2016/11/02 16:58

松坂勇介(QUATTRO)率いる“lowtide”、そのオルタナ・サウンドに映像作家・加藤マニがインタヴュー

左から、加藤マニ、松坂勇介

松坂勇介(QUATTRO)を中心に、映像作家としても活動する加藤マニ(PILLS EMPIRE)、オオヤヒロシ(CANVAS / Veni Vidi Vicious)、morishige shinpei(FOXPILL CULT)とともに結成された5人組オルタナティヴ・ロック・バンド、lowtide(ロウ・タイド)。2014年末より活動を本格化し、2016年にはベーシストとして松田ゆうすけ(CANVAS / Veni Vidi Vicious)が加入。サイケデリック、ネオアコ、シューゲイザー、USオルタナをも取り込み、ローファイなアシッド・フォークで他の追随を許さぬサウンドを貫いている。そんなlowtideの1stアルバムが完成。OTOTOYでは11月9日発売となる同作の全曲フル試聴を実施するとともに、メンバーでありキュウソネコカミ、ゆるめるモ!、高橋優などのMVを撮影するなど注目の映像作家、加藤マニによる松坂勇介インタヴューを掲載、lowtideに迫った。

初アルバムをデジタル・歌詞カード付きで予約配信スタート

lowtide / Beach
【収録曲】
1. Pain
2. Beach
3. if
4. Blind
5. Gray
6. Sunset
7. Glass
8. Horizon

【配信形態】
WAV / FLAC / ALAC) AAC

【配信価格】
単曲 250円(税込) / まとめ価格 1,200円(税込)

※まとめ購入いただくとデジタル・ブックレットがついてきます。

発売記念!! 期間限定で全曲フル視聴を実施!!

レーベル GOOODTIMES AND SONS/FunLandRyCreation  発売日 2016/11/09

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

INTERVIEW : 松坂勇介 / INTERVIEWER : 加藤マニ

lowtideが1stフル・アルバム『Beach』をリリースする。バンドを率いる松坂勇介はQUTTROのギターとしても活躍していた人物であり、海外のサイケデリック、ネオアコ、アシッド・フォークからの影響を受けた物憂げなオルタナティヴ・サウンドを生み出している。

今作がデビュー作となるが、それぞれがキャリアのあるメンバー5人によって結成されているのも、彼らの大きな特徴である。そこで今回はバンドの一員でもあり、映像作家として多くのミュージック・ビデオ制作を手がける加藤マニを聞き手に迎え、フロントマンの松坂自身を、そしてlowtideというバンドを掘り下げるインタヴューを行った。

加藤マニは「自分より上手な人に演奏してもらったほうがいい」という理由から今回のレコーディングには参加していなかったそうで、改めてフレッシュな心持ちで、今作『Beach』に関する素朴な疑問を松坂にぶつけてもらった。20代前半からの友人だという距離感の近い2人の対話から、lowtideがどんなバンドなのかを感じ取っていただきたい。

取材 : 加藤マニ
文 : 鶯巣大介

加藤マニが監督を務めたlowtideの第2弾MV

lowtide / Beach
lowtide / Beach

ちょっと曲のテンションが低すぎてね

ーー今回はバンド内インタヴューということで、よろしくお願いします! まず最初に訊きたいんだけど、ザカマツさんってQUATTROが活動していたときから「俺の曲をやりたいな」っていう気持ちがあったんですか?

松坂勇介(以下、松坂) : 最後のほうはQUATTROの活動と平行してその気持ちがあって。元々はQUATTROでも演奏できたらなと思って曲を作っていたんだけど、いかんせんQUATTROは曲のテンションがもっと高いじゃない? (岩本)岳士と共作するってことはあったけど、俺発信のものは一瞬採用されそうになっても結局なくなったり。

ーーザカマツさんの曲はQUATTROで演奏するには元気さが足りないってことなのかな。

松坂 : ちょっと曲のテンションが低すぎてね。それでどうしようかなって思ってたら、2013年のハロウィンイベントのときマニ君たちと初めて演奏することになったじゃないですか。Lowtideの原型みたいなことをやったよね。バンドが始まったのはそれがきっかけ。

lowtide

ーーわたしそれ全然覚えてないんだよね。ザカマツさんと入江さん(良介、Veni Vidi Vicious)がメンバーにいたんだっけ?

松坂 : それでドラムは照沼(照沼光星 / ex. QUATTRO)でしょ。あとベースは石井要(ex. The John’s Guerrilla)で。鍵盤はそのときいなかった。

ーーそうかわたしはそのときエレキを弾いてて、ギターが3本だったんだ。そこから?

松坂 : そのあと、石井要が「このバンドちゃんとやったほうがいいですよ」って言ってくれたから、一夜限りではないものとしてやることにしました。彼は結局いなくなっちゃったけど。そこから現実的に考えていって、とりあえず照沼は家が遠くて集まるのも大変そうだったんで、近所だった(オオヤ)ヒロシを入れて(笑)。これでドラム、ベース、ヴォーカルがそろったでしょ。しばらくその3人で練習してたんだよね。で最初の2回目とか3回目のスタジオに、松田ゆうすけ(Canvas / Veni Vidi Vicious)をギターとして呼んだんですよ。でも特に打ち合わせをしないでリハに入ったから、結局何をやっていいのか分かんなくて。そこから松田さんはしばらくバンドから遠のいていたんだけど、のちにベーシストになったんです。

ーーそこから今の5人になったのは2014年で、某友人の結婚式がきっかけか。そこにわたしとmorishige(shinpei)くんがいたんだよね。

松坂 : そう。元Plasticzoomsのmorishigeくんがいて。一時期、誰が電話しても出ないって音信不通みたいになってたんだけど2年ぶりくらいに会ったんだよね。そこでテンションあがって「ギターやって」って話をして。でマニ君には元々前から「もう1人メンバー決まったらバンドに入ってね」って言ってたから、そこで自動的に決まったんだよ。その結婚式から2年でアルバムだから、わりかしいいペースじゃない?

「紅だあぁぁ」って叫んでから録音したんで

ーーいいペース! じゃあ曲についても訊いていきたいんですけど、ザカマツさんの歌詞ってウキウキしてるものがほぼ見当たらないのって何でなんだろうっていう。ザカマツさんって幸せ度が低いのかな、と心配になったりもする。例えば「Beach」の〈物語は 不鮮明 ゆがんだまま 朽ち果てそうで〉とかやばいじゃん(笑)。このあたりは一体どうされたんでしょうか?

松坂 : あはは(笑)。そんなウキウキした歌詞を書く人いるかなぁ。まぁいるか。でも明るい歌詞にはしたくないなって、ウキウキ度はいらないなって思ってる。

ーーそしたら仮にザカマツさんがウキウキした場合、そういう歌詞になる可能性もあるってこと?

松坂 : 多分ウキウキしたときは曲を作んないじゃないんですか。「あぁー」って落ち込んでいるときに曲を作ってた気がする。

ーーなるほどね。そういうタイミングで作曲するんだ。曲のなかにはアコギ、ピアノ、オルガンとかが入ってるけど、こうしたアレンジは何か参照したバンドやアーティストっているの?

松坂 : 一番お手本になったのは元コーラルのビル・ライダー・ジョーンズとか、アレックス・ターナーのソロとかそこらへんですね。

ーーなるほど。あと聴いていて思ったんだけど各楽器のパートがミニマルなアレンジというか。先日たまたまMARQUEE BEACH CLUBやSpecial Favorite Musicを聴いていて、そのあとに『Beach』を聞いてみたら、すげぇ音数が少ないなと思ったんですよ。

松坂 : 地味(笑)? でもそれは結構意識してやってる。それはウキウキ感を出したくないからですよ。みんなずっとウキウキしてるわけじゃないだろうし。

ーーザカマツさんのパーソナリティが色濃く出てますね。でもそうするとザカマツさんの目指している音楽と、我々バンド・メンバーの人間性は若干乖離してるかもね。ライヴだとわたしとmorishigeくんがワーワーふざけてる状態でさ。

松坂 : でもそのバランスでいいと思ってるよ。

ーーじゃあよかった。アルバムのなかでザカマツさん1番の推し曲はなんなんですか? ちなみにわたしは「if」と「Blind」が好きですね。

松坂 : 最初は「Beach」だったんだけど最近は「Glass」がいいかなって。あとは6曲目の「Sunset」も結構好き。

ーー「Glass」はフレーミング・リップスの「yoshimi battles the pink robots」っぽさがありますね。あとラストの「Horizon」って元々はもっとシューゲイザーの要素が強かったよね。

松坂 : そうだったね。「Horizon」はレコーディングの過程でアレンジがガラッと変わったね。やっぱマニ君はロックな感じというか歪んでる曲がいいんだね。

ーーライヴでもガシャガシャしやすいからね。ディストーションがかかったうなりあげる曲をもっと聴きたい。けどそれはまた次のアルバムでですね。ほかにも、はっぴいえんど的な曲もあるけど、同じく日本語詞で歌うシャムキャッツやnever young beach、Tempalayとは印象が違う感じだよね。我々はイマドキ感がないというか、良くも悪くももう少しクラシカルな感じがするんよね。

松坂 : イマドキ感はないね(笑)。でもいいんじゃない別に? 特定の層に向けて作るってほど器用なことは自分はできないと思うんですね。だからしょうがないです。

ーーあとわたしは基本的に、より上手な人が弾いた方がよかろうっていう認識のため、レコーディングには参加してないんですが、大変だったことはありますか?

松坂 : 大変だったのは… だいたいどの曲も歌入れは大変だったよ。声が小さいってことを指摘されて。全然ダメだと。だからこのレコーディングは声を張って、結構ヤケクソになって歌ったね。曲が始まる前に「紅だあぁぁ」って叫んでから録音したんで。

ーーザカマツさんはX(JAPAN)ファンですからね。そういえばわたしもスタジオに遊びには行ったよね。

松坂 : マニ君はひやかしで撮影してたよね。アコギを録ってたときに来たんだっけ?

ーーうん。それでヤクザみたいなエンジニア(高橋良輔)と同じくヤクザみたいなプロデューサー(岩本岳士)の2人に怒られながら、すごい狭いレコーディングブースに閉じ込められてました。面白かった。でもコーラスくらいはしたかったな。日程とか教えてくれないんだもん。

松坂 : だって昼間のマニ君を呼んでいいものなのかどうかって思ってさ。

大きい目標は… 東京ドーム?

ーー呼んでいいものかどうか考えるってすごいバンドですよね(笑)。とはいえわたしもいままでそれなりにバンドをやってきましたけど、自分が所属しているときにCDが全国流通するのは初めてなんですよ。まぁレコーディングは1日も参加してないんですけど。自分が写っている写真の入ったCDが全国に広まるなんて31歳にしてびっくりしてます。バンドみたいだなって。

松坂 : バンドだろうが! でもいままでマニ君はMVやジャケットみたいな音楽に付随したものを作る側の人間だったからね。

lowtide / if
lowtide / if

ーーそうそう。あとビデオは形じゃなくてデータだからさ、なかなかモノとして触れないんだよね。だから今回はすごい嬉しい。すげぇんだなバンドって思った。それにツアーも始まりますよ。名古屋、大阪、広島、長野などに行くんですよね。どこが一番楽しみですか。

松坂 : (即答で)広島! もちろんできたらシーズン中に行きたかったけどね。

ーーザカマツさんは野球が好きだからね。ライヴに集中してください! でもそういう行きたかったところに行けるなんて良いよね。我々はミュージシャン度よりも飲み友度というか、仲良しチーム度が高いじゃないですか。楽しくやってますよっていうのを見てもらえたらね。とはいえそんなに音楽が二の次になってるバンドでもないはずなので。

松坂 : まぁ来てくれたら嬉しいよね。あんまり内々で楽しそうすぎてもアレだけど、みんなで遊ぼうぜ感は出していきたいところですね。

ーーじゃあそろそろ終わりかな。わたしは基本的にザカマツさんが満足できるバンドであればよしっていう感じが非常にありますので、おぎやはぎさんの言うアレです。「ザカマツがしたいと思ってることは、できるだけやらしてやりてぇと思ってるからなぁ」っていうスタンスのままやっていきたいですね。

松坂 : おおらかだなぁ。

ーーザカマツさんとしては何か今後の目標はあるんですか?

松坂 : 直近の目標だと、とりあえずちゃんと2作目に着手したいですね。

ーー燃え尽きた… とならずに継続的に音楽をやっていきたいと。じゃあ大きい目標は? こういうときザカマツは恥ずかしがるからなぁ。

松坂 : 大きい目標は… 東京ドーム?

ーー全然恥ずかしがってない!

松坂 : あはは(笑)。やっぱりちゃんとバンドが世間に認知されたいっていうのが大きな目標ですね。

ーーなるほどね。いまのところは“QUATTROのザカマツがやってるバンド”だもんね。そこから「Lowtideっていうバンドがあるんだよ。こんな曲やってるんだ。あ、QUATTROのザカマツさんがやってるんだ」っていう順番にしたいですよね。わたしもそう思います。といったところで本日はありがとうございました!

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LIVE INFORMATION

lowtide “Beach"1st album Release Party
2016年11月23日(祝・水)@下北沢DAISY BAR
時間 : OPEN 18:30 START 19:00
料金 : 前売 2,000円(+1drink) 当日 2,500円(+1drink)
出演 : lowtide / NOWHEREMAN and 1bands(11/17発表)

Synchronized Rockers presents
2016年12月2日(金)@名古屋・Live&Lounge vio
出演 : lowtide / Shinji&Inui(YOUR ROMANCE) / MZP a.k.a マジカル頭脳パワー(HOT HOT SEX)

Rock'n Roll Birthday Roll.29 -lowtide "Beach" Someday's Gone "Smdy'sGn" W Releas Party-
2016年12月10日(土)@大阪・地下一階
出演 : lowtide / Somedays Gone / THE FULLTEENZ / GOOD NITE / THE BOSSS
Guest DJ / 影正 一貴(club BAGSY)
DJ&Photo / Rock'n Roll Birthday

jam.#12 -lowtide “Beach” release tour-
2016年12月11日(日)@広島・SLOW DOWN
出演 : Baloon at dawn / ふらここ / The Burgundy Vincent Club

lowtide"Beach"release tour FINAL
2017年1月22日(日)@下北沢SHELTER

PROFILE

lowtide

東京を拠点に活動する5人組オルタナティヴ・ロック・バンド。2014年、QUATTROの松坂勇介(Vo. / Gt.)を中心に、映像作家としても活動している加藤マニ(PILLS EMPIRE)、オオヤヒロシ(CANVAS / Veni Vidi Vicious)、morishige shinpei(FOXPILL CULT)により結成。当初は一時的な企画バンドとして結成されたが2014年末に活動を本格化、2016年にベーシストとして松田ゆうすけ(CANVAS / Veni Vidi Vicious)が加入し現在のメンバーが揃う。松坂の朴訥としたヴォーカル、歪んだギターと繊細なアルペジオが織りなすサウンドは、サイケデリック、ネオアコやシューゲイザー、更にはUSオルタナをも飲み込んだローファイなアシッド・フォークの趣。現在までライブ会場限定でdemo音源を2枚発売。その後OTOTOYにて2016年5月に1st single「Beach」を、7月に2nd single「if」を配信限定にて発売。2016年11月に1st album『Beach』が発売される。

>>lowtide Official HP

[インタヴュー] lowtide

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