ボサノヴァというジャンルが確立されて約半世紀。ボサノヴァ誕生の中心人物、アントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート・アルバムが登場! 2011年1月に同レーベルよりリリースされたコンピレーション・アルバム『坂本龍一トリビュート』と同様に、今回もトベタ・バジュンが発起人/プロデュースを担当し、Cokiyu、yuanyuan、 lycoriscoris、Ngatari、Graphitec Morphingら日本のエレクトロニカ系を代表するアーティスト達が美しく郷愁感溢れる世界を描いた、ボサノヴァとエレクトロニカが交わり合った新しいサウンドが集まりました。

The Girl from Ipanema ~アントニオ・カルロス・ジョビン トリビュート~

収録曲 :
1. A Felicidade(feat. Cokiyu) ~フェリシダーヂ~ / Bajune Tobeta
2. Berimbau (feat. Yayoi Koizumi) ~ビリンバウ~ / Graphitec Morphing
3. One Note Samba (Samba de Uma Nota Só) ~ワン・ノート・サンバ~ / antennasia
4. Água de Beber (feat. Yayoi Koizumi) ~おいしい水~ / Fugenn & The White Elephants + Shintaro Aoki
5. Desafinado ~デサフィナード~ / Ngatari
6. Samba do Avião ~ジェット機のサンバ~ / Jun Nishimura + lycoriscoris
7. How Insensitive ~ハウ・インセンシティヴ~ / yuanyuan
8. Wave ~ウェーブ~ / lycoriscoris
9. The Girl From Ipanema ~イパネマの娘~ / rimacona
10. Só Danço Samba ~ジャズ・サンバ~ / Sokif
11. Meditation (feat. Cokiyu) ~メディテーション~ / Bajune Tobeta

販売形式 : mp3 / HQD(24bit/48kHz)

混ざり合って生まれ得るサウンド

このアルバムはボサノヴァの中核を担った作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート・アルバムである。もし、彼の名前を聞いたことがなくても、「イパネマの娘」や「ヂサフィナード」といった曲を何処かで耳にしたことがある人も多いだろうと思う。ポップ・ミュージックにおいて、ビートルズに次ぐ貢献を果たした大作曲家だ。当然、ジョビンのトリビュートは、これまで全世界で数多くリリースされてきた。だが、今回のアルバムには特筆すべきポイントがある。それは、坂本龍一にその才能を認められた作曲家/プロデューサーのトベタ・バジュンを中心に、Cokiyu、lycoriscorisといったアーティストが参加しているということ。つまり、日本のエレクトロニカ系の実力派たちが、ボサノヴァに挑んだということだ。

左からトベタ・バジュン / Cokiyu / antennasia

ボサノヴァは、カフェ・ミュージックだ。多分そう言い切ってしまって問題ないと思う。街を歩けば、ありとあらゆる音楽が耳に入る時代になっても、美容院やカフェに入れば、ボサノヴァは流れ続けている。もし、ジョビンという名前を知らなくても、「イパネマの娘」という曲を聞いたことは誰でもあるはず。ボサノヴァが生まれて50年以上経っていることを考えると、これはちょっと異常な状況だろう。この事実はボサノヴァという音楽ジャンルが持つ圧倒的な個性を示す結果ではあるけれど、金太郎飴状態にあることも同時に示していると思う。いわば、ジャンルに縛られた鎖国的な状況とでも言おうか。

ボサノヴァの立ち位置と全く逆なのが、エレクトロニカ。パソコン上でなんとでも加工できるため、音楽的にどんな無茶をしてもいいという、音楽界の黒船みたいなやつだ。エレクトロニカは、ロックと言わずジャズと言わず、数多くの音楽ジャンルを吸収し、境界を無化してきた。矛盾しているが、ジャンルから解放されたジャンルという言い方が一番正しいように思う。

かくしてこのアルバムは、音楽的に一番遠い両者を引き合わせている訳だが、実際聞いた結果はどうだったか。やはり真反対のものがぶつかりあったものは面白い。ユニークな楽曲ばかりだ。原曲に近いカヴァーは、電子音楽ゆずりの音響処理によって音の響き方が全く変わる。逆に、大胆に加工しているものでも、メロディーとコード進行はジョビン(=ボサノヴァ)のそれなので、彼の色が出てしまう。それらが総じて良い意味での違和感につながっている。

左からfugenn&the white elephant / rimacona

あえて特筆すべき曲をあげるならば、fishmansを彷彿とさせる裏打ちリズムからブレイクビーツへと変化する3曲目「One Note Samba」、軽いノイズが心地よい8曲目「Wave」、ボーカルが激しく加工された10曲目「So Danco Samba」だろうか。いずれもありそうでなかなかない曲ばかりだ。トリビュートとはいえ、新たなジャンルを開拓するつもりで聴いて欲しい一枚。それだけの価値がこのアルバムにはあると思う。(text by 上野山純平)

トベタ・バジュン プロデュース『坂本龍一トリビュート - Ryuichi Sakamoto Tribute -』

1978年のデビュー後、 細野晴臣、高橋幸宏とYellow Magic Orchestra(以下、YMO)を結成。以降音楽、映画、出版、広告などメディアを越えた活動を続け、活動の中心をNYへ移してなお国内外ともに活躍する坂本龍一の生誕60周年を祝ったスペシャルなトリビュート・アルバム。トベタ・バジュンがプロデュースを手掛けた本作はAtom™、半野喜弘、MimiCof、DJ Yogurt、Fugenn& The White Elephants and Shintaro Aoki、Cokiyuら話題のエレクトロニカ・アーティストが参加している。

収録曲 :
1. Merry Christmas Mr. Lawrence(トベタ・バジュン)
2. War and Peace(yuanyuan)
3. Riot in Lagos(Atom™)
4. Perticepation Mistique(半野喜弘)
5. 美貌の青空(Ngatari)
6. Self Portrait(Fugenn& The White Elephants and Shintaro Aoki)
7. Ballet Mecanique(MimiCof)
8. 1919(Sabi)
9. サルとユキとゴミのこども(antennasia)
10. Thatness and Thereness(DJ Yogurt)
11. Tibetan Dance(no.9)
12. The Last Emperor(Sabi)
13. The Other Side Of Love (feat. Cokiyu) (トベタ・バジュン)

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