2014/08/18 17:47

ピッチフォーク"ベスト・ニュー・ミュージック"に選出、USシーンの新たな星となるか――SPOON、4年ぶり新作のハイレゾ音源を独占配信!!!

前々作の『GA GA GA GA GA』が全米初登場10位、前作『Transference』が初登場4位と作品を重ねる毎にその存在感を増しているSPOON。デビュー20周年、節目にもあたる記念すべき年に初の外部プロデューサーを迎えての新作『They Want My Soul』をリリース!! 迎えられた外部プロデューサーはフレーミング・リップスでお馴染みのデイヴ・フリッドマンと、マイ・モーニング・ジャケットなど多くのアーティストの作品を手がけるジョー・チッカレリ。OTOTOYではこのふたりが見事表した音の生々しさをより微細に伝える24bit/96kHzのハイレゾ音源で配信開始。『GA GA GA GA GA』以降の勢いに乗り、早くもピッチフォーク"ベスト・ミュージック"に選出された今作の豊潤さを語ってくれたレヴューとともにお楽しみください。

田中宗一郎によるライナーノーツ付き音源が配信スタート!!

SPOON / They Want My Soul(24bit/96kHz)+THE SIGN BOOK VOL.1
【配信価格】
alac / flac / wav(24bit/96kHz) : 単曲 257円 / アルバム購入 1,959円

【Track List】
01 Rent I Pay / 02 Inside Out / 03 Rainy Taxi / 04 Do You / 05 Knock Knock Knock / 06 Outlier / 07 They Want My Soul / 08 I Just Don't Understand / 09 Let Me Be Mine / 10 New York Kiss
THE SIGN BOOK Vol.1とは
ザ・サイン・マガジン・ドットコムのクリエイティヴ・ディレクター、田中宗一郎によるブリット・ダニエルとジム・イーノの2万字インタヴューを収めたライナーノーツです。ブリット・ダニエルの独占新作インタヴューは日本初登場!!

音源は購入済みという方へ : ライナーノーツのみもお求めいただけます!!

SPOON / THE SIGN BOOK VOL.1
【販売価格】216円

※OTOTOYのシステム上、販売には音声データが必要となるため、ダウンロード時には無音のmp3ファイルが付随しておりますがご了承くださいませ。

もちろんハイレゾ音源のみの配信もございます!

SPOON / They Want My Soul(24bit/96kHz)
【配信価格】
alac / flac / wav(24bit/96kHz) : 単曲 257円 / アルバム購入 1,851円

【Track List】
同上

もはやロックが若者の音楽と見られなくなって久しい時代において、ロックはそれ以上の何かにもなれるのだということ

1994年。カート・コバーンという、アメリカの音楽シーンにおけるひとつの星が潰えたその年に、テキサス州オースティンの小さなレーベルからスプーンはデビューした。90年代には、打ち寄せる波が引くがごとき米音楽界の趨勢に翻弄され、メジャーとの契約を打ち切られるなど、辛酸をも舐めた。そんなベテラン・バンドが遂に本作で全米1位となり、アメリカ音楽の新たな星(=スター)となりそうな気配が濃厚である。そう、その記念碑となる作品こそ、この『They Want My Soul』なのだ。まだ結果も出てないのに、やや飛ばし気味に書いたが、もちろん僕は本気だ。

もちろん言うまでもなく、2007年の6th『GA GA GA GA GA』(全米10位)でブレイクする前から、持ち前のどこか無邪気でチャーミングなエッジによってロックンロールの可能性を研ぎ澄ませてきた、という点において、スプーンはずっとスプーンだった。それは成功を経た現在でも結局のところほとんど変わっていないし、さらに言えば、2001年の3rd『Girls Can Tell』以降、インディをベースに、およそ2年に1枚のペースを守りながら作品を重ねてきた、そのタフで、ある意味、楽観的な歩みこそ、彼ら“らしさ”だったのだ、と今でなら言えるだろう。

だが、それにしても、20年を超えるそのキャリアにおいて、最新作が最もラウドでアグレッシヴな作品に仕上がっているのだから、やはり『GA GA GA GA GA』以降の成功がバンドにもたらした自信とエネルギーは凄まじいものがあったのだろう。レコードのA面にあたるアルバム前半部はとにもかくにも完璧だ。黄金期のストーンズがペイブメントをカヴァーしたような「Rent I Pay」。ドラム・マシンをさらにビルド・アップしたソリッドなビートに、ドリーミングなハープシコードが重なる「Inside Out」。歪むギターと16ビートを刻むタンバリンに、次々と表情を変えるブリットの歌が絡む、いぶし銀のマイナー・ロックンロール「Rainy Taxi」。ロック特有の乾いた感覚に、印象的なコーラスとエコーの掛かったハンド・クラップが不思議な温かみを注ぐ、このバンドらしい恍惚を湛えた名曲「Do You」。アコギのザクザクとしたリフをくぐり抜けるように、気まぐれな口笛や、トーン・クラスター風ギター・エフェクト、エレキ・オルガンのドローン、そして、凶暴なファズ・ギターが現れては消える「Knock Knock Knock」は、フレーミング・リップスとの長年の仕事で知られるプロデューサー、デイヴ・フリッドマンとの成果が最も鮮やかに出たサイケデリック・ファンク・ロック。エッジィとポップネスが見事に両立した、本当に理想的なポップ・レコードの姿が浮かび上がって来る。

Inside Out
Inside Out
Do You
Do You

アルバム後半のサウンドはさらに多彩で、『GA GA GA GA GA』期を思わせる黄金のメロディが印象的な7曲目や9曲目、憂いを帯びた三拍子が一足早い木枯らしを吹き込む8曲目… など、よりオーセンティックで人肌感のある曲が並ぶ。どこかメロウなそれらの印象によって、40分足らずのアルバムは爽やかに幕を閉じる。

前々作が全米10位。前作が4位。次はいよいよ… と期待してしまうが、間違いなく本作はその期待に相応しい作品だろう。もはやロックが若者の音楽と見られなくなって久しい時代において、しかし、ロックはそれ以上の何かにもなれるのだということ、その魂の在り処を、鮮やかに示している。(text by 佐藤優太)

RECOMMEND

USオルタナティヴの巨星

Pixies / Indie Cindy

カート・コバーン(ニルヴァーナ)、ボノ(U2)、レディオヘッドをはじめとする数多くのアーティストに影響を与えてきた伝説のオルタナティヴ・ロック・バンド、ピクシーズが、23年ぶりとなる最新作をリリース。セカンド・アルバム『Doolittle』を手がけたギル・ノートンをプロデューサーに、クイーンやブラック・サバスを始めブリティッシュ・ロックの歴史に残る名作の制作舞台となったウェールズのロックフィールド・スタジオでレコーディングされた本気の一作。

>>レヴューはこちら

日本の90年代を代表するアーティスト、最高音質DSD配信!!

Buffalo Daughter / Konjac-tion(5.6MHz DSD+24bit/96kHz)

オリジナル作品として4年振りのアルバム、『Konjac-tion』(コニャクション)。現代アートの世界で知られるピーター・マクドナルドとのコラボをきっかけに生まれた本作は、地域住民が一同に会するアメリカ式の宴会「ブロック・パーティ」がテーマ。チボ・マット、坂本慎太郎、カヒミ・カリィ、永井聖一、砂原良徳、Fuzatiといった面々が参加し、Buffalo Daughterとのコラボを果たしている。後半10曲は、豪華リミキサー陣によるリミックス・ナンバーを収録。OTOTOYでは5.6MHz DSD+24bit/96kHzでのハイレゾ配信!!!

>>インタヴューはこちら

同日リリース!! 2014年最重要人物のデビュー・アルバム

FKA twigs / LP1

イギリス南西部グロスタシャー州出身でロンドンを拠点に活動する新人シンガー、FKAツイッグスがついにデビュー・アルバムをリリース。エレクトロニクス、R&B、ポップとアブストラクト、アンビエントの要素を一体化させた新人にしてネクスト・レベル・アーティスト。米ビルボードの「2014年注目新人」選出や「BBC・サウンド・オブ・2014」ノミネート、更に音楽メディアだけでなくDAZEDウェブサイトで特集が組まれるなどファッション界からも注目されている。

PROFILE

SPOON

1993年ブリットとジムにより結成される。バンド名はドイツの先鋭バンドCANの曲名「SPOON」より命名された。94年にEP『Nefarious』をリリース。95年にMatadorと契約し、96年にアルバム『Telephono』をリリースする。当時PixiesやWireを引き合いに各プレスで高く評価される。98年にメジャー・レーベルであるElectraと契約。『A Series Of Sneaks』をリリースするもののセールスに恵まれず、契約解除となってしまう。その後バンドはMerge Recordsと契約し、2001年に3rdアルバム『Girls Can Tell』をリリース。過去の2作をあわせたよりも大きなセールスを上げ、バンドとしての活動を軌道に乗せた。その勢いをかって2002年に4thアルバム『Kill The Moonlight』をリリース。映画やTVドラマにもフィーチャーされるなど成功を収める。2005年には5thアルバム『Gimme Fiction』をリリース。全米44位の好セールスを記録し、一躍インディ・バンドとして大きな注目を集める事となった。2007年にはブレイクスルー作となった6thアルバム『Ga Ga Ga Ga Ga』を発売。全米10位を記録し、名実ともにTOPバンドの仲間入りを果たした。数多くのTV出演や大型フェスティバルへの出演を果たし、日本でもFUJIROCK FESTIVALヘの出演、単独来日公演も成功させた。2010年に7thアルバム『Transference』を発売。全米初登場4位を記録。バンドの過去最高位を更新。バンドの人気振りを改めて知らしめた。

その後ジムは地元オースティンにスタジオを構え、数々のアーティストのプロデュースを手がけ、またブリットは別プロジェクトであるDivine Fitsを始動させるなど、それぞれの活動が活発となったが、2013年後半からSPOONとして初めて外部プロデューサーとしてデイヴ・フリッドマン(Flaming Lips他)、ジョー・チッカレリ(My Morning Jacket他)を招き、レコーディングを開始。新たに契約したLoma Vistaより2014年8月6日に4年振りとなる8thアルバム『They Want My Soul』を発売する。

>>SPOON Official HP

この記事の筆者

[レヴュー] Spoon

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