関西インディーズの注目バンドがわずか半年で送るセカンド・アルバム!—— Hi,how are you?から夏の切なさを刺激する残暑見舞い

ギターと鍵盤。シンプルなポップ・サウンドながらも絶妙な抜け感がクセになる京都の2人組、Hi,how are you?。彼らが今年2月にROSE RECORDSからデビューして半年、早くもセカンド・アルバムが到着しました。その中身はトラックリストだけでも一目瞭然。お盆を過ぎたこの季節には妙に染み渡る夏の記憶が詰め込まれています。そのなかにはVIDEOTAPEMUSICとのスプリット7inch限定シングル『熱海へ行くつもりじゃなかった』で話題を呼んだ「熱海」も収録。憎いことにOTOTOY限定のボーナストラックとして用意してくれた楽曲はクレイジーケンバンド「せぷてんばぁ」のカヴァー。夏の終わりを告げるこの曲は、ぜひあわせて聴いていただきたいところです。この作品の物語性、そしてバンドの成長を読み解くインタヴューとともに、『さまぁ〜ぎふと』を受け取ってください。

OTOTOY限定ボーナストラック付き! このカヴァー、必聴です!!

Hi,how are you? / さまぁ〜ぎふと
【配信価格】
alac / flac / wav(16bit/44.1kHz)、mp3 : 単曲 150円 / まとめ購入 1,200円

【Track List】
01. NIGHT ON THE PLANET / 02. お盆 / 03. ひしょち / 04. プール開き / 05. 初夏村くん / 06. Summer Gift / 07.はたち / 08. 秋の日はつるべ落とし / 09. 潮風ちゃん / 10. 熱海 / 11. メロン

まとめ購入特典としてクレイジーケンバンドの「せぷてんばぁ」のカヴァーを12曲目に収録!

INTERVIEW : Hi,how are you?

前作にあたるファースト・アルバム『?LDK』からわずか半年。あれよという間もなく届けられたHi,how are you?のセカンド・アルバムは、表現者としての成長と変化を捉えた、極めて自覚的な発展の1枚となりました。『さまぁ~ぎふと』というタイトル通り、コンセプトは夏のアルバム。朴訥とした男女デュオというイメージからは驚くほどにリリカルな魅力をパッケージしていた前作と比較して、よりのびのびと雄弁な語り口を持ったアンサンブル、ラフな雑味も旨味として昇華されたサウンドは、2作目ならではの気持ちよい開放感があります。そして、サマー・アルバムとしては、彼らがこれまでに通ってきた幾つかの年代での夏への眼差しが、ページをめくるように描かれており、しっかりと物語性を持った作品となっています。〈時計を止めて 針をもどして〉と歌われる1曲目「NIGHT ON THE PLANET」を合図に、今作は幼年期から成年にいたるまでの夏の景色へと連れ出してくれます。

PVがすでに公開されている「お盆」で映像とともに描写されていた、〈8月ってすてき〉的な幸福な夏の記憶はその一端に過ぎません。そこかしこで垣間見せるのは、過ぎていく夏の渦中において、自分だけがその場所に置きざりとなってしまったのではないかという、迷い子の感覚。最終曲「メロン」においては、〈ながめることさえできない〉という途方もない断絶がはっきりと綴られています。リリックの面では、前作ですでに確立していた固有名詞や引用を並べていく、これぞと言うべきハイハワ節にはさらに磨きがかかっているとともに、ありありと人物の動きが目に浮かぶ明確な描写が増えているのが印象的です。聴き手は、具体的な色や形に接しながら、この夏のストーリーに思いを馳せることができるでしょう。アーティストとしての成長と、それゆえに踏み込めた感傷について、すべての作詞作曲をおこなう原田晃行に話を訊きました。

インタヴュー&文 : 田中亮太

ちょうど夏の曲がいっぱいあったんです。で、これを出すなら来年じゃないな、来年まではひっぱりたくないなって

――約6ヶ月と短いスパンで2枚のアルバムをリリースするのは、いつのタイミングで決まってたのでしょう?

原田晃行(以下、原田) : 最初から決まってたわけではなくて。前のアルバムのレコ発が終わって少し経ってから、5月くらいに「ちょっと出したいんですけど」ってローズに話して。で、6月にレコーディングしました。

――出したいと思った理由は?

原田 : ちょうど夏の曲がいっぱいあったんです。で、これを出すなら来年じゃないな、来年まではひっぱりたくないなって。

――前作のリリース以降も、いくつも新しい曲をYouTubeにあげられてます。作ったものはぱっと出したいタイプなんですか?

原田 : 出さないでためとくと気持ち悪い感じはありますね。動画は、とりあえずできた瞬間にとるんですよ。そのときの季節感、例えば半袖着てるのとかも映り込むからおもしろい。

――今回のアルバムに収録されている曲には、前作リリース時にすでにライヴ・レパートリーとなっていたものもありますが、逆にこれらの曲が前作では省かれたのはどうしてですか? 確かに前作は冬のアルバムという印象も、

原田 : (遮って)そう捉えられたのは、ちょっと心外だったんですよね。冬のアルバムじゃねえんだけどなって。むしろ、1枚目は夏や梅雨から冬にいく作品だったんですよ。でも、シングルで出した「バンホーテン」と曽我部さんの帯(「つまり、冬の寒い日に飲むココアのような。体にすーっと入ってくる音楽。」)ってのにイメージが引っ張られてしまったこともあって。

――なるほど。ただ、前作に関しては、ファーストならではの緊張感に冬の澄んだ空気との近しさも感じました。

原田 : 音がこもってる感じは冬っぽいかも。

――一方、前作が繊細かつ丁寧に作られた作品だったのに対し、今回はいくぶんか"生々しさ"や"小気味の良さ"を感じさせるサウンドになっているように思いました。どんな作品にしたいと考えてましたか?

原田 : とりあえず、夏の備忘録って感じですかね、自分の。でも赤の他人が聴いてもするっと入れるような。

左から、馬渕(鍵盤、歌)、 原田(ギター、歌)
――そういうコンセプトって(メンバーの)馬渕さんとも話されるんですか?

原田 : それは全然話さないです。これを録りますって言って渡す。

――サウンド面でこういうものにしたいってイメージはありましたか? 前作よりいい意味でのラフさや抜けの良さがあるように思いましたが。

原田 : 今回はキーボードを一切使ってないんですよ。録音場所のオルグにピアノがあるので、それを使って。なんか軽い感じにしたいなと思って。ギターのつまみも今回は一切こだわらず全て同じにしてて。それがいい感じででたんじゃないか。

――歌もより地声に近くなってるような印象です。

原田 : 前はマジで緊張してたんです。曽我部さんもレコーディングにいたし。今回は投げやりじゃないけど、「これでいいっしょ」みたいな。1回歌ってOKみたいな録り方でした。

インスピレーションを受けたのは真島昌利の『夏のぬけがら』かな

――青春ゾンビのインタヴューで、前作のインスピレーションとしてGirlsのアルバムを挙げられてましたが、今作にはそういった作品はありますか?

原田 : 今回はマーシー(真島昌利)の『夏のぬけがら』かな。あとはなんだろ。大江千里の「夏の決心」って曲。あとはマンガの『バタアシ金魚』や、プレステの『ぼくのなつやすみ』。

――『夏のぬけがら』からこのアルバムが受け継いでいる夏感とはどんなものでしょうか?

原田 : イエー! って夏の感じじゃなくて、ぼ~っとしてるか終わらないでくれよって思ってるか。タイトルとおりのぬけがらって感じですかね。

――実際、今作は夏を気持ちよく過ごせるアルバムであるとともに、楽しい時間はすでに終わっている、自分はそのなかに取り残されたままという感覚がそこかしこに垣間見えます。そうした感覚は原田さんのなかでリアルなものですか?

原田 : 無意識にずっと思ってたことなんだと思います。終わっちゃうよなって思いながらは書いてないんですけど。でも、読み返してみるとだいたいそういうことを書いてるので。

――原田さんは今四回生で、そろそろ学生じゃなくなりますよね? 時期的にも、過ぎていく時間に置いていかれそうってのは少なからずあるのかなと思ったんですが。

原田 : そこまでは思ってないけど終わってほしくないなとは思ってます。他の人たちは就活して決まってたりもするけど、僕は今のところ来年のことが何も決まってない(笑)。

――前作だと「ちかげ君」がそういう曲ですよね。ピュアなものに対して、変わらないでと願うという。

原田 : 確かに。だから、自分のなかではつねにあるものなのかも。

――歌詞に関しては、以前より明解になった印象です。前作の、イメージはふくらませれるんだけど、はっきりとはわからないものから、今回は具体的に情景が思い浮かぶ曲が多い気がします。

原田 : 今回のは明確な絵、景色が浮かぶようにしました。したっていうか、なったかな。単純に前は想像でいろいろ書いてて。なんとなくの言葉で。今回は自分のなかで思ってる1つの景色を1曲のなかで書いた。

日記じゃないですけど、備忘録みたいな。歌にしとけば、口ずさめて歌詞もメロディもあって思い出せる

――今回は、大きく分けて3部構成のアルバムに感じました。1曲目の「NIGHT ON THE PLANET」が、このアルバムの扉を開ける序章。時計の針を戻してみようって曲で。最初からすでに視線は後を向いてる。で、最初に行くのが、「お盆」と「ひしょち」。この2曲は幼少期の夏の思い出。幸福な夏の記憶を描いている。

原田 : なるほど。


「お盆」MV」

――次の第2部、「プール開き」「初夏村くん」「Summer Gift」は思春期の夏。センチメンタルな夏の思い出が描写されてる。夏特有の寂しさであったり。特に「プール開き」には、置いていかれる不安感が醸しだされてる。

原田 : 小中学校のイメージですね。

――で、「はたち」は、

原田 : これは自分のなかでは高校生って感じですね。高校で3階建からグラウンドを見て話してるみたいな。そこで雨が降ってきて。

――次は「秋の日はつるべ落とし」。夏のアルバムにおいて秋の曲を1曲入れた狙いは?

原田 : 「秋の日は〜」のあとの2曲は自分のなかでは冬なんですよ。「潮風ちゃん」は冬にドライヴして、夏を思い出してるみたいな。「熱海」もその流れで。で、年齢的にもこの2曲のキャラクターは車を運転できるんです。1曲目も車の歌じゃないですか。だから最後には現実に戻っていく。

――終盤の曲になると性の匂いもしてくるんですよね。「熱海」の〈4800円、休憩〉ってところとか生々しい。

原田 : 不倫ぽいですよね。

――最後の「メロン」もシビアな歌詞ですよね。ここまで断絶をはっきり言葉にした曲はなかったように思うんですが。

原田 : 大げさに言ってる感じもありますが。

――大げさな言い方ができることで、原田さんの言葉は一歩次の段階に進んだ気がするんですよね。えてしてゆるく見られがちな存在でもあるじゃないですか。

原田 : それが1番嫌なんです。別にローファイじゃねえし(笑)。

――(笑)。「メロン」って曲を作ったときに一つ前に進んだ気はしました?

原田 : それは全然なかったですね。むしろアルバムだと「プール開き」ができたときかな。誰にでもわかる言葉で全部書けて、自分のなかですっとしました。

――確かに1番イメージが明確ですね。固有名詞がひとつもない。ただ、固有名刺の使い方もハイハワの個性じゃないですか。

原田 : だから、どっちもあっていいですね。固有名詞ばっかだけどすっきりしてるなってのと、誰にでもわかるなって歌詞が両方あるのが。

――わりかし多作なほうなのかと思うんですが、曲はどんなときにできます?

原田 : なんかあったらできるかな。今日作ろうみたいなノリでは作らない。曲にしたいことがあったらできる。日記じゃないですけど、備忘録みたいな。歌にしとけば、口ずさめて歌詞もメロディもあって思い出せる。それがいい。

――曲としてアウトプットすることで、その思いが消化されることはありますか?

原田 : 消化というか美化されます(笑)。脚色が入るし、実際よりも楽しかった感じになる。アルバムみたいな感じで頭のなかに入れることができるんです。

過去音源

Hi,how are you? / ?LDK

京都の二人組、Hi,how are you?による記念すべき1stアルバム!! 名曲との呼び声が高い、先行シングル『バンホーテン」を含む全11曲を収録した素晴らし過ぎるデビュー・アルバムとなっている。ギターと鍵盤だけのシンプル極まりないサウンドで身の丈のままの日常を映し出した、ROSE RECORDSを象徴するかのような1枚。退屈で埋め尽くされたこの部屋、ぼくときみとのささやかな出来事、忘れてしまいそうないつかの景色。のっぺりとした日々の中でも見逃すことのできないいくつかの情景を、卓越したソングライティングとそこかしこに散りばめられた様々なカルチャーへのオマージュで見事に描きます。

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PROFILE

Hi,how are you?

女1、男1の二人組。

借りパクした漫画や延滞した映画、おわっちゃった夏のハーゲンダッツやイーニドがバスから見た景色をうたいます。

>> Hi,how are you? Official HP

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