2011/12/29 00:00

京都&東京 昨秋の奇妙礼太郎を高音質ライヴ音源で追体験!

日本各地のライヴにソロ/バンド問わず、年中ひっぱりだこ。9月にはデビュー・アルバムにしてベスト・アルバムとも呼べる名盤『GOLDEN TIME』を発表し、2011年、飛ぶ鳥落とす勢いで全国にファンを増やしていった奇妙礼太郎。OTOTOYからも2作ライヴ音源をリリースしましたが、最後にあと1作! 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の秋フェスでのライヴ音源をお届けして、今年を締めたいと思います! 収録するのは2011年10月23日に行われた京都のインディー・フェス「BOROFESTA'11」でのライヴと、2011年11月13日、渋谷WWWで行われた「OTOTOY presents VANISHING POINT」でのライヴの模様。年の瀬に酔いしれながら聴くもよし、年明けにドンチャンしながらみんなで歌うもよし。大阪が誇るグッド・シンガー、奇妙礼太郎に何度でも心奪われてください!

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 / Official Bootleg 2011 -LIVE in KYOTO & TOKYO -

【Track List】 01. タンバリア
02. 機嫌なおしておくれよ
03. リハーサル
04. オー・シャンゼリゼ > 君が誰かの彼女になりくさっても
05. サン・トワ・マミー

【配信形態/価格】
1) DSD+mp3 >>>DSDの聴き方がこちらから
2) HQD(24bit/48kHz WAV)
★オリジナル・フォト・ブックレット付き
各1,000円(まとめ購入のみ)

<Member>
奇妙礼太郎 (vo) / 文博信 (piano) / 山藤卓実 (tp) / 棚瀬祐也 (tb) / 齊藤トーマス (tb) ※Track 1, 2, 3 / 増川紀子 (A.sax) / 田中ユウジ (T.sax) ※Track 4, 5 / PEPE安田 (bass) / 手島幸治 (ds) / キツネうどん (perc)

<Track 1, 2, 3>
Recorded by 葛西敏彦 at KBSホール 2011.10.23 『ボロフェスタ 2011』
<Track 4, 5>
Recorded by 高橋健太郎 at 渋谷WWW 2011.11.13 『VANISHING POINT vol.1』

Mixed & Mastering by 高橋健太郎 at Memory Lab
Recorded & Mastering by KORG MR-2000S DSD recorder
Photos by Nozomi Wachi
Artwork by 内田武瑠 (OTOTOY)
Directed by 簑島亘司 (OTOTOY)
Produced by OTOTOY

ロマンティックなパンク少年、奇妙礼太郎

西の男にはかなわない。大阪出身のソウル・シンガー、奇妙礼太郎の話だ。「奇妙」という名だけあって音もストレンジかと思いきや、めちゃくちゃストレートでシンプル。ここまでまっすぐになるまで、いろんな紆余曲折があったんだろうなあと思わずにはいられない声。飄々としたたたずまいのなかに見え隠れする、そこはかとない哀愁と飢餓感。ひねくれたことは要領と小手先でなんとかできるかもしれないが、直球でポピュラリティもあってとなると、意外と難しい。その人間が持っている地力がもろに出てしまうから、「ほんまもん」かそうでないかが一瞬でわかってしまう気がするのだ。そういうわけで斉藤和義、七尾旅人、前野健太など男性の歌い手が元気な昨今、奇妙も「ほんまもん」のひとりであると思っている。

加えて音源にもライヴにも触れたことがなかった筆者が、OTOTOY主催のイベント、VANISHING POINTで「奇妙礼太郎トラベルスイング楽団」として彼をはじめて観たときに強く感じたのは、「めっちゃパンク少年じゃん!! 」ということだった。黒人ソウル・シンガーや上田正樹はもちろん、忌野清志郎や甲本ヒロトを彷彿とさせる歌い回し、あけっぴろげな歌詞、ときおり毒づくMC。スゥイング・ジャズやR&B、スカ、ちんどんなどのスタイルをまといながら、実のところ精神はパンク・ロックなんじゃなかろうか。甘く切ないムードのなかにひりひりした感情が見て取れるのも、そこからきているような。あたたかくて明るいのに、どこかかなしい「天気雨」のような声もいい。

今回、そのVANISHING POINTから3曲、京都のインディー・フェス、BOROFESTAから3曲の計6曲を収めたライヴ・アルバムが配信される。VANISHING POINTのほうは、当日の場の多幸感と生命力がありありと伝わってくる仕上がり。主催のOTOTOYにからめ、「おととい何食べたかな/おととい誰といたかな/おととい何話したかな/おととい君はどこにいたんだ」というトーキングではじまった新曲は、山下達郎や大瀧詠一好きにはたまらないシティ・ポップスだ。そこから「ルージュの伝言」の流れでうっとり。「オー・シャンゼリゼ」のブレイクでは、「アイ・ラブ・ユー… ゼクシーみたいだ~」とお茶目に笑いを誘ったり、「ち○ぽ! 」と叫んだり好き放題。アンコールでのスウィンギーな「サン・トワ・マミー」、「ぶんなぐるんだ/自分自身を/ぶんなぐるんだ/この渋谷の夜を」と歌う「少年Aのうた(仮)」も印象的だった。

とはいえ個人的ハイライトは、「ずっと/ずっと/君が好き」と切々と歌う「君が誰かの彼女になりくさっても」。「ロックンロールが響く僕の部屋/誰もいないよ/誰もいないよ/ロックンロール、ロックンロール… 」でのコール&レスポンスに、思わず涙腺がゆるむ。もちろんBOROFESTAのほうも、二日酔いかと言うくらいにゆるゆるよれよれのボーカルに(ほめてます)、鍵盤、ギター、ホーン・セクション、リズム隊がご機嫌にからむ。「タンバリア」「機嫌なおしておくれよ」「リハーサル(仮)」と聴きどころたっぷりだ。

口を大きく開けて、声を出す。メロディーにのせて、ことばを歌にする。ただそれだけのことなのに、ここまでの強度と純度をもって響いてくるシンガーもなかなかいないだろう。ロマンティックなパンク少年・奇妙礼太郎に、まんまとやられてしまった。やっぱり西の男には、かなわないなあ。(text by 福 アニー)

奇妙礼太郎 DISCOGRAPHY

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 LIVE SCHEDULE

2011年12月31日(土) @難波 ユニバース
2011年12月31日(土) @梅田 シャングリラ
2012年1月3日(火) @梅田 ムジカジャポニカ
2012年1月7日(土) @西院 ウーララ
2012年1月8日(日) @新代田 FEVER
2012年1月15日(日) @恵比寿 BATICA
2012年1月22日(日) @梅田 ムジカジャポニカ
2012年1月23日(月) @京都 メトロ
2012年1月26日(木) @神戸 ウインターランド
2012年2月3日(金) @梅田 シャングリラ
2012年2月11日(土) @歌舞伎町 風林会館ニュージャパン
2012年2月18日(土) @渋谷 『YATSUI FESTIVAL 2012』
2012年2月25日(土) @難波 mele

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 PROFILE

大根! 人参! ロックンロール! くよくよしようぜ! シナトラ気取りのフリークスとガラスのハートにワサビを塗りすぎた5名から10数名のキンキー・ミュージシャンズが、春の入学 & ファースト・キッス・シーズン、微熱なフォーエバー・ヤングスに贈る、ソフト問題児×ハード迷子な栄光のオープン・チャック・集団ダンス・ミュージック! 南コロンビアのチョコな路地裏から聞こえる薫り高いトランペット & ボーンにニューハンプシャーのファットな高級マンションからこぼれるスリンギーな鍵盤をシェイクした千客万来のビッグ・ダッチ&モブサウンズ! つかめグラミー賞4部門! 100万光年のファンタスティックな夜、あまりある情熱はたぶん太陽のわすれもの!

>>奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 official website

この記事の筆者

[ライヴレポート] 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

TOP