シリアル・キラーのサイケデリック・チルアウト——脅威の才能、Boys Ageが描く"穏やかな時間"とは?
ヨ・ラ・テンゴやホームシェイクら、USインディ勢の流れの先で不敵に微笑む2人組ユニット、Boys Age。2015年1月、OTOTOYの特集にて、過去6作品を本人の解説を交えて一挙配信、さらに選りすぐり音源を無期限でフリー・ダウンロードし反響を呼んだ彼らの最新作『Calm Time』がついに配信開始となる。これを機にメイン・ソングライターであるKazz(Gt, Vo, Composer)へのインタヴューを敢行。海外レーベルでのリリースを重ね国内外のDIYアーティスト達から高い評価を獲得してきたが、それゆえに"国籍不明"と言われるほど謎に包まれた彼らの声をお届けする。
Boys Age / Calm Time
【配信形態 / 価格】
WAV / ALAC / FLAC / AAC / mp3 : 単曲 150円 アルバム 1,000円
【Track List】
01. Calm Time / 02. What Was Your Name / 03. Honeypie / 04. A Basement Song / 05. Don't Gazing Me / 06. Come Quick / 07. Before/After Party / 08. Today is a Lucky Day
INTERVIEW : Kaz(Boys Age)
“Silence is law, in such a this place. Tedium is great, (こんな場所では静寂が原則 / 退屈は素晴らしい) "
Boys Ageの新作『Calm Time』はこんな言葉で幕を開ける。BPM80〜90あたりをうろつき回るゆるいビート。空間系エフェクトによってふにゃふにゃとだらしなく蠢くギターの音色。そして耳元でささやかれるような粘着気味のバリトン・ヴォイス。この弛緩しきったサウンドに身を任せたときの心地よさは、ちょっと抗いがたいものがある。なるほど、これが「やすらぎの時間」ってことか…。いやいや、話はそう単純にはいかないのだ。
『Calm Time』は、海外のインディーズ・ゲーム会社〈GoosEntertainment〉が開発した同名のホラー・ゲーム「Calm Time」にインスパイアされてつくったという、いわゆるコンセプト・アルバムだ。ゲームの詳しい内容については下記のインタヴューを参照していただくとして、ここはぜひ「Calm Time」の主人公の視点から描かれたリリックに目を通したうえで、本作のチルな音像に改めて身を委ねてみてほしい。どうだろう。このアンビエントで穏やかな楽曲が、一転しておどろおどろしく響き始めてこないだろうか。そう、『Calm Time』は、この心地よさと表裏にある妙な薄気味悪さが、とにかくたまらないのだ(ちなみにこの発想源となったホラー・ゲームはネット上でフリー・ダウンロードできる。興味のある方は実際にプレイしてみると、アルバムの世界観をより深く味わえるだろう)。
それにしても、これほどのぶっ飛んだ作品をつくるBoys Ageとは一体何者か。そこで彼らのBandcampを覗いてみたら、いきなり膨大な数のディスコグラフィが目の前にずらり。これがぜんぶ2012年以降にリリースされた作品って、どんだけ多作家なんだよ! しかもこの埼玉在住の2ピース、過去には国内外のインディー・アーティストを招聘したフリー・コンピレーション・アルバムも監修しており、どうやらキュレーターとしてもたしかな審美眼をもっているようだ。さらにはこのバンド、すでにいくつかのインディー・レーベルと提携しながら海外でのリリースも展開しており、欧米のインディー音楽メディア/ブログでは"Japanese DIY Master"として着々と評価され始めているという。いやいや、これは国内でもガンガン紹介されるべきバンドでしょう! というわけで、Boys Ageのメイン・ソングライターを務めるKazに話を訊いてきた。
インタヴュー&文 : 渡辺裕也
写真 : 雨宮透貴
僕はこのバンドの音楽に、日本的な感覚はちゃんと残しておきたいとも思ってて
――聞いたところによると、おふたりはBoys Ageを名乗る前から音楽活動を共にされてきたんだとか。
はい。最初に組んだのは、17歳のころに組んだ「木人拳(もくじんけん)」というバンドでした。これは僕がベース、いまドラムのKobayashi君がギター・ヴォーカル、あともうひとりがドラムの3人編成バンドで、そのころは日本語パンクをやってましたね。50回点ズとゆらゆら帝国を足してパクッたような感じの、いま思うとお遊びみたいなバンドではありましたけど。
――担当楽器も今とは違ってたんですね。
そうなんです。で、そのドラムが辞めてふたりになってからは、今度は僕がドラムに転向して「フリクションズ」っていう、ブルー・チアーみたいなヘヴィ・サイケバンドを新たに始めました。で、その後すぐに「フリクションっていうバンド、もうおるやん!」と気づいて、「ピンク・トリップ」に改名して(笑)。その次には1歳年下のドラムを加えて、「ドリトルズ」っていうバンドもしばらくやってましたね。これはドアーズとマンドゥ・ディアオを足して… いや、単純にコーラルのパクリだったな、あのころは。で、そのドリトルズが終わったあとは、今のふたりでずっと活動してます。
――現体制になるまでに、ふたりで4つのバンド名を名乗ってきたわけだ(笑)。
いや、この間にも名前は何度も変わってるんですよ(笑)。今のふたりになってからも、最初はBoys Ageではなくて、「プリティ・グッド・ルッキングス」という名前でやってました。このころはよくネットで「劣化ホワイト・ストライプス」って叩かれてましたね(笑)。まあ、実際にこの名前もホワイト・ストライプスの「You're Pretty Good Looking」からとったものなんですけど。
――じゃあ、Boys Ageの由来は?
このバンド名の由来は、武田鉄矢の「少年期」っていう曲ですね。そのころにたまたま観た『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』を観てたら、エンディングでこの曲が流れてきて。いわゆる昭和的なノスタルジーを唄った曲なんですけど、それがすごくよくて「こりゃバンド名にするしかないっしょ!」と。
――(笑)。ここまでのお話だと、どうやらおふたりは音楽性の変化に合わせてバンド名を変えてきたところがあるみたいですね。
ああ、いま思えばたしかにそうだったのかも。でも、プリティ・グッド・ルッキングス結成以降は、アルバム毎にコンセプトを変えてる感じですね。ざっくり言うと、1stはホワイト・ストライプス、2ndはピンクフロイド、3rdはヴェルヴェット・アンダーグラウンド、4thと5thがベイルートとヴァン・ダイク・パークス。で、その次が『The Desk Poet. Or alternatively as The Human Beings』(ボーイズ・エイジ名義でリリースした最初の全国流通盤。2012年リリース)ですね。だから、あのアルバムは実質6枚目なんですよ。
――そうだったんだ。ちなみにみなさんはこれまでに何枚リリースしてるんですか。
何枚だろ…。とりあえず僕らのBandcampには今、たぶん20枚以上はアップされてるんじゃないかな。
――すごい制作ペースですね…。
俺、ものすごい飽き性なんですよ。だから、だいたい1ヶ月周期で違う音楽がやりたくなってる(笑)。でも、ただつくってネット上に垂れ流しているだけでは、やっぱり広がらないんですよね。それで楽曲が封入されたチップファイルを、いろんなところに片っ端から送ってみることにしたんです。そうしたら、Echo Lake(英ロンドンのドリーム・ポップバンド)やA GRAVE WITH NO NAME(同じく英ロンドンのシンガー・ソングライター、アレクサンダー・シールズのソロ・プロジェクト)が僕らに興味をもってくれて、「ああ、こうやれば聴いてくれる人もいるんだな」と。それで『The Desk Poet. …』 以降はがんがん音源を送るようになって、それが〈バーガー・レコーズ〉や〈ブリ―ディング・ゴールド〉、〈ナー・テープス(GNAR TAPES)〉から出させてもらえるきっかけになりました(いずれもアメリカのインディー・レーベル)。
――国内のレーベルには送らなかったんですか。
いや、送ったんですよ。でも、これがもう、ことごとく無視されちゃって(笑)。何がよくなかったんスかね。まあ、これもきっと人徳なんだろうな。俺たちがこれまでにちゃんと徳を積んでこなかったのが悪いんだと思います。
――いやいや(笑)。とはいえ、どちらにしても皆さんの関心は日本よりも海外の音楽シーンの方に向いてたんでしょ?
まあ、それは間違いなくそうですね。それこそ日本のポップ・ミュージックって、なんかシリアスで直接的な歌詞が多いじゃないですか。僕、あれがすごく苦手なんですよ。でも、海外の音楽には下らない内容の歌もけっこうあるし、仮にシリアスなことを唄っていたとしても、ひょうきんな感じに聴こえるというか。たとえばピート・ドハーティなんて、まさにそんな感じじゃないですか。まあ、そもそも僕には彼らが何を歌っているのかもわからないんですけど、むしろそこがよかったというか。ただ、これはさっきのバンド名の話にもつながるんですけど、僕はこのバンドの音楽に、日本的な感覚はちゃんと残しておきたいとも思ってて。僕らの音楽はよく「国籍不明」だと言われてますけど、歌に関してはけっこうJポップみたいなこともやってるつもりだし。
中学校のころに、彼からウィーザーの『ブルー・アルバム』を400円で売りつけられたんです(笑)
そうだなぁ。これはちょっと答えになってないかもしれないけど、僕はゲーム音楽が大好きなんですよね。メロディーに関しては、そこから受けた影響がけっこう大きいと思う。つくり終えたばかりのデモを聴きながら、ふと「これ、ドンキーコングじゃん!」みたいに思うこともけっこう多くて。まあ、聴いた人は意外とそう思わないみたいなんですけどね。「この曲、ちょっとポケモンっぽすぎるかな?」と訊いても、だいたいの返事は「そんなことねえから安心しろ」みたいな感じなので。
――(笑)。ゲーム音楽のどんなところに惹かれるんですか。
これはあくまでも僕の認識ですけど、数多あるサウンドトラック系のなかで、ゲーム音楽ほど世界観を意識しながら作られてる音楽ジャンルって、多分ほかにないと思うんですよね。楽曲に込められたストーリーをいちばん顕著に感じられる音楽が、自分にとってはゲームのサントラなんだと思う。同じ曲でも場面ごとにアレンジを変えていくようなことがやってるし。
――なるほど。じゃあ、プログレとかは?
あんまり詳しくはないけど、大好きですね。キャメルとか、ホント最高だと思う。
――なるほど。そうしたKazさんの嗜好性は、相棒のKobayashiさんとも共有されてるんですか。
どうなんだろ…。感性そのものはお互いに似てますね。それに、音楽的な才能はたぶん俺よりも彼の方があると思う。彼はこのバンドのソングライティングにはあんまり関わってなくて、曲も3年にひとつくらいしか書いてこないんです。でも、それだけで俺がやろうとしてたことをサクッとやれちゃうところがあって。やつがもうちょっと真剣に腕を磨いたら、ホントすごいと思うんですけどね。音楽のことも、Kobayashi君は俺よりずっと詳しいし。そもそも彼は俺が音楽を聴き始めるきっかけをくれた人間でもあって。
――そのきっかけって、具体的にはどういうものだったんですか。
中学校のころに、彼からウィーザーの『ブルー・アルバム』を400円で売りつけられたんです(笑)。それから、「俺も負けずにおもしろい音楽を見つけてこよう」みたいなやり取りが始まって、いつのまにかお互いの感性がうまく噛み合っていったというか。そのせいで他のメンバーが見つからないという弊害もあるんですけどね。それに、どうやら『F A K E G O L D』(7th。2013年リリース)以降は、やつの理想とする音楽にかなり近づいているらしくて。
――その理想がどういうものか、言語化してもらうことはできますか。
うーん、ふわっとしたサイケ・ポップとしか言いようがないかな(笑)。たぶん、肩肘張ってない感じのファジーな音楽がやつの理想なんだと思う。まあ、最近はふたりともパンクにハマってるんで、たまにそういう横道にそれた作品もつくっていくと思うんですけど。
このアルバムは「Calm Time」というホラーゲームの実況動画を観たことがきっかけでつくった作品なんです
――なるほど。その流れでいくと、新作『Calm Time』は、さらにその理想形へと踏み込んだ作品と言えそうですね。この作品の制作に関しても、やっぱり何かしらのコンセプトがあったんですか。
このアルバムは「Calm Time」というホラーゲームの実況動画を観たことがきっかけでつくった作品なんです。ちなみに「Calm Time」は主人公のシリアルキラー(殺人鬼)を一人称視点で操って、自分の家で催されたパーティの客5~6人を殺害していくっていうゲームなんですけど。
――タイトルとは裏腹の残虐な内容…。でも、そう言われてみれば、たしかにこのアートワークもそのストーリーとリンクしてますね。
うん。ちなみにこれは僕が描いた絵なんですけど。
いや、イラストはけっこう最近のことですね。ここ1年くらいかな。アートワークを誰かにお願いするときは、当然ギャラもかかっちゃうじゃないですか。でも、なるべくお金は制作費に回したかったので、それなら自分で描こうかなと。でiPadを買ったのを機に、フォトショップでいろいろ描きはじめて。そうしたら、友達のジャケットとかも頼まれるようになったんです。最近だと、LOVE/COPっていうポートランドのバンドが今度だす7インチのジャケットも描きました。
――へえ、すごい。外注もきてるんだ。
正直、簡単なことしかできないんですけどね。『Calm Time』のジャケは、もうちょいゲームの内容に寄せてドット絵っぽくするつもりだったんですけど、それもそれで芸がないなと思って。それで今回は「マリオペイント」で描いた風にしてみました。
――「マリオペイント」! あれ、いま思うとものすごく画期的なゲームでしたよね。では、楽曲制作はどのように進めていったんですか。
まず、このゲームはBGMがないんですよ。音楽がかかるのは冒頭とエンディングだけ。ゲーム全体も「詩で始まって、詩で終わる」みたいな構成になってて、その雰囲気がすごくおもしろいんです。それでさっそく自分でもそのゲームをプレイしていたら、このアルバムに入ってる「Calm Time」という曲が思いついて。それからアルバムの曲が全部そろうまでにかかった時間は、だいたい3日くらいだったかな。
――同タイトルのゲームからインスパイアされた作品なわけですね。サウンドに関して、何か参照したものはありましたか。たとえば僕はこのゆるゆるとした音像から、アトラス・サウンドやマック・デマルコあたりを連想したんですが。
ああ、そう言われると、ホームシェイク(モントリオール出身のピーター・セイガーによるソロ・プロジェクト。マック・デマルコ・バンドの元メンバーとしても知られる)は自分の理想形に近いところがあって、彼からの影響はたぶん受けてますね。彼の音楽は、坂本慎太郎さんが今やってることをかなり先駆けてたと思う。ただ、ホームシェイクはリヴァーブで空間をひろげるみたいなことはあまりしていなくて、もっとミニマルなんですけど、『Calm Time』はもうちょっと空間系のエフェクトをかけてるので、そこはちょっと違うかな。この作品の舞台は屋敷内なので、その舞台にひろがるようなイメージのエフェクトをかけたかったんです。
――視覚的なイメージに音像を寄せていくわけだ。
そうそう。作品のテーマを決めて、そのストーリーが浮かぶと、今度はその情景にマッチした音が頭のなかで鳴り出すんです。とはいえ、これはゲームのサントラ的なイメージとはまた違ってて。作品をつくっていくうちに、いつのまにか自分のなかにある「Calm Time」の情景が組み上がっていった感じというか。そもそも僕がこの「Calm Time」みたいなドット絵のゲームとか、古いファミコンのゲームがすごく好きなのは、想像力が刺激されるからなんですよ。だって、たとえばこのドットでつくられたキャラクターを、8等身の主人公として見なければいけないわけじゃないですか(笑)。
――でも、それがちゃんとそう見えてくるんだから、不思議なもんですよね。
そうそう。だから、説明過多でつくり込まれた最近のゲームはあまり好きじゃないんです。俺、「テトリス」とかですらストーリーを想像しますからね。
――「テトリス」も映画化するらしいですからね。
あれ、どうするつもりなんでしょうね(笑)。でも、そういう余白からなにかを想像することが、今の僕らの音楽性には間違いなく活かされてると思う。そういう意味でも、「Calm Time」はホントいいゲームですよ。うちらの音楽も、そういうものでありたいですね。
――このゲームの制作者も、これは喜ぶでしょうね。
はい。じつはもうコンタクトは取ってるんですよ。このゲームメーカーの人たちと。「このアルバムのスペシャルサンクスにクレジットを載せるから、このゲームの画面をアートワークに使わせてね」って。
俺たちは「もう十分でしょ」ってくらいの才能を持ってるのに、それでもさらにレヴェルを上げてきてるんだから、そろそろ気づいてもらわないと
――すごい。では、『Calm Time』の中身について、もう少し詳しく教えてください。リリックはどういう視点から書いているんですか。
歌詞の考え方はいつもだいだい同じで、作品のストーリーに出てくる登場人物の感情や、その人のまわりにある環境を描写していくようなイメージですね。今回の歌詞は、ゲーム内の主人公であるシリアルキラーの視点を意識して書いてます。だから、間違ってもこの歌詞をそのまま僕個人のこととして真に受けないでもらいたい(笑)。個人的なことを歌詞にすることもたまにはありますけど、そういうときも「登場人物がそう言ってる」みたいなコンセプトだけは常に保ってますし。
――Kazさんの少しくぐもったバリトン・ヴォイスも、非常にインパクトがありました。
歌に関しては、自分の理想には程遠いんですけどね(笑)。まず、僕は音域がものすごく狭いんですよ。それで、自分がどう歌えばいいのかは一時期いろいろ悩みましたね。それこそ歌い始めた頃の僕には「シンガーっていうものはみんな、しゃべり言葉の1オクターブ上で歌うもんなのかな」みたいなイメージもあったし。
――あははは。でもそれ、わかります。
それでがんばって1オクターブ上の声を出そうとしてみたこともあるんだけど、どう考えてもそれは俺に向いてないなと。シャウトしたって全然かっこよく決まらないし、むしろ浣腸された猿みたいな声になっちゃうんで。
――(笑)。
それならいっそ低い声で歌おうと。そう考えるようになってからは、ルーリードとか、ヨ・ラ・テンゴのアイラ・カプランのモノマネをしながら、自分に合った歌い方を探すようになって。
――ブツブツとつぶやくような歌い方ですね。
そうそう。ああいう耳元でささやくような歌い方って、すごくいいなと。それでとにかくマイクに口を近づけて歌うようになってからは、歌がすごくおもしろくなっていきましたね。
――アルバムの内容にも合った歌い方だと思いました。それこそ作品のストーリーを語っていくような感じというか。
本当はもっと深みがあって透き通った声が出したいんですけどね。それに、今回のアルバムは、テーマが暗いからなあ。
――でも、すごくポップじゃないですか。
うん。こういう邪悪な要素をちゃんとポップスの界隈に持ち込めそうな作品になったことは、自分でもけっこう満足してます(笑)。あと、じつはこの作品が出来た直後に、もうひとつ『Inner Moon』というアルバムをつくったんですよ。これは5月にカセットで出す予定なんですけど。
――次作がもう完成しちゃってるんだ!
はい。同じような路線で少しずつ世界観が違うアルバムを3~4枚つくってみようと思って。『Calm Time』と『Inner Moon』は、そういう考えのもとにつくったうちの2枚なんです。で、次のデモが現時点でもう20曲以上はあるので、あと2枚はすぐにいけますね。だから、『Calm Time』は4部作の1作目ってことですね(笑)。
――ホント多作家ですねぇ。
まあ、あとはこれが日本でも少しはウケるといいんですけどね。俺たちは「もう十分でしょ」ってくらいの才能を持ってるのに、それでもさらにレヴェルを上げてきてるんだから、そろそろ気づいてもらわないと。予定では今ごろグラストンベリーのトリくらいはやれてたんだけどな。
――(笑)。そこまでいきますか。
うん。ちゃんと俺たちの音楽が届けば、そうなっていてもおかしくないと思ってますよ。
過去6作を解説付きで配信解禁&選りすぐり音源を無料配信
これまでつくりあげた数多くのアーカイヴのなかから選りすぐりの音源5曲をコンパイル。無期限で無料配信中! さらに過去、カセットやCD-Rでリリースした6作品をKaz本人の解説とともに解禁。解説は特集ページから。
>>特集 : ヨ・ラ・テンゴ、カート・ヴァイルのサイケデリックな音像を継承するニュー・カマー、Boys Ageをフリーでお届け!
LIVE INFORMATION
Boys Age アルバム・リリース・ショー “Calm Time”
2015年5月1日(金)@下北沢THREE
開場 18:30 / 開演 19:00
料金 : 2,000円
出演 : Boys Age / Death By Raygun / sanm / Batman Winks
DJ : Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins/CVN)
PROFILE
Boys Age
Kaz / Takamasa John Kobayashi
国外の数々のコンピレーションに参加し、また国内外のアーティストが集った自主コンピも制作。USの老舗WFMUやフランスのPlanet Claireなどのラジオでもプレイされ、またフランスで絶大な支持を受けているブログ「La Blogotheque」への記事やスペインの「Shookdown」でのインタヴュー掲載など、海外では"Japanese DIY Master"の異名をとる。
楽曲の全てをKORGのMTRと創意工夫による寝室録音のセルフ・プロデュースで作り上げたサウンドは、前述のThe Memoriesを筆頭に、R. Stevie Moore、A Grave With No Nameなど数多のミュージシャンから支持を受けている日本から最も遠い日本人ローファイ・ポップ・メイカー。