たった1時間で制作する『ONE HOUR TRAVEL』! ★STAR GUiTARへの無茶振り企画が遂に完結!

10月2日から始動した、1時間で作曲〜打ち込み〜アレンジ〜ミックス〜マスタリングまで全てを1人で行い、新たな楽曲を生み出す無茶振り企画『ONE HOUR TRAVEL』。毎週金曜日の0時、その1時間での制作動画がYouTubeにて公開されるとともに、OTOTOYでは完成した楽曲のハイレゾ音源を毎週配信してきた。

このたび9曲目の完成とともに、"いち"アルバムとして『ONE HOUR TRAVEL』が完成。これまで配信してきた24bit/48kHz音源よりさらに高音質である32bit float/48kHz音源も登場。この企画の動機から制作の裏側を、実際に作業をしていた★STAR GUiTARの自宅スタジオにて話を訊いた。

『ONE HOUR TRAVEL』各曲の制作動画などはこちら

★STAR GUiTAR / ONE HOUR TRAVEL

【Track List】
01. Logical
02. Waterfall
03. Current
04. Colors
05. Round Around
06. Missinglink
07. Border
08. Trippin'
09. Minami feat. Hidetake Takayama

【配信形態】
左 : 32bit float/48kHz WAV
右 : 24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
※ハイレゾとは?

【配信価格】
左 : 単曲 350円(税込) / アルバム 1,500円(税込)
右 : 単曲 300円(税込) / アルバム 1,200円(税込)

INTERVIEW : ★STAR GUiTAR

たったの1時間で作曲、打ち込み、アレンジ、ミックス、マスタリングまで全てを1人で行うことは、果たして可能なのだろうか? ——正直言って、不可能だ。

そんな不可能を可能にする男、★STAR GUiTARに直撃インタヴューを決行。微笑を交えながら淡々と語るその様子は、天才そのもの。1時間という制約の中で曲を作り上げるおもしろさ、そして天才であるが故の苦悩。★STAR GUiTAR が、『ONE HOUR TRAVEL』の裏側を初めて語る。ぜひ動画と共にお楽しみいただきたい。

インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 角萌楓
写真 : 丸山光太

知り合いから連絡が来ましたね。「あれおもしろいね、絶対やりたくない」って(笑)

——まず、『ONE HOUR TRAVEL』をやろうと思ったきっかけは?

イギリスの音楽メディア「FACTmagazine」で人気の企画『Against The Clock』が元となっています。それは、様々なアーティストが10分という制約の中で楽曲をつくるという企画なんですが、それは出来ないのを楽しむのが目的なんですね。じゃあ逆に「やっちゃおう、1時間で作っちゃおう」ってことで始めたのですが、いま思えばマズイこと言ったなと思います(笑)。

——僕も映像を見ましたけど、あの映像も打ち込み業界の中では結構話題になっているんじゃないでですか?

知り合いからすっごい連絡が来ましたね。「あれおもしろいね、絶対やりたくない」って(笑)。周りからは変におもしろがられているようです。

——どれくらい大変なんですか? 1時間で、打ち込みで、曲を作るっていうのは。

多分ちゃんとしたミュージシャンや、楽器を弾ける人だったらわりと出来ることだとは思うんですよね。でもちゃんと打ち込んで曲として成り立たせてミックスからマスタリングまでやっちゃうっていうのはきついかもしれません。自分の中でルールを作っていかないとね。

——『ONE HOUR TRAVEL』をやるときのルール、もしくは1番ポイントになるのはどんなところですか。

★STAR GUiTAR
聴き返さないこと。聴き返しちゃうとそのぶんまた時間かかっちゃうので。あとはもう、できたものは全部自分で受け入れる。その潔さが大切です。

——音楽の世界って“戻らない良さ"もありますよね。最初のほうがよかったとかね。即興とかはまさにそうだから、それを作品としてやっている感じですね。今日見ていて思ったのは、「よし、これでOK」っていう判断が、打ち込みは難しいなって思って。

以前はそうも思っていましたが、最近は出た音がそれっていうか。それこそ、ずれてもそれが意外とかっこよくってそのままだったり。それはその場その場で考えますね。

——普通は1曲どのくらいかかるんですか?

3日間くらいかな。ちゃんと作り込むときは1週間くらいかかりますけどね。1日5〜6時間が平均です。まぁ『ONE HOUR TRAVEL』はちゃんとやっていますけど、わりと僕サボリぐせがあってよく合間にベランダでコーヒーを飲んでいますね(笑)。

荒さ、力強さや勢いなど、自分にはなかったものが楽曲に現れてびっくりしましたね

——『ONE HOUR TRAVEL』のおもしろさとは?

迷わないので曲に勢いとか強さっていうものはありますね。ストーリーとか、ドラマチックっていうよりもひとつのメロディの強さっていうか。そっちに重きがあるように思います。

——毎回、音楽のジャンルだけしか決まっていない状態から始まるじゃないですか。ジャンルからっていうのはつまりビートからってことなんですか?

もともとソフトに入っているものから組み替えていくことが多いですね。プリセットはどんどん積極的に使っていくべきだし、僕は『ONE HOUR TRAVEL』じゃなくても以前からそういうものは使っていますからね。テーマのジャンルがもしヒップホップだとしたら、まずプリセットを入れてから、そこに入っているベースをだいたい消します。それからです。ここの音だけ気にくわないからここだけ挿し替えよう、とか、音はいいけどここだけフレーズ嫌だからここだけちょっと変えようとか。

——打ち込んでいる時点で既に次の音が★STAR GUiTARさんの中で鳴っているなって感じたんですが…。

そうですね、やりながら次のフレーズを考えています。わりと本当にその場その場で思いついたものをばんばんやっていくっていう感じですね。

——メロディが思いつかないっていうのは僕が見ている限りなかったんですけど、思いつくものなんですか?

思いつきすぎて消すこともありますけどね(笑)。でも、なにかしら思いつきますよ。僕はコードから作りますね。まずリズムを決めて、ベースでコードを決めて、その上に音やメロディをのせていく感じです。コードさえ決まってしまえばサクサクいけるのかなって思いますね。

——今回、アルバム『ONE HOUR TRAVEL』として完結させたことには何か意図があるんですか?

もともと、2ヶ月続けるつもりで始めたっていうのと、5回目の『ONE HOUR TRAVEL』がきっかけですね。5回目でいろいろと死にかけたので(笑)。

——あの5回目は僕が見ている限り満足していないまま終わったなっていう感じがあったんですが…。

5回目は、あれは驕りですね。それまで意外と出来ていたから出来るだろうと思っていたんですよね。でもそこに落とし穴が…。


★STAR GUiTAR『ONE HOUR TRAVEL』Vol.5「RoundAround」

——あれは★STAR GUiTARとしては何が1番嫌だったんですか?

メロディがメロディしすぎたことですね。だから結局、作品になったときには最初に作ったものは何も入っていないんです。逆にそのくらいそぎ落としたほうがよかったのに、それを途中で間違えてあまりにもメロディアスにしようとしすぎて迷ってしまって。「あれ、これで良いんだっけな?」って思ってしまったんですよね。満足していないわけではないんですが、そこは見誤ったなぁと思いましたね。制約があるのはもともとすごく好きなんです。大枠だけ最初に決めて、ここからは出ちゃいけないけど、このなかだったら好きなようにやっていいよっていうのはすごくおもしろいと思っていて。

——制約の極みですね(笑)。

だんだんできるようになってきたのは自分でもびっくりしましたね。

——逆に、これをやってみて★STAR GUiTARってどんなところが変わりましたか?

瞬発力が上がりました。また、★STAR GUiTARは繊細っていうイメージが強かったのに対して、荒さ、力強さや勢いなど、自分にはなかったものが楽曲に現れて自分でもびっくりしましたね。

——苦労したことは?

時間がなくなればなくなるほどアイディアがでてくるところですね(笑)。ギリギリになったときにいつも「あれやりたい、これやりたい」っていうのがどんどん出て来ちゃうのでそれを収拾するのが難しかったです。大体55分をすぎると出てくるんですよ。その辺になると僕は喋らなくなりますね(笑)。

——1時間っていう制約がなければ“終わり"って1番難しいじゃないですか。

どこまでやっても完成って基本ないから、そのなかで強制的な時間っていう終わりがあるっていうのは本当に潔いなって本当に思いますね。あとは、思っている以上に、ここまで作り上げられるんだっていうのは自分でも初めて気づかされたし、それは1番大きな発見ですね。

何を使おうと、自分が思っている音が鳴ってくれればそれで良いです

——使っているソフトっていうのはどういうソフトなんですか?

曲をプログラミングするソフトですね。「Digital Performer」といいます。使っている人はあんまりいないんですが、専門学校がこれだったのでこれを使っています。僕、初めて使ったソフトがこれだったんです。それで、慣れすぎて離れられなくなっちゃったというか。あとこのソフトは、他のソフトにはないんですけど、ハードシンセのプリセットが入っているんですよ。僕はハードシンセをよく使うので、これを1番重宝しています。他のソフトも、カスタマイズすればできるんですが、最初から入っているソフトはなかなかなくて。これがあるっていうのは個人的に大きいですね。

——「Digital Performer」以外はなにも使っていないんですか?

普段のマスタリングだと使っているのはこれだけじゃないですが、『ONE HOUR TRAVEL』は全部これでやっていますね。また、3rdアルバムからは、マスタリングまで全部★STAR GUiTARだけで完結しているんですよ。

——それはなんでなんですか?

自分で完結させたいっていう思いが強いですね。

——他の人とやることで新しく発見することもあるじゃないですか。

曲としてはそういうのもあるんですけど、ミキシングやマスタリングに関しては自分の技術を高めていきたいですね。自分の理想に1番近づくためには自分でやらないと、って思ってしまったので、技術を身につけて自分でやったほうがいいのかなと思います。

——は、基本的に打ち込みですが、生楽器っていうものに対してどう考えていますか?

僕はそんなに生楽器にこだわりがあるわけではないですね。何を使おうと、自分が思っている音が鳴ってくれればそれで良いです。今の★STAR GUiTARは生音っぽく鳴っているんですけど、でもだからって本当に生音で録る必要はないと思います。思っている音が録れればそれでいいですね。楽器それぞれに音域はあるけれど、打ち込みだとそれを全部無視できるじゃないですか。別に無視していいと思うんです。打ち込みだからね。

——どんな機材を使っているんですか?

この2つはクロック・ジェネレータで、こいつらがアホみたいに高いですね。このふたつ合わせて100万します。

青文字が表記されている機材とオレンジの光が灯っているのがクロック・ジェネレータ

——クロック・ジェネレータって何をするものなんですか?

もともと、クロック・ジェネレータってオーディオインターフェイスとかにも入っているんですよ。デジタルを制御する司令塔みたいなものなんですが、それが、基本的に普通のオーディオインターフェイスでは重宝されないんです。弱いんですね。ぶれたりするし。そういうのを、綿密に真っ直ぐなデジタル波級にしてくれるっていう機械です。これがあるないで、音の輪郭とか全て変わってきます。例えば、写真でいうと解像度が上がるような感じです。

——プロ・オーディオの世界ですね。この地図はなんですか?

元ネタです(笑)。『ONE HOUR TRAVEL』は、ここから始まりましたね。

——最後に、追随してくるONE HOUR “トラベラー"にメッセージを…!

先駆者は滅びるっていうので、僕が滅びるのみですよ(笑)。

過去作

特集
>>『Wherever I am』ハイレゾ配信&インタヴュー
>>『Schrodinger's Scale』ハイレゾ配信&インタヴュー
>>『Planetaly Folklore』配信&インタヴュー

PROFILE

★STAR GUiTAR

プロデューサー / アレンジャーのSiZKによるソロ・プロジェクト。2010年8月「Brain Function feat. Azumi from yolica」でデビューし、2011年1月には1stアルバム『Carbon Copy』でiTunes Storeダンス・チャート1位を記録。テクノを基軸にハウス、エレクトロ、ドラムンベースやエレクトロニカなどの多彩なダンス・ミュージックを昇華したサウンドを展開する。2014年9月には、「ダンスミュージック」×「ピアノ」を融合させた、コラボレーション・アルバム『Schrödinger's Scale』をリリース。90年代のテクノ・ミュージックをベースに、 fox capture planのキーボードとしても大ブレイク中の「MELTEN」、PE'Z のキーボードとして時代を築き、現在はソロ名義での活動も盛んな「H ZETT M」、孤高の世界観を奏でる「Schroeder-Headz」等、豪華なピア二スト達との共演を実現し、ある種のセッション的なプロセスによって作り上げたその音像は大きな反響をよんだ。今年8月にリリースされた最新作『Wherever I am』では、ジャズ・ファンのみならず多方面から注目を集める“現代版ジャズ・ロック"ピアノ・トリオ、fox capture planが参加。メンバーの演奏シーンに加え、★STAR GUiTARがリアルタイムでミックス、エフェクト処理をしていくライブ感溢れるMVが話題となった。

>>★STAR GUiTAR Official HP

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インタヴュー

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