決して止まらず、走り続けた20年の軌跡
ーーBRAHMAN、バンド初となるハイレゾ配信開始
日本を代表するハードコア・パンク・バンドにして、孤高の立ち位置を確立し続けているバンド、BRAHMAN。2015年に結成20周年を迎えた彼らは、シングル『其限』のリリースや、箭内道彦が監督としてバンドに迫ったドキュメンタリー映画「ブラフマン」の公開、全国ツアー、夏フェス、イベントへの出演を重ねていき、11月にはその集大成として記念イベント「尽未来祭」を幕張メッセにて2日間開催した。今回リリースされた『尽未来際』は、アニヴァーサリー・イヤーの真っ只中であった、アニヴァーサリー・イヤーの真っ只中であった2015年8月にリリースされたベスト・アルバムを、24bit/48kHzのハイレゾでリマスタリングをおこなったもので、彼らのキャリアにとって初となるハイレゾ配信となっている。
今作の配信のリリースと同時に、昨年11月に開催された記念イベント「尽未来祭」の模様を収録したDVD/BDも発売開始。この2日間のライヴのセットリストはこのベスト・アルバムの曲順通りに演奏されたので、あの日を思い出したい人はもちろん、これから聴いてみようという方も、ぜひ20年を駆け抜けた彼らの音に触れてみてほしい。
BRAHMAN / 尽未来際 THE EARLY 10 YEARS
【配信形態】
24bit/48kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
【価格】
単曲 400円(税込) / アルバム価格 4,000円(税込)
【収録曲】
01.TONGFARR / 02.FOR ONE'S LIFE / 03.SEE OFF / 04.GOIN' DOWN / 05.GREAT HELP / 06.BASIS / 07.SHADOW PLAY / 08.PLASTIC SMILE / 09.BOX / 10.BEYOND THE MOUNTAIN / 11.DEEP / 12.NO LIGHT THEORY / 13.Z / 14.時の鐘 / 15.ARRIVAL TIME / 16.THAT'S ALL / 17.THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE / 18.ANSWER FOR… / 19.NEW SENTIMENT / 20.ARTMAN / 21.THE SAME
BRAHMAN / 尽未来際 THE LAST 10 YEARS
【配信形態】
24bit/48kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
【価格】
単曲 400円(税込) / アルバム価格 4,000円(税込)
【収録曲】
01.初期衝動 / 02.THE ONLY WAY / 03.賽の河原 / 04.THE VOID / 05.露命 / 06.EPIGRAM / 07.SPECULATION / 08.其限 / 09.鼎の問 / 10.A WHITE DEEP MORINING / 11.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS / 12.CIRCLE BACK / 13.(a piece of) BLUE MOON / 14.遠国 / 15.FAR FROM... / 16.CAUSATION / 17.LOSE ALL / 18.警醒 / 19.PLACEBO / 20.霹靂 / 21.虚空ヲ掴ム
※ファイル形式について
20年という月日が、BRAHMANを"聴かせる"ハードコア・バンドにした
多くのアーティストがリリースしているベスト盤というのは、その人たちの側面を一部しか見せないものが多い。昨年8月にリリースされたこのアルバム『尽未来際』は、全てとは言わないが、BRAHMANがどういうバンドなのかということを明確に示したベスト・アルバムになっている。
『THE EARLY 10 YEARS』、『THE LAST 10 YEARS』という20年の歴史を簡単に10年ごとに2枚に分けただけかもしれないが、ただ単純にリリースされた順に曲を並べたというわけではなく、彼らがこの20年間幾度と無くおこなってきたライヴを意識した曲順になっていることからも、いかにライヴを彼らが大事にしているかが分かるだろう。(実際に、20周年を総括したイベント「尽未来祭」では1日目、2日目ともに今作の曲順通りに演奏が行われた)
『THE EARLY 10 YEARS』には、初期に発表された2枚のミニ・アルバムと、インディーズながら60万枚以上を売り上げたデビュー・アルバム『A MAN OF THE WORLD』、メジャーに移籍してからの1枚目『A FORLONE HOPE』からの楽曲が収められているが、これらの楽曲たちは今もなおライヴの定番、キラー・チューンとして頻繁に演奏されている曲ばかりである。もう1枚のアルバム、『THE LAST 10 YEARS』には、2004年リリースの『THE MIDDLE WAY』、2008年リリースの『ANTINOMY』、そして震災以降の2013年にリリースされたアルバム『超克』、そして最新シングル「其限」からの楽曲が収められている。以前の彼らのライヴ・スタイルはMC無しで駆け抜けていくスタイルであった。3.11の震災以降、ヴォーカルであるTOSHI-LOWはMCをするようになった。バンドとしても震災の復興支援に、いの一番で向かい、今もなお支援を続けている。震災によってライヴ・スタイルが変化したのは間違いないが、楽曲も日本語のみを使用し、以前よりも"聴かせる"曲が増えたのは彼らの大きな変化だろう。
20年の活動の中で彼らが残してきたオリジナル・アルバムは5枚と決して多くはない彼ら。だが、ライヴを重ねに重ねて、1曲1曲の強度を上げてきたからこそ、このアルバムの曲順も強い意味を成している。だからこそ、初期の曲も現在の曲も遜色無く、90年代のムーヴメントの中にいた人にも、現在進行形のロック・ファンにも響いている稀有なバンドということが改めて分かるアルバムだ。2016年、結成21年目も走り続けるBRAHMANの足跡を辿れる今作。ハードコア・パンクの高音質配信はまだ珍しいが、"聴かせる"楽曲たちを是非ともハイレゾで味わってみてほしい。(text by 高木理太)
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2016年6月18日(土)@宮古島コースタルリゾートヒララ トゥリバー地区ヘッドランド特設会場
PROFILE
BRAHMAN
1995年結成の日本のロック・バンド。メンバーはTOSHI-LOW(vo)、KOHKI(g)、MAKOTO(b)、RONZI(ds)。ハードコアに民族音楽をミックスした独自の音楽性で頭角を現し、96年にインディーより『Grope Our Way』を発表。98年の『A MAN OF THE WORLD』で認知度を高め、その翌年にシングル『deep/arrival time』でメジャー・デヴューを果たす。サウンドの自由度もさることながら、ストイックで静と動を巧みに使い分けるライヴも特筆もの。2015年に初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」を公開。同年8月に2枚組ベスト・アルバム『尽未来際』をリリース。