すべての音楽家に希望を与える新作リリース──8ottoが提示する音楽活動のかたち
8otto is back!! 2004年の結成から各種フェス出演や海外アーティストとの共演、ドラム・ヴォーカル、4ピースという個性的な編成から鳴らされるグルーヴで多くのロック・ファンを魅了しているバンド・8otto(オットー)。この度2011年リリースの『Ashes To Ashes』以来、約6年ぶりとなるアルバムのリリースが控えている彼らがアルバムに先駆け、先行シングル「Ganges-Fox」を配信開始。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文がプロデュースを担当した今作は、彼らの新章を感じさせるエモーショナルなロック・ナンバー。リリースから1ヶ月間はハイレゾ版配信はOTOTOYのみ!! 記事の公開と同タイミングでPVも公開されたのでそちらもマスト・チェック!!
1ヶ月ハイレゾ独占配信!!
8otto / Ganges-Fox
【Track List】
01. Ganges-Fox
【配信形態 / 価格】
WAV,ALAC,FLAC(24bit/48kHz) / AAC
単曲 250円(税込)
8ottoのサイン色紙を1名様にプレゼント!!
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※締切 : 2017年6月23日(金)23時59分まで
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INTERVIEW : 8otto
おれたちの8ottoが帰ってきた!!! 6年ぶりの新アルバム・リリースのニュースには胸が踊らされた。今回アルバムに先立って先行配信される「Ganges-Fox」でも、これまで通り、いや、これまで以上のソリッドかつダイナミックなサウンドが炸裂している。
今回オトトイではマエノソノ マサキ(Vo,Dr)、TORA(B)にインタヴューを敢行。アルバムをリリースすることを公言しつつ、なぜ6年の間リリースすることができなかったのか。そこには彼らが提示する音楽活動のかたちがあった。音楽で生活することを夢見る若きミュージシャンにも希望となるインタヴューとなった。
インタヴュー、構成 : 鈴木雄希
やるんだったらペースは落ちてもしっかりバンドとして活動をしたい
ーー6年ぶりのアルバムをリリースするということですが、なぜこのタイミングで?
マエノソノ マサキ(Vo,Dr)(以下、マエノソノ) : このタイミングでリリース! というよりは3、4年前から「今年こそ出します」ってずっと言い続けて、いまに至る(笑)。
ーーもっとはやくリリースできればという感じもあったんですか?
マエノソノ : 「新しいの出したいよね」という話をしたまんま、バンドの活動ペースがガラッと変わったんです。自分たちがかっこいいと思う音楽を、ゆっくり楽しみながらつくっていくようなペースでやっていたら、いまになってしまいました。
ーーでは今回は、本当にいいものができた! という感じでリリースできるんですね。
TORA(B) : そうですね。いまはみんな仕事をしながらのバンドなので、レコーディングなどに時間を使えていなかったんです。でもいまバンドにとってはそのスタンスが合っていると思っているので、無理をしてそのペースを崩したくはなかった。
ーー制作に対する気持ちや、そのペース感の共有は自然とできていたのですか?
TORA : 制作に対するというより、音楽をやっていくということに対しての意識は割と共有できていたと思っています。
マエノソノ : 前のアルバムを出したあとに、音楽を主体にして活動をしていくことが、いろんな面で支障をきたしていたんです。それでこの活動の仕方はなんかちょっと違うなと。自分たちがバンドをはじめた時の、一緒に楽器を鳴らしただけで「気持ちええなこれ」みたいな純粋な気持ちで音楽をやっていきたいと思って。それでいまみたいにペース・ダウンというか、いいものを1個1個つくっていこうみたいな形になりました。
ーー前作『Ashes To Ashes』のリリース前に活動休止をされたじゃないですか。その期間の経験もそこに結びついているのでしょうか。
マエノソノ : そうですね。活動休止の時に、骨休め的に一時休んだつもりが、実はやっぱそういうの必要だよねみたいになってしまった。
TORA : 「おっさんが趣味で年に1回、同窓会みたいに会社の友達呼んで、カヴァー・バンドをやるみたいなバンドだったらやりたくない。なんだったらおれは解散してもいいと思う」みたいな話をしたのは覚えてる。みんなとも、やるんだったらペースは落ちてもしっかりバンドとして活動をしたいという話ができたんです。
ーー今回の先行シングル「Ganges-Fox」を聴かせていただきて、前作から全く衰えていないと感じたんです。6年間リリースがない中でも気持ちを切らさず出来たのはなぜでしょうか。
マエノソノ : 途中でぶつぶつ切れてましたけどね(笑)。ただ、いま思うと自分たちの間合いを取っていた時期なのかなって。その期間があったからこそ、今までの音とちょっと違いつつ、いままでの音を踏襲した音楽がつくれたというのありますね。
ーー制作はどのように行われたのでしょうか。
マエノソノ : デモつくりがすごい長かった。
TORA : 週1回4人が集まって練習することすらちょっと厳しくて。そうなった時にメンバー2人とかで音出すのではなくて、「新しい曲でもつくろうか」ということが増えていったんです。それをみんなに聴かせてみて「違うからボツ」とか「これにヴォーカルをハメてみようか」みたいな作業が割と長かったかな。
ーー前作からマエノソノさんが主体ではなく、メンバーが積極的に意見をして曲をつくっていったみたいですが、今作も?
マエノソノ : そうですね。今回は前回よりもさらにみんなにやってもらったというか、まかせっきりでしたね。
TORA : なんとなくをつくって、マエノソノが気に入ったらメロディーを入れてもらって、歌いにくいところはコード進行を変えてみたりとか。そういうつくり方をしてみた。
ーーそれによって楽曲が大きく変わってしまったりとかはなかったんですか?
TORA : おれはちょっと変わることを狙っていましたね。もちろんおれはこのバンドの核はマエノソノだと思っているんです。だけど彼がいないとバンドが全部止まっちゃうみたいな状況はよろしくないというか。いないときでもいろんな音ができるみたいなことにしておきたかった。
ライヴに来てくれた人がハッピーだったらそれ以上の答えはない
ーー今回、ゴッチさんをプロデュースに迎えていますが、その経緯は?
マエノソノ : もともとナノムゲンに誘ってもらったくらいから、仲良くはしてもらっていたんです。その後トラがゴッチのソロでベースを弾いたりして。
TORA : そのときから今回のアルバムを気にしてくれていて。このアルバムのことやレコーディングの話をしているなかで「もっと相談に乗るよ」って言ってくれたんで「じゃあお願いします」みたいな(笑)。
ーーではもともとプロデュースをお願いしてという感じではなかったんですね。
マエノソノ : 流れで全面プロデュースになったのかな。ぼくがMuddy Apesという別のバンドで4曲程ヴォーカルをレコーディングしてもらった時に、ゴッチが「やっぱり8ottoも早くつくりたいね。やろうよ。」って言ってくれて。それで今回実現しました。
ーー今回ゴッチさんがプロデュースに入ったことでサウンド的な変化は大きかったですか?
マエノソノ : すごい変わった。聴いたうちの母親なんかは「違う人が歌ってるかと思った。一皮むけたね」みたいなことは言ってくれたし。たぶん前よりオープンになったというのはあるかもしれないですね。ポップっていうところを色々わかっているゴッチがアドバイスをしてくれたことによって、突き抜け方とか広がり方はより出たかな。音も今までよりもクリアになったというか、キラキラしている。今まではちょっとストイックでクールでヒリヒリしているような世界観が強かったと思うんですよ。それはそれですごいかっこよかったと思うんですけど、今回はより聴きやすくなったかなと。それも、変な意味で売りに走っているとかではなく、自然発生的にそれができたのはすごいよかったかなと思います。
ーー今回のアルバムのコンセプトってあるんですか?
TORA : 歳をとってきて働きながらでも6年ぶりにアルバムをリリースする、ということ自体がコンセプトというか。
マエノソノ : ざっというと「再出発」というかそういうのはあるかもしれないですね。自分的に気づくことが多かったから、そういうイメージはすごいありますね。
ーー前回のアルバムも「第2のスタート」というような意味合いがあったと思うんですけど、今回はさらに踏み込んだ出発というか。
マエノソノ : 前の時もちっちゃい変化っていうのがあった気がするんですけど、今回の方がもっといろんなことに気づいて。
TORA : おれ的には『Ashes To Ashes』で、ケリをつけてここから第2章みたいなイメージ。
ーー第2章ということで6年間活動をしてきたと思うんですけど、第1章との大きな違いは何だったんでしょうか。
TORA : 「たかが音楽、されど音楽」という感じになったというか(笑)。大事なものではあるんだけど、いろんなものを犠牲にしてやっていくっていうのは違うんじゃないかなっていう風に変わっていったかな。
マエノソノ : そうですね。前はライヴをやるのも、リリースしたアルバムをリスナーがどう聴いてくれるのか考えるのもめっちゃ怖かったんですよ。だからどんどん視野が狭くなっていて。ストイックな所を強調させようと強がっていたというか。自分たちにもっとゆるい部分もちゃんとあったのに、それを表に出せなかった。だけどそれは違うなって。それに気づいたので、いままでよりも、こうでないといけないというのを何もなしで曲をつくれたというのはありますね。
ーーそれは結成して10年以上経って、バンド活動も長くなってきたというのも影響してるんですか?
マエノソノ : そうですね、それも大きい。あと前は、特に『HYPER, HYP8R, HYPER』のときとかは「なんでおれこんなに頑張ってんのに認められへんのやろ」みたいなものが強すぎたと思うんですよ。だけど今はそんなんどうでもよくて、あんま不安もない。だってめっちゃええのができてるから(笑)。こんだけたくさんの人に助けてもらって、いいものができたということで、ある程度完結しているんです。これからは自分らが音を出すことで、自分たちだけでなく聴いてくれる人や、助けてくれる周りの人もハッピーになれるような活動をしたいなと。
ーーじゃあ視野を広げられたことで、楽曲のサウンドだけでなく、ライヴなどにも変化があったんですね。
マエノソノ : そうですね。誰がどう思おうが、自分が楽しい、その上でライヴに来てくれた人がハッピーだったらそれ以上の答えはないなというのは最近思うようになったというか。
TORA : そうですね。まあ全く気にしてないというと語弊があるかもしれないですけど、プライオリティが変わったというか、そっちのが正しいかも。
ーー活動休止から復帰されたときに、「すごいバンドが楽しい」ということをインタヴューとかでもおっしゃていたと思うのですが、それはいまでも変わらずですか?
TORA : 楽しいですね。だって4人揃って音を出すことすらなかなかないから(笑)。正直4人でリハーサルにはいってボーンと音を出して曲をやっていたら、やっぱり楽しい。ただ楽しいから明日もやろうかって言ったら楽しくなくなるんだろうけど(笑)。
ーーリリースがない中でもライヴはずっと続けていたというところにもつながってくるんでしょうか。
TORA : そうですね。ライヴはやっぱり楽しいので、できる限りやりたい。でも本当に練習にも全員集まれないみたいなことがあるくらいなので、この5、6年はライヴを入れちゃうと曲作りができないみたいなスケジュールでやっていた。「ライヴはやりたいけど曲も作らないとなぁ。でも曲作りの方にいっちゃうとそろそろライヴしたいよなぁ」みたいなことをずっと繰り返していたというか。
希望を表すような光のような存在であるべき
ーー今回先行配信される「Ganges-Fox」はいつ頃できた曲なんですか?
TORA : もともとは多分2、3年前くらいにはネタとしてはあって。
マエノソノ : アレンジは最後にすごい変わったんですけど。最初はギターのセイエイがちょっと弾いていたリフに僕が反応して広げていったんです。その時はザ・ストーン・ローゼスとかフィッシュマンズみたいなイメージでやっていたんだけど、どうも表現しきれていない感じがあって。これもレコーディングをはじめる前にゴッチがアレンジを提案してくれて、タムまわしがあるような曲を聴かせてくれたんです。その曲がすごいわかりやすくてベタなアレンジだったんですけど、やっぱり気持ちいいな、こういうのを自分たちのバンドでもやってみようかなと。それでタムを入れてみたらすごいハマったんです。最後にアレンジが変わって、結局リード曲になるまでになりました。
ーーこの1曲はアルバムのなかではどういう存在なんでしょう。
TORA : 8ottoのイメージとして裏で刻んでキックを4つでドンドンドンって踏むみたいなイメージがあるなかで、6年ぶりのアルバムの先行配信シングルがこの曲っていうのはちょっとおもしろいかなと。「あれ、こんな感じで来るの? 」ってなってくれたらいいな。
ーーそれは確かに僕もはじめて聴いたときに思いました。でもそれが変に変わったというイメージはなくて。6年ぶりにリリースというと変にイメージが膨らんじゃうところもあると思うんですけど。
マエノソノ : 普通6年ぶりって聞いたら、前の音楽の劣化版なのかなとか、すごい期待をしたりとか、いろんなケースがあると思うんですよ。それがいい意味で裏切れるかなというのはありますね。
TORA : そういうフックはあるかなと。
マエノソノ : 6年も経っていたら昔8ottoを聴いていたけど、いまは聴かなくなってしまった人もいると思うんですよ。そういう人が聴いてくれる機会にもなると思うんです。そこで「6年経ってもこういう形でバンドを続けていて、しかもいい意味でみんなを裏切れる活動をしてんだ」っていうところで一緒に元気になってほしい。あとは、いろんなミュージシャンが苦労しながら活動をしてると思うんですけど、「こういうやり方もありなんやで」というところも世の中に示していきたい。
TORA : うんうん。そこはあと2時間くらい話したい(笑)。そこに対してはすごい思うところがある。
ーー先ほど今回のアルバムで「再出発」とおっしゃっていたと思うのですが、今後の活動としては?
TORA : 8ottoは毎年8月8日は「8ottoの日」って言ってライヴをやっているので、それは継続していきたい。あと、おっさんが6年かけて40分のアルバムをつくって、しかもこんな風にインタヴューまでしてもらえるって、おれは夢があると思うんですよ! だからそういうのを出していけたらなとは思います。
マエノソノ : 今の時代ニュースとかでもわざと嫌なニュースを選んで流したりしているから、みんな不安がすごいあると思うんですよ。まるで不安に空中を覆い尽くされているような。そんななかでこれから世の中に鳴る音楽って、もっと未来を向いていて希望を表す、光のような存在であるべきだと思っていて。それの1本の筋になれたら最高だなと思います。
TORA : 音楽を聴いてもらうことももちろんだけど、その音楽をこういう形でつくってるというところも見てもらいたい。
ーー今後目指すべきとこらはそういう所なんですかね。
TORA : 「音楽でなんて飯食っていけない」とか言って、若いのに音楽をやめちゃうみたいなのは、僕はすごくもったいないと思うし、嫌なんですよ。やめていなければ最高の名曲が生まれてたかもしれないって思うだけですごい嫌じゃないですか。音楽活動のやり方の1個として、仕事しながらでもちゃんとかっこいい音楽活動ができるよっていう見せられる存在になりたいなと思う。そこにも響いてくれたらなとも思いますね。
ーー今回のリリースと、今お話ししてくれたような活動の仕方は、若いミュージシャンの方にも希望を与えてくれるんじゃないかなとすごい感じました。
TORA : そう思ってくれたらうれしいですね。これだけがが正しいとかいうのじゃないんですよ。でもほんとにいろんなやり方があるとおれは思うので、そこも見てほしいと思っています。
ーー最後に何か言い忘れたことなどありますか?
マエノソノ : 8ottoなので、8千枚、8万枚、88万枚、888万枚売りたいですね。
TORA : あはははは。最後にそれかよ(笑)。
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今作のプロデュースを手がけた後藤正文ソロ名義の最新EP。表題曲には下村亮介(the chef cooks me)、日向秀和(ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)、アチコ(Ropes)が参加。
8月8日に行われる自主企画の対バンとなるFBYのベスト盤。2016年にギター脱退後、新たな方向性へと向かった彼らと8otto...これは熱い夜になるのは間違いなさそうです!
LIVE SCHEDULE
8otto presents 「One or Eight」
2017年8月8日(火)@東京 代官山UNIT
出演 : FRONTIER BACKYARD
チケット一般発売 : 2017年6月24日(土)
チケット先行受付情報
6/1(水) 19:00 〜 6/11(日)23:59
受付URL : http://w.pia.jp/t/oneoreight/
問い合わせ : SMASH TEL : 03-3444-6751 http://smash-jpn.com
PROFILE
8otto
2004年8月8日結成。
2004年、2005年とNYへ渡りDEMO制作、LIVEを行う。
SUMER SONIC、RISING SUN ROCK FES、ROCK IN JAPAN、NANO-MUGEN FESなどのFESや浅井健一Johnny Hell Tourなど、多数のイベント、ツアーに出演。
初の全国ワンマンツアー、日本全国47都道府県ツアーなどを行い、2010年ライブ活動休止。
2010年末、約1年の休止を経て復活。
復活後、FUJI ROCK FESTIVAL出演、韓国でのライブ、初のUK&Parisへのツアーなどを行う。
結成8周年にあたる2012年8月8日には心斎橋BIG CATでの自主企画『One or Eight』を大成功に収めた。
OASIS、The RAPTURE、Beady eyeなど海外アーティストとの共演も多数。
8otto Official HP : http://8otto.jp/