2015/03/11 18:23

オリジナル、DRY&HEAVY、ルーツ・ダブのルネッサンス――リユニオン後初の新作をハイレゾ独占配信

暴力的な震えを伴って迫り来る鉄壁のリズム――秋本"HEAVY"武士(ベース)と七尾"DRY"茂大(ドラム)のリズム・デュオによるオリジナルDRY&HEAVY、そのリユニオン後初となるアルバム『In Time』。OTOTOYでは本作を24bit / 96kHzの独占ハイレゾにて配信開始。スネアやハットの鋭利な高音、うねるベースの響き、ストイックなルーツ・ダブを高音質で堪能すべし!

『In Time』は、オリジナルのドラヘビのひさびさの新作ながら、レゲエのクラシックを演奏した全編カヴァー・アルバムとなった。「なぜカヴァーなのか?」というのは、彼らが真髄に向き合うレゲエのカルチャーにその答えを見つけることができそうだ。記事では、そんな他のジャンルとは全く違ったレゲエのカヴァー文化にスポットを当てて、本作を解説する。

OTOTOYだけのハイレゾ配信
DRY&HEAVY / IN TIME(24bit/96kHz)

【配信価格】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/96kHz) / AAC : 単曲 250円 / まとめ購入 3,000円

【Track List】
1. IN TIME / 2. LEAN ON ME / 3. TRUTH AND RIGHTS / 4. SWING EASY / 5. CUSS CUSS / 6. TEMPO / 7. SHINE EYE GAL / 8. WORLD A MUSIC / 9. STALAG 17 / 10. I'LL NEVER LET YOU GO / 11. UNDER ME SLENG TENG / 12. DRUM SONG / 13. FAST CAR / 14. REAL ROCK / 15. DO YOU LOVE MY MUSIC / 16. DREAMLAND
お知らせ : DRY&HEAVY DUB CONTEST結果発表延期のお知らせ

2015年3月11日(水)を予定していました“DRY&HEAVY DUB CONTEST”の審査結果発表は、応募作品が想定より多く集まり審査に時間がかかってしまっているために、日程を3月25日(水)に延期いたします。ご応募いただいた皆さん、コンテストの行く末を楽しみにしてくださっている皆さんにはご迷惑をおかけしますが、何卒、ご了承いただけたらと思います。また追って本ページで発表いたします。

レゲエ・クラシック・カヴァー・オンリーな新作

側からすれば活動絶頂期にも見えた2001年夏、秋本武士の突如の脱退によって1度は幕を下ろしたオリジナルのDRY&HEAVY。しかし2010年にリユニオンし、ここについに新作を発表したのだ。最強のリズム・セクションと呼ばれた、秋本"HEAVY"武士(ベース)と七尾"DRY"茂大(ドラム)によるアルバムは2000年リリースの『Full Contact』以来となる。

「Dawn is Breaking」(『Full Contact』収録)
「Dawn is Breaking」(『Full Contact』収録)

『In Time』には、トランペットにこの国のダブのルーツ・アーティスト=こだま和文、ダブ・ミックスには現在、秋本とはレベル・ファミリアを組む朋友であり世界的にも有名なダブステップ・アーティストでもある、Goth-Trad。さらには1970年代の数々の伝説的なルーツ・レゲエ / ダブ・アルバムのクレジットに名を連ねるギタリスト、アール”チナ”スミスなどが参加している。

こうしたゲスト陣がいたとしても、しかし本作の肝は秋本、七尾のリズム・セクションにあることは明確だ。それは全編、クラシックなレゲエ・トラックの”インスト”カヴァーによって構成されているところで示されていると言える。もちろん「新曲が聴きたい」というのもファンのストレートな反応だとは思うが、しかし、カヴァーとはいえ、よくあるボブ・マーリーのヒット曲の安易な焼き直しアルバムではないことがその楽曲リストを見ればわかる。そのほとんどはレゲエをある程度聴き込んだものであればニヤリとしてしまうような、そんなリズムだけで構成されている。ゲスト陣や他の演者の演奏もごくごくシンプルに、ふたりのリズムを浮き上がらせている。ある意味でコンセプチャルなアルバムなのだ。

例えば「I'LL NEVER LET YOU GO」、この楽曲は1967年にジャマイカで生まれて以来、それこそ大量にレゲエの枠のなかでカヴァーされ、リメイクされてきた楽曲だ。こうした楽曲のみで構成されたカヴァー・インスト・アルバムという体制は、レゲエという音楽への深い愛情と、レゲエの歴史に向き合わんとする意志をひしひしと感じさせる。そしてレゲエが持つ稀有なカヴァーの文化史を追うことで、さらに本作への強い意志を知ることができるはずだ。本稿はそのお手伝いをと思う(逆に言えば、ここで演奏されるリディム、鼻歌でベースラインが全部出てこなきゃレゲエ・ファンとは言えない!)。

オリジナル・ヴァージョンのSLIM SMITH「I'LL NEVER LET YOU GO」
オリジナル・ヴァージョンのSLIM SMITH「I'LL NEVER LET YOU GO」

リディムを使い回せ

レゲエのバックトラックは”リディム(リズムのパトワ=ジャマイカ英語の訛りから来ている、riddimと表記される)”と呼ばれ、とにかく他のジャンルでは考えられないほど使い回され、何度もリメイクされ、多数のヴァージョンが生み出される。過去にリリースされたリディムも、定番となれば、そのときどきの最新の潮流でリメイクされ、新たな魅力を付加され使い回される。ときには最新のアーティストが過去のリディムをそのままバックにし、新たな音源をレコーディングすることもある。特に人気のあるリディムは名前(多くは原曲の曲名、またはそのリディムが最も初期にヒットした曲名、最近のものはトラックメイカーが名付けるものが多い)がつけられ、レゲエ・ファンにとってはおなじみのものとなるほど何度でもリメイクされ続ける。レゲエという音楽カルチャーが存在し続ける分だけ、さまざまな定番リディムの”ヴァージョン”が作られるというわけだ。例えば上述の「I'LL NEVER LET YOU GO」は「The Answer」という名前が付けられ、幾度もリメイクがなされている。

さまざまなヴァージョンの”The Answer”リディムだけで作られたDJミックス
さまざまなヴァージョンの”The Answer”リディムだけで作られたDJミックス

この稀有な音楽のシステムはどこから来たのか? それはジャマイカのレゲエがサウンドシステムを中心に発展したきたことに大きな要因がある。ジャマイカの音楽シーンは、プロデューサーやアーティストたちの少しのひらめきと移動型のPAシステム=サウンドシステムによるパーティに集まる人々の多数決によって決定してきた。ジャマイカ音楽の誕生=スカからロックステディ、レゲエ、そしてダンスホールの進化の道筋の多くは、そうした状況の下で生み出されてきた。リディムのヴァージョン文化も例外ではない。加えて、その音楽がすべてダンス・ミュージックである、それゆえにその中心はベースラインとドラムにあり、バック・トラックを指し示す言葉が”リディム”なのだ。

ヴァージョ二ングの歴史

さて、このカヴァー=ヴァージョニングの文化の、その発端はいつ頃なのか。話は1960年代中頃までさか戻る。ジャマイカのサウンドシステムの現場では、1960年代初頭に生まれたスカの季節が終わり、新たなスタイルのサウンドが席巻していた。それはロックステディと呼ばれるスタイルだ。これは、ゆったりとしたテンポ、シンコペーションを強調し、よりヘビーになったベースライン、さらには3拍目を強調するワン・ドロップのリズムといった特徴を備え、甘くソウルフルなヴォーカル楽曲が中心のフォーマットであった。

ロックステディの元祖、Hopeton Lewis「Take It Easy」
ロックステディの元祖、Hopeton Lewis「Take It Easy」

しかし、当時、サウンドシステムに最新のサウンドを供給するプロデューサーたちは、ヴォーカル・トラックばかりではなく、ヒットしたヴォーカル曲のインスト・ヴァージョンもダンスフロアで支持されることに気づきはじめた。彼らはそうしたヴォーカルのバック用に収録したインストをまずは現場でプレイし客の反応を試し、そしてリリースをはじめた。さらにはヴォーカルの代わりに、オルガンをリードとして加えてみたり、サックスを中心にしてみたりと、さまざまな”ヴァージョン”を作り出す素材としてインストを使い回すようになる。また当時人気を集めていた、DJ(MCのこと、ややこしいのだがレゲエでいわゆるレコードをプレイする人はセレクター)のトースティング=話芸(ラップの元祖とも)も、インストから新たなヴァージョンを生み出す素材としていく。

レゲエが誕生する1970年代初頭までに、プロデューサーやサウンドシステムの間では、こうしたバック・トラックのヴァージョニング=使い回しの文化は当たり前のものとなり、そしてそこに集まる人々にも受け入れられていった。ここに1970年代初頭に生まれた、キング・タビーによるダブの手法(ミキシング&エフェクトによるヴァージョン)を加えると、1曲のリディムから無数のヴァージョンが生まれることになったわけだ。キングストンのゲットーのプロデューサーたちは経費削減のためにこれを大いに歓迎した。人気のある既存の楽曲を最新の潮流に合わせたリメイクを行えば、作曲の時間を省くことができるし、そしてさまざまなヴァージョンを作り出せば、自ずと費用対効果は大きくなる。

キングストンのプロデューサーや実際に演奏するプレイヤーたちの手腕は、手垢のついたリディムをいかに新鮮に聴かせるかというところで競い合うことになる。つまり、インストのカヴァーをいかに自分たちの個性を生かしリメイクすることができるのかという部分だ。多くのアーティスト、プロデューサーが鍛え上げ、育てたリディムを、自らのスタイルでモノにする。それはとびきりのレゲエのアーティストにしかできない行為だ。この精神は間違いなくドラヘビの新作『In Time』にも貫かれている。

名門〈スタジオ・ワン〉のリディム

こうしたなかで自ずと、人気のリディムは定番化していく。その多くは、1960年代末から1970年代初頭にかけて作られたリディムだ。特に当時のトップ・レーベルであったコクソン・ドッドの〈スタジオ・ワン〉の楽曲は何度もリメイクされていく。本作にもいくつも収録されている。例えば「Truth & Rights(Take A Ride)」「Swing Easy」、前述の「I'll Never Let You Go(The Answer)」、「Drum Song」、「Real Rock」といった楽曲がそうだ。これらの楽曲は当時の〈スタジオ・ワン〉の専属バンド、ソウル・ヴェンダーズと呼ばれたアーティスト群などによって演奏されている。これらの楽曲は、特にキーボードのジャッキー・ミットゥーとベースを担当したリロイ・シブルズ(ハーモニー・グループ、ヘプトーンズのヴォーカリストでもある)の2人による貢献が大きいと言われている。

〈スタワン〉リディムのリメイクは、ある意味でまさにレゲエの基本なのだが、基本であるがゆえに奥深い。多くのトップ・アーティストがこれまでにそのリメイクを行っていることを考えれば、いかに自らの演奏とするのかはそれ相応の技量が必要とされることは想像に容易い。

Jackie Mittoo「DRUM SONG」
Jackie Mittoo「DRUM SONG」

The Sound Dimension「Real Rock」
The Sound Dimension「Real Rock」

「Real Rock」というリディムがある。まずは1967年、ジャッキー・ミットゥーを中心としたサウンド・ディメンションという〈スタジオ・ワン〉のハウス・バンドの楽曲として生まれた。その後、そして〈スタジオ・ワン〉で、10年経った後にウィリー・ウイリアムスというレゲエ・シンガーが1977年にルーツ・レゲエのリリックを乗せ、「Armagideon Time」としてヒットさせている。リリースから10年後のリディムが、当時のシーンに迎え入れられたのだ。それほどまでの強度を持っているということだ。また、この曲はイギリスのパンク・バンド、ザ・クラッシュにも”ヴァージョン”されている。1970年代末に同じく〈スタワン〉でミシンガン&スマイリーというダンスホール・ディージェイが同曲を「Nice Up Dance」として再生させている、その他、デジタル期のリメイクなど、さまざまなヴァージョンが存在する。

WIllie Williams「Armagideon Time」
WIllie Williams「Armagideon Time」

The Clash「Armagideon Time」
The Clash「Armagideon Time」

ジョー・ギブス・プロデュースによる「Real Rock」
ジョー・ギブス・プロデュースによる「Real Rock」

1988年のデジタル化した「Real Rock」
1988年のデジタル化した「Real Rock」

延々と繰り返される”ヴァージョン”

こうした〈スタワン〉や、〈スタワン〉のライヴァル〈トレジャー・アイル〉、もしくは他のプロデューサーによるものも含めて、1960年代後半~1970年代初頭に作られたクラシック・リディムは1970年代においても、バニー・リーやジョセム・フーキム、ジョー・ギブスらの当時のトップ・プロデューサーにもヴァージョンされ、さらには1980年代にダンスホールの時代にはそれらのリディムのヴァージョンがシーンを完全に掌握するまでになる。1985年、キング・ジャミーが初の打ち込みオンリーのリディム「Under Me Sleng Teng」をリリースし、リディムのデジタル化がなされた後もこの流れは変わらず、1980年代以降も、1960年代に作られたベースラインがデジタル化され、新たにアレンジされ続けている。

『In Time』の原曲たち

さて、簡単にではあるが上記で上げたもの以外で『In Time』で取り上げられている楽曲を簡単に解説していこう。こだま和文のトランペットが心地よく響く「Lean On Me」、もともとは「Just the Two of Us」などでも知られるビル・ウィザースの楽曲だが、レゲエ・シーンでは、B.B.シートンをはじめ、ジョージ・ヌークスやビッグ・マウンテンら多くのレゲエ・アーティストもカヴァーしている楽曲だ。「Cuss Cuss」は1969年リリースのロイド・ロビンソンの楽曲で、この曲もレゲエの定番リディムとして数え切れないほどカヴァーされている。同じくレゲエ初期の〈スタワン〉以外のリリースであげておきたいのは9曲目のウィンストン・ライリー率いうるテクニークスの「Stalag 17」。こちらも1970年代初頭に生み出されたリディムながら、1980年代に入るとダンスホールの定番リディムとしていくつもヴァージョンが作られている。

Lloyd Robinson「Cuss Cuss」
Lloyd Robinson「Cuss Cuss」

The Techniques All Stars「Stalag 17」
The Techniques All Stars「Stalag 17」

1979年にリリースされたブラック・ウフル「Shine Eye Gal」と1984年のアイニー・カモーゼ「World A Music」は、どちらもスライ&ロビーによるプロデュースによる楽曲。特に後者は、ボブの息子、ダミアン・マーリーが2005年に”ヴァージョン”し、世界的なヒットとなった。ドラヘビのスライ&ロビー・リスペクトが示されていそうな2曲と言えるだろう。

Ini Kamoze「World A Music」
Ini Kamoze「World A Music」

Damian Marley「Welcome To Jamrock」
Damian Marley「Welcome To Jamrock」

13曲目は、ウェイン・ワンダーやフォキシー・ブラウンといったシンガーがレゲエ・カヴァーしたトレイシー・チャップマンの楽曲。本作はシンガー / プロデューサー、リトル・ロイによる1970年代の「Prophecy」から来ている「Taxi」というリディムが土台となっている。こちらも幾度となくリメイクのリディムが作られている。

Little Roy「Prophecy」
Little Roy「Prophecy」

前述のように、現在のレゲエに通じるデジタル・スタイルのレゲエは、1985年、プリンス・ジャミー、ウェイン・スミスのバック・トラックとして生み出した初の打ち込みオンリーのリディム「Sleng Teng」によってスタートする。本作でも、「Sleng Teng」、そしてジャミーの師匠であるキング・タビーが同時期に繰り出した、アンソニー・レッド・ローズの「Tempo」という初期のデジタル・リディムの2つのクラシックもカヴァーしている。まさにレゲエの歴史と向き合う、そんな姿勢がここでは垣間見れる。

Wayne Smith「Under Me Sleng Teng」
Wayne Smith「Under Me Sleng Teng」

Anthony Red Rose「Tempo」
Anthony Red Rose「Tempo」

「DO YOU LOVE MY MUSIC」は、マッシヴ・アタックにヴォーカリストに参加していることで知られるレゲエ・シンガー、ホレス・アンディ。その最高傑作と言われている『In The Light』から。そのダブ・ヴァージョンはプリンス・ジャミーが手がけた最高のルーツ・ダブのひとつとも言われている。本作でも情熱的なギターとともに、ドスの効いたベースを響かせている。

最後の「Dreamland」は、現在、ザ・ウェイラーズのただひとりの生き残りとなったバニー・ウェイラーの美しい代表曲。オリジナルはリー・ペリーがプロデュースで、演奏はルーツ・レゲエのドラム・デュオ、バレット兄弟によるものだ(ドラム、カールトン・バレット、ベース、アストン・バレッド)。バレット兄弟も秋本がさまざまな場面でリスペクトを口にするリズム・デュオとして知られている。

作品の向こう側に見えるもの

彼らが尊敬してやまない多くのアーティストたちが鍛えあげてきたリディム。それを自らの手で新たにプレゼンするというのは、レゲエの基本=ファウンデーションでありながら、その実、その技量によって最もその評価が左右されうる行為でもある。本作は片手間ではなく、そんな文化に真正面から向き合ったアルバムだ。レゲエのリディムに対する、まさに「気合」や「意志」というものを強く感じる。

また、レゲエ・ファンにぜひとも体感して欲しいのはハイレゾで世界初リリースされる〈スタワン〉をはじめとしたクラシック・リディムであるということだ。ドラムやベースのタッチ、言って見ればリディムの根幹となるふたつの要素がどのようにグルーヴを生み出しているのか、非常に細かく知ることができる。1960年代に生まれながら、現在でもリメイクされるサウンド、その最新型を最高峰のデュオによるハイレゾで聴くというのもなかなかそれだけで価値のあることではないだろうか。(text by 河村祐介)

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PROFILE

DRY&HEAVY

七尾"DRY"茂大(Drums)と秋本"HEAVY"武士(Bass)というふたりからなるリズム・セクション、プロデューサー・チーム。1991年結成。95年からDRY&HEAVY CONNECTIONと称しバンド・スタイルでの活動をはじめ、97年に『DRY&HEAVY』でアルバム・デビュー。その後、国内はもとより海外でも音源をリリース。2000年にはAsian Dub Foundationとともにヨーロッパ・ツアーを敢行し、またAdrian Sherwoodと訪れた香港ではPrimal Screamとも共演するも、2001年の〈フジロックフェスティバル〉のステージで秋本"HEAVY"武士はバンドからの脱退を宣言。2010年に七尾と秋本によるリズム・セクションとしてのDRY & HEAVYがリユニオン。2013年には日本のDUBのオリジネイターのひとり、こだま和文と共演。朝霧JAMへの出演、Jah Shaka、MAD PROFESSORとの共演を果たすなど、あらたな進撃を開始。2015年春、ついに待望のニュー・アルバムをリリース。

>>DRY&HEAVY Official HP

[レヴュー] DRY&HEAVY

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