新作のスタジオ・アルバムを1週間先行で、高音質配信開始!

今谷忠弘を中心としたユニット“ホテルニュートーキョー”が、4年振りのアルバムをリリース。今作は、toeの柏倉隆史をはじめ、中村圭作(kowloon、stim、toe、木村カエラ)や後関好宏(在日ファンク、stim、WUJA BIN BIN)など、第一線で活躍するミュージシャンらが集結。互いの個性をぶつけ合いながら、緻密に練り込まれたバンド・アンサンブルを披露。ホテルニュートーキョーの集大成とも言うべく傑作アルバムがここに完成した。もちろんリリースは曽我部恵一のROSE Recordsから。OTOTOYでは1週間先行で、24bit/48kHzの高音質WAV音源での配信がスタート!

 

1週間先行で配信スタート!

ホテルニュートーキョー / yes?

【価格】
mp3 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
HQD(24bit/48kHzのwav) 単曲 230円 / まとめ購入 1,800円

【Track List】
01. カルトヒーロー / 02. Good design makes me happy / 03. Succession / 04. フレミングの家 / 05. 3+1 / 06. 都市とモード / 07. Weekender / 08. マッドサイエンティスト / 09. Ebony and Ivory / 10. Bison

INTERVIEW : ホテルニュートーキョー

今谷忠弘ひきいるホテルニュートーキョーから、およそ4年ぶりとなるスタジオ・アルバム『yes?』が届いた。過去作でも堪能できたスタイリッシュできらびやかな音像はそのままに、本作ではここまで活動をともにしてきたメンバーとのバンド・アンサンブルにぐっと焦点が絞られている。今谷のデモをもとにした緻密なアレンジにしても、名うての演奏家たちが生み出す色気のあるグル―ヴにしても、とにかく付け入る隙のない完成度で、まさにホテルニュートーキョーのキャリアにおける最高到達点を示した作品にしあがっている。10年前にまずはひとりでこのプロジェクトを立ち上げ、気心の知れた演奏家たちとともにじっくりと作品を重ねてきた今谷は、今回のインタヴューで一寸の迷いもなくこう語っている。「今回のアルバムで、ようやく理想のバンドになった」と。

インタヴュー & 文 : 渡辺裕也

ようやく理想とするバンドの形になったんです

——少し前に木村カエラさんへの楽曲提供がありましたね。あの機会はどういう経緯で?

今谷 : あれはメンバーの圭作さん(中村圭作。kowloon、stim、WUJA BIN BIN)と柏倉さん(柏倉隆史。toe)がカエラさんのバンドで演奏しているから。まあ、棚から牡丹餅みたいなやつです(笑)。

——また身も蓋もない言い方を(笑)。

今谷 : でも、そうじゃなければやらなかったかもしれない。そのカエラさんの周りにいる人たちをよく知ってたぶん、やったらどうなるのかもなんとなくわかってたし。そのへんが曖昧だと、あまり労力を注げないと思う。あの機会はあくまでも自分がここまでやってきたことの延長線上にあったことだから。いきなりぽっと湧き出てきたような話だったら、また違ったと思う。いわゆるディレクターみたいな人にあれこれ指示されながらやるような作業はたぶんできないんです。僕、そんなに器用じゃないので。

——では、今日はそのキャリアのはじまりから話を訊かせてください。そもそもホテルニュートーキョーって、今谷さんがひとりで立ち上げたプロジェクトですよね。その時点で現在のようなバンド形態をすでにイメージされてたんですか。それともなにか他に指針があったんでしょうか。

今谷 : 当時なにか決めていたことがあったとすれば、それは「解散しないバンドにする」ってこと。つまり、ひとりではじめちゃえば自分が辞めない限りは解散しないっていう。バンドって、続けていくと最後には解散しちゃうでしょ。極論ですけど(笑)。しかもけっこうつまらない理由で終わらせちゃう。それこそ、メンバーの誰かが彼女にフラれたとかさ。まあ、極論ですけど(笑)。

——まあ、よくある話ですね(笑)。

今谷 : 昔からリーダーみたいな立場でバンドをやってたから、ちょっとイキってたし(笑)。すごい情熱を注いでた。それがそういうつまらないことがきっかけで解散させられると、いきなりなにもなくなっちゃうんですよ。しかも、そのあとにリーダー以外のメンバーで別のバンドを作ってたりして、それでまた傷つくっていう(笑)。いま思えば、面白い話なんですけどね。たとえばメンバーにギターがふたりいて、曲によってはギター一本で十分に足りることってあるでしょ? そこで無理やり入れちゃうのもバンドの面白さではあると思うけど、僕は「いらないじゃん」と思っちゃう人だから、そのもうひとりのギターにパーカッションとかをやらせちゃうんです。それでそいつが拗ねちゃって、解散しちゃうっていう。そういうのを繰り返したのもあって、解散しないバンドがやりたかったんです(笑)

——でも、そうやって個々のエゴをぶつけ合うのもバンドの醍醐味だと思うんですけど。今谷さんはそういうのが面倒だったってこと?

今谷 : 僕も本当はそういうふうにやりたいんです。だってバンドがやっぱり一番かっこいいし。

——音楽はバンド形態でやるのが一番だってことですよね? その考えの根っこにはなにがあるんですか。

今谷 : だって、みんなでひとつの目標に向かっていくのって、すごく楽しいじゃないですか。なんか予備校みたいで(笑)。僕はそういうのがなによりも好きなんです。で、とりあえずひとりでこのバンドを始めてから10年が経って、ようやく理想とするバンドの形になったんです。それが今回のアルバム。

——つまり今回のアルバムこそホテルニュートーキョーの理想形だ、と。

今谷 : 自分が最初の頃に思い描いていたのはこういう感じだったと思う。そもそも、それまではスタジオに集まって「せーの」で音を出して、それを家で聴き返してからまたスタジオに持ち込むっていう作業をずっとやってきた人が、パソコンを使った音楽制作をイチからはじめるのって、けっこう大変だったんです。でも、その作業をなんとか10年続けてきて、ようやく、いまそれができるようになったんです。つまり、バンドを解散させないためのやり方が、ここにきてようやくできるようになった(笑)。でも、そこに至るまでの段階として、まず僕はひとりでこのバンドをはじめないといけなかったんです。

——解散しないバンドを作るための足固めを、まずはひとりでやらなければいけなかったんですね。

今谷 : うん。はじめた当時は本当になにもわからなかったし、そういうパソコン上での制作に興味もなかったんだけど、それでも新しいことをはじめたばかりの時期って、すごく楽しいんですよね。でも、そこから世のなかに作品を出す段階まで進んでいくと、だんだんしんどくなっていって。「なんか違うんだよな」の繰り返しになる。だから、ファーストを出すことが決まってから、実際にリリースするまでにすごく時間がかかったんです。

——当初の予定ではもっと早く出せるはずだったんだ。

今谷 : パソコンで音楽を作り始めて、まず4曲入りのデモを作ったんです。で、それを曽我部さんに渡して。そうしたらその翌日に曽我部さんから電話がかかってきて「レーベルをはじめるんだけど、CD出す?」と言ってもらえて。それで「やったー」と思ったんですけど、やっぱりちゃんとしたものを作ろうと思うと、どうしても時間がかかっちゃいましたね。ファーストに関しては宅録の延長線上みたいなところもあったので。

——そのファースト(『ガウディの憂鬱』)の完成度をいまになってどう振り返りますか。

今谷 : その当時の技術的な限界のところで作ったアルバムでしたね。サンプリング用に70年代のドラムのループ集を1枚だけ持ってたんですけど、そのなかでいいなと思えるブレイクビーツがひとつしかなくて、とりあえずそれをそのまま使うしかなかった。BPMも変えられなかったし。でも、結果的にそのファーストにもいまのメンバーが参加してくれたし、とりあえず作品をひとつかたちにしたことで、それが名刺代わりになって、いろんな人を巻き込みやすくはなりました(笑)。

——その後の今谷さんは作品を出すたびに、作品性を示すなにかしらのヒントを提示されてきましたよね。たとえば3年前に『トーキョーアブストラクトスケーターep』を出したときは、「オルタナティヴ」や「ガス・ヴァン・サント」みたいなキーワードを挙げてくれたように。今回の作品に関してはどうでしょう。

今谷 : いまのところ、なにもないんです(笑)。そもそもそういうキーワードって後付けだし、最初からなにかテーマを掲げて作ろうなんて志が、僕にはまったくなくて。これからなにか思い出みたいなものが浮かんでくるかな、とは思ってるんですけど。むしろいまはそれを教えてほしいくらいで(笑)

——じゃあ、いまからそれを一緒に探っていきましょう(笑)。

今谷 : ぜひカウンセリングをお願いします(笑)。うん、じつは困ってたんですよね、そこ。

気に入るか気に入らないか。それだけでいい

——では、『トーキョーアブストラクトスケーターep』を出してからの3年間で、特に今谷さんの興味を引いたものがなにかあれば教えてください。とりあえずそこと音楽に関係があるかどうかは置いておきましょう。

今谷 : そうだな。写真家とか? ここ最近はニューヨークからストリート寄りの写真を撮るフォトグラファーが出てきていて。僕、友だちがやっている〈Golden Brown〉っていうハンバーガー屋で少し前まで働いていたんですけど、その店でそういう写真家の個展にケータリングを出したりしてたんです。で、ティム・バーバーっていうすごく好きな写真家がいるんですけど、実際にその人からサインをもらえたりもして。シガー・ロスの裸のジャケット(『Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust』)を撮ったことで有名なライアン・マッギンレーなんかも、そういう系譜の人ですね。ユース・カルチャーとか、若者の淡い感じを捉えるのがうまいというか。そういう人たちがヒカリエで個展をやったりしていたのもあって、そのあたりのテイストに触れる機会がここ最近は多かったのかもしれない。

——確かにそのテイストは今谷さんのセンスにも合いそうですね。

今谷 : あ、そうだ。『美術手帖』でライアン・マッギンレーのインタヴュー記事が載ってたんですけど、そのなかでマッギンレーはガス・ヴァン・サントと対談しているんですよ。

——おお。前作のキーワードと繋がった!

今谷 : やりましたね(笑)。で、そのインタヴューでなにか制作のテーマみたいなものがあるのかと訊かれたマッギンレーが「冒険的で美しく、刺激的かつ反逆的」だと答えてるんです。僕はそこにピンときて。なんか自分にフィットしたというか。なんか、ちょっと悩んでたんですよね。変に言葉を並べ過ぎちゃって、軽い感じに受け取られてるかなって。いや、それは嘘だな。悩んだことはない(笑)

——(笑)。自分の音楽をストリートやファッションのイメージに絡めると、変に表層的なものとして受け取られるかもしれないっていう懸念はあったってことですよね?

今谷 : そうなんだけど、同時にそれでもいいとも思ってるから。

——うん、僕もホテルニュートーキョーの魅力ってそういうところにあると思う。

今谷 : そうなんですけど、ある生意気な女がいて(笑)。自分のライヴ会場でたまたま会ったそいつが「今ちゃん、どうせオシャレな音楽やってるんでしょ?」って言ってきて、すごくムカついたんです(笑)。いや、単にそいつが嫌いなだけなのかも(笑)。で、そういう言い方をされたもんだから、変に自分も敏感になっちゃって。そういうときに目にした「冒険的で美しく、刺激的かつ反逆的」っていう言葉が、妙にしっくりきたんですよね。

——じゃあ、今回の制作はけっこう攻撃的な気持ちで臨んでいたんですか。

今谷 : うん。でもそれが激しい感じのものになるかというと、そういうもんでもないんですよね。それより、かたちに囚われないことを意識したというか。「これ、○○っぽいな」みたいなことをそんなに恐れないというか。つまり、無意識でパクってしまったものはよしとするってこと(笑)。

——つまり今回の作品には無意識でパクッた要素があるってことですね。

今谷 : 音像の雰囲気としてはあると思う。それが実際になにかは言いませんけど(笑)。

——でも、今谷が原体験として通ってきた音楽がバックボーンにあるという意味では、今回の作品もこれまでと変わらないんじゃないかなとは思って。

今谷 : うん。そこは確かに変わってない。

——そのいっぽうで、これまでになかった新たな音楽的刺激って、ここ最近でなにかありませんでしたか。

今谷 : ジェイムス・ブレイクのライヴを観たことはけっこう大きかったのかも。特にあの、いわゆるエレキベースでは出せないような、気持ち悪くなるくらいの低音ですね。ジェイムス・ブレイクが出すあの低音って、それこそさっきの「冒険的で美しく、刺激的かつ反逆的」なのかもしれないと思ったんです。じゃあ、僕もそこまでバンドに執着しないで、ちょっと打ち込みっぽい要素も入れてみようかな、と。それが「Succession」。あれはシンセベースを使ってるんですよ。

 

——制作のプロセスもこれまでとは少し違うってことですね。

今谷 : 今回はがんばりましたよ(笑)。なにしろデモを作りましたから。

——そういえば、バンドに持ち込む前の段階ではそこまで作り込まないって、前回のインタヴューでも言ってましたね。

今谷 : たとえば『2009 spring / summer』のときなんかは、ざっくりしたデモしかなくて、それをもとに素材を録って、それをあとで組み合わせて作ったりした曲もわりとあったりして。

——サンプリング的な感じですね。

今谷 : そうそう。で、曲のエンディングも考えずにひたすら素材を集めていたから、最後はフェイドアウトで締めるしかないっていう(笑)。でもそれがうまく転がって、すごく楽しかったんです。自分で弾いたフレーズなのに、まったくそういう気がしないっていう感覚がすごくおもしろかった。でも、今回はちゃんとデモを作って、僕がこの曲をどうしたいか、ある程度しっかりと把握してもらったうえでみんなに演奏してもらいました。つまり、普通に録ったんです。今回リハはやってないんですけど、それでもデモをがんばって作ると、うまくできちゃうんですね。

——これだけ腕の立つメンバーが揃っていますからね。じゃあ、今回のアルバムは今谷さん個人の志向性が過去になくダイレクトに反映されているんですね。

今谷 : とは言っても、デモは各パートのテイストをイメージして作ってたし、そこから先はいつものようにお任せだったから。

——じゃあ、ホテルニュートーキョーをはじめてからのこの10年間で、今谷さんの音楽との付き合い方はどう変化しましたか。

今谷 : 始めてからいままで、そこはあまり変わってないと思うけど、ここから変わってくるのかもしれませんね。でも、こうして自分の作品を出してもらえるレーベルがある限りは作っていきたいと思ってます。

——もしこの環境がなくなったら?

今谷 : もっとテキトーにやってるかも(笑)。でも、こうして何年もこのバンドをやってきて、ようやく自分なりのバンド像ができてくると、いままでみたいなキーワードは必要じゃなくなってきたんですよね。これが気に入るか気に入らないか。それだけでいいし、それって悪いことじゃないと思う。いまはすごくすっきりしてますよ。音楽的にもやっとスタート地点に立ったような感覚です。パソコンで作りはじめてから10年が経って、やっとここまで持ってこれた。それに、僕が言うのもアレですけど、このバンドには間違いない人たちが集まっているから。もはや僕がいようがいまいが関係ない(笑)。まあ、いないよりはいたほうがいいだろうけど。

——今谷さん抜きじゃホテルニュートーキョーにならないでしょう(笑)。

今谷 : 僕がいなくても成立しますよ。いわばキップ・ハンラハン方式ですね(笑)。最終的に僕はこのバンドのライヴを降ろされているかもしれない。あるいはマスコット的な存在になっているかもしれない(笑)。どちらにしても、このバンドを動かしているのは、ここに揃ってくれたメンバーなんです。

——でも、そのメンバーは今谷さんを中心に集っているわけですから。この音楽は友だち同士がちょっと集まっただけじゃ作れませんよ。そこは認めてください(笑)。

今谷 : いや、自分でもよくわかってるんですよ。僕が音楽的にも人間的にもすごくないっていうことは。だから、自分がやれるのはカレー屋だってことに気づいたんです(笑)。僕がなんとかこのバンドをやってこれたのも、このメンバーがやってくれるというプレッシャーがあったからで。それこそ、ホテルニュートーキョーで初めてバンド編成のライヴをやったときは、僕が真ん中に立ってやってみたんです。そしたらなんか違うなと思って、それからは端っこで演奏するようになった(笑)。僕はそれがちょうどいいと思ってる。

——じゃあ、いつか今谷さん以外のメンバー全員にインタヴューしてみたいですね。「本当は今谷さんのことをどう思ってるのか」って。

今谷 : あ、それは僕も聞いてみたい。でも、なんか傷つきそうだな(笑)。

LIVE INFORMATION

『yes?』TOURが11月よりスタート!! 詳細は後日発表!

>>>official HP

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PROFILE

ホテルニュートーキョー

2003年、今谷忠弘のソロ・ユニットとして始動し、その後はバンド編成によるライヴ活動を行うようになる。アーバンな質感をベースにしつつも、PUNKの気概を随所に散りばめながらクロスオーバーなサウンドを展開。サウンド面のみならず、映像やファッション、ストリート、デザインなど様々なアートフォーム横断。それらのエッセンスを混在させる独自の世界観を描く。このユニット自体が多彩な価値観を繋ぐ拠点として機能し、リスナーのみならず、その世界感に共鳴するクリエイター達からも厚い支持を受けている。また、今谷は木村カエラの楽曲プロデュースやCM音楽、舞台音楽などのプロデュース業も行っており、ジャンルを問わず幅広い分野のアーティストへ楽曲を提供している。2006年5月、12inchシングル『東京ワルツ』(須永辰緒と曽我部恵一のREMIXをそれぞれ収録)でデビュー。2006年8月、1stアルバム『ガウディの憂鬱』をリリース。2009年3月、2ndアルバム『2009 spring/suumer』リリース。2010年6月、ライヴ・テイクを含む全8曲を収録した『トーキョー アブストラクト スケーター ep』をリリース。2013年6月 フル・アルバムのリリースとしては4年ぶりとなる、3rdアルバム『yes?』をリリース予定。

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筆者について
渡辺 裕也 (渡辺 裕也)

福島県二本松市出身。日々の自炊に勤しむさすらいの音楽ライター。そして好角家。twitter ID:@watanabe_yuya

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