフィンをテーマに、Music、Art、Film、Photography、全てをコラボレーションさせたフェスティバル。アメリカ・カリフォルニア州で開催されていた「Moonshine Festival」の姉妹イベントとして、サーフ・カルチャーの発展を願い、日本開催が実現。

さまざまなアーティストの表現を通してサーファーもサーフィンをやらない人にもあの独特なフィールを伝えたい。そして、急速に減少しているビーチやサーフ・ポイントを守りたい。そんな思いがTHE GREEN ROOM FESTIVALのコンセプト。


http://www.greenroom.jp/


WINDBLOW 08

【日程】2008.7.5 静岡 相良シーサイドパーク / 2008.8.30-31 静岡 マリンパーク御前崎

【出演】BLACK BOTTOM BRASS BAND / 東田トモヒロ / 犬式 a.k.a.Dogggystyle / PAPA U-Gee / pe'zmoku / 佐藤タイジ / SPECIAL OTHERS / Spinna B-ILL / Dachambo / Flying Rhythms / HEAVY LOOPERSseSSion feat. Kenji Suzuki (a.k.a Kenji Jammer) / Keison / 木村充揮 BAND with 金子マリ / KONISHIKI / Leyona / OKI DUB AINU BAND / 中山うり


「音楽を通じて、広く人々の環境への関心を喚起しよう!」をテーマにした地域発信型の環境音楽イベント。2003年に初めて開催し、2007年は3500人を集めるイベントにまで成長。


http://www.windblow.jp/


SUN SET LIVE 2008

【日程】2008.9.5-6-7 福岡 芥屋海水浴場キャンプ場

【出演】BOOM BOOM SATELLITES、The Birthday THE SUNPAULO、CRO-MAGNON & GAGLE(JAZZYSPORT)CRAZY KEN BAND、LITTLE TEMPO、SPECIAL OTHERS、RYUKYUDISKO、Kenji Suzuki(a.k.a Kenji Jammer)and The Jammers feat.Spina B-ILL / PUSHIM、RYO the SKYWALKER、MIGHTY JAM ROCK ほか


地元のカフェ・オーナーが企画した小さなライブからはじまり、それを仲間やコミュニティが支え続け、今年で16年目(フジロックよりも歴史がある!)を迎える、福岡の夏の代名詞。


http://www.beachcafesunset.com/index2.htm


■これを聴いていればまだまだ夏!

シチュエーション別に「夏」を楽しめる作品をまとめてご紹介!


パーティーチューンで踊りたい!まだまだパーティーに飢えているあなたには、ビーチで踊って楽しめそうなこの5枚。バンド名があまりにも直球すぎるThe Beaches。各シーンから集結した豪華ゲストも魅力的なシンドバッドのアルバム。月間プロボーラーの新曲、その名も「Summer Of Love」は、初期90sのテクノを彼ら流にアレンジした切ないポップ・ナンバー。この勢いは誰にも止められないレペゼン横浜、サイプレス上野とロベルト吉野。そしてゲーム音楽×沖縄民謡の異色の組み合わせが絶妙なOmodaka。


わたしをどこかに連れてって!海外旅行にでも行ってのんびりしたかったけど、お金も時間もなくて...というあなたにはこちら。暑苦しすぎないギターの音色とダビーなトラックがなんとも夏気分を誘うpasadena。SANDIIとJazztronikによる、ハワイアンmeetsラウンジミュージック。POP職人HARCOがマリンバ・アーティストErimbaとコラボレーションした、まるで世界旅行をしているようなカヴァー・アルバム。アーシーなリズムに、サイケデリック・オリエンタル・サウンドが炸裂するpoodles。そしてTHE FOX解散後、ゆるゆるトロピカル路線にさらに磨きをかけたシンドウユカの一曲を、お楽しみあれ。


火照った心と体をクール・ダウン&リラックス...久保田麻琴の新作は、上記のリゾート枠にも入るが、とにかく暑さに疲れた脳とカラダに深〜くしみこむようなセラピーのようでもあり、受け止め方によってはナチュラル・ハイの高みに到達できそうな極上の一枚。最近では夢の島で行われた「WORLD HAPPINESS」にも出演し、新たなファン層を獲得したであろうnaomi & goroのボサノヴァ・サウンド。アンビエントでアブストラクトなサウンド・スケープが印象的なlilyqMay。Sakanaをはじめ、様々なアーティストが参加している「海」をテーマにしたコンピレーション。ペダル・スティール・ギターの音色にとろけてしまいそうになる、高田漣のアルバム。Ann Sallyがボーカルのタイトル曲で、さらにアルファ波倍増...!

SEA OF MEMORY

V.A.

Album ¥1,200


「うた」が聴きたい!ここでは個性的なヴォイスで「うた」を聴かせてくれる女性アーティストを紹介。Bob Marleyが女性になってこの世に降りてきたかのような声!来日公演も迫っているアシャ。様々なジャンルで引っ張りだこ、有坂美香を擁するReggae Disco Rockers。「蛙の詩人」と言われた草野心平の作品に曲をつけたNUUの、日本語が美しいアルバム。レコミュニでも特集展開中、キリンジ堀込高樹が手がけた、朝日美穂の新曲。新世代萌え系オルタナ・バンド相対性理論の、スカスカ感がたまらない胸キュン夏ソング。

前回の特集「ニュー・オルタナティブ・ミュージックの未来」へ

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レヴュー

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