今回の機材──Volumio Integro

高橋:さて、オーディオ製品の話に移りますけれど、今回はヴォリューミオのインテグロを山本さんに勧められて、試聴させていただきました。これ、説明としてはネットワーク・プレイヤー機能も持ったDACプリメイン・アンプということで良いんですかね。
山本:はい。
高橋:ヴォリューミオ製品は以前にプリモというネットワーク・プレイヤーを試用したことあって、その時もとても使いやすかったので、親しみはありました。で、プリモとインテグラはデザインもサイズも同じラインで、あと、驚いたことに重さもほとんど変わらない。1.3kgしかなくて、あれ? プリメイン・アンプなのに?と。価格的には20万円前後でしたっけ。
山本:はい。僕はこれ、実際にうちで聴いてみて、すごく気に入ったんですよ。健太郎さんはどうでした?
高橋:デザイン的に部屋に置くのが嬉しい感じで、かつ、軽量、コンパクトなので、いろんな場所で使ってみました。すると、まずはセッティングが簡単。スピーカー端子にスピーカー繋ぐだけで、もう音出しの準備はできてしまう。操作はスマホにダウンロードしたアプリから。それでデスクトップでEclipse TD150Mk2を鳴らしたり、広いオーディオ・ルームでKRK 6000というモニタースピーカーを鳴らしたりしましたが、出力が50ワット×2だから、ちょっと非力かなと思ったら、何の心配もなかった。低能率のブックシェルフだと、ヴォリュームを40から50くらいまで上げることはありそうですけれど、サウンド面では不足は全然感じない。

山本:これはクラスDのアンプですけど、モジュールがインフィニオンっていうドイツのメーカーのものを使っています。 クラスDのモジュールというと、これまではデンマークのバング&オルグセンが作ったIce Powerとか、テキサス・インストゥルメンルのものが市場的には多かった。
高橋:僕もクラスDで最初に使ったのはIce Powerでした。その後、Hypexのモジュール使って、自分でパワー・アンプ組み上げて、それを今もデスクトップでは使ってるんですが、比べても全く遜色なかったですね。
山本:ああ、Hypex製モジュールも人気がありますね。で、クラスDのアンプって、僕はね、駆動力はすごいあるんだけど、ちょっと音の質感がドライ過ぎるという印象があったんですよ。それがこのインフィニオンのモジュールを使ったヴォリューミオのインテグロは、ウェットな質感も出せるんですよ。滑らかさとか、潤った感じとか。
高橋:なるほど、分かる気がします。僕はIce Powerは初期のモジュールの方が良かったんじゃないかと思ってて、それは山本さんの言う駆動力に気を取られて、ドライの方向に行っちゃったということと重なるかもしれない。Hypexの方がそのへん使いやすいと思ってきたんですけれど、インテグロで鳴らしてみたら、良い意味でもっと静かというか、上品な感じがしました。
山本:そうそう、だから、再生する音楽選ばないというか。
高橋:特にデスクトップの場合は目の前、80cmくらいのところにあるスピーカーを鳴らしてるんで、音を小さくしたくなるようなアンプは困るんですよね。どんな音源も同じヴォリュームで快適に、長時間聴き続けられる環境が良いので。
山本:エネルギーバランスしっかりしてるからでしょうね、だから、ソースによってうるさい感じがしたりしない。
高橋:音のまとめ方が上手いんでしょうね。セッティング面では、ネットワーク・プレイヤーはいまだに有線LANを繋ぐ必要があるものが少なくないですが、これはWi-Fi内蔵なので、どの部屋でもセッティング簡単でした。僕の経験ではWi-Fiよりも有線LANでやった方が音が良いとは思うんですけど、そこまで求める人は有線で持ってくればもっと良くなるよ、みたいな感じですね。 プリメイン・アンプとしては、アナログ入力もあるので、その気になれば、レコード・プレイヤーやCDプレイヤーも繋げます。そうそう、面白かったのは、実際にレコード・プレイヤー繋いでレコード聴いた後、ストリーミングに切り替えようって時に、特に入力を切り替えの操作もせずに、スマホでストリーミングの再生ボタン押したら、自動的に入力が切り替わったんですよ。付属のリモコンはなくて、すべてスマホ操作になるんですが、その分、こんなことになってるんだと。

山本:ヴォリューミオはもともとソフトウェア開発がメインの会社でしたからね。
高橋:僕はRoonのヘヴィ・ユーザーなので、ヴォリューミオのソフトよりはRoonに頼っちゃうんですが、でも、Roonもそれなりに高いですからね、これからの人はヴォリューミオのソフトで十分なんじゃないかな。あと、ヴォリューミオのソフトを使うか、Roonを使うかで少し音が違いますね。ヴォリューミオの方が素直な音かもしれない。そうそう、それで山本さんに訊きたかったのは20万円出せばオールイン・ワンでここまでのものが手に入るとなると、残るはスピーカーだけじゃないですか。このインテグロに組み合わせるとしたら、どんなスピーカーが良いと思いますか?
山本:これはこの間、Webメディアの記事でやったんですが、KEFのQ Concerto Metaというスピーカー、これをこのアンプに繋いだら、素晴らしく良かったですね。
高橋:お幾らぐらいのスピーカーですか?
山本:え~とね、ペアで19万2500円。
高橋:じゃあ、オールインワン・アンプのインテグロとほぼ同じ価格ですね。良いバランスですね。
山本:KEFのQ Concerto Metaは小さいのに3wayなんですよ。16.5cmのウーハーに同軸のスコーカーとツイーターが付いている。この組み合わせは非常に本格的な音でしたよ、ワイドレンジで、ハイダイナミックレンジで。音は好き嫌いがあるだろうけど、 ちょっとブリティッシュサウンド。陰影感や独特の湿り気みたいのはある。
高橋:うわあ、聴いてみたい。今回、インテグロと一緒に借りれば良かった。
山本:ダニエル・ラノワのサウンドを聴くには向いていると思いますね。
高橋:もう少し値段は張りますが、山本さんオススメのEPOS ES7Nと組み合わせても良さそうですね。今はパワード・スピーカーに安くて良いものが沢山ありますが、インテグロみたいなオールインワンのアンプにすれば、他の出費は少なくなりますから、その分、パッシヴのスピーカーで贅沢するというのもアリですよね。
山本:何か、そういうイヴェントやりたいですね。インテグロに何種類かのスピーカーを組み合わせて聴いてみる。
高橋:ああ、やりたいですね。この小さくて、軽いアンプで、現代スピーカーをとっかえひっかえ聴くイヴェント。楽しそうです。
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今回の機材──Volumio Integro
Volumio Integro
イタリアのメーカー、Volumio(ボリューミオ)のネットワーク・オーディオ機能を内蔵したプリメインアンプ、Integro(インテグロ)。電源を付け、パッシヴ型のペア・スピーカーをスピーカー・ケーブルで接続、もしくはヘッドフォン・アンプ部にヘッドフォンを接続、インターネットにつなげば基本的にはそれだけでハイレゾ対応のデジタル再生環境を構築できる(LANは有線・無線どちらも対応)。最近の視聴環境では必須となりつつあるサブ・ウーファー・アウトも。再生環境としては、DLNA、Open Home、Roon Readyなど主要ネットワーク・オーディオ規格、またQobuz、TIDAL、Spotifyなど主要なストリーミングサービスに対応、またさらに手軽な接続方法としては、Bluetoothにも対応しているので、スマフォとつないでいつものプレイリストを再生というのも可能だ(高品位なaptXコーデックにも対応)。
その他にもレコード・プレイヤーなどをつなげるアナログRCAも含めて、入力はほぼ全方位対応していてデータ・ストレージ(USB、SDカード・スロットも装備)からの再生やデジタル入力などなど、さまざまな入力に対応。さまざまな操作をより簡単に、独自OS、Volumio OSがインストールされており、スマフォやタブレットを数回タップするだけで、セットアップと操作が簡単にできる。また別途、外付けのセルフパワーのCDドライブをUSB接続するとCDの再生、さらにはデータへのリッピングにも対応しているので、これまでのフィジカル、ローカル・データ、そしてストリーミングとまさに全方位の音源データを楽しむことができると言えるだろう。
上記対談に詳しくあるようにヘッドフォン出力、スピーカー出力ともに高品位のDACチップやアンプ・モジュールを搭載し、オレンジのダイヤル・ノブが印象的なデザインのコンパクトな筐体に、まさにオールインワンの機能と実力を詰め込んだ1台と言えるだろう。(編集部)
Volumio Integro
| Volumio Integro | |
|---|---|
| 対応オーディオ入出力 | |
| スピーカー出力 | ステレオDクラス・アンプ、50W+50W |
| ヘッドフォン出力 | ステレオABクラス・アンプ 6.3mm標準プラグ300mW@64Ω/480mW@32Ω |
| サブウーファー出力 | モノラル、ラインアウト 2V RMS |
| 同軸S/PDIF入力 | 最大PCM 192 kHz 24 bit |
| アナログ入力 | RCAアンバランスライン入力 |
| 内部DACサンプリングレート | 192kHz/24bit |
| スピーカーアウト・アンプ部 | |
| 内部DACサンプリングレート | 最大192kHz/24bit |
| 出力 | 2x50W(8Ω負荷時)、2x70W RMS(4Ω負荷時) |
| ヘッドフォンアウト・アンプ部 | |
| ヘッドフォン挿入検出機能付き高品質6.3mmジャック採用 | |
| 内部DACサンプリングレート | 最大192kHz/24bit |
| 出力 | 2x300mW(64Ω負荷時)、2x480mW(32Ω負荷時) |
| Texas Instruments社製PCM5122 DACとTPA6120A2ヘッドフォンアンプを搭載 | |
| サブウーファーアウト | モノラルRCA接続 |
| 内部DACサンプリングレート | 最大192kHz/24bit |
| 信号レベル | 2Vrms |
| Texas Instruments社製PCM5121 DAC、モノラル・ダウンミックス用にOPAMPベースのサミング回路を搭載 | |
| アナログ入力部 | |
| ステレオRCA端子 | |
| 内部DACサンプリングレート | 最大192kHz/24bit |
| Texas Instruments社製PCM1861 ADC搭載 | |
| デジタル入力部 | |
| 同軸RCA端子 | 光角形端子採用 |
| 内部DACサンプリングレート | 最大192kHz/24bit |
| Wolfson Microelectronics社製WM8805を搭載(Cirrus Logic社傘下) | |
| 接続 | |
| 映像出力 | HDMI 解像度最大4K |
| 本体ディスプレイ | OLED 1.3” 解像度=128×64 |
| USBポート | USB2.0×1、USB3.0×1(外部ストレージ専用) |
| メモリー・カード・スロット | SDSC/SDHC/SDXC |
| LAN | 10/100/1000Mbps |
| ワイヤレス・ネットワーク | WiFi 802.11a/b/g/n/ac |
| Bluetoothコーデック | aptX、aptX Low Latency、SBC |
| その他仕様 | |
| UPnP/DLNA | Renderer with Open Home support |
| 対応サービス | Airplay (Shairport Sync),Spotify & Spotify Connect, TIDAL & TIDAL Connect, Qobuz |
| 利用可能なプラグイン | YouTube, Squeezelite, Radio Paradise, Podcasts, Pandora, Fusion DSP, Roon Bridge, Soundcloud, Mixcloud |
| CPU | Amlogic S905D3, Quad Core 1.9 GHz |
| RAM | 2 GB DDR4 |
| 内蔵ストレージ | 16 GB EMMC |
| 電源 | 24V/6A(ACアダプター付属) |
| サイズ | 270mm×150mm×50mm |
| 重量 | 1.3kg |
| 保証期間 | 12カ月 |
| 標準的な小売価格 | 203,500円(税込) |
『音の良いロック名盤はコレだ!』過去回
著者プロフィール
高橋健太郎
文章を書いたり、音楽を作ったり。レーベル&スタジオ、Memory Lab主宰。著書に『ヘッドフォン・ガール』(2015)『スタジオの音が聴こえる』(2014)、『ポップミュージックのゆくえ〜音楽の未来に蘇るもの』(2010)。
山本浩司
月刊「HiVi」季刊「ホームシアター」(ともにステレオサウンド社刊)の編集長を経て2006年、フリーランスのオーディオ評論家に。自室ではオクターブ(ドイツ)のプリJubilee Preと管球式パワーアンプMRE220の組合せで38cmウーファーを搭載したJBL(米国)のホーン型スピーカーK2S9900を鳴らしている。ハイレゾファイル再生はルーミンのネットワークトランスポートとソウルノートS-3Ver2、またはコードDAVEの組合せで。アナログプレーヤーはリンKLIMAX LP12を愛用中。選曲・監修したSACDに『東京・青山 骨董通りの思い出』(ステレオサウンド社)がある。






























































