2012/02/04 00:00

Howler / America Give Up

米ミネソタ州、ミネアポリス出身の5ピース・ティーンエイジ・ロックバンド、Howler。60年代アメリカンロックと80年代パンクの影響を受けるロック・サウンドにポテンシャルを感じたジェフ・トラヴィス(The StrokesやThe Libertinesなど、良質なロックバンドを輩出してきた老舗レーベル、ラフ・トレードのレーベル・オーナー)が即契約。満を持してデビュー・アルバムをリリース!

ほえたてる獣、わめきたてる人、大笑いするような馬鹿げた間違い――。そんな意味をもつ「howler(ハウラー)」を冠したバンドが、デビュー・アルバム『アメリカ・ギヴ・アップ』をリリースする。ザ・ストロークスやザ・リバティーンズなどを送り出してきた老舗レーベル、ラフ・トレードがプッシュする、米ミネアポリス出身の5人組だ。

弱冠19歳のジョーダン・ゲイトスミス(ボーカル/ギター)を中心に結成され、彼らの音楽性に強いポテンシャルを感じたラフ・トレードのレーベル・オーナー、ジェフ・トラヴィスが即契約したという逸話も。昨年夏、EP『ディス・ワンズ・ディファレント』をデジタル配信と限定盤12インチ・シングルでリリースするなり話題となり、NMEの「あなたがこれから愛してしまう新人バンド25」の1位に選出、ザ・ヴァクシーンズのUKツアーのサポート・アクトに抜擢されるなど、快進撃が続いている。

ザ・ストロークス、ザ・ドラムス、ガールズなどを引き合いに出されつつ、「60年代アメリカン・ロックと80年代パンクに影響を受けたサウンド」と形容されることが多いようだ。が、ザ・ストロークスが70年代ニューヨーク・パンクを現代によみがえらせたことになぞらえれば、ハウラーは80年代ニュー・ウェーヴと90年代シューゲイザーをうまく昇華していると感じる。しかもアメリカ特有の明るさとわかりやすさをもって。アメリカのバンドがイギリスのレーベルからデビューし、本国よりイギリスで売れていること、イギリスで培われたスタイルをアメリカンが咀嚼していることを考えると、『アメリカ・ギヴ・アップ』というアルバム・タイトルも意味深長に思えなくもない。

アルバムはサーフ・ロックに目配せした「Beach Sluts」で始まりガレージ・ロック調の「Black Lagoon」で終わるが、「Back To The Grave」から「Pythagorean Fearem」までの流れは、ジーザス&メリーチェインやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジョイ・ディヴィジョンあたりが好きならニヤリとしてしまうだろう。軽やかで浮遊感ある音作りなので聴きあたりもポップだし、声もなまめかしくダンディーでいい。ジャンルに固執しない、振り幅の広さが感じられて頼もしい。

2月14日(火)に、原宿アストロ・ホールで初来日公演を行う彼ら。ザ・ヴァクシーンズ来日公演のサポート・アクトとして、15日(水)の恵比寿リキッドルームと16日(木)の大阪BIG CATにも出演する。今後どう化けていくのか、見守っていきたい。(text by 福アニー)

LIVE SCHEDULE

2012年2月14日(火)@原宿 ASTRO HALL
2012年2月15日(水)@恵比寿 LIQUIDROOM
2012年2月16日(木)@大阪 BIG CAT

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Howler PROFILE

  米ミネソタ州、ミネアポリス出身のジョーダン・ゲイトスミス(ボーカル/ギター)、イアン・ニゴール(ギター)、フランス・キャンプ(ベース)、マックス・ペトレック(キーボード)、ブレント・メイズ(ドラム)による5人組ロック・バンド。現在19歳のフロントマンのジョーダンは、14歳ころからギタリストとして音楽活動をスタートし、数々のバンドを渡り歩く。バンド活動を経て、ボーカル・ギターとして自身のバンド、ハウラーを結成。60年代アメリカン・ロックと80年代パンクの影響を受けるロック・サウンドにポテンシャルを感じたラフ・トレードのレーベル・オーナー、ジェフ・トラヴィスが即契約。2011年8月、NMEが選ぶ「あなたがこれから愛してしまう新人バンド25」に選出され話題を呼ぶ中、デビューEP『ディス・ワンズ・ディファレント』をデジタル配信と超限定12インチ・シングルとしてリリース。

この記事の筆者

[レヴュー] Howler

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