2014/07/31 16:15

彼は盛岡から“文化”を発信し続けるーーテクノ / エレクトロ系トラックメイカー、NOBによるフル・アルバムを1週間先行ハイレゾ配信

盛岡を拠点に活動し、地元レイヴ・フェス〈MOUNTAIN MASSIVE〉のオーガナイザーを務めるDJ / トラックメイカー、NOB。2013年にリリースされた3枚のEPは、ダンス・ミュージック専門配信サイト〈WASABEAT〉でチャート上位に食い込み、80KIDZやTaku ☆ Takahashiなどの著名なDJ達がヘヴィー・プレイし話題を呼んだ。そんな彼による待望のファースト・アルバム『Outflow』を1週間先行ハイレゾ配信。すべて新曲で構成された今作は、ダブを下敷きにテクノ、ニュー・ディスコ、デジタル・ファンクなど一筋縄ではいかない、色とりどりの楽曲に溢れている。どのようにしてトラックを作り出しているのか、そしてなぜ盛岡を拠点に活動しているのかを紐解いた、本人へのメール・インタヴューと共に今作をお楽しみいただきたい。

NOB / Outflow(24bit/48kHz)
【配信フォーマット / 価格】
wav / alac / flac(24bit/48kHz) : 単曲 205円 まとめ購入 1,697円
mp3 : 単曲 205円 まとめ購入 1,697円

【Track List】
01. Prhythm
02. APEX
03. FOLK
04. Lost And Found
05. fog.
06. 1986
07. agreeable
08. T-Phat
09. Mountain
10. CLARK

INTERVIEW : NOB

NOBの作り出すすべてのトラックには、一筋縄ではいかない、多彩なダンス・ミュージックの要所が、各所に散りばめられている。そこから、彼が今まで聴いて、肌で感じてきた音楽が本能的に表れていることを感じる。まずNOBの音楽的ルーツとトラックメイクするようになったきっかけはなんだったのであろうか。

「とってもベタですが、音楽として最初にハマったのはオフ・スプリングですね。中学生の時にどハマりしました。そこから海外の色々なジャンルやアーティストを掘りはじめました。当時はバンドをやっていたので、その延長上でトラックメイキング始めました。特にきっかけになったアーティストは居ませんが、その時々で聴いているアーティストには、ほとんど影響受けています」(本文中のかっこ内の発言は、今メール・インタヴューでのNOB自身の発言である。)

そこにミュージシャンとして素直な部分を表に出せるしなやかさを感じざるを得ない。それは制作の面でも多いに感じることが出来る。確かに、今作『Outflow』はテクノ、エレクトロ・ファンク、ディスコなど、じつに多様なジャンルに溢れている。

「なんでもやりたいことや好きだと思ったことはやってみたいんです。普段からジャンルを問わずに聴いているので、それが作品に出たのかもしれません」

ここで今作の内容について詳しく振り返ってみたい。やはり今作は、ダンス・トラックとしての機能はもちろんのこと、それよりもNOB自身のルーツである、バンドやダブからの影響が色濃くフィードバックされたトラックが集まっている。ビープ音がリズムの上を自在に駆け巡る「APEX」、ティンバレスがグルーヴを生み出すアフロ・ディスコ「FOLK」。はたまた9分にも及ぶ音も曲構成も壮大なトラック「CLARK」など、クラブ映えはもちろんのこと、パーソナルな空間にもハマりそうな作品ばかりだ。今作を制作するにあたって、音以外にインスピレーション、影響を受けたものなどがあったのだろうか。

「強いて言えば自分の趣味や住んでいる環境、または生活です。これは今作に限らず、ずっとです。良くも悪くもどんなことからでもインスピレーションを受けてしまいます」

そう、NOBは岩手は盛岡を拠点に活動を行っている。彼が盛岡で活動する決め手とメリット、デメリットはなんなのであろうか。

「盛岡で活動する決め手はやはり岩手の自然ですね。オール・シーズン自然で遊びたいです。強いて言うならそれですね。また、利点でもあり不備でもあるのですが、やはり情報が遅いのと少ないことです」

やはりサウンド面においても“盛岡”という環境が与える影響はとても大きなものであることが伺える。と同時に彼自身がこの環境を多いに楽しんでいるようにも感じた。また彼が身を置いて、楽しんでいる盛岡のクラブ・シーンについてもこう述べている。

「盛岡は小さい街ですが、東北レゲエ祭やAPPI JAZZY SPORTなどのフェスや音楽イベントが、たくさんある地域なんです。別々のジャンルでも繋がりがあり、仲も良く、それぞれが頑張っていることで、音楽に溢れた楽しい街になってると思います」

そして、盛岡のみならず各地のクラブ・シーン、アーティストとも繁く交わっている。

「特に交流があるのは80KIDZです。彼らが盛岡でDJをした時に、自分の曲を聴いてもらったのがきっかけで、自身のリリースや東京でのイベント、地方でのイベントなどにたくさん誘って頂いたり、一緒にやらせてもらったり、とてもお世話になっています。本当に感謝しています」

クラブ・シーン内でのDJとして、他アーティストとの交流、コミュニケーションは極めて重要である。それはパーティーをやる上でも、DJプレイをするうえでもだ。彼はそのことを身をもって実感し、そして実践しているように思えた。それを証明しているのが、彼がオーガナイザーを務める、岩手高原でのレイヴ・パーティー〈MOUNTAIN MASSIVE〉の盛り上がりであろう。

「きっかけは、前の話にも出た東北レゲエ祭やAPPI JAZZY SPORTなどのフェスやイベントです。岩手でも全国から注目される大きなイベントが出来るということを、違うジャンルの先輩達が示してくれたんです。〈MOUNTAIN MASSIVE〉は、テクノやハウスなどの四つ打ち音楽をずっと盛岡で掛けつづけ、活動しているDJ仲間でやっています。同じような考えや感覚を持ち、協力していけるとても素晴らしい仲間です。直接運営に関わっていなくても、地域を問わず沢山の先輩や友達の協力があり〈MOUNTAIN MASSIVE〉を開催出来ています。改めて本当に本当に感謝です」

最後に彼が話してくれた〈MOUNTAIN MASSIVE〉を通じての実績から、明るい未来を感じずにいられなかった。今後の彼によるシーンの巻き込みと、トラックメイキングに多いに注目していきたい。

「テクノなどの四つ打ち音楽は、岩手ではとてもとても弱いジャンルだと思っています。自分達がクラブでイベント始めたときは時代もありお客さんがほぼいない状態で、やってもフロアから人がいなくなるというような状態でした。その時から考えると四つ打ちという音楽でたくさんの人が集まり、それを楽しみにしてくれている人が増えて、更に岩手にとどまらず、県外からの反響も多く、いろんな場所から遊びに来てくれるということがとても嬉しいです。さらに〈MOUNTAIN MASSIVE〉がきっかけで岩手に遊びに来てくれる方も増えました。〈MOUNTAIN MASSIVE〉を通して、人との繋がりや広がりを更に感じる事が出来ています」

インタヴュー & 文 : 浜公氣

LIVE INFORMATION

MOUNTAIN MASSIVE

2014年8月30日(土)@岩手高原スノーパーク
出演 : 石野卓球、DJ NOBU、80KIDZ、DJ SODEYAMA[ARPA records]、HABANERO POSSE、TAKAAKI ITOH(caico music)、NOB、and more…
時間 : OPEN : 18 : 00 / START : 19 : 00
料金 : 前売 ¥6,000円 / 当日 ¥7,000円

チケットぴあ : (Pコード:235-905)
ローソンチケット : (Lコード:27815 )
イープラス : eplus.jp

RECOMMEND

V.A / PARK COMPILATION 01

NOBも参加する、エレクトロニック~ロックを中心に注目作をコンスタントにリリースする新鋭レーベルPARKのレーベル・コンピ。MOUNTAIN MASSIVEにも参加する80KIDZがコンピ用に書き下ろした新曲をはじめ、HABANERO POSSEなど注目の気鋭アーティストの楽曲も収録。

King Tubbys / King Tubbys Meets Rockers Uptown

キング・タビーによる1973年リリースのルーツ・ダブの金字塔的作品にして、永遠のクラシック・ダブ・アルバム。空間を飛び回るサイケデリックなエコー、地を這うようなベースは文句無しの素晴らしさ。NOBによる今作『Outflow』のダビーな要素にも確実にリンクする音が詰まった作品。

>>OTOTOY配信中のレゲエ、ダブを紹介した〈ダブ入門対談〉はこちら

Mr.Scruff / Friendly Bacteria (Bonus Track Version)

ソウル、ヒップホップ、ジャズなどありとあらゆるアプローチをしつつも、常にユニークかつクールに仕上げるアーティスト、Mr.スクラフによる6年ぶりの作品。シーンのトレンドを取り入れつつ、シカゴ・ハウスの伝説的ヴォーカリスト、ロバート・オーウェンスや、ザ・シネマティック・オーケストラの主要メンバーであるフィル・フランスといった熟練のゲストが参加している。

>>今作を取り上げたクラブ・ミュージック連載〈More Beats + Pieces Vol.1〉はこちら

PROFILE

NOB 盛岡を拠点に活動するDJ / トラックメイカーであり、岩手開催の野外レイヴ・フェス〈MOUNTAIN MASSIVE〉のオーガナイザー。 2008年から地元盛岡でDJ活動を開始し、主催パーティーUmbilical Cassetteを通じて 石野卓球、SUGIURUMN、DEXPISTOLS、DJ KYOKO等、日本のトップDJ達を招聘し共演を重ね、 地元クラブ・シーンを担う若手DJとして活躍する傍ら、レゲエ・ベーシストとしても活動中。どこかユーモラスで軽快な上モノとバウンシーなビートが光るグルーヴィーな楽曲を数々生み出し、80KIDZやTAKU ☆ TAKAHASHIといった著名DJがヘヴィー・プレイ。 新レーベル〈PARK〉からリリースされた『Brass Beatz EP』(2013/03)、『Repeater EP』(2013/07)は ダンス・ミュージック専門配信サイト〈WASABEAT〉でチャートの上位に食い込むヒットとなった。

>>MOUNTAIN MASSIVE Official HP

[レヴュー] NOB

TOP