配信限定!! EeMu11ヶ月連続企画第4弾が登場
イチオシ・レーベルLOW HIGH WHO?に所属し、ビート・メイカーとして活動するEeMu。2011年12月にファースト・アルバム『Nothings』をリリースしたばかりの彼が、2012年2月から11ヶ月連続でEPをリリース。OTOTOYでは、その11ヶ月を、ヒップ・ホップ・ライターの遼とヒップ・ホップ担当和田隆嗣(僕です!)が必死に追いかける熱愛企画。第4弾が届きました。
EeMu Monthly Collection vol.4
EeMu / Rise and Fall
【価格】
MP3 : 単曲150円 / アルバム600円
WAV : 単曲200円 / アルバム600円
第四弾はLHW?からESME(Solvents and orbits)、Paranel、tototeruru、術ノ穴から6月6日にリリースされる空也MCセカンド・アルバム『独走』のオール・プロデュースを担当したk-overをフィーチャーしたヴォーカリスト特集。
シリーズで最もドラマティックな出来となった
シリーズ4作目。これまでの作品では、彼の手掛けた作品に最も馴染みのあるヒップ・ホップ・リスナーをメイン・ターゲットに作られたようなビートが多い印象だった。一転して本作は、ここにきてクラブ・ミュージック全般に対象を本格的に拡げてきた印象を受ける。ボーカルが本格的に取り入れられたこともあって、これまでの作品と比べても引き出しが更に増した。
周りの生活全てに対して虚けた心情が零れる「SquAir」から、上品な喜悦が見て取れる心地良い「Circle」に繋がる序盤。中でも「Circle」の細やかでシンプルなビートが本当に気持ち良い。Paranelの歌声も、曲から伝わる品のあるクラブでの一場面を切り取ったような情景を加速させる。LHW勢の実力を見せ付ける、これまでのシリーズでも出色の楽曲だろう。喜びが柔らかに零れるような「Circle」に、途中から不穏な音色が加わり、作品は怪しげな雰囲気を纏ったまま次の「Rise and Fall」へ。曲名、内容からして、本作もまたアンビバレントな形で物語性を持った作品なのだと思う。ある人間の悲喜が、輪郭を極限まで曖昧にしたまま描かれている印象を受ける。
あくまでボーカルよりインストが主軸となって感情を吐き出すこのシリーズ。そこに込められた物語の解釈は各聴き手に委ねられるべきだろうし、それこそがまた、インストならではの楽しみだとも思う。そういう意味では、物語を明示してしまうのはそれはそれで味気ない。
とにもかくにも、どことなく一個の人間の挫折・転落を思わせるようなこのEPは、「doukei nude」で終着する。 この曲でtototeruruが語る「いつかは空だって飛びたかった それだけだった」という歌詞もまた、物語への解釈を強く惹起する。加えて、この曲自体が、単体として取り出してみても、これまでのEeMu作品の中で、最もフラジャイルな魅力を持った楽曲であることは疑いない。totoreruruというシンガーは初めて聴いたが、例えば「リリイ・シュシュのすべて」でのSalyuの歌声のような、その脆弱性で曲の雰囲気を支配する力のあるアーティストだと思った。
曲のクオリティとしては特に偶数曲2曲が突出した感もあるが、作品全体の流れとしては、シリーズで最もドラマティックな出来だろう。余談ではあるが、冒頭の2曲のタイトルを組み合わせると「Sq uare the Circle」=「無駄なことをする」という意になる。これが深読みなのかどうかはわからないが、本作で漠然と描かれる物語の(これまた漠然とした)結末が冒頭から明示されていたのだとすれば、その無情さもまた本作に更なる深みを加えたのだと言える。(text by 遼)
>>>EeMuのファースト・アルバム『Nothings』の特集はこちら
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EeMu Profile
北海道出身。中学からヒップ・ホップに目覚め、高校の頃には音楽性を確立し、全国のEDWINショップの店内BGMのオファーも来るほど当時は周囲を驚かせていた。その後、自身の多名義によるプロジェクト、様々なアーティストへのトラック提供をはじめ、現在はWEBサイトやCM、ドラマなどテレビ音楽などにも提供している。ブラック・ミュージックからクラブ・ミュージック、環境音楽などにも幅広くセンスに取り込み、仲間からラッパーから、音楽家たちからも愛されるビート・メイカーとしてコンポーザーとしてレーベル「LOW HIGH WHO?」を支え続けている。
EeMu official HP
LOW HIGH WHO? official HP