2022/03/08 21:35
2022年3月5日(土)6日(日) の2日間に渡り両国国技館にて、豪華アーティストがギター弾き語りで共演するライヴイベント〈J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2022 supported by 奥村組〉(以下・ギタージャンボリー)が開催された。
この記事では、千穐楽(6日)の模様をOTOTOYニュース独自レポートでお届けする。
MCを務めるグローバー(J-WAVEナビゲーター)がステージに上がると、「3年ぶりの春開催です!今日はみなさんの笑顔でニッコニコの桜をたくさん見せてください!」と呼び掛けた。恒例となった、音楽の神様への奉納演奏で登場したのはなんと、ギター芸人デュオ・どぶろっく。「奉納の儀式ということで、イチモツを納めに参りました」(森)「神様、ジャンボリーなイチモツをください」(江口)とご挨拶。“もしかしてだけど”、“COWPER”、“ワクチン~輝く未来へ~”と、たっぷり濃厚な三連発を披露。下ネタ以上に説得力のある歌唱力の高さとギターの上手さで、神様も納得せざるを得ない奉納の儀式となった。
どぶろっく
〈セットリスト〉
1. もしかしてだけど
2. COWPER
3. ワクチン~輝く未来へ~
斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)
トップバッターを務めたのは、初出演となる斎藤宏介。椅子に腰かけて、小気味良い単音フレーズを鳴らすと、〈超天変地異みたいな狂騒にも慣れて こんな日常を平和と見間違う〉とアカペラで歌い出した(“シュガーソングとビターステップ”)。否応なくコロナ禍と重ねてしまう歌詞だ。曲の途中で「斎藤宏介です、よろしくお願いします」と自己紹介すると共に勢いよくギターストロークして曲の続きを歌い上げた。パーカッシブなギタープレイをエフェクターでループさせて歌ったXIIXの“フラッシュバック”、「せっかくこのリズムを作ったので、もう1曲」と、“Hatch I need”へ。コーラスも重ねて、徐々に重厚な音が構築されていくさまはワクワクさせられた。「僕はギター、歌、音楽がめちゃくちゃ好きだし、そこは今日の出演者の方と遜色ないと思ってますので、またギタージャンボリーに呼んでください」と今後の出演にも意欲を見せて、最後はバラード“like the rain”をしっとり聴かせた。
〈セットリスト〉
1. シュガーソングとビターステップ
2. フラッシュバック
3. Hatch I need
4. like the rain
Anly
ギターを持ってすぐに弾き出したフレーズは、ザ・ビートルズ “Come Together”。引きずるようにブルージーな歌とギターがカッコイイ。激シブなオープニングを終えると「Anlyです!どすこい!楽しみたいと思います」とのひと言から、ルーパーで音を重ね、ファンキーにオベーションのギターをかき鳴らしながらのダンサブルな“VOLTAGE”で自らも踊りながら、伸びやかに歌い上げる情熱的なパフォーマンス。トライバルなリズムの“FIRE”へと繋ぐと、会場中が手拍子しながら体を揺らしながら盛り上がる。Anlyの歌とギター、ループするサウンドが生み出すグルーヴの渦に巻き込まれた熱いライヴとなった。
〈セットリスト〉
1. Come Together(The Beatlesカバー)
2. VOLTAGE
3. FIRE
4. 星瞬~Star Wink~
大橋トリオ&The Charm Park
斜めに向かい合いながらギターを構えた2人は、軽快なカントリータッチの“I still want a little more”(the Milk Carton Kidsカバー)でライヴをスタートした。The Charm Parkが繰り出す流麗なギター・リックと大橋トリオのバッキング、2人のハーモニーが絡み合う、なんとも美しいアンサンブルだ。トレモロ奏法を駆使した“Little Italy(Stephen Bishopカバー)”は延々とギターの演奏が続いて、どこか違う国へ運ばれて行くような気分になれた。ゴッホ展のテーマ曲となった大橋トリオの“Lamp”、映画『まともじゃないのは君も一緒』主題歌のThe Charm Park“君と僕のうた”と、それぞれのソロ曲も披露。ギター2本で演奏しているとは思えないほど豊かなサウンドを聴くことができた。
〈セットリスト〉
M1 I still want a little more(the Milk Carton Kidsカバー)
M2 Little Italy(Stephen Bishopカバー)
M3 Lamp
M4 君と僕のうた
M5 HONEY
秦基博
MCのグローバーから「鋼の歌声を持つギター侍」と紹介されてから呼び出されステージに登場したのは、秦基博。ギターを持つとアタック強めに弦をつま弾いて、“僕らをつなぐもの”を歌い出す。会場中が静かに聴き入っていて、歌い終わると盛大な拍手が送られた。「どうもー秦基博です!ギタージャンボリー2度目です。ありがとうございます!みなさん楽しんでますか?」と呼び掛けて、“泣き笑いのエピソード”へ。朝ドラ主題歌として知られるこの曲に、客席からは手拍子が自然発生。リズムに乗って口笛を吹くと和やかなムードに包まれた。続く“Fast Life”ではそんなムードが一変、アップテンポな迫力のストロークで緊張感のあるパフォーマンスを見せた。ラストの“鱗(うろこ)”まで、親しみやすさ抜群のキャラクターと見事な歌唱力で観客を引き付けた。
〈セットリスト〉
M1 僕らをつなぐもの
M2 泣き笑いのエピソード
M3 Fast Life
M4 鱗(うろこ)
ゲストアクト CLOW
休憩中、ステージには「SONAR MUSIC Road to RYOGOKU」グランプリ・ミュージシャンの1人「CLOW」がゲストアクトとして登場した。アルペジオとストロークを織り交ぜながらテンポよく弾くギターと、透明感のあるヴォーカルが耳に残った。今後注目したいアーティストだ。
〈セットリスト〉
1. TOTTEOKI
森山直太朗
森山直太朗は椅子に座ると、部屋にいるかのようなリラックスした雰囲気の中、“花”を歌い出した。さすがの歌唱力で、両国国技館の空間全体に歌声が飛んで行くのがわかる。「今日は土俵の上で、みなさんとガップリ四つで行きますよ。土俵際というか、心のまわしを締めて、みんなを歌でうっちゃって……」と、MCでひと通り相撲しばりの上手いことを言った後に歌った“いつかさらばさ”では、先ほどまでのユーモラスなMCとは打って変わった真摯な歌声に場内が静まり返った。「先の見えないパンデミックや海の向こうでは諍いが起きていたりとか、遠い未来のことを思うと途方もない気持ちになる。ただ、それでもまだまだ、世界は素晴らしい。そう言い切ってしまえる自分でいたい」との言葉から、3月16日にリリースされるデビュー20周年記念オリジナルアルバム『素晴らしい世界』の表題曲“素晴らしい世界”を弾き語りで初披露。最後は途中までオフマイクで歌った “さくら”の見事な熱唱で締めくくった。
〈セットリスト〉
1. 花
2. いつかさらばさ
3. 素晴らしい世界
4. さくら
木村カエラ
初出演の木村カエラは、ド派手な衣装で登場。磯貝一樹が弾くアコースティックギターに合わせて、ゆっくりと“Butterfly”を歌い出した。観客はステージをじっと見つめながら聴き入っている。手拍子に乗って歌った2曲目の“You”は、自身がJ-WAVE の「TOKIO HOT 100」で初めて1位を獲得した曲で、J-WAVEというと“You”を思い出すそうだ。続いては、「子供も大人も、本当に幸せでいてほしい」との願いを込めながら、くるりのカバー“奇跡”を歌唱。シンプルなギターに乗せた伸びやかな歌声が感動的に響いた。自らもギターを弾きながら、代表曲“リルラ リルハ”を歌い上げ、あっという間の25分をハッピーに駆け抜けた。
〈セットリスト〉
1. Butterfly
2. You
3. 奇跡(くるりカバー)
4. TODAY IS A NEW DAY
5. リルラ リルハ
山崎まさよし
ステージに上がると、何やら謎の言葉を喋りながらサンプリングしている様子の山崎まさよし。逆回転再生すると「山崎まさよしです」とのご挨拶が流れて、会場からドッと笑いが漏れた。タンバリンを叩いてサンプリング、ループさせると、軽快にギターを弾き出して疾走感溢れる“アレルギーの特効薬”から、ギターリフでレイ・チャールズの“What'd I Say”にメドレー。「ナーナナナナー」と、“ダンス天国”のコーラスも織り交ぜながらもとに戻る、巧みなステージングを見せた。自身の代名詞ともいえる“One more time, One more chance”をエモーショナルに歌い上げると、静かに聴き入っていた観客から一斉に拍手が上がった。大好きなDIYについて歌おうと考え、タイトルは同じくDIY好きな斉藤和義をイメージしたというエピソードから、新曲“斉藤さん”を歌唱。ルーズなロックンロールで最高に心地良い楽曲だった。最後は再びサンプリングで、「山崎まさよしでした」と音声をループさせたまま去って行った。
〈セットリスト〉
1. アレルギーの特効薬 ~ What'd I Say(Ray Charlesカバー)
2. Hello ヘヴン
3. One more time, One more chance
4. 斉藤さん
岸田 繁(くるり)
岸田繁は、切れ味鋭いストロークでギターを鳴らすと、〈言い訳なんか通用しないさ〉と歌い始めた。“The Veranda”だ。淡々としながら、伸びやかな歌声が静かに聴き入る両国国技館の空気を震わせる。〈僕なんかこうやってこの気持ちをうたにできる 君ならどうする〉と、観客1人ひとりに語り掛けるように歌う岸田。最後に歌がピタッと終わると、一瞬の静寂の後、割れんばかりの盛大な拍手がステージに送られた。すかさず6/8拍子のリズムを奏でて、“ブレーメン”へ。切々と歌い上げ、終盤でリズムチェンジしてアップテンポになると、延々と叩きつけるようにギターを弾き続ける姿にグッときた。“Baby I Love You”を歌い終わると、ステージが回転。なぜか回転の向きと逆方向に体をひねって笑わせるシーンも。最後の曲は“ソングライン”。〈所詮 君は 独りぼっちじゃないでしょう 生きて 死ねば それで終わりじゃないでしょう〉。しばらく拍手が鳴りやまず。なんだかしみじみと、泣けるライヴだった。
〈セットリスト〉
1. The Veranda
2. ブレーメン
3. Baby I Love You
4. 太陽のブルース
5. ソングライン
トータス松本
「ソウルギター侍」と紹介されて、そのものズバリな和装で入場してきたトータス松本。オープニング曲は、ウルフルズでも長年歌っているキャンディーズのカバー“春一番”だ。ハープを吹きながらブルージーに、ニール・ヤングの“Heart Of Gold”にも似た雰囲気を醸し出していた。客席を見回して、「なんか久しぶりやから緊張するわ」と呟いたかと思えば、すぐに「イェーイ 君を好きで良かった」と声を張り上げて“バンザイ~好きでよかった~”へ。手拍子に乗せて軽やかに歌うと、“サムライソウル”、“笑えれば”と続けて、ソウルフルな歌唱が会場に響き渡った。「あんまりこんな気持ちで歌ったことないけど、演目を変えて」と、歌い出した英詞は、サム・クック「ワンダフル・ワールド」の歌詞。一節歌うと、〈どの街まで行けば 君に会えるだろう〉と日本語のカバーバージョンを続けて、ほっこりと心に残るステージを終えた。
〈セットリスト〉
1. 春一番
2. バンザイ~好きでよかった~
3. サムライソウル
4. 笑えれば
5. ワンダフル・ワールド
山内総一郎(フジファブリック)
千穐楽結びの一番を務めるのは、フジファブリックの山内総一郎。「僕はギターに人生を救われた人間なので、今日は精一杯演奏したいと思いますのでよろしくお願いします!」と第一声。弾き始めたのは、祭囃子調のシャッフルビートによる“Feverman”。観客の手拍子も相まって、どこか異国情緒すら感じるオリエンタルなムードが充満した。「ギタリストからするとこんな憧れの舞台はないと思っています。まさかトリを任せていただけるなんて思ってもみませんでした」と想いを吐露すると拍手が山内を盛り立てる。「両国―!」と叫びながら、“東京”へ。ファンキーなリフを繰り返す白熱した演奏で興奮を煽る。3月16日にリリースする初のソロアルバム『歌者 -utamono-』から、「フジファブリックのメンバーのことを歌った曲、魂を込めて作った曲があるので、是非聴いてください」との曲紹介で、2009年に亡くなったヴォーカル・志村正彦への想いを綴ったバラード曲“白”が披露された。力強いアコースティックギターの演奏に乗せて、会場の隅々まで染み渡るように広がり、客席から大きな拍手が山内に送られた。「これから先の未来に光があることを願って」との言葉から、最後には希望に満ちた躍動的な曲 “光あれ”が歌われた。
〈セットリスト〉
M1 Feverman
M2 東京
M3 白
M4 光あれ
EN. 君は天然色(大瀧詠一カバー)
アンコール セッション
アンコールでは、山内総一郎(フジファブリック)、山崎まさよし、岸田 繁(くるり)、木村カエラがステージに集合してセッションをおこなった。曲は、大瀧詠一の“君は天然色”。山内、カエラ、山崎、岸田の順にメインヴォーカルを取り、それぞれの個性的な歌い回しで、この日本語ポップスの名曲を表現した。こうして2日間に渡る〈ギタージャンボリー2022〉は明るく賑やかに、大盛況の中で幕を下ろした。尚、この2日間の模様は、後日2回に分けてBS朝日にて放送される(放送日時:①2022年3月24日(木)21:00~23:00 ~PRIME EDITION~②2022年3月26日(土)25:00~27:00~MIDNIGHT EDITION~)。
取材・文:岡本貴之
Photo by 上飯坂一
イベント情報
〈J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2022 supported by 奥村組〉
2022年3月5日(土)6日(日)両国国技館
■3月6日(日)出演者
山内総一郎(フジファブリック)、トータス松本、山崎まさよし、森山直太朗、秦 基博、岸田 繁(くるり)、木村カエラ、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN /XIIX)、Anly、大橋トリオ&THE CHARM PARK
奉納演奏:どぶろっく
MC:グローバー(J-WAVEナビゲーター)
・オフィシャル・ウェブサイト
https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2022/?jw_ref=gj2022_jnw