2025/07/23 18:00

騒いでた人をシラけさせ、シラけてた人を騒がせて

──曲の数とバリュエーションも相まって、今回のアルバムは混乱させたい意思が滲んでいるというか。”ephemeral” で急にシューゲイザーっぽい音にしたり。

onoue : “ephemeral” は意識的に作りましたね。今まで騒いでた人をシラけさせて、シラけてた人を騒がせて……天邪鬼なんでしょうねぇ。最近はクラシックとか現代音楽も聴くようにしていて、面白さをそこから見出しつつ、最終的にはやっぱり訳のわからないものを作りたいんです。

──以前のインタビューではジェームス・チャンスやラウンジ・リザーズなど、ノーウェーブから生まれたフェイクジャズ感のあるバンドの名前をonoueさんが挙げていましたよね。

onoue : そうですね、バンドをやる上で根本にいる人たちです。

──ただ、今はフェイクを抜けた先の、いわゆる「ガチ」のジャズにも興味がある段階で、それが今のaldo van eyckらしさを作ってると思うんです。

onoue : そうですね。はじめは「フェイクです」ってイキってたらカッコいいと思ってたんですけど、最近はちゃんとしたいなっていうのもあって。構造を理解して、全部弾けて、そこからどうする? っていう。その段階を意識しています。

ryunosuke : さっきのスケールの話とも共通していると思うんですけど、「できた上で崩したい」っていうのが理想なんですよね。今は「できない」の段階にいるし、だからこそのフェイク感もあるんですけど。

──雑な感想ですけど、今あるフェイク感を壊して「できる」っていう段階に踏み入るのって怖くないですか? 「できない」っていう状態に戻るのは不可能なわけで。

onoue : あーなるほど。多分、「楽器上手くなりてぇ」みたいな中2マインドがあるだけなんですよ (笑)。サックスもトランペットも、僕とryunosukeは素人の状態からいきなり買ってライブで使ってるけど、とにかく上手い人に今は憧れてて。

──そして、そこからまた崩すという。リズム隊のお二人はどういう風に見てます?

dischaaageee : 別に……「好きなことやりな〜」って思ってます。

一同 : (笑)

onoue : どうでもいいんだ (笑)。

dischaaageee : 俺はそういうのが好きなんですよ。

onoue : ドラマーに関してはビートに個性が出るんです。その点、dischaaageeeはほんとにハードコアがルーツなんで、ジャジーなものを叩いてもらおうとしても違う「香り」になる。最初はそれが面白かったんですけど、今はドランクビートを叩いて欲しいって頼むようにしています。

dischaaageee : いやいや、あれには段階があって……。基礎が果てしなくあって、その上澄にドランクビートがあるのよ。雰囲気だけで叩いてもドランクビートにはならない。

ryunosuke : いや、むしろ逆。雰囲気だけでやって、それを後から分析していくのが早い。僕はそう思ってます。

──なるほど。ライブのパフォーマンスで刺激を受ける近い世代のバンドっていますか?

ryunosuke : 佐賀のConcent Jackっていうバンドのギタリストが、ギターのピックアップにiPhoneを近づけてサンプリング音源を流してたんですよ。それをエフェクターでぐちゃぐちゃにして……あれは良かったですね。

dischaaageee : 5kaiとか山口のAyatoとかは楽器の使い方が面白いですよね。カッコいいし、見た目もイケてる。

onoue : 今回のツアーで一緒に演奏するKhakiとかBlack petrolは年齢も近いし、やってることとやりたいことがわかるというか。勝手にライバルだと思ってます。

──共演するときは闘志を燃やすというか。

onoue : はい、それが礼儀なので。狩らないと狩られる。

──おぉ。

onoue : 例え反応がなかったとしても、心にグサってくるようなものを残さなきゃダメだろう、と思ってるんです。「ちょっと凄いもん見ちゃったな」みたいなの思わせないとダメなんだろうなって。ライブを観に行って救われる瞬間があるようじゃないと、お金を頂く以上は許されないだろうなと。

──そういう点で印象に残ってるライブってあります?

一同 : 昨日。

──やっぱりアガるライブが一番良いんですね (笑)。ありがとうございます、最後に言い残したことはないですか?

dischaaageee : 僕らの存在が音楽を始めるきっかけになってくれれば、それが一番嬉しいです。

onoue : カッコよ!!

dischaaageee : 10代の少年がエレキギターを買うみたいな、そういう要素がないといかん。良い音楽も大事だけど、その少年のためにバンドをやりたい。

onoue : めっちゃ良いこと言うやん!

yamashita : どうしたん!?

dischaaageee : いやわからん、急に言いたくなった……まぁ僕からは以上です (笑)。

編集 : 高田敏弘

ボリューム、バラエティ、インテグリティ──すべてが申し分のない、全20曲・71分

OTOTOYで『das Ding』をご購入いただいたかた全員にもれなく “last dance” の〈SYNCHRONICITY'25〉ライブ音源をプレゼント! 2ndアルバム『dead shot dan』収録音源とはアレンジも尺も大きく異なる、aldo van eyckならではの、必聴ライブ音源です。ぜひ最新アルバムとともにお手元に!

ライブ情報

NUM FES 2025

日程 : 2025年8月10日 (日祝)
会場 : 東京 東高円寺 U.F.O. CLUB
開場 / 開演 : 18:00 / 18:30
出演 : aldo van eyck / から探し/ The Tippy and more
チケット : アーティスト取り置き

BASEMENTBAR 30th Anniversary Special
TRANSITION -Warm Up Party-

日程 : 2025年8月12日 (火)
会場 : 東京 下北沢 BASEMENTBAR
開場 / 開演 : 18:00
出演 : aldo van eyck / HALLEY / Johnson KOGA / Veg
[DJ] HARINEZUMI / judgeman / Shota Katayama
チケット : 予約フォーム

BASEMENTBAR 30th Anniversary Special
“TRANSITION”

日程 : 2025年8月13日 (水)
会場 : 東京 下北沢 BASEMENTBAR / 下北沢THREE 往来
開場 / 開演 : 16:30
出演 : aldo van eyck / Cosmic Mauve / Doona / Geloomy / HALLEY / Johnnivan / QPLO / S.A.R. / Wang Dang Doodle
[DJ] Fumiya Kawase / judgeman / kuniii / SHiN / 星原喜一郎
チケット : t.livepocket.jp/e/transition

月見ル21周年記念公演
『新涼の折』

日程 : 2025年9月3日 (水)
会場 : 東京 青山 月見ル君想フ
開場 / 開演 : 19:00 / 19:30
出演 : aldo van eyck / 想像力の血
チケット : eplus.jp/sf/detail/4368190001-P0030001

birthus -bandmerch 4th anniversary- [EVE]

日程 : 2025年9月11日 (木)
会場 : 東京 下北沢SPREAD
開場 / 開演 : 19:30
出演 : aldo van eyck / computer fight / [DJ] kaiki(Bandmerch)
チケット : bandmerch.jp/article/0056/

birthus -bandmerch 4th anniversary-

日程 : 2025年9月12日 (金)
会場 : 東京 下北沢 BASEMENTBAR / 下北沢THREE 往来
■DAY
開場 / 開演 : 18:00 / 18:30
出演 : DANCING COSMO PLAXMA / OCHAN(NIKO NIKO TAN TAN) / 中塩博斗(Khaki) / 奥中康一郎(えんぷてい) / 京英一(雪国) / 平川直人(Khaki) and more
■NIGHT
開場 / 開演 : 23:00
出演 : aldo van eyck / ANORAK! / DOGO / Qoodow / 池貝峻 + band / 乙女絵画
[DJ] SPOT / TOMMY(BOY) / 片山翔太 / 星原喜一郎
and more
チケット : bandmerch.jp/article/0056/

SHIBUYA SOUND RIVERSE (SSR 2025)

日程 : 2025年9月28日 (日)
会場 : 東京 恵比寿LIQUIDROOM、KATA、LIQUID LOFT、Time Out Café&Diner
開場 / 開演 : 12:30
主催 : FRIENDSHIP.
出演 : aldo van eyck / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / ODD Foot Works / Enfants / 揺らぎ / ゆうらん船 / エルスウェア紀行 / Gateballers / VivaOla / SPENSR / YJC LAB. (YAJICO GIRL) / 阿部芙蓉美 / ベルマインツ / 烏兎-uto- / Foi / kiwano / Blume popo / Tyrkouaz / くゆる / JunIzawa / Rol3ert / GeGeGe / 楓 幸枝 / Tamuraryo / WAZGOGG, Koshun Nakao / KEISUKE SAITO
チケット : friendship.lnk.to/SSR2025

SuperBack & 171 presents
爆風マグマ音相撲 東阪ツアー 東京編

日程 : 2025年10月18日 (土)
会場 : 東京 西永福 JAM
開場 / 開演 : 18:00 / 18:30
出演 : aldo van eyck / SuperBack / 171 / ANABANTFULLS
チケット : t.livepocket.jp/e/74xss

aldo van eyck、これまでの作品

2023年10月リリース、2ndアルバム

2022年9月リリース、1stアルバム

PROFILE : aldo van eyck

tomohiro onoue (Vo/Gt/Tp/Key)
ryunosuke sakaguchi (Gt/Sax)
masahiro yamashita (Ba)
dischaaageee (Dr)

2021年、福岡にて結成。ガレージ、ポストパンク、ジャズ、ブルース、ノーウェーブ、あらゆるジャンルを吸収し唯一無二のサウンドを作り上げる。早耳リスナーやライブシーンで話題となり、1stアルバム『nada』はオンラインCDショップ〈HOLIDAY! RECORDS〉や〈HMV&BOOKS HAKATA〉にて即完。福岡を始めとした音楽シーンで注目を浴び、その存在はインターネットやライブを見た観客によって全国に知られることになる。その音楽性は、2023年10月リリースの2ndアルバム『dead shot dan』の20曲というバラエティに富んだ収録曲に帰結。初の全国展開リリースが実現。耳の早いインディロック・リスナーから、ジャズファンまで幅広いリスナー獲得に成功している。同作は〈CDショップ大賞2024〉九州ブロック賞を受賞。2025年6月に待望の3rdアルバム『das Ding』をリリース。

圧倒的なライブ・パフォーマンスに定評があり、セッションの中で予測不能に変化していくサウンドは個々の確かな演奏技術の上に成り立ち、実験的かつ狂気的なサウンドに見事なグルーブが重なった今まで体感したことのないライブは観るものを虜にする。2025年2月には香港でのワンマンライブを敢行。4月の東京初主催公演は完売。7月には3rdアルバムのリリースツアーを4都市で開催。

▫X : @aldovaneyck
▫Instagram : @aldo_van_eyck
▫YouTube : @aldovaneyck5865

この記事の編集者

[インタビュー] aldo van eyck

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