さあ、今年もそわそわしはじめる時期がやってきましたね。そうです。もう2013年のフジロック・フェスティバルの開催まであとわずかなんです。タイムテーブルも発表されたことだし、わくわくしながらスケジュールを考えているわけですが、果たしてどっちのステージに向かうか、鬼の選択を迫られる場面がここも、あそこも…。

なんて話でいまごろきっとOTOTOYのスタッフも盛り上がっているんだろうなーと思ってたんですが…。どうやら聞いたところだと、日頃OTOTOYの業務を手伝う学生インターンや若いスタッフたちは、どうもそこまでピンときてない様子だという。いわく、「海外のアーティストはあまり知らない」とか、「とりあえず有名なやつは見ておきたいけど」とか、「好きな日本のバンドが出るから、自分はそっち目的っす」とか、どうもそんな調子らしい。

けしからん。それは実にけしからん! フジロックは、世界各国からさまざまなアーティストが一挙に集まる、1年に1度の祭なのだよ。英米のアーティストはもちろん、普段なかなか生で触れる機会のない南米やアジア、アフリカの音楽をここまで一気に、しかもカジュアルに楽しめる場なんて、フジくらいのもんです。世界の音楽を知れば、そのぶん日本のアーティストだって聴こえ方がもちろん変わってくる。うん、フジロックは音楽を通して世界を知る場なんだな!

って、いきなり大風呂敷を広げてしまいましたが、そんなわけで2013年のフジロック特集は、主に日本のインディ音楽を聴いている人にも興味を持ってもらえるように、フジロックに出演する海外アーティストを紹介していこうと思います。

文 : 渡辺裕也


FUJI ROCK FESTIVAL '13

【期間】2013年 7月26日 (金) 27日 (土) 28日 (日)
【会場】新潟県 湯沢町 苗場スキー場
【時間】9:00開場 11:00開演 23:00終演予定
【出演】国内外約200アーティスト

【チケット】
・3日通し券 ¥42,800
・1日券 ¥17,800
・キャンプサイト券 ¥3,000 (1名 / 開催期間中有効)
・駐車券 ¥3,000 (1日1台 / 2名より受付)

【主催】SMASH Corporation
【企画・制作】SMASH / HOT STUFF PROMOTION / DOOBIE,Inc.

詳細はFUJI ROCK FESTIVAL '13 OFFICIAL WEBSITE



USインディ・シーンを知らずに、日本のインディ・ロックは語れない!!

じゃあ、最初はアメリカのインディ・ロック周辺からいってみましょう。それこそシャムキャッツにしろmooolsにしろ、東京の音楽シーンは現行のUSインディとの接点なしでは語れないのだ。新しいところでまず目に付くのが、EP1枚のリリースで早くも話題沸騰中のカリフォルニア3姉妹バンドHAIM。60年代風のヴィンテージなロックに80’sフレイヴァーをまぶしたような華のあるサウンドで、ルックスも最高っす。ヴォーカル / ギターのダニエル・ハイムは、The Strokesのジュリアン・カサブランカスがソロ・ツアーのサポート・メンバーに起用したことでも知られてますね。同じくレッド・マーキーに出演するLocal Nativesも当然忘れちゃいけない。2010年に続く2度目のフジですが、今年リリースされたセカンド・アルバム『Hammingbird』ではThe Nationalのアーロン・デスナーがプロデュースを担当。アメリカの層の厚さと、横の繋がりの深さを感じさせるバンドへと成長しています。


HAIM「Forever」

Local Natives「Breakers」

あとはDiivも紹介しなきゃ。深くリヴァーブをかけたノスタルジックなサウンドは、それこそミツメあたりをよく聴いている人なんかはきっと気に入ると思います。オーストラリアだけど、Tame Imparaもこの流れで紹介しとこう。ビートルズ中期あたりを思わせる極彩色のサイケデリック・ロックを奏でるこのバンドは、昨年リリースしたアルバム『LONERISM』が主要メディアで年間ベストを席巻。いま見逃すとやばいやつです。同じくビートルズ・マナーを感じさせるサイケということで、ぜひアラスカの3人組= Portugal. The Manにもご注目を。


DIIV「Wait」

Tame Impala「Why Won't You Make Up Your Mind?」

もっと刺激的なやつを求めている方、Death Gripsはマストでチェックです。トライバルなビートにぶっといシンセとラップを重ねた超凶暴なサウンドで痺れましょう。Eric Claptonら超大物も絶賛する若き天才ブルース・ギタリスト、ゲイリー・クラークJr.が、フィールド・オブ・ヘブンでどんなギターを響かせるのかも、想像するだけでやばいわー。


Death Grips「The Fever (Aye Aye)」

レジェンドも苗場にやってくる!!

しっかりベテラン勢もいっときましょう。USインディといえばこの名前がすぐに浮かぶ人も多いだろうYo La Tengoが3日目のグリーンに登場です。ジョン・マッケンタイアがプロデュースを担当した新作『Fade』の楽曲はもちろん、30年近いキャリアのなかからどんな選曲がされるのかも楽しみ。そして、なんとそのマッケンタイアが在籍するThe Sea and Cakeもやってきちゃいます。現在のシカゴ・ポストロック~USインディの礎を築いた流れとしてもここはぜひ。


Yo La Tengo「Before We Run」

The Sea and Cake「Harps」

なんといってもSPARKS! メイル兄弟の手による過剰にシネマティックなポップスはまさに唯一無二で、かくいうワタシも08年のフジで彼らのパフォーマンスを目の当たりにして人生観が変わったひとり。今回の来日は兄弟ふたりだけで演奏が行われるそうで、とにかく今からウキウキです。スカートの澤部渡さんも彼らの大ファンを公言してますね。

さらにレジェンドとしては、The Bandの鍵盤奏者= Garth Hudsonがカナダからやってきます。60年代以降いくつもの名演を残してきた彼はいま、どんな演奏を聴かせてくれるのか。ちなみにヴォーカルを務めるSister Maud Hudsonはガースの奥さんです。同じくカナダからもうひとり。Daniel Lanoisが登場です。U2『The Joshua Tree』など、名盤をいくつも手掛けてきたプロデューサーとして広く知られる彼ですが、本人の歌もルーツ・ミュージックが色濃く表れた奥深いもので、これも見逃しちゃダメなやつですね。


Maud and Garth Hudson「Piece of My Heart」

Daniel Lanois「FIRE」

開催が迫ってきた頃になってCat Powerことショーン・マーシャルの出演決定がアナウンスされたときは、思わず歓喜の声を上げた人もきっと多かったでしょう。アコースティックを基調とした演奏に乗せられる、彼女の気だるげな歌声の妖艶さといったらないですよ。同じく麗しい女性シンガー、Aimee Mannも2日目のグリーンに登場です。さっき彼女が50歳をすでに超えてたことを知ってびっくりしたんですが、いつまでもクールな色気を失わない歌声に今回も酔わされること間違いなしっす。


Cat Power「Manhattan」

Aimee Mann「Save me」

UKシーンからはThe xxブレイク以降の要注目株、Daughterも来日

さて、ここらで近年また活気を取り戻してきたイギリスに移りましょうか。もちろんイギリスの超ビッグ・アクトでありながら、アメリカでも大ブレイクを果たしたMumford & Sonsをいま見れるのはホントうれしい。英国フォークをスタジアム仕様にしたようなダイナミックな歌をぜひグリーンで大合唱したいです。アイリッシュ・フォークの大物バンド= Skinny Listerもやってきます。日本でもハンバート ハンバートJohn John Festivalなどのアイリッシュ・トラッドから影響を受けたバンドはたくさんいるし、ここでいっちょ本場のやつも体感しときたいところ。アイスランドからは今年初めの来日公演がソールド・アウトした5人組= Of Monsters and Menが早くも再来日。Arcade Fireのような祝祭感あふれるアンサンブルに胸が膨らみます。


Mumford & Sons「I Will Wait」

Skinny Lister「Rollin' Over」

旬なところで、やっぱり黒ずくめの女性4人組= Savagesは楽しみですね。サウンドはJoy Divisionをはじめとしたポストパンク・バンド直系といった感じで、とにかくクール。日本だとThe Novembers(ヴォーカルの小林祐介はCharaのバンド・メンバーとして出演)やLillies and Remainsあたりが好きな人はまず反応しちゃう音じゃないかと。同じく女性ヴォーカルを擁するDaughterのメランコリックなエレクトロニック・サウンドは、イギリスにThe xxブレイク以降の流れが生まれたことを改めて感じさせますね。


Savages「Shut Up」

The xx「Chained」

日本でも近年当たり前に聴かれるEDMのトップランナーも来日

The xxといえば、メンバーでいまや売れっ子プロデューサーでもあるジェイミーxxは、3日目深夜のレッド・マーキーにも登場しますね。ポスト・ダブステップ時代の先端を走ってきたこの人の流れで、ここからはビート・メイカーやダンスものをチェックしていきましょう。大きなトピックからいくと、少し前にOTOTOYも特集を組んでいたLAビーツを体感するのはマストですな。もちろんその筆頭となるのがFlying Lotus。そのFlying Lotusが主催するレーベル〈Brainfeeder〉に所属するThe Gaslamp Killerのぶっ飛んだDJパフォーマンスにも大いに期待です。


Flying Lotus「MmmHmm」

The Gaslamp Killer「In The Dark」

時代の音としてもはや日本のアイドルからKポップまで席巻しているEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)ですが、この界隈からも今年は続々とやってきます。もちろんそのトップランナーであるSkrillexはやっぱり注目が集まるところでしょうが、他にもPorter RobinsonJack Beatsといった、これからのシーンを担うであろうアクトにもぜひ注目しておきたいです。さらに、「The Harlem Shake」がYouTube上でいきなり大ブレイクして、無名アーティストから一気に時の人となってしまったBaauerもやってきちゃうんです。40秒くらいの映像でみんなが踊ってるやつ、ひとつくらいは見たことありませんか。あれです。そういやBiSちゃんたちもちょっと前に踊ってましたね。


SKRILLEX「Bangarang feat. Sirah」

よっしゃ、次はヒップホップで。なんといっても2日目ホワイト終盤のKendrick LamarJurassic 5でしょう。昨年のPitchforkで年間1位に選ばれるなど、もはやヒップホップのファンだけに留まらない注目度の若き天才から、そのまま永遠に古びる気配のないオルタナ・ヒップホップ・クルーに流れるという、まさに珠玉の展開にやべえ勢いですげえ盛り上がること必至。90年代にサウンド・メイキングの在り方を変えた天才= DJ Shadowは初日深夜に登場。彼が与えた影響っていうのはジャンルを問わないもので、そういえばVampire Weekendのエズラ君も、DJ Shadowの『Endtroducing…』がいかに偉大な作品かと、インタヴューで熱く語ってました。


Jurassic 5「Quality Control」

Kendrick Lamar「Bitch, Don't Kill My Vibe」

時代の音を今も更新させている存在として、もちろんToro Y Moiはマストです。チルウェイヴの代表的アーティストとして登場し、今ではポスト・チルウェイヴの時代を牽引している彼はホワイトでどんなパフォーマンスを見せるのか。同じくポスト・チルウェイヴ的な柔らかいサウンドながら、思わずSadeを想起させる歌声があまりに魅力的なモダン・ソウル・デュオ= Rhyeは、間違いなく今年の目玉のひとつでしょう。超楽しみ。


Toro Y Moi「So Many Details」

Rhye「Open」

フジロックだからこそ出会える、南米やヨーロッパの音楽も

この流れでオーセンティックなやつにも行ってみます。結成から40年を越えた西海岸のレジェンド= Tower of Power。同じくサンフランシスコを拠点とするジャズ・ファンク= Eddie Roberts West Coast Sound、メンバー個々の活動も目覚ましい8人組=Lettuce、そしてハリケーンでメンバーを失うなどの悲しみも乗り越えて世界中で愛されているニューオリンズのイカしたブラス・バンド= The Hot 8 Brass Bandと、今年もやはり大所帯のファンクはアツいぜ。大所帯といえば、サックス奏者のDavid Murrayが牽引するビッグ・バンドとR&B界のディーヴァ= Macy Grayの共演ってのもヤバいよなー。


Tower of Power「Knock Yourself Out」

Hot 8 Brass Band「Ghost Town」

といいつつ、フジで盛り上がるとしたら、もちろんアフリカ勢は欠かせないでしょ。個人的にはこのへんのラインナップがいつも楽しみだし、最近はUSインディにもアフリカ伝統音楽からの影響は広く浸透しているので、ぜひ興味をもってほしいところ。まず熱狂間違いなしなのが、ミニマル・テクノ / ダブの大物とセネガル伝統音楽の共演= Mark Ernestus Presents Jeri-Jeri。そして伝統楽器ンゴニを手にした西アフリカを代表するアーティストのカルテット編成= Bassekou Kouyate & Ngoni ba。このンゴニの音色、どこか日本人の琴線に触れる抒情性があってすごくいい感じです。さらにエチオピアからは伝統音楽とジャズ、ラテンを融合させたエチオピア・ジャズの偉大なる先駆者= Mulatu Astatkeも登場。この機会は逃せません。


Jeri-Jeri with Mbene Diatta Seck「Mbeuguel Dafa Nekh」

さあ、あとは南米とヨーロッパ、アジアで追い込みを駆けましょう! まずはブラジルから、アフロ音楽にヒップホップやエレクトロをごった煮させるヤバいやつら= Baianasystem。彼らはブラジルのマヌ・チャオとも称されてるようですが、そのマヌ・チャオと並ぶレベル・ミュージックの大物= Fermin Muguruzaも、バスクからまたフジに帰ってきます。キューバの伝統音楽にクンビアなども取り込んだ大所帯= Los guanchesにはダンサーもいるらしいので、ステージ・パフォーマンスも楽しみですね。そしてクンビアといえば、朝霧ジャムでもクロージング・アクトを務めたVery Be Carefulもやってきます。クロスオーヴァーものが大好物な方、まずこのへんは間違いないですよ。あ、あと最近インディ・シーンがアツいおとなりの韓国からもやってきます。その名もPeppertones。これはもう、サウンドもルックスも渋谷系ですね。つうかシンバルズみたい!


Baianasystem「Oxe como era doce」

Fermín Muguruza「Urrun」

なんとか駆け足でやってきましたが、このへんにしとこうと思います。それでもけっこう漏れちゃったの多いなあ。Nine Inch Nailsらヘッドライナー・クラスの大物は改めて紹介するまでもないとして、それでも紹介しきれなかったものがまだたくさんあります。まあ、それだけ今年も充実したラインナップが揃ってるってこと! なので今年のフジロック・フェスティバルに参加予定のみなさん、ぜひこの機会にいまだ知らぬ音楽とたくさん出会ってください! きっと音楽の楽しみ方が一気に広がりますよ。はい、ではここまで。あとは苗場で!

今回紹介したアーティストの音源はこちら!!

邦楽勢も負けるな!! ROOKIE A GO-GO 出演決定!!

将来のグリーン・ステージのヘッドライナーを輩出すべく、全国から公募を募り、これまでにくるり、ASIAN KUNG-FU GENERATION、サンボマスター、SAKEROCKらが出演してきた新人枠ステージ。

今年の出演者はこちら!! ぜひOTOTOYで予習してから、苗場へ!

7/26(金) 静カニ潜ム日々 / ircle / ENTHRALLS / My Hair is Bad / bacho
7/27(土) Homecomings / ミツメ / 森は生きている / 水中図鑑 / 溺れたエビの検死報告書
7/28(日) 爆弾ジョニー / MONSTER大陸 / 鬼の右腕 / THE OTOGIBANASHI’S / 音の旅crew

オフィシャル・サイトでも、ROOKIE A GO-GOに出演する全15アーティストの楽曲が試聴できます。

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筆者について
渡辺 裕也 (渡辺 裕也)

音楽ライター。自炊ブロガー。好角家。福島県二本松市出身。右利き。O型。

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