遠くの空へ向けた悲しくも美しい手紙──マウント・イアリ新作『A Crow Looked At Me』をハイレゾ配信

マウント・イアリことフィル・エルヴラム

2001年にリリースした『The Glow Pt. 2』がレディオヘッド、ホワイト・ストライプス、ストロークス、フガジ、アヴァランチーズなどの強豪を抑えて米サイト〈Pitchfork〉にて2001年のアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝くなど、名門インディ・レーベル〈K Records〉の看板アーティストとして1990年代後半〜2000年代初頭までザ・マイクロフォンズという名義で多くの賞賛を得たフィル・エルヴラム。活動名義をマウント・イアリと変えた後も精力的にリリースを行ってきた彼だが、今回リリースする『A Crow Looked At Me』は自身も音楽家として国際的に評価を受けるドローイング / コミック・アーティスト、ジュヌヴィエーヴ・カストレイ夫人の死をテーマに制作が進められ、身近な人の「死」による悲しみを描いた11曲が収められている。OTOTOYでは本作をハイレゾ配信すると共に、前述のアルバム『The Glow Pt. 2』も配信スタート。両作品ともブックレットを付属しているので訳詞と共に是非聴いていただきたい。


Mount Eerie / A Crow Looked At Me
【Track List】
01. Real Death
02. Seaweed
03. Ravens
04. Forest Fire
05. Swims
06. My Chasm
07. When I Take Out The Garbage At Night
08. Emptiness Pt. 2
09. Toothbrush/Trash
10. Soria Moria
11. Crow

【配信形態 / 価格】
24bit/96kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲購入 150円(税込) まとめ購入 1,500円(税込)


01年のPitchfolkにてアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝いた、USインディにおける金字塔作品

The Microphones / The Glow Pt. 2
【Track List】
01. I Want Wind to Blow / 02. The Glow Pt. 2 / 03. The Moon / 04. Headless Horseman / 05. My Roots Are Strong and Deep / 06. Instrumental / 07. The Mansion / 08. (Something) / 09. (Something 2) / 10. I'll Not Contain You / 11. The Gleam Pt. 2 / 12. Map / 13. You'll Be in the Air / 14. I Want to Be Cold / 15. I Am Bored / 16. I Felt My Size / 17. Instrumental 2 / 18. I Felt Your Shape / 19. Samurai Sword / 20. My Warm Blood

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲購入 150円(税込) まとめ購入 1,500円(税込)

【REVIEW】Mount Eerie 『A Crow Looked At Me』

このアルバムは決して多くの人に向けられたアルバムでは無い。だけども多くの人が向き合うべき、向き合わなければならない絶対的な事実である「死」に対しての悲しみ、やりきれない思いが描かれた1枚だ。

2015年初頭はザ・マイクロフォンズからのマウント・イアリへと改名後の10年を総括したアルバム『Sauna』のリリース、そして時同じくして第一子の誕生など公私ともに充実したフィル・エルヴラムであったが、それから時経たずして妻であるジュヌヴィエーヴ・カストレイの癌が発覚、約1年に及ぶ闘病生活を経たものの35歳という若さで彼女は亡くなってしまう。幸福から一気に絶望の縁に叩きつきけられた彼はそれでも制作活動を止めず、その悲しみの全てを11編の曲にしたためた。

「死は現実」という一節で始まるこのアルバム。シンプルで極限まで削ぎ落とされた美しいメロディと静かに感情を込めた歌声はもちろん、自身が所有しているスタジオではなく、彼女を看取った部屋、彼女が残した楽器を使って録音したというエピソードからも計り知ることの出来ない強い彼女への思いが伝わってくるが、このアルバムからはその悲しみから抜け出すような希望を見つけることは出来ない。アルバムの最初から最後まで徹底して歌われるのは喪失感、絶望だ。

彼は亡くなった彼女と、残された小さな我が子のためだけにこのアルバムの曲たちを作ったが、それはこうしてパッケージ化され彼の知らない人の耳へと届けられる。彼の彼女への思いは昇華されていないが、このアルバムが生まれたことで「死」という普遍的な事実を改めて人々に突きつけ、そしてその極めて個人的な思いが結果として多くの人に届いていくというこの歪さ。故にこのアルバムは美しさを放っている。

メロディと歌だけでこのアルバムの素晴らしさは十分に伝わるが、ストレートに表現された死に対る悲しみや孤独、いなくなってしまった彼女への思いや愛がよりダイレクトに伝わる訳詞を目で追いながら聴くことでその素晴らしさは更に引き立つ。是非ともゆっくりと詩を追いながら聴いて欲しい。

(Text by 高木理太)

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