milch of source名義での活動やEeLのプロデュース等で知られるRyoma Maedaが、本名名義でニュー・アルバムをリリース。今作は実兄でもあるworld's end girlfriendがプロデュースを担当。ミックスはCOM.A、リミックスではSerphが参加。これまでの、どの作品よりメロディーはポップに突き抜け、ロック、パンク、テクノなどを取り込みカオスのまま圧縮して暴走するビートが満載。少年のむきだしの欲望と暴力と自由で描く、焦燥のエンターテイメント・エレクトリック・パンク・ミュージック!! 紛うことなき最高傑作をOTOTOYでは1週間先行でHQD(24bit/48kHzのwav)で配信!! さらに1曲フリー・ダウンロードでお届けいたします。

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Ryoma Maeda / FANTASTIC SUICIDE

1. I Want To Your Joke / 2. Stay Free, I'm Not Free. / 3. Roll Over Beethoveeeen
4. Do You Remember Punkish Radio? / 5. Good Night, Metal Guru
6. Ballad For 21th Century Girl / 7. We Will Funk You / 8. I Feel Mood
9. For Her Tennessee Waltz / 10. Meat Is Mahler
11. Are You Experienced? (in my life) / 12. I Want To Your Joke (Serph REMIX)

【配信形式】 HQD(24bit/48kHzのwav) / mp3
【価格】 共に 単曲 150円 / アルバム 1,500円

INTERVIEW : Ryoma Maeda

milch of sourceやmilky-chuなどの名義で活動してきたクリエイターが、本名であるRyoma Maeda名義でアルバムをリリースする。デヴィッド・ボウイの名曲「Rock’n’Roll Suicide」から拝借したという、そのアルバムのタイトルは『FANTASTIC SUICIDE』。「すてきな自殺」という。そして拝借したのはそれだけではない。曲のタイトルもそう。ロックの名曲から拝借したというタイトルを持った曲が並んでいる。フェイクなのかマジなのかハッキリとしない。むき出しのエンターテインメントに満ちたポップ・エレクトリック・ミュージックを標榜するクリエイターらしさが出ている。

そんなアルバムで展開されているのは、興奮に沸くロックのライヴの様子をエレクトロニックな音で描いたような、たくさんの音とたくさんの感情が吹き荒れる、にぎやかできらびやかな音楽だ。ロックのカーニバルなるコンセプトもあったというこのアルバムにおいて、Ryoma Maedaが表現しようとしたこととはどういうものだったのか。他の名義と違うことや、キャリアを重ねることにより変化してきたことはあったのか。本人にじっくり話を訊いた。

インタビュー & 文 : 小澤剛

Ryoma Maeda名義では作りたいものを作りたいときに作るような感じ

——Ryoma Maeda名義での作品のリリースは『FANTASTIC SUICIDE』が初めてですか?

Ryoma Maeda(以下、Maeda) : Ryoma Maeda名義では2000年のはじめ頃に1枚だけ出しているんです。半野喜弘さんのレーベルからリリースしました。

——Ryoma Maeda名義で目指している音楽やコンセプトはどういうものですか?

Maeda : milch of source名義ではダンス・ミュージックをベースにしているんです。Ryoma Maeda名義ではもっと自由にやっていますね。ダンス・ミュージックに捉われずに、作りたいものを作りたいときに作るような感じ。milch of source名義で曲を作るときとRyoma Maeda名義で曲を作るときの感覚の違いは、そういうところです。

Ryoma Maeda

——milch of source名義の作品と今回のRyoma Maeda名義の作品は、だいぶ作風が違うと思うんです。それで、これまでに聴いてきた音楽が気になりました。どういう音楽が好きだったんでしょうか。

Maeda : 10代の頃に音楽に入ったきっかけはブルーハーツです。それと、忌野清志郎が変名でやっていたタイマーズという覆面バンドは一番衝撃的でした。最初に影響を受けたバンドです。その流れでRCサクセションも聴くようになって、忌野清志郎は僕のアイドルでした。どちらかというと、そういうロック寄りの音楽をよく聴いていましたね。

——ロックからの影響は大きいですか。

Maeda : バンドをやっていたということもありますからね。楽曲のアレンジを考えるときにバンド的な発想はどこかに残っているかもしれません。

——ブルーハーツとかを聴いて、バンドをやるようになったんですか?

Maeda : そうですね、小学5年生ぐらいにはバンド結成してました。誰も楽器弾けませんでしたけど(笑)。僕は長崎県の五島列島という島の出身なんです。そこにはスタジオがなかったので、友達のおじいちゃんの畑に隣接されている倉庫の中でバンドの練習をしていました。電気もなかったので、発電機を持っていってやっていましたよ。それが中学の頃かな。その辺のガレージ・バンドよりもっとリアルにガレージ・バンドでした。ちなみに初ライヴはその畑の段々畑をステージにしてやりました(笑)。

——大きい音を出しても迷惑がかからないようなところだったんですか。

Maeda : まわりに家はあったけど(笑)。まあ、かまわずにやっていました。

——そのバンドではオリジナルの曲を作っていたんですか?

Maeda : 中学のときにやっていたバンドではオリジナルは作ってないですね。高校生ぐらいになってから始めた別のバンドでは、打ち込みとバンド・サウンドみたいな感じでオリジナルを作っていました。

——打ち込みで曲を作るようになったのは、何かからの影響があったんですか?

Maeda : バンドでは基本的にキーボードを弾いていたんです。ギターを弾くこともあったんだけど、たまに弾くぐらい。打ち込みでオリジナルの曲を作るようになった頃は、YMOが再結成した頃だったので、坂本龍一さんとかよく聴いていました。まぁキーボードをやっている人が聴きそうなものは、聴いていたというような感じです。そういう音楽を聴いて、打ち込みで曲を作るようになったということもあります。あと、マッド・カプセル・マーケッツとかがデジロック路線をやり始めたり、ナイン・インチ・ネイルズの「ウッド・ストック'94」の伝説のライヴを衛星放送で見たりして、そのあたりから影響うけました。

——お兄さんのworld’s end girlfriendからの影響は何かありましたか?

Maeda : 中学生ぐらいのときには2人とも音楽をやっていたんです。お互いに打ち込みをする機材を買って、曲を作っていました。その自分の曲を聴かせるというようなことはしていましたね。一応、対決形式でどっちがいい曲を作るか… というものでした。只、お互いが審査員でお互いに自分の曲のほうがよいと思って引かないので最終的には喧嘩になっていました(笑)。

——ロックからの影響が大きいようですが、milch of sourceやmilky-chuなどの名義の作品ではロックから少し離れている印象があります。レゲエやスカ、ダウンテンポを取り入れたような感じですね。

Maeda : milky-chuという名義ではダンス・ミュージックを複雑に崩したようなことをやりたいと思っていました。そのあとにmilch of source名義で作品をリリースしたときにはダンス・ミュージックに戻したかった。ライヴをやっていて、ライヴで踊れる曲がほしいなと思ったことがあったんです。そういうことがあったので、スカの裏打ちのリズムを取り入れたり、レゲエっぽい感じを取り入れたりしました。

少年の頭の中にある性欲や暴力、好きなロックなどがぐちゃぐちゃに渦巻いている

——今回の『FANTASTIC SUICIDE』はどうですか? 躍らせたいという意識はありますか?

Maeda : 『FANTASTIC SUICIDE』では踊れるかということは、ほとんど意識してないです。エレクトロニックな音楽を作っているので、踊るという要素があるとは思うんですけどね。楽しい気持ちになるとか、ワクワクするとか。基本的にはいつもそういうことを考えながら作っています。

——女性ヴォーカルのEeLさんとのインタビューのときにも、聴き手にはシンプルに楽しんでもらえればいい、ということをおっしゃっていますね。その感覚はmilch of sourceやmilky-chuでリリースしていた作品とは違う感覚ですか?

Maeda : まったく違うということはないですが、考え方はどんどんシンプルになっているかもしれないです。この小節で展開すると踊りにくいとか、次の曲に繋げにくいとか、昔はそういうことを考えながら作っていたのかも。今はそういうことを考えずに、自分が楽しくなることを前提にしているような感じです。自分がアガる瞬間が出てくるまで曲を作るんです。それが出てこないと、完成に至らない。楽しいというより、アガるという感覚の方が近いですね。

——今回は全部で何曲ぐらい作ったんですか?

Maeda : ボツになった曲はほとんどありません。1曲作って、それをプロデューサーのworld’s end girlfriendに渡して、アドバイスをもらってから作り直す。そういう流れで作っていきました。

——アドバイスというのは、どういうことを言われるんですか?

Maeda : この小節の間にノイズっぽいギターを入れようとか、この曲のアウトロの部分にこういう感じのものを付け足そうとか。そういうアレンジの部分が多いです。この曲はこうした方が人に伝わりやすいとか、この部分をこう強調した方がいいとか、そういうことも言われました。

——world’s end girlfriendに曲を渡すときには、こういうふうにしたいというような要望は何か伝えるんですか?

Maeda : 曲を最初に渡すときは、何も説明せずに渡します。まっさらな状態で聴いてもらって判断してもらいたい。自分が好きなように作った曲に対して、アドバイスをもらうということですね。アルバムのコンセプトも、ほとんどの曲ができあがったあとに話したんです。

——Serphのリミックスも入っています。この場合は何か要望は言ったんですか?

Maeda : 曲は指定しました。この曲のリミックスをしてほしいということだけを言って渡したんです。Serphさんが作っている音楽と全然違う感じの曲のリミックスをしてもらったほうがおもしろいと思って、曲を選びました。こういう感じにしてほしいというような要望はしていません。

——できあがった曲を聴いてどう思いましたか?

Maeda : やっぱり、Serph色に染まるんだなと(笑)。

——『FANTASTIC SUICIDE』を日本語に訳すと「すてきな自殺」です。どういう理由でこのタイトルにしたんですか?

Maeda : コンセプトとしてあったのは、少年の頭の中にある性欲や暴力、好きなロックなどがぐちゃぐちゃに渦巻いているというもの。ジャケットを作るときに、ジャケットのデザイナーのHR-FMさんにそのコンセプトを伝えたんです。そうしたらHR-FMさんが、少年が自分の頭を水鉄砲で打ち抜いてて、自分の頭からいろいろなものが出ているというイラストイメージを提案してくれました。それがいいアイディアだと思ったので、ジャケットはそのデザインでいくことにしました。

もうひとつのコンセプトとして、ロックのカーニバルというものもあった。『FANTASTIC SUICIDE』に入っている曲の曲名を、ロックの名曲からパクったのは、そのコンセプトがあったからなんです。デヴィッド・ボウイの「Rock’n’Roll Suicide」という曲から、『FANTASTIC SUICIDE』というタイトルが浮かびました。world’s end girlfriendとアルバムのタイトルをどうしようかという話をしているときに、デヴィッド・ボウイのタイトルとかいいよねという話になった(笑)。ファンタスティックと自殺という言葉のギャップもいいし、ジャケットもリンクしている。だから、いいよねという話をして。

——すごく有名なロックの曲から曲名を引用していますね。

Maeda : 曲ができあがったあとに、この曲はどの曲に近いかなということを考えながら、組み合わせていきました。何かの曲を意識して曲を作るということはなかったです。アルバムの1曲目の曲は、最後の部分にジャクソン・ファイヴの「I Want You Back」のメロディを入れて、わざと「I Want You Back」に近付けていきました。でも、基本的にはそういう作り方はしていないんです。何かの曲にインスパイアされて作るということもきっかけとしてはあるんだけど、できあがった曲が全然違うものになってしまう(笑)。この曲にインスパイアされて作りました、ということを言わなくてもいい曲になってしまうんです。

——Maedaさんのプロフィール文の中に、反復できないダンス・ミュージックという言葉があります。『FANTASTIC SUICIDE』を聴いて、反復できないのではなくて、反復させたくないのかなという印象を受けました。

Maeda : それは僕が飽きっぽいというところがありますね(笑)。あと、マイク・パットンが好きなので、マイク・パットンの影響もあります。ぐちゃぐちゃに聴こえるんだけど、実はすごく構築されているものが好き。崩れているようで崩れてないという、微妙なところに持っていきたいと思っています。完全に崩すとおもしろくない。『FANTASTIC SUICIDE』のジャケットもそう。ぐちゃっとしているけど、ひとつひとつはすごく細かく構築されている。そういうものが好きです。

——プロフィール文には緻密すぎるパンクという言葉もあります。緻密に作っている感覚はあるんですか?

Maeda : 複雑に作ることが好きなんです。複雑に作っているけど、シンプルに聴こえるようなものが好き。最初にガーッと音を詰め込んでいって、引き算をしながら、どう構築していくか、どう組み立てていくか。そういう感じで作っています。サンプリング・ミュージックからの影響も強いので、いろいろな音楽をごった煮して、構築する。緻密に構築するというのが自分の音楽性だと思う。

——緻密に構築するというところはworld’s end girlfriendにも繋がるような気がします。

Maeda : world's end girlfriendも構築するのがすごく好きだと思う。構築するというところではわりと近いかもしれないですね。world’s endgirlfriendは暗い方というか、ダークサイドに行く。だけど、僕は明るくて壊れているという方向に行く。その違いはあると思います。ま、でも実際はお互い根暗だとは思いますが(笑)

自分の身近な友達をニヤッとさせたい

——Ryoma Maeda名義ではこれが2作目ということですが、今回の作品で何か変えたところや変わったところはありますか?

Maeda : 前よりポップになったかもしれません。分かりやすいメロディを入れるようになりました。それは聴き手を楽しませたいということにも繋がりますね。小難しいことはあんまり考えなくなったかもしれない。そう言いつつ、細かく作っているんですけど、発想はシンプルになったかもしれません。

——それはなぜそうなったんでしょう?

Maeda : なぜでしょうね? 大人になったからかもしれない(笑)。あと、自分の身近な人達を楽しませたいという考えに変わってきたこともあります。自分の身近な友達をニヤッとさせたいという感じで作っているんです。最近、そういうシンプルな考えに変わってきました。不特定多数の人を喜ばせようと思って曲を作ることはあんまりないんです。これは大人になったということなんですかね? 昔はどう考えていたか覚えてないけど(笑)。

——その身近な友達というのは音楽をやっている方ですか?

Maeda : 音楽をやっている友達もいますし、そうではない友達もいます。あの人にこの曲を聴かせたら爆笑しそうだな、とかニヤっと笑いそうだなとか、おもしろがってくれそうだなとか。そういうことを考えながら作っているんです。自分の音楽をおもしろがってくれる人に対して作っているような感じですね。

——Ryoma Maeda名義ではどういう活動をしていきたいと思っていますか?

Maeda : Ryoma Maeda名義でライヴをやろうと思っています。ドラムを入れたバンド編成でやるつもりです。ギターウルフのシンセ版みたいなものをやろうという話もしているんです(笑)。ショルキー(ショルダーキーボード)が2人とドラムという編成でやりたい。みんなで革ジャンを着てライヴをやろうと言っています(笑)。次のアルバムはギターウルフのシンセ版みたいなアルバムになるかもしれない。

——その他の名義も含めた活動はどうでしょうか。

Maeda : どういう形であろうと、音楽を作り続けていければいいですね。頼まれれば何でもやるというような感じでやっています。僕にとって曲を作るということは、ごはんを食べるとか、寝るとか、そういうことと同じような感覚なんです。

——日常的に曲は作ってらっしゃるんですね。

Maeda : 基本的にずっと作っています(笑)。作らないという感覚があんまりない。曲をストックするという感覚はないので、作ったら出すという感じです。曲をウェブ上にアップすることもあります。曲を作り始めたときはけっこうキツいんです。どの曲でもキツい。「俺は才能ないな」ということをいつも思う。曲を作り始めたときは音楽が楽しいとは全然思わないんです。でも、曲が8割ぐらいまでできてくると、「俺は天才だな」と思う(笑)。曲ができてくると、楽しくなってくる。それで、曲が完成したら、「やっぱり俺は天才だな」と思う(笑)。その繰り返しです。曲が8割ぐらいまでできて、そこから完成に至るまでが気持ちいい。それが中毒になっているんでしょう(笑)。とにかくずっと音楽を作っていきたい。これからも何度も曲が完成した後に「俺って天才だな」って思いたい(笑)。そんな感じです。

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PROFILE

Ryoma Maeda

幻想交響少年晩年音楽家

初期衝動と郷愁をカットアップ、反復できないダンスミュージック、緻密すぎるパンク。すべてのスタイルを破壊しフェイクにしてしまうほどのむき出しのエンタテイメントに満ちたポップ・エレクトリック・ミュージック! Virgin Babylon Record/ROMZ record所属、milch recordsオーナー

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この記事の筆者