京都の地下から世界中に響かせる声! 生き埋めレコーズ主催イベント〈お〜い2〉──ライヴ・レポート

生き埋めレコーズ主催のイベント〈お〜い2〉が、12月17日(土)に京都メトロにて開催された。

京都のインディー・シーンを牽引するTHE FULL TEENZを中心に、その音楽に共鳴したバンドたちが各地から集まり、好きな音楽をお互いにぶつけ合った<お~い2>。各々のバンドの音楽に対する思いをぶちまけ、壮絶なエネルギーを生み出していた今イベント。当日、現場にいた誰もが、音楽の持つ純粋さや、輝きを再認識した。以下では、当日のライヴ・レポートをお送りする。

テキスト:水上健汰
構成:丸山健人

20人の託言者達。シーンの始まり。

12月に入り、寒さも一段と増してきた京都の老舗クラブ、京都メトロ。

今回、このイベントに集まった出演者は、メシアと人人、And Summer Club、原田晃行(HI, how are you?)、THE GUAYS、FAAFAAZ、THEロック大臣ズ、littlekids、Taiko Super Kicks、The Fax、NOT WONK、SEVENTEEN AGAIN、THE FULL TEENZ。

メシアと人人 北山(Vo)

メシアと人人 福田(Drs.)

心を叩く轟音で開始のゴングを鳴らしたのは、メシアと人人。北山(Vo)の優しそうな見た目とは裏腹に、ギター1本に対してアンプを3つ使い繰り出される音は、ざらつきのある、轟く音色だ。そしてアーシーで、それでいてノスタルジックなギターのリフがeastern youthのような熱い人生を思わせる。そんな音が、直接心臓を叩くドラムと、北山(Vo)の柔らかく、それでいて芯のあるヴォーカルと合わさることで、固く握った拳をその反対の手で大切に包み込むような音楽になる。

And Summer Club

And Summer Clubは、柔らかなベースに、トロピカルなギター・サウンド、リヴァーヴのかかったメロウなヴォーカルで、先程までの熱気に潮の薫る浜風を吹き付け、フロアを一気に南国に。そんなビートに合わせ、観客は一斉に体を揺らした。

原田晃行(HI, how are you?)

原田晃行(HI, how are you?)は、ギター1本の弾き語りスタイル。茶目っ気と、優しさ溢れるメロディー、心に直接語り掛けるようなウィスパーボイスで、会場のオーディエンスの耳をそっと傾けさせ、懐かしい気持ちにさせた。

THE GUAYS

アットホームな空気を一変させたのは疾走感溢れるサウンドが特徴のTHE GUAYS。舞台袖で気合の声出しを行い、革ジャンに身を包み登場したTHE GUAYSのその熱い眼差しは、まさに「誰よりも自分たちが一番音楽を愛しているんだ」といった気持ちが溢れ出るものだった。

FAAFAAZ

FAAFAAZは短めの楽曲で駆け抜ける、直球、いや超特急型ハードコア・パンクを披露。世界一速いカウントや、ギターを演奏しながらフロアを練り歩く姿はフロアを強烈に躍らせた。

THE ロック大臣ズ

THE ロック大臣ズは、ファンクなロックンロール・サウンドに甘酸っぱい青春の薫るヴォーカルは、銀杏BOYZの峯田和伸を連想させる。学校の帰り道に聞きたい。

littlekids

littlekidsの、心地よいメロディアスなギター、春を思わせるヴォーカルはメロディック・パンクにコーヒーとブランチを合わせたようなすがすがしい音楽だ。

Taiko Super Kicks

そしてTaiko Super Kicksは、溶け出すようなリヴァーブのかかったギター、そんなギターの音色を縁取り芯を通すようなドラム。ディストーションのような音楽かと思いきやカントリーを思わせるメロディなど、その多彩な音楽性がオーディエンスの体を揺らした。

The Fax

The Faxは、90年代初頭のグランジ・ロックを彷彿とさせる乾いたギター・サウンドの女性3人組。息もできない焦燥感漂うメロディー。けれどキュートなヴォーカル。そんな相反する二つが同居していることにより、何とも癖になる化学反応を起こす。

NOT WONK

ライヴも終盤に差し掛かり満を持して登場したNOT WONK。ローテンポでメロディアスなサウンドから一気にはじけるような展開。とことんメロディアスを追求したフレーズと加速するビートは、地下とは思えない爽快感をもたらし、オーディエンスは高く拳を上げフロアをモッシュ・ピットにする。

SEVENTEEN AGAIN

その熱気を引き継いだSEVENTEEN AGAINはローテンポながら大地を踏みしめるような力強いサウンドからメロディアスなサウンド、オーディエンスを喰ってやると言わんばかりの鬼気迫る演奏。そんな姿にオーディエンスもそれ以上のモッシュで答え続けた。

THE FULL TEENZ

そしてヴォルテージが上昇しすぎて周りが見えなくなったフロアを、さらにホワイト・アウトさせるために登場したこの日の大トリTHE FULL TEENZ。
耳を破壊するかのようなギターの音圧は疾走感にあふれ、青春が突き抜けている。ヴォルテージが最高潮なフロアを目にし、伊藤(Vo,Gt)も曲終わりに「ビート止めないで。ビート止めないで」と抑えきれない衝動をぶつけた。
メロディアスなサウンドを追求すると同時に、あえて日本語でしっかりと言葉をぶつけることにこだわり続けるヴォーカルにオーディエンスも手を上げずにはいられない。どこまでも走り続け、フロアに広大な青空を広げる姿は、まさにTHE FULL TEENZだ。
そして、収まらない狂乱のなか、このイベントは終わりを告げた。

会場の熱量とは裏腹に残念ながら京都メトロが満杯になったかといえばそうではなかった。だが、この日のイベントにいる全員が間違いなく音楽に真っ直ぐぶつかっていた。NOT WONKの加藤(Vo,Gt)は「バンドという形に意味はなくって、ただ好きな人と好きなものの話をしていたいがためのものなんだ」と音楽への純粋すぎる愛をぶつけ、THE FULL TEENZの伊藤(Vo,Gt)は「いい音楽は地下から湧き出してくる。そういう事をみんなに目の当たりにしてほしい」と、アンダーグラウンドから声を発し続けることを誓った。FUGAZIのヴォーカル、イアン・マッケイは「面白いことは2000人の前で起こるのではなく、20人が目撃するものなんだ。」といった。そう、このシーンはまだまだ始まったばかりなのだ。この熱量はこれからさらに大きくなり、地下から地上に響く声と必ずなるだろう。

日ごろ人生を退屈に感じている人や、もっと熱い光景が見たい人はぜひ近くのライブハウスに足を運んでみてほしい。そこには、規模や場所関係なく、音楽が好きだと叫び続けるとてつもなく熱い空間が広がっている。そして今も地下からあなたのことをお~い! と呼んでいるぜ。(text by 水上 健汰)

<お~い2>参戦アーティストの作品

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