thai kick murph / DELTAATTACK
彩りときらめきで新世代ポップスを好戦的に切り開く! thai kick murphが新作『DELTAATACK』をリリース。ROVOやoono yuuki等の録音で知られる近藤祥昭によるクリアでありながらアグレッシヴなバンド・サウンドの中を、女性のボーカル&コーラスが妖精のようにふわふわと漂う。耽美的でありながらコミカル。流麗で切なくも疾走! とどまることを知らないthai kick murphが送る新感覚音楽を目撃せよ!

【TRACK LIST】01. タイキックオリンピック / 02. プチャ / 03. ファウスト / 04. ネオネオホンコン / 05. アルキメデス / 06. ヨウセイ / 07. ワルツ / 08. ハロ / 09. メタルケバブ / 10. アイランド


万華鏡のごとく変化する色彩と模様、その攻撃性

突き抜けたポップ万華鏡、thai kick murph。一部店舗のみでの発売だった前作『Olympia』から約2年半、満を持しての初の全国流通盤『DELTAATTACK』が私たちのもとへ届いた。2007年末に地元の同級生同士が集い結成、2008年ギター加入後、ライヴを中心に積極的な活動を始める。現在のメンバーは、ウチヤマヒロト(guitar)、ミヤオヨウ(vocal/keybord)、セキエツミ(bass/vocal)、カネダツカサ(drums)の4人。

彼らの特徴はバリエーションに富んだカラフルなポップ・サウンドにある。筒を覗き込み回転させると光が鏡で反射しさまざまな色や模様が浮かび上がってくる万華鏡のように、時に後期スーパーカーばりのダンサンブルなチューン、時にくるりの「ばらの花」を思わせるしっとりとしたバラード、それぞれの楽曲によって異なった色合いを持つサウンドがリスナーを魅了する。筒の中を覗いていると「次はどんな幻想的な世界が出てくるのか」と心が躍り何度も回転させたくなるように、曲によって色を変えるその天性のポップ・センスが、または同郷の4人だからこそ生まれた独自のユーモア・センスが、彼らの生み出した音楽の至る所に散りばめられている。

さて、今回の新譜『DELTAATTACK』なのだが、デルタアタックとはどういう意味なのだろうか? 筆者が調べたところ、「ファイナルファンタジーⅣ・Ⅴ・Ⅹに出てくる特殊攻撃の名前」とあった。特殊攻撃… ? メンバーがその意味でつけたのかは不明だが、中身を聴いてなるほど4人が織り成す音の特殊攻撃に打ちのめされてしまった。

全パートが息をそろえて一斉に駆け出す1曲目「タイキックオリンピック」を皮切りに、攻撃態勢に入った彼らは振り返ることなく疾走していく。タイトル・楽曲共に遊び心満載の「ネオネオホンコン」「メタルケバブ」、センチメンタルなメロディーラインと高音で鳴るピアノが不思議な高揚感を誘うバラード「ワルツ」など、次はこうくるのか! と、その意外性に胸が躍る。全体を通して、時にノイジー、時にメロディアス、と言うように曲によってコロコロと表情を変えるバンド・サウンドに乗るミヤオヨウの声が素晴らしい。各方面から「妖精の声」と謳われているように低音から高音へと伸びやかに突き抜けるそのボーカルは、クラムボンの原田郁子を彷彿とさせる。その声にセキエツミの絶妙なコーラスが乗り、ふわふわと天に昇っていくかのような何とも言えない高揚感が生み出される。

最終トラック「アイランド」で、「どこまでいけるか? 」と問いかけ本作は終幕を遂げる。ラストへ向かって壮大になっていくメロディと心地の良いボーカルが、聴き手を宇宙へと誘う。本作で彼らは一体どこまで行ってしまうのだろうか? そんなことを考えてしまう会心の作品だ。(text by 碇 真李江)

LIVE SCHEDULE

thai kick murph "DELTAATTACK" release party!!
2011年8月6日(土) @新代田FEVER
OPEN 18:30 / START 19:00
前売り : 2000円 / 当日 : 2500円 (共に+1drink)
w / to be announced!

2011年8月28日(日) @タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
START : 17:00~18:00

PROFILE

ミヤオヨウの持つ妖精の声とエツミセキの絶妙なコーラスにより生まれるハーモニカルなヴォーカル音を武器に、ファジーかつファニーなポップネスを奏でる。ダンサブルに突き抜けた楽曲と、そのポップさとは裏腹に激しいパフォーマンスによるライヴは「発狂と笑顔のライヴ」と評され、中毒者続出中。2008 年10 月、東京大学で毎年開催されているフェス「komamorphose」主催のFRUTHが立ち上げたレーベル「NUEMANN(ノイマン)」の第一弾シングルとして『thai kick murph』を発売。同レーベルより、2009年2月1日1st album『olympia』を発売。2009 年4 月にはCRJ-Tokyo とdisk unionとの共同リリースによるコンピレーション・アルバム、『サウンドポタージュ』に鴨田潤(イルリメ)、まつきあゆむ、シグナレス(ゆーきゃん with あらかじめ決められた恋人たちへ)等に並び参加。また、2011年3月には、東京カランコロン、THE ラブ人間等とともにDJパーティー『New Action!』から誕生したコンピレーション・アルバム、『New Action!Compilation Vol.1』にも参加。それを受けて、東京カランコロンとタワーレコード新宿店にてインストア・ライヴを行った。2011年7月、近藤祥昭の録音により、初の全国流通作品となる待望のニュー・アルバム『DELTAATTACK(デルタアタック)』を遂にリリース。

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東京音楽シーンを歩くストレートにひねくれたポップスたち

シャムキャッツ / 渚

シャムキャッツ流キラー、サーフ・チューン「渚」と、活動初期からアレンジを変えつつ演奏され続けている名曲「忘れていたのさ」の新録バージョンを収録。プロデュースに古里おさむ(uminecosounds)、エンジニアにキリンジなどを手掛ける柏井日向を迎え、ジャケットデザイン&イラストを小田島等(過去作品にくるり、サニーデイ・サービスなど)が担当。

Alfred Beach Sandal / One Day Calypso

カリブ海のキャプテン・ビーフハート? Alfred Beach Sandalこと北里彰久のソロ・プロジェクト。ライブ会場と一部店舗限定の発売ながら好セールスを記録した自主音源『Alfred Beach Sandal』に続くファースト・アルバム。ガット・ギターでつま弾かれるブルージーなポップ・ソング集。ファンク、ソウル、アフリカ、カリブ、ラテンなど「肌の色の濃いめの音楽」へのフェティッシュな愛情と、歌ものと朗読の合間を自由に行き来するポエジーなボーカル、そして、日本、アメリカ、メキシコ、エトセトラ… 異国の、実在する、誰かの生活を俯瞰したかのような、大胆なストーリーテリングで綴られた全10曲を収録している。

まつきあゆむ / 自宅録音

14歳からひたすら自宅録音を続け、2005年、ファースト・アルバム『自宅録音』で世界に登場。立て続けにCDを制作、発表し、3年半の活動後、ライブ・アクトを全面的に一時停止。同時進行で「新曲の嵐」と称してmyspaceのサイト上で毎週月曜日に新曲の永続的更新を宣言し(07年9月17日よりスタート)、作曲録音を世界へ発表し続ける。そんなオルタナ・スニフキンの2005年の第一作。

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