トランプ、ミーゴス、ゆるふわ、そしてPUNPEE──渡辺志保に訊く、OTOTOYトピック2017ヒップホップ編

ということで、OTOTOYの年末企画としてさまざまなジャンルの識者に、その年のポイントを訊くという企画「OTOTOYトピック2017」スタートです(年間ベストももうすぐ発表ですよ)。トップ・バッターはヒップホップ。本文中にもあるように、本国アメリカはもちろん、ここ日本も含めてヒップホップ、そしてラップという表現は世界中のポップ・カルチャーを席巻しております。ということで、ここで「いまのヒップホップってどうなっているの?」というOTOTOY編集部の問いに快く答えてくれたのは、block.fmの名物ヒップホップ番組「INSIDE OUT」のMC、さらにはさまざまな文章仕事でもおなじみ、日米のヒップホップはもちろんアメリカのアップデーテッドなポップ・カルチャーにも詳しい、渡辺志保を迎え、2017年、ヒップホップにまつわるトピックをいくつかあげてもらい語っていただきました。それではどうぞ。

米トランプ新政権誕生 〜ヒップホップのメインストリームはよりコンシャスに〜

インタヴュー & 構成 : 高木理太


──まずは日本も含めた大きなヒップホップの現状ということで、お話いただきたいんですが、まずはトランプ政権の誕生がひとつのトピックに。反トランプ政権、もうひとつ踏み込むと、例えばケンドリック・ラマー(2016年)やATCQ(2017年)のグラミー受賞式、ビヨンセのスーパーボールでのパフォーマンスとか、ファーガソンの白人警官による黒人青年の射殺事件で問題が大きくなったあたりを契機にヒップホップやR&Bには元からあった反レイシズムをテーマにした流れがメインストリームのトピックとしてここ数年強くなりましたよね。

数年前からアメリカ社会、そしてヒップホップ界隈では「#blacklivesmatter」というハッシュタグがすごくブームになったり、ファレル・ウィリアムズらも人種差別への反対を訴えたりしているっていう流れがありました。そこに加えて、去年の秋にいよいよトランプが選挙に勝って今年の1月から新政権が発足して、やはりここで、そういうものに対するトピックはとても増えた印象ですね。その中でも今年象徴的だったのはやっぱりケンドリック・ラマーの『DAMN.』、そしてジェイ・Zの『4:44』の2枚のアルバム。そしてジョーイ・バッドアスも前作とアプローチを変えた新作『All-Amerikkkan Badass』をリリースして、そこでは「現状に不満はあるけれどもそこをポジティブな気持ちで頑張っていかなければいけない」というようなメッセージを込めていて。あとはロジックも『Everybody』というアルバムをリリース。彼自身も出自としてはマルチ・レイシャル、白人のお母さんと黒人のお父さんがいて、自身の永遠のテーマとして自分のアイデンティティをどっちにもっていけばいいかわからないっていうのがあるんですけど、それがより顕著に出たのが今作だったんだと思います。


Kendrick Lamar - HUMBLE.


JAY-Z - 4:44

──ケンドリックとジェイ・Z、まさにベテランと現在の2トップですね。

ちなみにケンドリックの『DAMN.』は2017年のアメリカで2番目に売れたアルバムなんですね。で、実は1番はテイラー・スウィフトの、11月にでたアルバム『REPUTATION』。ヒップホップ好きとしてはテイラーに負けたのが悔しくて(笑)。逆に言うと、テイラーがアルバムを出すまではケンドリックの『DAMN.』がアメリカでもっとも売れたアルバムだったんです。そして、第60回のグラミー賞のノミネートが最近発表されたんですが、最多ノミネート・アーティストがジェイ・Z、その次に多かったのがケンドリックでした。その2人のアルバムはベスト・レコード・オブ・ジ・イヤー、ベスト・アルバム・オブ・ジ・イヤーにもノミネートされてるという。真っ向からアンチ・トランプを掲げているヒップホップの2作品がそこに選ばれたというのはアメリカの国民の声、世論が反映されてる証拠かつ、商業的にも成功しているということなのかなと。

──ちょっと話はずれますけど、グラミーもいまやヒップホップ、R&Bが前面に、ロックはその影に隠れているというか。

「ニールセン」という日本でいうオリコンみたいなアメリカの機関があるんですけど、2016年からの数字も入るんですが、そこの発表で初めてヒップホップ、R&Bの売り上げがロック、ポップスを上回ったんですよ。アメリカではそのシェア率が25%だったかな?それが過去最高になって。トランプ政権が生まれて、よりヒップホップ、ラップというものが何か大切なメッセージを伝えるための手段みたいにフォーカスされてる証拠かなと感じていますね。

サウス・ラップ無双時代 〜ミーゴス、そしてフューチャー〜

──ということで、今年のアメリカでヒップホップでブレイクした人たちといえば、ミーゴス、そしてフューチャーっていう感じですかね。

彼らはサウス勢で、歌っている内容もコンシャス・ラップとは真逆で、俺たちはドラッグと女さえあればOKみたいな(笑)。彼らはおもにジョージア州アトランタ出身のアーティストなんですけど、アトランタって90年代だったらアウトキャストとか00年代であればリュダクリスとかT.I.なんかを筆頭に常にコンスタントにヒット・ラッパーを輩出してきた都市ではあるんです。


Migos - Bad and Boujee ft Lil Uzi Vert (Official Video)

それがまたここ1、2年でヒットを出すペースが早くなっていて、今年ミーゴスが出したアルバム『Culture』はビルボードで初登場1位を獲得して、フューチャーもアルバムを2週連続で2枚『Future』『Hndrxx』をリリースして。それぞれ発売した週に1位に輝いてたんですけど、ビルボード・チャートで1人のアーティストが2枚のアルバムで交互に1位を取ったのはアメリカ史上初の快挙なんです。そういった輝かしい記録をアトランタのドラッグ・ディーラーだったMCが勝ち取ったっていうのは超ヒップホップ・ドリームで面白いなと思っていて。アトランタのとなりには、マイアミのあるフロリダ州があるんですけど、マイアミ勢も今年コダック・ブラックや、リル・ピープとも仲のよかったリル・パンプっていうとか、マイアミのゲットーなエリアから出て来てた子がいるんですけど、そういったアーティストたちもすごく健闘していて。今年1年に限らずここ数年ですが、ニューヨークやLAではなくサウスのシーンがアメリカのシーンを席巻したっていうのは面白いなと思った出来事ですね。

ドラッグとアメリカのヒップホップ・シーン 〜ドラッグ、鬱、エモみ〜

──リル・ピープがこの前亡くなってODだったんじゃないかという話もありますが、ヒップホップと地域によってというのもあると思うんですが、いまアメリカのラップ・カルチャー周辺とかではドラッグはなにが流行っているんですが?

「ザナックス(Xanax)」っていうもともとは医療用の薬があって(短期間作用型抗不安薬および筋弛緩薬の一種)。「ザン」とか「ザニー」とか呼ばれていて、「XAN」と書かれることが多いんですが、リリックにも頻出するドラッグかなと思います。あとフューチャーなんかも「ザニー・ファミリー」、つまりは「俺たちみんなザンで気持ちよくなる派ね」とかってラップをしていたり。先日亡くなってしまったリル・ピープとかも使ってるドラッグだったんですよ。でもこれがパーティー・ドラッグって感じじゃない気がするんですよね。MDMAとかの合成麻薬というよりかは、抗うつ剤とか鎮痛剤の処方箋でもともと買うものなので。


Lil Peep - Awful Things ft. Lil Tracy (Official Video)

──医療用の鎮痛剤をヤっちゃうダウナー系ってことか。なんか鎮痛剤の話だとマイケル・ジャクソンとかホイットニー・ヒューストンとか、プリンスなんかもその死因として噂されてますよね。

ちなみにリル・ピープというのはアップカミングなラッパーで、白人、顔までタトゥーをがっつり入れていて、さらにバイセクシャルっていうことも公言していたんですね。ある種、ロックスターみたいな感じで若者やLGBTの子からも支持されてるようなアーティストだったんです。

──いままでのイメージ、といっても古いかもしれませんがアフロ・アメリカンが中心のラップ、マッチョで下手したらホモフォビアな部分があったりなんていうイメージとは違いますよね。

NYタイムズなんかは彼のことをいち早く「21世紀のカート・コバーン」と評していて。ある意味で、早逝のアーティストとして彼がより神格化されることもあるでしょうけど、でも、ドラッグとそこが密接な部分もあるのは、ちゃんと社会的な問題として考えなければならないのかなと思ってますね。リル・ピープ、あとはXXXテンタシオン、トリッピー・レッドやリル・ウーズィー・ヴァートなんかも、ラップ的には「俺は鬱だし、誰もわかってくれない」というようなことをリリックにしていて。彼らのことを「中二病」とか「かまってちゃん」ぽいって言ってしまうのは簡単なことだけれども、裏を返すと彼らのことを熱烈に支持している同世代の若いリスナーもいるっていうことで、ドラッギーで鬱っぽい描写をしつつも、彼らの存在がこそがそうしたリスナーにとって救いの手になってるっていうのはひとつある気がします。

──ある種の鬱屈した若者の代弁者としての存在だと。

あとは音楽性の話をさらにすると、トラックがドリーミーというかふわふわっとしていて、ギャングスタ・ラップのような勢いのあるフロウではなくフロウ自体もゆるっとしてるっていうのはありますね。でも歌ってることはドラッギーっていう。ゆるふわギャング、NENEも同じような感じなのかなと思っていて。彼らもトラック自体はドリーミーなんだけど、リリックにもそういう匂いがしてたりとか、とにかくいまのアメリカのそういう部分のヒップホップと地続きなのかなと。NENEも攻撃的でイケイケなリリックもあるけど、ラップの語り口はふわっとしていて。だから日本でもゆるふわギャングをきっかけに今後そういうラッパーがもっと出てくるのかなというのは若干思ってます。

レーベル Mary Joy Recordings  発売日 2017/04/05

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

──昔だったらグランジのバンドをやってたかもしれない白人の若者というか、とにかくラップっていう表現が人種とかそういうものと関係なくアメリカのポップ・カルチャーの中心にあるってことですよね。

自己表現のツールとしてのラップってアメリカでも多様化してるし、同じく日本でも多様化してると思うんです。なので、そこはドラッグや鬱ってことを除いたとしてもひとつツールとしてでかいものになってるなってのは思いますね。いま20代前半の世代が物心ついてラップを聴きはじめたのが、10代前半、そうすると2005年ぐらい。エミネムや50セントとかが大ヒットを飛ばしてるような時代で、ファレル、ネプチューンズのようなサウンドが普通だったし、ラップがトップテンに入っていて当たり前みたいな時代。逆にバンドを組んで楽器やろうとかっていうよりも、パソコンとかスマフォ、インターネットなんかを駆使してトラックを作るという環境が当たり前で、ヒップホップ自体が身近だったのかもしれないですね。

フィメールMC 〜新たな躍進〜

──お次は女性MCで。

今年のアメリカでお騒がせキャラみたいな感じ、名を轟かせた存在としてカーディ・Bという女性がいて。メディアの露出度でいうと、日本でいうブルゾンちえみとおなじぐらいお茶の間に出てた感じの人なんですよ。でも彼女がラップ・デビューして、今年「Bodak Yellow」という曲が口コミで大ヒットして、それがビルボードの総合チャートの1位を取っちゃったんです。

彼女はもともとブロンクス出身の女の子でストリップバーでバイトしていて。そんな彼女のブレイクのきっかけというのがインスタの動画なんですけど、「嫌なお客さんあるある」みたいなのを自撮りしてポストしてたんですね。それが世の中的に受けて、ニューヨークのお騒がせ女子を集めた『Love & Hip Hop: New York』というリアリティー・ショーに出演して一気に知名度をあげて。


Cardi B - Bodak Yellow (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

さっき言ったビルボードの総合チャートの1位をとった曲なんですが、なんと女性のソロのラッパーがシングルを出して1位になるっていうのはローリン・ヒルの「Doo Wop (That Thing)」(1998年)以来なんです。ニッキー・ミナージュさえも手が届かなかったものが、SNS発の面白キャラみたいな子が取っちゃうっていう。リアルなラップ好きからしてみれば「えー!」みたいな感じもあるんですけど、彼女は愛されキャラでもあるので、ビルボードで1位を取った瞬間にビヨンセとかリアーナもインスタで彼女におめでとうってメッセージを送ったりもしていて。思ったよりはウェルカムな状態ではあるんです。

──アーティストの姉さんたちにも可愛がられていると。

あとはミーゴスのオフセットというメンバーと彼女は付き合っていて。その付き合ってる様子もインスタとかにあげちゃうというような人たち。少し前にフィラデルフィアのアリーナであった大きなイベントで彼女が歌ってる最中に、彼がひざまずいて指輪を渡すっていうニュースもあリました。ミーゴスのブレイクもあったから、彼女は今年の「勝ち組オブ勝ち組」みたいな(笑)。いまの女性が欲しいと思っているようなものを全部ここ数ヶ月で手に入れちゃったんですよね。

──なるほど、わりとここは海外エンタメ的なニュースですが、実力派の叩き上げみたいな人たちだとどうなんでしょうか。

一方でラプソディという女性が今年は活躍して。彼女はケンドリックの『To Pimp a Butterfly』に女性のラッパーで唯一フィーチャーされてる存在なんですけど、ケンドリックのアルバムに参加していることからも分かるように、クレバーでスマートなラップをする子ですね。今年ナインス・ワンダーっていうベテランのプロデューサーと組んでアルバム『Laila's Wisdom』を出したんですが、この作品もグラミー賞にノミネートされました。アメリカのメインストリームの女性ラッパーっていうとニッキー・ミナージュやカーディ・Bのようにどちらかというと、キャラ立ち上等みたいなかんじだったんですけど、その一方でラプソディのアルバムが評価されるとていうのはいいシーンのバランスだなとは思ってます。


Rapsody - Power ft. Kendrick Lamar, Lance Skiiiwalker

──なるほど。

そして日本ではNENE、Awich、あっこゴリラ、ちゃんみな、MARIA、chelmicoとかバラエティ豊かなMCが出てきてますね。女性って出産とかライフステージが変わるとダイレクトに音楽活動に反映されることが多いじゃないですか。だから日本のフィメールMCって「長年にわたってものすごく活躍しました」みたいなロールモデルがあまりいない印象があって。

──Awichはアルバムにお子さんが参加してましたよね。

だからAwichとかはニュー・タイプですよね。彼女はキャリアも長いので、そのぶん肝が座ってるというか。彼女はアトランタに数年住んでいて、そこで知り合った旦那さんとの間に身ごもった子がアルバムには参加してるんですけど、かつ旦那さんはドラッグディーラーで銃殺されちゃってるっていうすごいバックボーンを抱えています。そこを落とし込んでいいリリックも書いてるし、そのブレなさに女の子が惹かれるっていうのはすごくいいなと思ってますね。

──今年はゆるふわもあって最後にNENEのソロも出ますね。

NENEこそニュー・タイプだなっていう存在で、もともと地道にラップ活動はしてたんですけど、去年から今年にかけてゆるふわギャングとしての活動で一気に花開いたって感じじゃないですか。見たら分かるけど彼女も全身タトゥーだらけだし、リリックからも間違いなくいろんな経験を経てるんだろうなっていうのが分かるキャラクターというか。それでも啖呵切るようなラップをしたり、フリースタイルがめちゃくちゃ上手くてトリッキーな言葉のデリバリーをするっていうタイプではなくて、酩酊感のあるドリーミーなトラックとフロウなんだけど、言ってることは鋭くてイケイケだったりするから、そういうところに憧れる女の子も絶対いるだろうなと。なので、そういうロールモデルのような存在になってほしいなと思いますね。名前もSophieeからNENEに改名してよりNENEの方が、素の自分に近い名前だと思うので、そこで心機一転、トランスフォームって感じでラッパーとしていいものを作ってほしいなっていう期待はあります。

レーベル Mary Joy Recordings  発売日 2017/12/06

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ヴァイラル・ヒット 〜SNSを意識した動画、ヴィジュアル戦略〜

──ということでお次は時代を反映したSNSネタ。

この間須藤凛々花ちゃん(元NMB48)と話した時に何で情報を得ているのかって聞いたら、ツイッターと言っていて。

──ツイッターなんですね。一時期ツイッターは若年層が離れているなんて話も聞きましたが。

揺り戻しなのか分からないですけど、本当に二十歳くらいの若い子とかはツイッターがデフォルトなのかな? 同時に、SNSがヒットを作る場にもなってると。ちょっと前だとアメリカではSNS上で流れて行く(インターネット)ミームがすごい流行って。そのミームの王様と呼ばれたのがドレイクだったりするんですけど、彼はネットでネタにされることを前提として色々リークとか写真を出していて。

──これが日本のヒップホップ・シーンにも本格的にきたのが2017年という。

日本でもSNSがそういうヒットの場所になって来ているかなってのは感じるところではあって、その中でも顕著だったのはJP THE WAVYなのかなと。彼の作ったビデオ「Cho Wavy De Gomennne」も、私はそのMVのダンスを真似している方のビデオを見て、その元ネタの彼のことを知ったんですよ。あの曲を使ってみんなが踊ってるビデオがツイッターでバッと広まって。彼本人も元々ダンサーだったので、ビデオの中でも踊っているし、とにかくキャッチーで分かりやすいフロウっていうのが人気を得る1つのエッセンスだったのかなと。ネット、特にインスタやツイッターでヒットになってるなって感じた初めての日本人のラッパーだったかもしれないですね。


JP THE WAVY - Cho Wavy De Gomenne

──たしかにダンスを起点にして流行ったのは初めてかもしれないですね。

かつ彼はアパレルのお店で働いていてルックスもいいし、ダンスも出来てラップも出来るっていう新たなカリスマティックな日本のMCになっていくんじゃないかなと思っていて。kiLLaなんかもそうかな? 彼らは特にインスタの使い方が上手いなと思いますね。YDIZZYやNENE、ELLE TERESAなんかはツイッターよりも断然インスタの方がフォロワーが多くて、そこで新曲をチラッと公開してみせたりとか、ライヴの様子を逐一発信したりだとか、若い子たちのSNSの活用法+今のヒップホップのクールさとか面白さっていうのが日本でも紐づいてるなというのは今年かなり感じました。

レーベル kiLLa / bpm tokyo  発売日 2017/09/27

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

──ちなみにもともと“WAVY”も、ヒップホップ周辺で広がっていったことばなんですよね。

「WAVE」って波って意味じゃないですか。JP THE WAVYくん本人に聞いたときは、彼自身が「元々天然パーマ」というのと、あとは湘南出身だから「波」というのがかかってるらしいんですけど、元々はエイサップ・ロッキーとかが流行らせたスラングで。「超カッコいい」って意味。だから「Cho Wavy De Gomenne」というのは「超カッコよくてごめんね」っていう風にそのまま翻訳できるんですけど、そういうイケてるって意味ですね。新しい靴を買って、「それ超“WAVY”じゃん」みたいなことを言う若者が原宿界隈にいるとかいないとか(笑)。

レーベル   発売日 2017/08/25

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

フリースタイルとストリート・ヒット 〜日本でのシーン拡大〜

──これはもう言わずがなっていう感じはありますが一応。

「フリースタイル・ダンジョン」の開始自体は、2015年の9月。ちょうど2年目を迎えていて、番組自体もモンスターが入れ替わって2クール目に突入していて、まかれた種が2017年にようやくいろんな形で結実していったのかなって思ってるんですよ。T-Pablowは元々高校生ラップ選手権で2連覇、双子の弟のYZERRも優勝した経験があって、その2人がいるクルーのBAD HOPが、今年初めて正規流通のアルバムを出した。そして今、精力的にツアーを回っていたりとか、R-指定のCreepy-Nutsに関してもメジャー・デビューして、サイプレス上野とロベルト吉野も今年キングレコードからメジャー・デビューしてっていう。「フリースタイル・ダンジョン」周辺以外でも、すごくザワザワしてるなと感じた1年でしたね。

──10年ぐらい前ってアンダーグラウンド・ヒップホップはありましたけど、あまり新しいアーティストがメジャーと契約するという動きはあまりなかったですよね。

テレビを見ていても企業のCMにラップが使われていたりとか、実際に日本のラッパーが出ていたりとかもしていて、日本でもここ十数年の中でも1番のヒップホップ、ラップ・ブームが来てるなっていうのはすごく感じました。あとはPUNPEEの『MODERN TIMES』も初週オリコンのチャートで7位に入ったっていうのは、彼みたいなスタイルのラッパーがこれほどまでにお茶の間に受け入れられて、それがちゃんと数字って形で現れたのは本当に初めてのことだと思うので、ものすごく喜ばしいことだなと。なので、日本のシーンも非常に拡大しているなと強く感じた1年でございました。

レーベル SUMMIT  発売日 2017/10/11

※ 曲名をクリックすると試聴できます。

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PROFILE

渡辺志保

音楽ライター。
1984年、広島市出身。主にヒップホップ関連の文筆や歌詞対訳に携わり、共著に『ディスク・コレクション ヒップホップ 2001-2010』(シンコーミュージック・エンタテイメント)
がある。現在はblock.fm「INSIDE OUT」にてラジオMCとしても活動中。

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