2015/09/08 10:20

肉体的グルーヴとエレクトロニクスの美しき邂逅——佐藤元彦(L.E.D.)の新ユニット、omni sightの初アルバムを独占ハイレゾ配信&フル試聴

(左から)佐藤元彦(Ba)、平井直樹(Dr)

情景的かつ壮大なサウンドを展開しているインスト・バンド、L.E.D.のリーダー佐藤元彦(Ba)とBOOM BOOM SATELLITESなど、様々なバンドのドラマーとして活躍してきた平井直樹。この2人による電子音楽ユニット、omni sightが1stアルバム『eternal return』をリリースした。OTOTOYでは今作のハイレゾ版を独占配信するとともに、収録されている4曲のフル試聴を実施。しかも特典として、本作収録曲のリミックス音源まで付属。生楽器を用いたリズム・セクションによる肉体的なグルーヴ感と、洗練された上ものとのアンサンブルをぜひハイレゾで。そして佐藤へのインタヴューでは、京都に拠点を移した理由、ユニット結成のきっかけ、そして今作について大いに語ってもらった。フル試聴の楽曲とともに、彼の言葉に耳を傾けてほしい。

収録曲フル試聴実施中!

M2「water cave」、M3「summertime memory」、M6「gravity connection」、M8「water cave[Kaoru Inoue remix]」のフル試聴を実施中!!(その他は45秒の試聴になります)

レーベル night cruising / BAYON PRODUCTION  発売日 2015/09/06

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz) / AAC
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?

【価格】
単曲 220円(税込) / アルバム 1,700円(税込)

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ご購入いただくと、特典としてリミックス音源「water cave[omni sight“orbit”remix]」の音源ファイルが付属します
omni sight - water cave
omni sight - water cave

INTERVIEW : 佐藤元彦(omni sight)

L.E.D.、Jackson vibeのベーシスト佐藤元彦が、旧知の仲であるドラマー平井直樹とともに新たなユニット、omni sight(オムニ・サイト)を始動させた。そのファースト・アルバム『eternal return』には、L.E.D.で長年共にしている加藤雄一郎(Sax)(L.E.D. / NATSUMEN)の他、京都電子音響シーンの重要レーベルnight cruising馴染みのPolar M(Gt)や原摩利彦(p)、さらにNabowaの山本啓(Vn)といった京都で活動するミュージシャンがゲスト・プレイヤーとして多く参加している。

というのも、omni sightは京都で結成。メンバーの佐藤も平井も、現在は京都に在住しているのである。今回はそんな彼らの成り立ち、アンビエントとダンス・ミュージックのおいしいところを折衷した至高のインストゥルメンタル作『eternal return』について、キーとなりそうな京都をテーマに据えながら、佐藤に話を聞いた。

インタヴュー&文 : 田山雄士

京都の街の感じって、コンパクトで全てがちょうどいいんです

——omni sightは京都発のユニットということで、まずは佐藤さんが京都に移られたきっかけから聞かせてください。それが結成の話に繋がってくると思うので。

佐藤元彦(以下、佐藤) : もともと引っ越しを考えてましたが、直接のきっかけになったのは震災ですね。震災直後に京都でL.E.D.のライヴがあったんですけど、その前後に最初は一時的というつもりで京都にいました。ほんの数日でしたが、滞在してるうちに、ここに住みたい、住むかもしれないと直感的に思うようになっていきました。

——引っ越したかったのは、どうしてなんですか?

佐藤 : それまでは渋谷近辺に住んでたんです。もちろん便利で、ライヴや音楽をやるにもいろんな意味でプラスに暮らせる場所でしたが、40手前くらいになってだいぶ歳を取ってきて、気付くと、利便さ偏重な大都会の喧騒に疲れてきたっていうか(笑)。だから、都内のもう少し郊外に引っ越したいとは思ってたんですよ。その矢先で震災があって。

——そうだったんですね。京都に惹かれた部分というのは?

佐藤 : 京都の街の感じって、コンパクトで全てがちょうどいいんです。山も川も、ちょっと足を伸ばせば田園風景も普通にあって、人の数も多過ぎず少な過ぎず、街の規模や機能も過剰なわけでもないし、足らないわけでもない。それが生活をする上での心地良さというか、本当に塩梅がちょうどよくて。観光地からちょっと自転車で走ると昔ながらの住宅地になって、静かで穏やかで、時間の流れがゆったりしてる。自分が引っ越したいとイメージしてた雰囲気とぴったりだったんですね。

——暮らしの変化は、音楽制作にも影響がありそうですね。

佐藤 : かなり変わったと思いますね。そもそもL.E.D.の曲を東京で作ってたときも、僕のイメージ・ソースみたいなものって、じつはあまり都会的な要素からはとってないんですね。もともと穏やかな自然の情景や大きなランド・スケープを頭の中で描いたり映像で見たりするのが好きなんですが、結局は実際にその場に足を運ぶのがいちばんよくて。それで旅行に行ってはインプットして、都内に戻ってはアウトプットみたいなパターンを繰り返していたんですね。だけど、京都にはまさにそういう風景が日常の中で広がってて、普段の生活でそれらを身近に感じながら、リアルに体験として音に落とし込めるというプロセスが作用し始めた気がします。

——京都の電子音響、エレクトロニカ・シーンのアーティストとの交流についても聞きたいのですが。

佐藤 : 京都に引っ越してもやっぱり自分の中心は音楽なんで、京都メトロなどに遊びに何回か通ってるうちに、今回のアルバムのリリース元となるnight cruisingのイベントがたまたまあって、そのレーベルにL.E.D.で縁のあったmoshimoss(山梨在住のエレクトロニカ / アンビエント・アーティスト)が深く関わってたんですよ。それでそのクルーともすぐに仲良くなって、彼らのパーティーの常連として迎えてもらって自然に繋がっていきました。で、そのパーティーに出演する所属 / 招聘ミュージシャンのライヴを観てると毎回刺激的で面白くて色んな気付きをもらえるんですね。『eternal return』に参加してもらってるPolar Mくんや原摩利彦くんのライヴも何回も観ましたが、独特の温度感がとても京都っぽくて。

——京都っぽい?

佐藤 : 温度感が低くもなく高くもなく、真ん中でサスペンドしてるというか、いいポイントにずっとあるみたいな。平熱感ですね。東京の音とは違う感じで面白いなって思って、自分でもその視点で作ってみたくなったんですよね。遊ぶうちに自然と影響を受けて、導かれていったっていう。

——じゃあ、night cruising界隈のイベントは、熱く盛り上がりまくるみたいなノリではない?

佐藤 : いわゆる大騒ぎなパーティー感ではないですね。例えると、鴨川のほとりでぼやーっとしてる感じ(笑)。濁流が来るとかでもなく、コントラストがすごくあるとかでもなく、川の周りを自転車がゆったり走ってるみたいな、本当に穏やかというのかな。ああいうムードがどこか彼らの音にも入ってる。ずっと住んでる人ならではのものですよね。まだ引っ越してきたばかりだけど、住むうちにそのニュアンスが出せるようになったらいいなと思いました。

——ロック・バンドとかでも、独特の京都感ってありそうですよね。

1曲ごとに絵を描く感じ

佐藤 : ありますね。若手もならではの温度感は今に受け継がれてる気もしますし、大先輩でL.E.D.で何度か共演させてもらってるSOFTは、むちゃくちゃ京都感あると思いますね。他の場所のジャム・バンドみたいにブチ上がってなんぼではなくて、やっぱり熱がいい意味で抑えられてるんです。実際のライブは、もちろんブチ上げられるし、際限なくどこまでも連れて行ってもらえるんですが、どこかでサスペンド感、平熱感がある気がします。

——今の話を聞いてL.E.D.やomni sightの曲を思い出すと、佐藤さんが心地いいラインを重視してる感じ、なんとなくわかる気がします。

佐藤 : 大事にしてますね、そのバランスは。L.E.D.をやる上でも、SOFTのそういう熱さとクールさの狭間にあるかっこよさには影響受けまくってますから!

——そういえば、L.E.D.の『in motion』(最新アルバム / 2013年)にも京都からインスパイアされた曲がありましたよね。「icedust」と「summer nostalgia」。

佐藤 : あれもそうでしたね。ちょっとomniと被る部分がありますけど、まさにあのくらいから京都に住んで、京都の音を作るっていうことを意識し始めました。

——という中で、omni sightはどうやって始まるんですか?

佐藤 : 移ってすぐの時期はL.E.D.だけが自分の音楽活動の母体でしたが、ほかのメンバーは東京だし、もちろん京都ベースに何かを表現するバンドにはできないし。でも、既に京都に居を構えてる僕はそういうものがやりたいわけです。で、night cruisingに関わるアーティストは、だいたいみんなソロなんですよね。バンドがほぼいない。バンド畑の自分にはそのことも新鮮で、人数がどんどん削ぎ落とされた中で作られる世界の純度の高さみたいなのを感じて。だから、僕もソロでやってみようという気持ちでしたね。最初の最初は。

——やっぱり、京都にいるからこそのものを何らかの形にしたかったっていうことですよね?

佐藤 : それが完全な動機ですね。まずは1人でちょこちょこ曲を作り出してたんですけど、言ってもモロにバンド畑なんで、ソロでやり切るにはまだ落ち着かなかったというか。どうしてもベースを弾きたくなっちゃうし、そうなると相方のドラムが必要になってきまして。なので、今回はここ(ベースとドラム)までで止めた形でやってみようと思いました。リズム隊っていう生のフォーマットは誰かとやって、残りは自分の用意したマテリアルで完結するというコンセプトが、作りながらだんだんイメージできていったかな。

——そこで平井(直樹)さんが出てくる?

佐藤 : ですね。ドラム誰か探そうと思ってたら、ちょうど僕と同じ時期に同じような理由で京都に引っ越してきた平井さんがいて。平井さんとはJackson vibeでもいっしょにやってる仲だし、omniをやる前から「京都でも音出したいね」みたいな話はしてたので、この人しかいないなって感じでした。

——結成は2013年になるんですか?

佐藤 : スイッチを押されたのが、さっきのSOFTが主催したクリスマス・イベント(2012年12月24日@BATTERING RAM)ですね。僕が京都に引っ越してきたのを知ってくれてて、「何かやらない?」ってギターの清水さんに誘ってもらったんですよ。そのときの状況としては、omniの原型は作ってたんですけど、まだ人前でできるような形にはなってなかった。でも、なんとなくのイメージはできてたし、ここでもう平井さん呼んじゃおうと思って。とりあえず、セッションでいいくらいのノリでした。振り返ると、始動のきっかけはあれが大きかったです。

——出演が決まったから、準備しなきゃ的な。

佐藤 : そうそう、結果的にほぼインプロでやりました。あ、そこでもうPolar Mくんも引き込んでましたね。結局、どんどんバンドな方向へ行ってた感はあったんですけど(笑)。

——正式メンバーとしては、佐藤さんと平井さんってことですよね。佐藤さんはL.E.D.同様、omni sightでもリーダーなんですか?

佐藤 : 特にそういうわけでもなく、曲のマテリアルを用意するのが僕で、リズム・アレンジや構成は平井さんといっしょに作る。平井さんには、ドラマー視点でトラックに向かってもらってます。元々BOOM BOOM SATELLITESをやってたから、いわゆる打ち込みのトラックに対して、どういう生ドラムを叩けば効果的かとか、こうした方がいいとか、経験値がすごくあるんですよ。その点は特に助けられてて、すぐ聞いてますね。「これはどう思います?」って。

——信頼感が抜群なんですね。

佐藤 : 完璧ですね。テクニックはいわずもがなで、打ち込みって、人間技を離れたようなのが作れたりするじゃないですか。そういう感覚で投げても、うまく料理して、生で再現してくれるんですよね。そのへんに関して絶対の信頼をしてるので、僕としては、わりとムチャ振りできて面白いっていうか(笑)。とことん遊べる。

——確かに音源を聴いてて、絶妙な質感のドラムだと思いました。ちなみに、ユニット名は細野晴臣さんのアルバム『omni Sight Seeing』からだったりするんですか?

佐藤 : はい、まさに(笑)。あのアルバムが大好きなのはもちろんなんですけど、言葉としてもいいなと思って。いろんな意味で全方位に見ていきたい。音もそうありたくて、全世界の音を混ぜたいというか。限定的なジャンルになりたくないとも考えてますね。

細野晴臣 - PLEOCENE(『omni Sight Seeing』収録)
細野晴臣 - PLEOCENE(『omni Sight Seeing』収録)

——京都の生活において感じたものを音にするほかに、このユニットで具現化したい世界観ってありましたか?

佐藤 : 僕、本当に雑多なんですよ。それこそSOFTやROVOといった影響を受けてきたインストの大先輩たちは自分の核となってるんですけど、今回に関してはトラックメイクにも重きを置きたかったので、そういう意味ではSOFTと同時期の井上薫さん、Calm、SILENT POETSのようなバレアリックというか、オーガニックなトラックサウンドを意識しましたね。当時、彼らの音を聴いて日本発信にして世界レベルの音があるんだっていうのを、知ったときは衝撃でした。と同時にバンドへの拘りを解いてくれてその可能性にとても影響を受けましたね。今回はそのときから感じていたトラックメイクの可能性も改めて再考してみたくて。そこも意識しつつ、やりたいことを思うままに混ぜ込んでミクスチャーした感じです。

——実験精神も強そうですね。

佐藤 : 1曲ごとに絵を描く感じかもしれないです。今日はこの風景をコンセプトにしてみよう、みたいな作り方。使う絵の具=機材とかも毎回変える。あと、一部のフィールド・レコーディングでバイノーラル録音を使ってて、定位を面白くしたりしてます。そこらへんは実験的ですかね。

omniの世界観をもっと押し進めたい

——L.E.D.では、自然のテクスチャーや風景などを音で表現してきたじゃないですか。omni sightにも共通する部分はあると思うんですけど、意識の違いはありますか?

佐藤 : L.E.D.はバンドで各自が担うパートがしっかりあるから、生モノとしての機能がデカいってことですね。omniはその点、night cruisingの影響でソロで完結する世界観の純度の高さを目指してたので、特にアルバム制作当初は個の感じが高まるように意識してました。任せないというか。バンドだと良くも悪くも自分の予想外の展開が常なんで。もちろんそれがバンドの魅力でもありますけど。

omni sight - tuesday afternoon
omni sight - tuesday afternoon

——冒頭の「flash of cove」から、やはり水の音が入ってきますね。

佐藤 : 水、好きなんですよね(笑)。水を想起させるものが昔から好きで、ジャケットの色とかもブルーになることが多い。

——映像との親和性については、どう考えてますか?

佐藤 : 作るときにまず映像がありますね。たとえば「water cave」は、広い洞窟みたいなところで水が清々しく流れてて、内部にありながら閉塞感のない気持ちいい音で響いてる感じ。それを頭にイメージして、映像ありきで膨らませていくっていう。プロセスの最初はL.E.D.と同じだけど、omniの場合はアウトプットされるものが始めに描いたのとなるべく変わらないようにしたいんです。

——「water cave」とかを聴いてると、ミニマル要素はomni sightの方が強いのかなと。

佐藤 : そうですね。あまりコントラストや景色の変化をどんどん見せていくんじゃなくて、やっぱり鴨川感かな(笑)。ほとりでぼんやりして、1日過ごしてても飽きないような。別に何も起こらないというか。

——起こさなくていい、みたいな。

佐藤 : そう、起こさなくていい! あの感じが僕なりに表現できたんじゃないかと思います。

——違う見方をすると、「water cave」のグリッチ・ノイズなんかは2000年代っぽくて、時代の流れがふわっと入ってるなと思ったりしました。

佐藤 : 他の曲でもやってますが、Polar Mくんや原くんとの交流を通して音作りの色んな手法を教えてもらって、それらを自分なりの解釈で再構成したつもりです。water caveに関してはPolar Mくんならではのグリッチスタイルで入れて欲しいとお願いしました。結果、絶妙なアクセント、フック感を加えてくれました。「water cave」はリズムに関してはフロア仕様にしたいというイメージだけあったんですが、平井さんがスタジオでこんなんどう?ってパッと叩いてくれてあっという間にできた感じで。さすがでしたね。

——あと、さっきバイノーラルの話が出たんですけど、この『eternal return』って自然音のCDみたいな向きもあるなって思いました。「white night」もフワーッて始まって、虫の音がしてくるあたり、ネイチャー・サウンドって言えそうな感じで。でも、途中から振動するような低音、ブレイクビーツが入ってきたりするのが面白かったですね。

佐藤 : そういうふうに聴いてもらえるのは嬉しいです。言われて気付くんですが、自分の経験したことが節操なく混ざってますよね(笑)。ちょっとでもいいなって思ったものをすぐ試してみたくなっちゃうんです、無意識で。ちなみに、平井さんはこのドラムを一発テイクでバシっとキメて帰っていかれました(笑)。

——すごい! 「summertime memory」もびっくりしました。セミの鳴き声が最初から最後までずっと入ってる曲って、あまりないですよね?

佐藤 : (笑)! 確かにそうですね、本当だ。最初だけとかはけっこうありますけどね。

——だけど、それがうるさくも感じない不思議というか。エレクトロ・シューゲイズ的な甘美さで聴けるんですよ。

佐藤 : うまいこと言ってくれますね(笑)。ありがとうございます!環境音は大胆に使ったかもしれない。バイノーラルで録れた喜びが先立ってしまい、ついつい多用してしまいました(笑)。アンビエント、大好きなんですよ。ブライアン・イーノに始まり、アンビエントばっかり聴いてた時期があったので。でも、一方で強烈なビートも常に好きだったから、その真逆なもの同士がいちばんうまく融合するポイントはどこなんだろうって、いつも探してるんですよね。強烈な熱量のあるものと穏やかで静かなものが接着するスイート・スポット、これは僕のテーマですね。

——だから、アンビエントとダンス・ビートが混ざるような曲調になってくるんですね。

佐藤 : そうなんです。それをどうしても分けてやりたくなくて、かつ純度の高いものが作りたい。となると、アンビエント要素だけでは終わらず、自ずとフロア・ライクな仕上がりも増えてきますね。

——なるほど。そんな中で、地下鉄のアナウンスが印象的に使われてる「gravity connection」は、また違ったテイストがあって。

佐藤 : あ、これだけ特殊ですね。これは京都のDJ Kazumaくんとアルバムのアートワークをやってくれた西岡征太郎くんと遊んでるときにできた曲で、昼間に映画の『ゼロ・グラビティ』をいっしょに観に行って、帰り道でフィールド・レコーディングを適当にしてて。その日の一連の音声をベースにして、夜に僕のうちで機材をいじりながらみんなであーだこーだいって原型が出来た曲なんです。なのでクレジットにふたりの名前もいれるべきですね(笑)。後日、加藤(雄一郎)くん(L.E.D.)には「スピリチュアル・ジャズの感じで、サックス吹いてよ」なんて言ったら、10分で完璧にやってくれました(笑)。ま、そんな遊び心もあったり。

——そして、アルバムを締めるのが井上薫さんのリミックス。

佐藤 : はい。さっきも話したんですけど、すごく影響を受けてて、ある部分でそのイメージを意識したアルバムでもあったので、源流にある人に関わってほしいなと思って声をかけました。ダメ元でお願いしたのに、まさかやってくれるとは! トラック自体も「いい音作ったね」って言ってくださって、嬉しかったですね。

——念願叶った感じですね。最後に、omni sightはこの先どうなっていきそうですか?

佐藤 : 好きなものを作りたい意欲があふれてるし、続けていきたいです。僕、アルバムを完成させたあと、疲れちゃって勝手に満足しちゃうタイプなんですけど、今回はそうはならなくて。アルバムを作って見えてきたomniの世界観をもっと押し進めたいという思いが強くありますから。まずはその最初の一歩で軌跡となる、『eternal return』、楽しんでもらえたら嬉しいです。

佐藤元彦関連作はこちら

LIVE INFORMATION

omni sight“eternal return”release party in Tokyo
2015年11月6日(金)@新代田FEVER
出演 : omni sight feat.Polar M & Yuichiro Kato(L.E.D./NATSUMEN) / D.A.N / FilFla / Ametsub

omni sight“eternal return”release party in Kyoto
2015年12月11日(金)@京都METRO
出演 : omni sight feat.kyoto“eternal”all stars / UCND Feat. KOYO & Shoichi Murakami / Ametsub / kazuma (D.H.P / speis / nebula)
Special Geust DJ : Kaoru Inoue(a.k.a.chari chari)

PROFILE

omni sight

2013年、シネマティック・インスト・バンドL.E.D.のリーダーでベーシストの佐藤元彦、BOOM BOOM SATELLITESやORIGINAL LOVEなど様々なアーティストやバンドのドラマーとして活躍してきた平井直樹により京都で結成されたユニット“omni sight(オムニ・サイト)”。コズミックで浮遊感あるサウンド・スケープに生ドラムとベースによる有機的で強力なビートを織り込んだ実験的かつフロア・ライクな音場を創出。

ダンス・ミュージックでありながらもエレクトロニカなどの音響的なアプローチを施した緻密で独自なダイナミクスを表現する。2015年9月、ファースト・アルバム『eternal return』発売決定。井上薫氏(a.k.a. Chari Chari) によるremix収録の全8曲。

参加ミュージシャン : Polar M、marihiko hara、山本啓(Nabowa)、加藤雄一郎(L.E.D./NATSUMEN)。

>>omni sight 『eternal return』リリース・ページ

[インタヴュー] omni sight

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