色鮮やかなノスタルジーの再構築──セブンス・ベガが『PRISM』で鳴らす、“シティ・ロック”の正体とは?

ほぼ楽器未経験から、独自のサウンドとして“シティ・ロック“を標榜する4人組ガールズ・バンド、セブンス・ベガ。彼女らは2023年7月の結成から、2025年にはファースト・アルバム『PRINCESS』をリリースするなど精力的に活動を展開している。そして、そこから一年と一ヶ月という脅威のスピードで放たれた今作『PRISM』。今回OTOTOYでは、進化を続ける彼女らの音楽性を掘り下げるインタビューを実施。メンバーそれぞれのルーツからお気に入りの収録曲、前作からの制作プロセスの変化についてまで、たっぷり語ってもらった。
煌めきを放つ、セブンス・ベガ2ndAL!
INTERVIEW :セブンス・ベガ

ブラック・ミュージック由来でモダンなR&Bを演奏するガールズ・バンドも増えたが、今回紹介するセブンス・ベガは少し独特の存在感を示している。80年代のシティ・ポップの作家的な曲の完成度と、4ピース・バンドのナマ感を共存させるユニークな音楽性はシティ・ポップとロック・バンドが融合した“シティ・ロック”という形容がしっくりくる。また、リリックは90年代の女性SSWから続く恋愛や日常、生き方がビビッドなワーディングで綴られている。曲調やテクスチャーが安易なジャンル分けを無化し、ポップなのにやっていることは実験的なこのバンドの成り立ちを、メンバーのバックボーンやニュー・アルバム『PRISM』に至る経緯から紐解く。
インタビュー&文 : 石角友香
撮影 : つぼい ひろこ
「ぽいね」を繰り返していたら、いつのまにかセブンス・ベガの音に
――セブンス・ベガってルーツが皆さん違うと思うので、まずそれぞれの音楽的なバックボーンを教えて欲しいのですが。
ハイブリッドマイマイ((Dr/以下、マイマイ):ルーツはJ-ポップ、J-ロックで、幼少期に聴いてたのは槇原敬之さんとT-SQUAREさん、好きなアーティストさんはRADWIMPSさんとかTHE BOYS&GIRLSさんの系統で、ドラムのフレーズで言うとスピッツさんとかスキマスイッチさんの影響を受けてる気もします。
ソラ(Ba):私がバンドにはまったきっかけのアーティストさんはSEKAI NO OWARIさんで、幼少期はクラシックバレエをやってたのでクラシック音楽を常に聴いてる状態で、だからどこが自分の今のルーツになってるかはわからないんですけど、主にJ-ポップとクラシックの二つかなというふうに感じてます。ベースのフレーズはずっと真夜中でいいのに。さんや今のMrs.GREEN APPLEさんで弾いている二家本(亮介)さんのベースがとても好きで。そこから「こういうベースのスタイルもありなんだ」と刺激を受けて、五弦ベースにしたのもそれが理由です。
シブヤカンナ(Vo,Gt/以下、カンナ):私はもう全部なんですけど(笑)、小さい頃から本当に音楽が大好きだったので、(音楽が)ないことがありえないというか。その中でも80年代前半のJ-ポップ、シティ・ポップが私のルーツになってはいるんですけど、それ以降の80年代後半、90年代も大好きですし、2000年、2010年代ぐらいのアニメ・ソングの深い部分のある曲も大好きですし、基本歌ものであれば何でも聴いてたので、それこそジャズだったりソウルだったりの文化にも結構触れてきましたね。70年代ぐらいのファンクが元になって、それが日本風になってきたものがシティ・ポップみたいなのを聞いたことがあるんですけど、その影響でファンクも大好きで、セブンス・ベガの楽曲を作る時はファンクを意識してたりしますね。

――1stアルバムのインタビューでは杉山清貴&オメガトライブが好きだったと拝見しました。
カンナ:はい、大好きです。お父さんが聴いてたんですけど、そこから杉山清貴&オメガトライブの曲を林哲治さんが書かれていることが多いのを知ってそこから林哲司さんのファンになり、その時代を網羅していった感じですね。
――へー!珍しいですね。アーティスト自身のファンになることがきっかけの人が多い中で、作曲家からディグったんですね。では、サコさんは?
サコティッシュフォールド(Gt/以下、サコ):私はもう洋楽が大好きで。父がよく車の中でABBAとかカーペンターズをかけててそこから洋楽が好きになって。大きくなってからR&Bとかも聴くようになって、お気に入りの歌手はSZAとLIZZOで、最近ハマってるのはチャカ・カーンとスヌープドッグです。
――セブンス・ベガのR&B要素はサコさんのカラーもあるのかもしれないですね。それにしてもカンナさんの作る曲を4ピースのバンドに落とし込む難しさみたいなものはなかったですか?
カンナ:バンド・サウンドで頭の中で流れているものを見逃さない、みたいな作り方をしてて。頭の中にあるものを浅く音源にすることも可能なんですけど、ここでもしかしたらスネアもう一発入ってるかもしれないとか、ここもうちょっと跳ねてるんだろうなみたいな小さいものをどんどん解像度を上げていくというか、頭の中を隅から隅まで見ていくみたいな作業なので、すごく大変っていうよりかは楽しくできてるなとは思います。みんなは大変なことありそう?
マイマイ:ドラムのフィルとか、ここどう叩いたらいいのか、それを落とし込むのが大変な時があります。DTMに入れる時にシブカンの中で鳴ってる音が、現実のドラムのキットにはないというか、腕が三本ないとできない(笑)。
──人間では叩けないデモってことですね。
マイマイ:そうです(笑)。「ここどうなってる?」っていうのはありますね。
――4ピースのバンドサウンドなので最初の頃は消化する上で難しさもあったと想像するんですが、今はカンナさんがやりたいことがわかるようになってきましたか?
ソラ:そうですね。前作のアルバムはそれこそ弾き語りから作ってたので、それぞれフレーズを持ち寄っていざスタジオで合わせた時にどうなる?みたいなのがあったんですけど、今回は収録曲の「ワンナイト・ドライブ」からDTMを使って、そもそも送られてくるデモの解像度が上がった状態になったので、前作と比べるとやりたいことはだんだんわかるようになってきたというか、デモを聴いた状態で何が欲しいかっていうのをプラスしていく作業になったかなと思いますね。
――逆に弾き語りのデモを元に口頭で説明して作ってたのがすごいですよ。
ソラ:本当に初心者だったんで、どの曲がリファレンスとかもなく。
カンナ:リファレンスあったとて実力がなさすぎてできないから(笑)。
ソラ:実力もないしっていうので、もう「やってみ!」みたいな感じでフレーズに関してもゼロから作る状態から始まったんで(笑)。
――ポップなバンドだけどやってることはすごく実験的ですね。
一同:(笑)。
――どういう音楽性のバンドになろうというより、いい曲や面白い曲をやりたい気持ちの方が強かったからですか?
カンナ:そうですね。ジャンルとかも正直よくわかってなかったっていうのが答えで、できたものを作って「ぽいね」っていうのを繰り返してたらいつの間にかセブンス・ベガっぽさみたいなものになってくれたかなとは思うんですけど。































































