eastern youthのニュー・アルバム『叙景ゼロ番地』が完成した。より鋭く、おおらかに歌い切った本作。聞き終えた後にこんなにも言葉が強く残るのは、このバンドが図太い信念を持ちつづけるから。時代に流されず、信念を頑なに譲らず表現し続け、日本のロック/パンク・シーンに影響を与え続ける最重要バンドが、結成24年目を迎えて思うこととは? ゼロの場所に立つ男達の思いとは? OTOTOYでは、新作の発売を記念してメンバー全員に単独インタビューを敢行(インタビュー場所に、他のメンバーはいません)。eastern youthのこれまで、そして今後、本作、そしてメンバーについて、かなり深く切り込んで聞いてきました。全ての音楽好き、そしてバンドマンへ捧ぐ。日本代表eastern youthが、ゼロ番地から今語る!

9/19(水)第1回 田森篤哉インタビュー公開
9/24(月)第2回 二宮友和インタビュー公開
9/29(土)第3回 吉野寿インタビュー公開

第1回は、ドラマー田森篤哉。eastern youth、植木職人、火消し、2児の父親と多くの顔を持つ田森の語り口は、あまりにも飄々としていて、終始笑いが止まらなかった。どうもストイックな彼らのガス抜きの存在を担っているようだ。そのポジションの偉大さに、第3回を読み終わった時に気づいてもらえたら幸いだ。

インタビュー : 飯田仁一郎
構成 : 宮川純
写真 : yukitaka amemiya

eastern youth / 叙景ゼロ番地

1. グッドバイ / 2. 目眩の街 / 3. 空に三日月 帰り道 / 4. 呼んでいるのは誰なんだ? / 5. ひなげしが咲いている / 6. 残像都市と私 / 7. 長い登り坂 / 8. 地図のない旅 / 9. 驢馬の素描 / 10. ゼロから全てが始まる

販売形式 : 2000円(wavのみ)

田森篤哉(ドラムス) INTERVIEW

――田森さんはeastern youthと植木職人に加えて、火消しもされていると聞きました。

田森篤哉(以下、田森) : そうです。正直もう首回らないですよ(笑)。でもね、火消しは一部趣味みたいなもんですし、これでもまだ若い方ですから。

――そうなんですか?

田森 : 上はもう80歳を越えてる人もいますからね。

――始めたきっかけはあったのでしょうか?

田森 : 植木を教えてくれた親方が火消しに入っていたんですよ。そんなに興味はなかったんですけど、誘われたから。でも入ったら大変ですよ。

――どんな事をするのでしょうか?

田森 : 要は纏(まとい)を振ったりとか、はしごに登ったりとか。あとはお祭りの時に出て行って、手伝ったり仕切ったりするんですよね。もう20年弱やってますけどまだ自分はペーペーです。

――20年やっててもペーペーなんですか!? どれくらいのペースであるんでしょうか?

田森 : 毎月1回集まってます。だからそこまで忙しくはなくて、趣味みたいなもんです。

――火消しはやっぱり面白い、楽しいから関わっているんですか?

田森 : まあそうですよね。入ってる人達は主に鳶なんですよ。鳶の人達の中に植木屋が入っていると異色で面白いですよ。それにバンドとはまた違う世界で、「バカヤロウ! 」の世界ですからね。バンドでは怒鳴られる事ないじゃないですか。40歳越えてまだ怒られてますからね。

――80歳の方に怒鳴られるんですね。「動きが遅えよ! 」とかで怒られるんですか?

田森 : 「そうじゃねえだろ! 」とか説教が始まっちゃったり。江戸っ子ばっかりで、普通の職人さんよりちょっとパワー・アップしてるから。それに接してるのが面白くてやってますね。

――音楽の世界と、火消しの世界と、植木の世界と、色んな顔があるんですよね。音楽と植木の比重を教えてください。

田森 : 時間的には、どうですかね。バンドの方では練習があってツアーがありますし、仕事の方は朝から夕方までほとんど毎日出てますし。ツアーの時は休んだりして、あとは雨が降ったら休み。ただeastern youthは毎週、月・水・金に2時間練習してるんですよ。往復の時間いれて3時間とられちゃってるんで。いっぱいいっぱいですよ、正直(笑)。

――あははは。

田森 : 仕事は大体16時半とか17時くらいには落ち着くじゃないですか。でもeastern youthの練習は17時半から19時半までなんですよ。場合によっては仕事着でそのまま行ったりしますもんね。

――今でも週3で練習をしていて...

田森 : きついですよね。年明けてから『叙景ゼロ番地』のレコーディングを始めたんですけど、月曜日から金曜日まで毎日ですもん、スタジオ。だから厳しかったですよね。月、火、水くらいまではいいんですけど、木曜日くらいになったら「誰か電話してこねえかな」と思うんですよ。

――どういう事ですか?

田森 : 「調子悪いから今日はキャンセルで」とか、かかってこないかなって。でも、それは皆思ってたみたいですよ。

――あははは。皆思ってたんですか。

田森 : さすがに途中でちょっとヘロヘロになってきたから、水曜日を抜かして週4にしてたんです。最後は、〆切もあってアップアップになってきちゃって、そうも言えなくなったんですけど。

――なるほど。今作は中々大変だったんですね。

田森 : そうですね。年末まではライヴ・モードだったんで、切り替えるのも大変でしたよね。皆、器用なわけじゃないんで、曲を作りながらライヴの練習は出来ないですよね。てなもんで、年末のライヴが終わってから年明けて新曲をつくるようになって、いっぱいいっぱいでしたね。

――ドラムとしては「今までよりも、もっとこういう風に変えてみよう」等と考えていた事はありましたか?

田森 : いや、特別ないですね。もう覚えるので、いっぱいいっぱいなんですよ。10曲やらなきゃいけなくて、1曲目、2曲目、3曲目あたりはいいんですよ。4曲目あたりから段々キツくなって、もう4曲目が終わったら2曲目なんて忘れてるんで。10曲揃った時はもう何が何だかわかんないですよ。

――あははは。でも、eastern youthを辞めようと思う事はないんですよね。

田森 : 今の所は。

――しんどいんだよ、と言いながら続けちゃう所はなんでなんでしょう。

田森 : もう生活の一部になってるし、植木の方もeastern youthの方も、やっぱり好きだからやってられるんでしょうね。最近は加齢もあってちょっとしんどくなってきましたね。ライヴをやっても、その日じゃなくて2日後くらいに疲れがきますよね。土曜日にライヴすると日曜、月曜は大丈夫で、火曜日にどかん!

――火曜日にきたんですか!

田森 : でも打ち上げは朝4時、5時まで飲んだり、さらに起きてから昼の12時から飲んだり、まだ若いです。

――10月からの次のツアー、中々大変そうなスケジュールですよね。

田森 : でも今回は週末押さえになってるんです。前は1週間とか10日やって、3、4日休んで、また1週間とかだったんですけど、今回は大丈夫じゃないですかね。金・土・日やってまた次の週末なんで。

そんなに面白いのかよ、と思うくらいニコニコしてますもん

――なるほど。続いてメンバーについてお聞きしたいのですが、まず吉野さんはどういう方ですか?

田森 : まあ付き合いが古いですね。小学校4年で転校してきてそれからですからね。10歳だとしたって34年ですもんね。札幌に出てきた時も一緒に住んだりもあったんで。親と一緒にいるより長いですよね。

――今でも週に3回会っている中で、それでもeastern youthの吉野さんはどういう存在なんでしょうか?

田森 : どういう存在、うーん、どういう存在なんですかね。まあ二宮君と同じ1人のメンバーですよね。

――他のミュージシャンとは違う部分はあります?

田森 : それはやっぱり違いますよね。だって飽きるほど会ってますし、他のミュージシャンに会うとやっぱり新鮮ですよね。そうは言っても仲良いですよ。

――吉野さんは、どこか孤独を抱えている方だなと思ったんですけど、そんな事はないですか?

田森 : プライヴェートまではわからないですけど、そういうのはあるかもしれないですよね。だから、バンドで付き合ってる時はいつもニコニコしてますよね。楽しそうですもん。「お前、友達いねえんだな」ちゅう感じですもん。

――あははは。そうなんですか。

田森 : そんなに面白いのかよ、と思うくらいニコニコしてますもん。

――火消しの世界にも、植木の世界にもいないタイプの方ですか?

田森 : 吉野みたいな人? いないでしょうね! あんなのいても使えねえもんね。

――あははは。本人も言ってました。「俺は働けねえ」って。

田森 : そうそう。同い歳だけど、なんだかじいちゃんみたいだから。場合によっては「吉野さん」と呼んだりするんだけどね。自分でも言ってましたね、「こんなに老けるとは思ってなかった」と。

――二宮さんはどんな方ですか?

田森 : まあ、二宮君も長いですからね。吉野にしろ、二宮君にしろ、あんな風にハゲあがるとは思ってもいなかったから。昔はフサフサで。

――僕らはもう坊主の時しか知らないんで。

田森 : みるみるハゲあがちゃってさあ。二人の会話聞いてたらもう頭の話ばっかだからね。どっちがすごいか見てくれなんて言って。一緒だっちゅうの。疲れるからやめてくれ(笑)。

――仲良いんですね、eastern youthって実は。

田森 : うん、結構仲良いですね。

――今回のアルバムを作る中でぶつかったりもしなかったんですか?

田森 : ないですね。意見を出し合ってこうした方が良い、とかはありますけど。15作ずっと同じ感じ。まあ個人個人で行き詰まる事はあっても、メンバー間で何かあるとかそういうのはないですよね。

なんでもそうですけど、好きだからですよね

――田森さんが、ドラマーとして上手くなりたいとか、誰も叩いてないフレーズを叩きたい、とかの欲望は”今も”あるんですか?

田森 : そうですね。もっと上手になりたいと思うんですけどね。ただ、流れ作業じゃないけど、毎日があっという間で。忙しいばっかりで片付けるのもどうかと思うんですけどね。ただやっぱり、ライヴを見に行きたいと思いますね。

――そうですよね。インプットが少なくなってしまいますよね。

田森 : もっと上手くなりたい、と思っているだけなんですよ。時間があって、練習がない日もあるじゃないですか。ゆっくりしたいですもん。

――ゆっくりしたいですよね。

田森 : 吉野が入院した時はホッとしたもん。一ヶ月くらい練習ないじゃないですか。汗かいて風呂入ってニュース見て、ゆっくりしたんですよ。「これだ! 」と思って(笑)。

――でもそれがずっとだと嫌ですよね。

田森 : それも良いんじゃないかな。

――あははは。なるほど。でも、忙しい忙しいといいつつ両立させていく話は、若い人達はもっと聞きたいと思っているはずなんです。なぜやれているのか、秘訣はあるんですか?

田森 : なんでもそうですけど、好きだからですよね。あまり、あっちもこっちもだといけないなとは思ってますけどね。

――もしそんな中で、万が一メンバーの誰かが抜けるとなった時、eastern youthはどうなってしまうのでしょう?

田森 : どうなるんですかね。誰が抜けるのか、どういう形になるのかわからないですけど、他のどちらかが抜けたらeastern youthじゃなくて違うものをやった方がいいですよ。違うメンバーをいれてやった所でいいのかなとも思っちゃいますよね。またサラからのバンドにするとかそういうタフさがあればいいですけど、50歳手前で新しいバンドなんて、中々大変ですよね。

――そうか。皆さん50歳手前なんですもんね。今おいくつですか?

田森 : うちら(吉野/田森)で44歳ですね。二宮君で41歳ですか。50歳まではもうちょっとあるか。

――田森さんは、もしeastern youthが出来なくなったら、まだ音楽をやりたいですか?

田森 : いやあ、どうですかね。根っから東京が好きなわけじゃないですからね。eastern youthが上京してきたからいるだけで、もしバンドがなくなったらどうしようかなと思った時に、ずっとここにいるのかな。でも今までずっと住んできて長いのが東京なんですよ。一番慣れているいい所なんですけどね。テレビを見てても、漁師やっているとか酪農やっているとか、大変なんでしょうけど、そういうのもいいのかなとか思っちゃう時もありますよね。

――ありますか。

田森 : あります、あります。羨ましいなと思う時ありますもん。チーズ作りでなんだかんだやったり、大変でしょうけどそういうのもいいなって。酪農がのんびりしているわけではないでしょうけど、バンドやっているとライヴもあるし、地方へドサ回りに行かなきゃいけないじゃないですか。それがまた疲れるんですよね。

――ツアーに対してはどういう捉え方でいますか? 「仕事だ! 」と思って行くのか「ツアー楽しい! 」と思って行くのか。

田森 : ツアー楽しいですよね。毎回新譜を出して各地各地いくんですけど、皆聴いてきてくれて楽しみにしてくれているんだなと思ってやりがいありますよね。そういうのは楽しいんですけど。

――打ち上げもあって。

田森 : そうです。でも移動がね。堪えるんですよね。

――あははは。車ですか?

田森 : 車です。場合によっては飛行機を使ったりする場所もあるんですけど。若いバンドみたいに、きゃぴきゃぴしているわけじゃないから、移動といっても車乗ったら皆寝ちゃって、こっちが眠くなくても飲み込まれちゃうからね。周りがとろーんとしてるから俺もとろーんとしなきゃいけないじゃないかって。

――メンバーも運転しているんですか?

田森 : たまに運転します。あとはスタッフが運転して、メンバー3人並んで座ってますね。俺は真ん中に座ってるんですよ。両サイドがすぐ寝る。まあまあジジイだからすぐ寝ちゃう。

――あははは。田森さんは寝ないんですか?

田森 : 寝ない方ですね。なんでなんですかね。まあ飲みすぎて眠くなる事はあるけど、皆みたいにがっちりは寝ないですね。

――何されているんですか?

田森 : 景色みたりスタッフと話をしたりとか。退屈なもんですよ。やる事ないんですもん。本を読んでると酔っちゃうし。

――ですよね。普段それだけ忙しくしてて毎日があっという間だと言ってる人が。

田森 : メンバーの片方が起きてたら話をしたりね。吉野と話してて、二宮君どうしてるかなと思ったら、窓ガラスにべったり寝汗つけてんの。退屈さ、伝わってますかね。

――eastern youthのツアー、今の所退屈さしか伝わってないです!

田森 : 退屈なのは移動だけです。ライヴはどこでも楽しいです!

――頂いた資料によると、制作をちょっと止めてライヴをメインにしていくそうですね。

田森 : え?

――あははは。オリジナル・アルバムの制作を少し控える、と書いてあるんですよ。

田森 : ああ! そうですそうです。「ちょっとライヴしたいね」という話をしてたんで、ちょっと少なかったから今年はもうちょっと増やしたいねって。

――田森さんはライヴと制作だったらどっちが好きですか。

田森 : ライヴの方がいいですね! 制作きついですね、覚えるのがもう。

――あははは。

田森 : 覚えるのと、あとやっぱり練習の量が多くなるじゃないですか。それがきついんですよね。ツアーが終わって、ある程度休んで、いついつからまたレコーディングだ、なんていうと「またきましたよ...」って。苦痛なくらいですよ。レコーディングが楽しいなんていう人もいますけど苦痛ですよ。

――体が覚えるんじゃないんですね。頭で覚えないと。

田森 : そう、頭で覚えないと。すぐ忘れちゃうんで、だから皆レコーダーで録って覚えたりするんですけどね。

――最後に、火消しと植木とeastern youthのバランスはやれる所まで続けていくぜ! という感じですか。

田森 : そうですね。ちょっときつくなってきたらどれか辞めるかもしれないですけど、まだそういう状況には置かれてないんでね。

RECOMMEND

V.A. / 4-DIMENSION MUSIC THERAPY〜Tribute to GARORINZ〜

ガールズ・パンク・バンドGARORINZ(ガロリンズ)のメンバーであり、様々なイベントの主催や共催、フリー・ペーパー、レコ屋、カフェやライブ・ハウスの運営など、実に多岐に渡る活動を続けてきた、福岡のシーンを語る上では避けて通れない存在・藤井よしえ。彼女と親交の深い15アーティストが集結し、全曲ガロリンズとnoumi yoshie(藤井よしえソロ)のカヴァー楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。イースタンユースは「I need I」で参加している。

赤い疑惑 / オレ達は日本で生きてる

3年ぶりのアルバムとなる『オレ達は日本で生きてる』は、ゲスト・ギタリスト・EKDとセッション「日本で生きている」から始まり、長く付き合った恋人との別れを淡々と歌い上げる「愛って何よ」、しがない30代バンドマンの日常を綴った「ダーティーサーティー」、日本人が背負う不安を風刺するような歌詞がタイムリーなメッセージソングとして響く「飛び出せニッポン」などを収録。

LOST IN TIME / BEST「きのう編」・「あした編」

デビュー10周年、LOST IN TIMEが初のベスト・アルバムをリリース。これまでに発表したシングル7枚/アルバム6枚の中から、過去を振り返った「きのう編」と、未来へ向けた「あした編」の2枚に分け、名曲の数々、新曲やレア・トラックを収録。緊張感と躍動感に満ちたギター・サウンドと、ストレートに深いところに刺さるうた。度重なるメンバー・チェンジを経てもなお真摯に音楽に向き合い続ける彼らの10年の軌跡に、今一度耳を傾けてみては。

LIVE INFORMATION

リリースツアー極東最前線/巡業2012「ゼロ番地から彼方の空まで」

2012年10月12日(金)@千葉 LOOK
2012年10月13日(土)@さいたま新都心HEAVEN'S ROCK
2012年10月19日(金)@静岡 SUNASH
2012年10月20日(土)@横浜 F.A.D
2012年10月24日(水)@京都・磔磔
2012年10月26日(金)@福岡 DRUM Be-1
2012年10月27日(土)@広島ナミキジャンクション
2012年10月28日(日)@岡山ペパーランド
2012年11月2日(金)@札幌 cube garden
2012年11月16日(金)@弘前 Mag-Net
2012年11月17日(土)@盛岡 CLUB CHANGE
2012年11月18日(日)@仙台 CLUB JUNK BOX
2012年11月23日(祝)@新潟 CLUB RIVERST
2012年11月24日(土)@金沢 vanvanV4
2012年11月30日(金)@梅田クラブクアトロ
2012年12月1日(土)@名古屋クラブクアトロ
2012年12月15日(土)@渋谷 O-EAST

PROFILE

吉野 寿 : エレキ・ギター、ボイス
二宮友和 : ベース・ギター
田森篤哉 : ドラムス

1988年結成。現在に至る。

>>eastern youth WEB

この記事の筆者