完成のない「祭」

ボロフェスタが誕生してから早8年。日本のフェスティバル事情も当時とは随分と様変わりした。企業傘下の大型フェスから、個人発信のインディものまで、今や音楽フェスは全国各地で乱立状態。その数、集客状況を見ても、ひとつのピークを迎えていると言っていいと思う。そして8回目を迎えたボロフェスタも今年は少し様相が違う。西部講堂を離れ、1度規模の縮小を経て、今回はKBSホールという大きな多目的ホールに会場を移しての初開催。インディペンデント・フェスティバルの先駆けとして、今や全国で認知されているこのイヴェントにとっても、今年は大きな分岐点となりそうだ。個人的には今回が初参加というのもあって、事前にいくら情報を掴んでも、いまいち全貌をイメージしづらい。発表された出演者のメンツも、豪華で且つ「世界で一番面白い音楽が鳴っている場所にしたい」という主催側のポリシーを感じるヴァラエティ豊かなものではあるものの、正直それだけで独自性を感じるものではなかった。それでもボロフェスタに特別な思いを抱く人は未だに後を絶たない。ボロフェスタはなぜこれ程までに愛されているのか。それをこの目で確かめたかった。

と、そんな面倒臭い事を考えつつも、開催前に飯田仁一郎から頂いた「ボロフェスタに来るなら、ボロボロになるまで楽しまなあかんで! 」という言葉に従い、とびっきりのボロを着込んでやって参りました、京都KBSホール! 烏丸通り沿いの入口に立つ「ボロフェスタ」と大文字ででかでかと書かれた看板とタイム・テーブル。敷地内の駐車上に並べられた屋台と休憩所。どれも手書きの手作り感覚なのに、不思議な統一感がある。駐輪所には次々と自転車がやってくる。どの人も軽装だ。恐らく通りがかりに立ち寄ったのだろう、あまり普段のライヴ会場では見かけないようなおじちゃんおばちゃんも、ニコニコと屋台を見てまわっている。このゆるさと賑やかさに、会場入りする前から「ボロフェスタに来たな」という気持ちにさせられる。

受付でリスト・バンドをもらって、いよいよ入場。中には物販やクロークの他にも、着物の着付けをやってくれるブースがあって、そこで和服に着替えた麗しい女性の姿もちらほら。メイン会場では、今年の7月にリリースを果たし、今後ボロフェスタの中核を担っていくだろう期待の新星、スーパーノアの演奏が始まっている。彼らが演奏しているのは、フロア入口から正面に位置するステージ。そして正面から向かって左手側にもうひとつのステージが用意されていて、その間にDJブースが置かれている。どうやらこの両ステージで交互に演奏が行われていくようだ。先日の東京BOREDOMのシステムとかなり近い。ただ会場のキャパシティが桁違いだし、フロアとステージの高低差もかなりある。スーパーノアからほぼ転換を置かず、neco眠るが演奏を始めた時のフロアの動きは、後方から眺めていても凄まじく壮観だった。

メイン・フロアの熱狂に後ろ髪を引かれつつ、地下ステージにも足を運んでみる。本来は休憩スペースとして使われている場所に簡易ステージを作り、福岡の<ヨコチン・レーベル>が取り仕切る形で進行するこのステージ。小さな部屋に集まったお客さんはみんな床に座って、とても和やかな雰囲気。入口の外から覗いている人もたくさんいる。思わず聴き入ってしまうアンプラグドの演奏から、なかなか関東地区では見ることの出来ないアーティストの風変わりなパフォーマンスまで、それぞれの色合いが強くて楽しい。この地下とメイン、どちらも防音がしっかりしていて、野外イヴェント等によくある会場外の雑音に悩まされるストレスもないし、行き来も楽だから見逃しもほとんどなく済んで嬉しい。疲れた時の逃げ場もたくさん用意されていて、これは施設の環境をとても上手に使っていると感じた。

このボロフェスタで何よりも感心させられたのが、スタッフの働きぶり。どの係の人もテキパキとよく動き回っている。しかもこのほぼすべてがボランティアとして参加しているというのだから、ちょっと信じられない。大型フェスなんかに行くと必ずいる、会場の作りがよくわかっていなくておろおろしている者や、怠惰な対応をする者は、僕が二日間で接する事の出来た人達に限って言えば、一人もいなかった。これは彼らが主催者の掲げる理想と熱意をしっかりと理解した上で、入念に準備を重ねながらこの日を心待ちにしていたからこそのものだろう。ボロフェスタというイヴェントが、関わる人すべての愛情で成り立っているという事実を目の当たりにするようだった。
関わる人というのは、集まったお客さんにしてももちろん言える事だ。これは京都という土地柄から来るものなのだろうか、年に1度の音楽フェスだからと言って、変に意気込んでいるような人はあまり見受けられない。どの人も気楽に思い思いの楽しみ方をしていて、特定のバンドのファンが固まり過ぎているような感じもなく、どのバンドの時間帯もほぼ満遍なくフロアに人が埋まっていて、雰囲気が乱れる事もなかった。他のイヴェントで見るお客さんよりも遊び慣れた人が集まっているという印象を強く受けた。

そんな気持ちのよいお客さんとスタッフによる環境下で、ボロフェスタは2日間、終始賑やかでピースフルな雰囲気を保ったまま進行していった。ただひとつだけ気になったのが、メイン会場の流れ。東京BOREDOMで初めて体験した転換なしの2ステージ・スタイルは、会場内のダイナミックな動きが常に保たれるだけでなく、出入り口付近の混雑も緩和されてとても効率的に感じたのだが、さすがに今回は出演時間に合わせて会場入りするバンドも多いからか、サウンド・チェックの時間をまったく設けないわけにはいかなかったようだ。その時間にフロアの熱を冷まさないために、DJブースが用意されていたのだが、これがサウンド・チェックの音に遮断され、プレイ出来る時間もわずかなために、あまりうまく機能していなかった。今回のフロアの作りは、うまく連動していければ間違いなく他にはない起爆力を備えていただけに、その1点だけが惜しかったように感じた。個人的には今回浮き上がった修正点を克服して、是非来年もまたこのスタイルで臨んでほしいと思っている。確実にこのイヴェントがもっとすごい熱気に包まれるはず。

2日間、ボロフェスタをフルに満喫して、やっとわかった。このフェスは未だ完成していない。そしてそれこそがボロフェスタ最大の魅力だ。過去の成功に安住することなく、常に新たなアイデアを持ち寄っては実践し、その度に現れる問題と真正面に向き合ってきたからこそ、ボロフェスタはこれまで1度もエッジを失わなかったのだろう。そしてその真摯な姿勢はたくさんの人の胸を打ち、京都という街に根付くまでになった。僕はここまで「フェス」という言葉を使ってきたけど、ボロフェスタは「祭」と言った方がふさわしいと思う。だって祭って、そもそも商業云々や他との兼ね合い以前に、その祭にかける思いを持った人が地域にいる限りは、いつまでだって続いていくものでしょ? そしてその情熱は、もはや創始者の4人だけのものではなくなった。大トリを飾ったギターウルフの熱演の後、会場のスクリーンに流れたエンドロールを眺める人達の、何とも言えない表情が、何よりもそれを物語っていた。(text by 渡辺裕也)

ボロフェスタ09 web:http://borofesta.ototoy.jp


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