【REVIEW】透明雑誌のフロントマン・洪申豪が奏でる少し寂しく、甘いメロディ
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台湾のインディ・バンドで頭一つ抜け、日本でも沸々と話題になっているギター・ロック・バンド、透明雑誌。そのフロントマンである洪申豪の台湾で発売された3rdアルバム『Cancer』に新曲2曲を加えて日本リリース&配信スタート! 透明雑誌とは一味違ったメランコリックな楽曲が多い『Cancer +2 songs』をレビューとともにご紹介。
洪申豪 / Cancer +2 songs
【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC / AAC
【価格】
単曲 239円(税込) / アルバム 2,160円(税込)
【収録曲】
1. 魔鬼
2. 永遠在流浪
3. 電影
4. Mishio
5. cancer
6. 金巴利
7. 主人
Bounus Track
8. 狼煙
9. 真夜中のブルース
圧巻のメロディセンス
NUMBER GIRLのリスペクトから、彼らの代表曲とも言える「透明少女」を文字って透明雑誌というバンド名にしていたり、透明雑誌がPixies、Weezer、Sonic Youth、Superchunk、Cap'n Jazzに影響を受けているという話を聞いていたので、洪申豪の作品もオルタナティヴ・ロックだったり、インディ・ロック調の作品だという認識で視聴を始めた。
1曲目の「魔鬼」は単調なリフレインと囁くように歌う洪申豪が印象的な切ない曲だ。予想と少し違っていたが、1曲目ということもあったり、時間も1分少々なのでintroductionのような楽曲なのだろうと思っていた。
2曲目になり「永遠在流浪」が流れる。この曲はキラキラとしたリード・ギターの音色に優しさを感じる甘い歌メロの明るいインディ・ポップだ。この曲を聴いて、このアルバムは透明雑誌とは異なるが、明るいインディ・ポップなのだろうと思っていた。が、3曲目の「電影」を境に明るさが儚さに変化していく。
ここで最初に想像した音と違っていたため、数秒は戸惑っていた。しかし、聴き進めていくうちにそんな戸惑いを忘れるくらい、儚さと洪申豪のメロディセンスがマッチしており、気付いた時にはその儚さの虜になっていた。
特に表題にもなっている5曲目の「Cancer」という曲は、寂しげなアコースティックギターにアンニュイな洪申豪の歌メロを乗せた曲だ。タイトルから癌をテーマにした曲と推測ができ、曲全体から切ないメロディが感じ取れる。しかし、よく聴いてみると決して鬱屈ではなく、生きてやるという根性が感じられるメロディも含んでおり、聴けば聴くほど頑張ろうと背中を支えられるような気持ちになれる。
今回のアルバムは元々台湾で発売された『Cancer』が日本でも販売、配信されることになり『Cancer +2 songs』というタイトルで配信をしている。追加された2曲のうちの1曲である「真夜中のブルース」は日本歌詞で歌われており、他の曲と違い、メロディだけでなく歌詞からも儚さや切なさを感じ取る事ができる。
透明雑誌のようなオルタナティヴ・ロックだけでなく、今作のようなインディ・ポップまで幅広い楽曲を鳴らす洪申豪。私のように戸惑いのあった者も圧倒的なメロディセンスで惹き込んでしまう。最後の曲「真夜中のブルース」にこのアルバムを表したような歌詞がある。〈ヘッドホンの中、少し寂しくて甘い世界〉1人で寂しくなった夜に、この少し寂しくて甘い世界に包み込まれてみてはいかがだろうか? (text by 丸山健人)
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LIVE INFORMATION
洪申豪 JAPAN & KOREA TOUR 2017
2017年2月21日(火)@福岡gigi
出演 : 洪申豪 / BoGGGeYchang(ボギー + チャン)
2017年2月26日(日)@台北・月見ル君想フ(CARNATION live in 台湾)
出演 : 洪申豪 / CARNATION
DJ : 長谷川陽平a.k.a 陽平哥
PROFILE
洪申豪
透明雑誌のギター・ヴォーカル、台湾人、最近新しくVOOIDというバンドを組んだ、台湾のインディ・レーベル主催している、本当の意味でのインディペンデント・アーティストは彼、絵が抜群にうまい、ソロ作品を3枚発表、3枚目のソロ・アルバムがついに日本リリース決定、今までの作品は早々に売りきって再販せず、美メロ、歌詞も抜群に良い、猫が好き、台湾ではファンがライヴで大合唱する、牛肉麺が好き、台湾の音楽シーンに辛口、お酒は強くない、自主企画you&meは鉄板イベント、we are forever young。